猫の肥満の目安とは?肥満の原因やリスク、食事の注意点について解説!

猫の肥満の目安とは?肥満の原因やリスク、食事の注意点について解説!

愛猫からオヤツをおねだりされると、ついあげたくなってしまいますよね。丸いお尻やぽっちゃりとした姿もかわいいものです。でも、そのかわいらしい姿、実は肥満かもしれません。

 猫が肥満になると、人間と同じように病気のリスクが高まります。大切な家族に長生きしてもらうためには、体重コントロールが重要です。この記事では、猫の肥満はどこで判断するのか、その原因とリスク、食事の注意点などのダイエット方法について解説していますのでぜひ参考にしてください。

猫の肥満の目安

猫の肥満の目安

アメリカの「ペット肥満予防協会(The Association of Pet Obesity Prevention)」が2018年に行った調査によると、猫の59.5%が過体重または肥満という結果が出ています。約6割の猫が肥満または肥満予備軍かもしれないという事実は衝撃ですよね。では、どのような状態を肥満と言うのでしょうか。

猫の平均体重について教えてください。
品種、体格、年齢によって標準体重が異なるため、一概に「猫の平均体重は何kgです」と言うことができません。ただし、どの種類も概ね1歳頃で成長が止まるため、その当時の体重を標準値(理想体重)とするのが一般的です。

なお、一部の大型猫(サイベリアン、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、メイン・クーン、ラグドールなど)の場合、2歳頃の体重を標準値とする場合があります。
猫の体重がどれくらいになると肥満と考えられますか?
理想体重より15%以上重たくなっていると“肥満”と考えられています。

標準的な猫のサイズは3~5kgと言われていますが、例えば3kgの子であれば3.45kg、5kgの子であれば5.75kgを超えると肥満です。

 数値で見ると理想体重と肥満体重の差はわずか数百gしかないため「その程度の違いで肥満になっちゃうの?」と驚かれる方も多いでしょう。しかし、この差を人間に当てはめて考えると大きな違いになります。例えば、理想体重が60kgの方が15%増加すると9kgも増えたことになるのです。そう考えると、ペットボトル1本分程度の重さの違いが、猫の体にとって大きな負担になっていることが想像できるのではないでしょうか。
猫の肥満度を確認する方法を教えてください。
体重以外で肥満度を確認する方法に「ボディコンディションスコア(BCS)」があります。ボディコンディションスコアとは、「見た目」と「触れたときの感触」から体型や脂肪の付き具合を5段階または9段階で評価する方法です。なお、猫の場合、5段階評価だとBSC3、9段階評価だとBSC5が適正値となり、数値が高いほど肥満度が高いという判断になります。

 例えば、5段階評価のBCS3の体型であれば、体に触れると肋骨がすぐにわかりますが、目視では見つけることができません。また、猫を上から見たとき、腰のくびれがわずかに見られます。しかし、BCS5になると厚い脂肪に覆われてしまうため、簡単には肋骨に触れられません。また、腰のくびれはほとんどなくなり、歩くと脇腹が揺れるようになります。

 このように、見た目や触れたときの印象などで肥満度を判断していくのがBCSです。なお、ご自身で肥満の判断が難しいときは、かかりつけの獣医に相談すると良いでしょう。

猫の肥満の原因

人間からするとわずかな体重差で「肥満」と認定されてしまう猫ですが、なぜ肥満になるのでしょうか。

猫の肥満の原因を教えてください。
猫の肥満は、食べ過ぎによる「原発性肥満」と病気が原因の「二次性肥満」に大別されます。ただし、肥満気味の猫のうち、約9割が原発性肥満に該当すると言われています。

原発性肥満は、摂取カロリーが消費カロリーを上回っていることで生じます。例えば、キャットフードやオヤツが高カロリーまたは量を与えすぎている、運動不足、去勢や避妊手術の影響で消費カロリーが減少しているなどが原因になっているかもしれません。
猫が太る原因として考えられる病気について教えてください。
肥満の原因になる主な病気は、甲状腺機能低下症、クッシング症候群などの内分泌系疾患です。また、その他の病気で薬を服用している場合、副作用で体重が増えることがあります。もし治療中に体重増加が気になった場合、使っている薬が原因になっているかもしれません。まずは主治医に相談してみると良いでしょう。

猫が太ってきたと感じたら

猫が本当にわずかな体重変化で“肥満”と認定されてしまうことに驚いたのではないでしょうか。ちょっと愛猫が太ってきたなと感じたときに、飼い主が気を付けることは以下の点です。

猫の肥満を放置するリスクについて教えてください。
肥満を放置していると、糖尿病、高血圧、慢性関節炎、肥大型心筋症といった様々な病気に罹患する可能性が高まります。また、これらの肥満を原因とする病気の要因にならなくとも、ほかの病気が悪化しやすくなったり、病気になりやすくなったりするリスクがあります。そのため、飼い猫の体型が気になったら、早めの対策を行いましょう。
猫が太ってきたときに、病院へ連れていくべき症状はありますか?
猫の肥満は食べ過ぎが原因になっていることが多いため、急を要するケースはそれほど多くありません。しかし、肥満に加え、水をよく飲む、おしっこの量が多くなる、薄いおしっこが出る、短期間(数日~1か月程度)で急激に体重が増えたりお腹が膨らんだりした、食欲や元気がないといった症状が現れているときは何らかの疾患が隠れているかもしれません。そのような症状が気になる場合は、できるだけ早く受診しましょう。

猫の食事やダイエット方法

猫の食事やダイエット方法

愛猫が太ってきてしまった場合、どのような対処をするのが良いのでしょうか。

猫のダイエット方法について教えてください。
自宅で手軽にできる猫のダイエット方法として、食事制限と運動量を増やすことの2種類があります。例えば食事で言うと、1回の食事の量を減らしたり、カロリーの低い餌やオヤツに変えたりすると効果が高いです。また、室内猫は運動量が不足していることも多いため、キャットタワーなどを活用して室内で体を動かせるようにしてあげるのも良いでしょう。
猫のダイエット方法で、気をつけるべきポイントについて教えてください。
猫は犬に比べると痩せにくい傾向があります。そのため、運動量だけを増やしても体重が減らないかもしれません。運動量を増やすのと同時に、食事の見直しを行うようにしてください。

 食事は、量・質・与え方などをバランス良く見直すようにし、急激に減らすのではなく2~4週間ほどかけてゆるやかに減量できるようなプランにするのがベスト。無理なダイエットを行うと、逆に「脂肪肝(しぼうかん)」という病気を引き起こしてしまうことがあるため注意が必要です。
猫が肥満にならないために、食事で気をつけるべきポイントについて教えてください。
食事制限というと与える回数を減らしてしまう方もいるかと思いますが、食事の回数を減らすとストレスになりかねません。そのため、その子の体重に応じた1日に必要なカロリー量を計算した上で、複数回に分けて与えるなどの工夫をするのがおすすめです。去勢や避妊後はカロリー消費が減る傾向にあるため、一時的に専用の餌へ切り替えることを検討するのも良いでしょう。また、食べ残したものは片付ける、いつでも食べられるような置き餌スタイルをやめるなどの工夫も重要なポイントになります。

 なかには「かわいくおねだりされるので、つい自分が食べているものを与えてしまっている」という方がいるかもしれません。しかし、人間の食べ物は猫にとって有害なものが多く、塩分や糖分、カロリーの取りすぎになるためNGです。猫の体のことを考えるなら、ダイエット中に限らず人間の食べ物を猫に与えるのは控えたほうが良いかもしれませんね。

編集部まとめ

この記事では、猫が肥満と判断される基準やその判断方法、肥満になるとどのようなリスクがあるのか、ダイエット方法などについてお伝えしてきました。猫はもともと運動量があまり多くないライフスタイルの生き物です。毎日の食事が肥満の原因になっていることが多いため、飼い主が普段から餌の種類や与え方などでコントロールしてあげることが重要と言えるでしょう。愛猫がちょっと太ってきたかな……と気になっている方は、ぜひ食事の管理をはじめてみてくださいね。

参考文献