犬のケンネルコフとは?原因から予防法まで解説します

犬のケンネルコフとは?原因から予防法まで解説します

愛犬の健康を脅かすケンネルコフは、犬の間で急速に広がる呼吸器感染症です。愛犬の健康を守るためにも、ケンネルコフの基本知識を身につけ、適切な予防法を実践しましょう。

本記事では、犬のケンネルコフについて以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬のケンネルコフについて
  • 犬のケンネルコフの診断と治療
  • 犬のケンネルコフの予防

犬のケンネルコフについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬のケンネルコフとは

ケンネルコフはどのような病気ですか?
ケンネルコフは犬の間で急速に広がる感染力の強い呼吸器疾患で、犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれます。犬のケンネルコフはウイルスや細菌によって引き起こされます。
ケンネルコフの主な症状には、乾いた激しい咳、鼻水、くしゃみがあります。病気が進行すると、食欲不振や元気の低下が見られることがあります。また、吐き気や目やになどの症状が現れる場合もあります。症状については後述で詳しく解説します。
なぜケンネルコフになるのでしょうか?
犬のケンネルコフの主な原因は、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス2型、ボルデテラ・ブロンキセプティカなどの病原体が挙げられます。

ペットホテル、デイケア、ドッグショーなど、さまざまな犬が集まる場所で感染が広がりやすく、接触感染や飛沫感染を通じて伝播します。感染した犬との直接的な接触や、汚染された食器や水入れの共有によっても感染する可能性があります。
ケンネルコフにかかりやすい犬の特徴を教えてください
ケンネルコフにかかりやすい犬の特徴として、まず挙げられるのは年齢です。免疫機能が未発達な生後6週〜6ヵ月の子犬は感染リスクが高いです。子犬は、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱いため、ケンネルコフに感染しやすくなります。また、シニア犬や病気などで免疫力が低下している犬も同様にリスクが高いです。

飼育環境も重要な要因です。いろんな犬が密集して飼育されている環境、例えばペットホテルやデイケア、ペットショップなどでは、感染が広がりやすくなります。このような環境では、一頭の犬が感染すると迅速にほかの犬にも広がる可能性があります。

さらに、環境の変化や移動、気温の急激な変動などのストレスも、犬の免疫力を低下させ、ケンネルコフにかかりやすくします。したがって、ストレスの多い状況に置かれる犬も注意が必要です。
ケンネルコフの症状にはどのようなものがありますか?
ケンネルコフに感染した犬は、乾いた咳、鼻水、くしゃみ、吐き気などの症状を示します。

乾いた咳は、ときに痰が絡んだような音を伴い、咳の後には吐き気を催すような仕草を見せることもあります。
また、鼻水や微熱もよく見られる症状です。初期段階では、軽い咳が一日に数回程度発生しますが、症状が進行すると咳の頻度が増し、重症化すると呼吸困難や食欲不振、元気の喪失が見られるようになります。
これらの症状は、ウイルス単独の場合は軽度であることが多いようですが、細菌が二次感染して重症化することもあります。

さらに、目やにや膿の混じった鼻水、高熱が続く場合はただちに動物病院を受診することが重要です。咳が頻繁に出て止まらなくなったり、呼吸が荒くなったりする場合は、肺炎などの合併症を引き起こしている可能性があり、早急な治療が必要です。

ケンネルコフは放置すると重篤な状態に陥る可能性があるため、早期発見と適切な治療が不可欠です。

犬のケンネルコフの診断方法と治療法

犬ジステンパーウイルス感染症とは?症状から予防法まで解説します
ケンネルコフと診断するためにはどのような検査が必要になりますか?
ケンネルコフを診断するためには、いくつかの検査が必要です。
まず、獣医師は犬の症状の観察と問診を行います。ワクチン接種の履歴やほかの犬との接触歴を確認するためです。
次に、聴診器を用いて呼吸音を確認し、気管や肺の状態を評価します。咳や呼吸困難の原因を特定するために重要です。

さらに、レントゲン検査が行われることがあります。レントゲンは、気管や肺に異常がないかを確認し、肺炎などの合併症がないかを調べるために有用です。
場合によっては血液検査も行われ、白血球数やCRP(C反応性タンパク)などの値を調べて炎症の程度を把握します。感染の重篤度やほかの可能性のある疾患との鑑別をします。
犬がケンネルコフになったときの主な治療法を教えてください
犬がケンネルコフにかかった場合、主な治療法は対症療法です。
まず、抗生剤や抗炎症薬を用いて細菌感染を抑え、咳止め薬や気管支拡張薬を投与して症状を軽減します。犬の呼吸が楽になり、咳の頻度を減少させるでしょう。
場合によってはネブライザー療法が行われ、薬剤を霧状にして吸入させることで、気管や肺に直接働きかけます。

症状が重い場合や肺炎を併発している場合は、入院治療が必要になることもあります。酸素吸入や点滴を行い、犬の体力を回復させることが重要です。また、免疫力を高めるために、適切な栄養補給も行います。

治療中は、犬を安静に保ち、ストレスを避けることが大切です。さらに、ほかの犬との接触を避けることで、感染の拡大を防ぎます。早期発見と適切な治療により、ケンネルコフは短期間で回復が見込まれます。

犬のケンネルコフを予防する方法と注意点

犬 皮膚炎 原因
犬のケンネルコフを予防するためにワクチン接種した方がいいですか?
犬のケンネルコフを予防するためには、ワクチン接種が有効です。ケンネルコフは、犬伝染性気管気管支炎とも呼ばれ、主にウイルスや細菌によって引き起こされます。感染力が強いため、さまざまな犬が集まる場所では感染のリスクが高まるため、ワクチン接種により、犬は病原体に対する免疫を獲得し、感染リスクを減らします。

混合ワクチンには、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス2型など、ケンネルコフの原因となる病原体に対する成分が含まれており、ワクチンの定期的な接種によって予防可能とされています。子犬や高齢犬は免疫力が低いため、早期のワクチン接種が推奨されます。

また、経鼻投与(点鼻)するタイプの犬用3種混合鼻粘膜投与不活化ワクチンも存在し、Bordetella bronchiseptica(気管支敗血症菌)に対する予防策として重要です。この経鼻ワクチンは、感染リスクが高い環境にいる子犬や、慢性化したケンネルコフの症状を持つ犬においても効果が期待されるとされています。集団生活やドッグランを利用する犬、頻繁に移動したりする犬への併用摂取も推奨されます。
ケンネルコフを予防するために気を付けることはありますか?
まず、犬の健康維持が重要です。適切な栄養を与え、十分な運動をさせることで免疫力を高めます。また、ストレスを避けることも重要です。環境の変化や過度な運動、長時間の留守番など、犬にストレスを与えないよう注意します。

さらに、清潔な環境を保つこともケンネルコフの予防に有効です。犬の居住空間を定期的に掃除し、感染の疑いがある犬との接触を避けることが推奨されます。なかでも、ペットショップやペットホテルなど、さまざまな犬が集まる場所では注意が必要です。

定期的な健康チェックと予防接種を行い、症状が見られた場合は早めに獣医師への相談が大切です。
犬の具合が悪いときは早めに動物病院へ行った方がいいですか?
犬の具合が悪いときは、早めに動物病院へ行くことが重要です。ケンネルコフなどの呼吸器感染症は、初期段階では軽い咳や鼻水などの症状から始まることが多いようですが、放置すると症状が悪化し、呼吸困難や高熱、食欲不振などの重篤な状態に進行する可能性があります。
また、肺炎で、亡くなるケースもあるため、咳が頻繁に出たり、呼吸が荒くなったり、元気がなく食欲も低下している場合は、早急に診察を受けることが推奨されます。

動物病院では、聴診やレントゲン検査、血液検査などを通じて、正確な診断が行われます。早期発見や早期治療により、重症化を防ぎ、適切な治療が受けられます。また、予防接種や生活環境の管理など、病気を予防するためのアドバイスも受けられます。

早めの受診は、愛犬の健康を守るための最善の行動となるため、症状が軽いと思っても、油断せずに獣医師の診察を受けることが大切です。

編集部まとめ

ここまで犬のケンネルコフについてお伝えしてきました。犬のケンネルコフの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬のケンネルコフとは犬の間で急速に広がる感染力の強い呼吸器疾患であり、乾いた咳、鼻水、くしゃみ、吐き気などの症状を呈する
  • 犬のケンネルコフの治療は、抗生剤や抗炎症薬を用いて細菌感染を抑え、咳止め薬や気管支拡張薬を投与して症状を軽減する
  • 犬のケンネルコフの予防には、ワクチン接種、清潔な環境維持、適切な栄養管理、ストレス管理が重要

ケンネルコフを理解し、適切な対応をすることで、愛犬の健康を守れるでしょう。この記事が、愛犬家の皆様にとって有益な情報源となり、愛犬との生活がより豊かなものになることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献