ペットの問題行動が気になってくると、しつけ教室を検討する飼い主さんも少なくありません。しかし、ペットのしつけ教室を利用した飼い主さんのなかには、「せっかく行ったのにあまり効果はなかった」「しつけができていなかった」という感想もあり、しつけ教室の利用を戸惑っている方もいることでしょう。
本記事では、ペットのしつけ教室に行っても効果がない理由、対処法や効果を出すポイントを解説していきます。これからしつけ教室に通う方も検討中の方も、ぜひ参考にしてください。
ペットしつけ教室で効果がない主な原因

ペットのしつけ教室で効果がないと感じる飼い主さんも少なくありません。ここでは、しつけ教室で効果が現れない主な原因を紹介します。
しつけ教室と飼い主さんの指導が一貫していない
ペットのしつけ教室で、効果がないと判断されてしまう原因のひとつに、しつけ教室やトレーナーと飼い主さんの指導が一貫していない場合があります。
トレーナーや訓練士がプロの視点でしつけを行っても、その後、飼い主さんが自己流のしつけをしてしまうと、犬が混乱することは少なくありません。犬にとっては、一貫性のない指導がストレスとなり、学んだ内容が定着しづらくなってしまいます。
しつけ教室の効果を引き出すためには、
- 飼い主さん自身がトレーナーから適切なしつけ方法
- 学んだしつけ方法を日常生活に取り入れる
- 飼い主さんも主体的に学ぶ姿勢を持つ
これらの行動が大切になります。
犬は言葉ではなく行動を通じてコミュニケーションを取るため、よい行動ができたときに褒めて強化するのが基本です。ポジティブな体験を通じてよい習慣を身につけさせることが、しつけ成功のポイントです。
ペットの性格や体質に合わないしつけ方法になっている
犬のしつけ教室が効果を発揮しない理由のひとつに、教室でのトレーニング内容が犬の性格や体質、行動パターンに合っていない可能性があります。
犬が一生懸命覚えようとしていても、トレーニングが難しすぎたり、その方法が性格や体質に適していなかったりすることは珍しくありません。一般的なしつけ方法のマニュアルは存在しますが、大切なのは犬の性格や行動に合わせたしつけ方法です。
また、飼い主さんが犬のしつけに積極的に関わり、トレーナーや訓練士と連携することも重要です。教室で学ぶ内容やケアの方法が犬に合っているかどうかを見極めるためには、経験豊富なトレーナーを選ぶことをおすすめします。
しつけの継続が不十分である
しつけを行う時間そのものが足りていないため、しつけ教室で効果が得られない原因のひとつになります。
ペットのしつけ教室へ通う期間は、犬のタイプや教室の方針などでさまざまです。しつけが完了する基準は、飼い主さんや犬の問題行動の程度によっても変わるため、明確に定めるのが難しい場合があります。そのため、しつけには終わりはないと考え、継続的に取り組む姿勢が大切です。
しつけ教室に通うだけで終わりにするのではなく、飼い主さんも犬が学んだ内容をしっかりと定着させるため、しつけ教室の後のフォローが重要です。せっかく身につけたしつけやマナーも、家での反復トレーニングがなければ犬は忘れてしまうことがあります。
しつけ教室で学んだ内容を無駄にしないためにも、教室終了後の継続的なトレーニングを欠かさないようにしましょう。
ペットしつけ教室の効果がない場合の対処法

ペットしつけ教室の効果がない場合の対処法として、まずはその原因を明らかにすることが大切です。
- 犬に合ったしつけ教室を選べていたかどうか
- 犬の性格や年齢を十分に考慮し適切なクラスを選べたか
- 教室で習ったトレーニングを自宅で復習できていか
- 犬が成功したときの褒め方をトレーナーから学び実践できたか
しつけ教室のトレーナーは専門家ですが、教室で学んだことを家庭で実践するのは飼い主さんや家族の役割です。効果が出なかった理由を冷静に振り返り改善点を見つけましょう。
しつけ教室自体が犬に合わなかった可能性も考えられます。その場合は、トレーナーに相談し、犬の性格や特性を踏まえたうえで別の教室を検討するのも一つの方法です。
犬がどのようなしつけ教室に向いているか、しつけが完了するまでの期間も個体差があります。飼い主さんのしつけに対する考え方や取り組み方も含めて、根気強く対応することが大切です。
ペットしつけ教室で効果を出すためのポイント

ペットのしつけ教室でトレーニングをした後に、効果を出すためのポイントを紹介します。
自宅でも教室と同じトレーニングを継続する
ペットを生涯にわたってトレーニングするのは飼い主さんであり、自宅でもしつけ教室と同じように継続的に行う必要があります。
飼い主さんもしつけ教室で行われたトレーニングの内容を理解して、自宅でもしつけ教室と同じように継続的に行えるようにしましょう。
飼い主さんが正しい指導法を身につける
素人が自分で行うしつけは、試行錯誤の連続でもあり、本当の正しいしつけ・間違っているしつけの見極めができないケースがあります。しつけ教室では、正しいしつけを犬にトレーニングすることも大切ですが、飼い主さんが正しい指導法を身に付ける場所でもあります。
しつけ教室の効果を期待したいのなら、飼い主さんも積極的に指導法を学ぶことが大切です。
ペットの成長をしっかり褒める
犬を褒める習慣は、飼い主さんとの信頼関係を深めて、問題行動の予防や心身の健康にアプローチができます。褒め方についていくつか解説します。
- 犬の名前を呼んで褒める
- 感情に合わせたトーンで褒める
- 状況に応じて冷静に褒める
トイレがうまくできたり、飼い主さんの指示にしっかり反応してくれたときは、名前と一緒に褒めてあげましょう。自分の名前を呼んでもらうことがうれしくて楽しいことだと認識し、飼い主さんにもっと褒めたり撫でたりしてもらいたくて、さまざまなトレーニングを学ぼうとするようになります。
褒める際は逆に声のトーンをあげて感情豊かな褒め方が効果的です。また、叱るときの低いトーン、褒めるときの高い感情豊かなトーンと変えることを心がけると、飼い主さんの感情が判断しやすくなり、しつけの効果も高くなります。
効果が出やすいペットしつけ教室の選び方

ペットのしつけ教室では、子犬専門から問題行動を直すことに特化したプログラムなどさまざまな教室があります。ペットのしつけ教室の選び方について解説します。
ペットの特性に合わせた指導があるか
ペットの特性に合わせて教室を選ぶことが大切です。そのためには、どのようなしつけ教室があるのかを確認していきましょう。
- グループレッスン
- 子犬に特化したパピークラス
- 個人レッスン
- 犬の幼稚園(預かりタイプ)
ペットのしつけ教室にはこれらの種類があります。
グループレッスンでは、しつけ教室の施設やイベントスペースなどに集まって、子犬の月齢やしつけの段階に合わせて行うものです。ほかの犬や人と触れ合うことで刺激を受けて経験を増やすだけでなく、飼い主さんとペットが一緒にしつけ教室に参加することで信頼関係を深めていくことができます。
パピークラスでは、同じ月齢の子犬達が集まって犬同士の挨拶を覚えたり、人や犬などさまざまな環境に触れることができるため、子犬の心の成長にとって素晴らしい体験となります。
個人レッスンは、マンツーマンで指導を受けることができます。犬の行動や飼い主さんの行動の問題点、しつけのポイントを先生から直接アドバイスをもらうことができるメリットもあり問題行動が気になる犬におすすめです。
犬の幼稚園(犬の保育園)は、犬を施設に預けて飼い主さんと離れた環境下で人と犬達とのふれあいを行うことができます。施設のドッグシッターやドッグトレーナーから、しつけやトレー二ングを受けて一緒に遊んでもらい家に帰ってきます。
また、日帰りだけでなくペットホテルの営業を行っていることもあり、預かり中は散歩に行く以外も広いスペースが確保され、ストレスがなく過ごせるところもポイントです。
飼い主さんも一緒に学べるカリキュラムがあるか
飼い主さん同伴のしつけ教室もペットの特性によっては効果的です。トレーナーに教えてもらうために犬だけを預けるのではなく、飼い主さんも一緒に勉強するタイプのしつけ教室です。
通いだけではなく、預かりや訓練などでも見学はできますが、飼い主さんさん同伴でしつけを学ぶことができるところも少なくありません。事前に確認をしたり、実際にどのようにほかの飼い主さんが学んでいるのか見学させてもらうのもよいでしょう。
出張タイプの場合は、トレーナーと一緒にしつけトレーニングを行うことで、さらにしつけトレーニングの効果が高まります。ぜひ、しつけ教室の効果を高めたい方は、飼い主さんが同伴できるかをチェックしてみましょう。
ペットがしつけ教室でストレスを感じているときはどうする?

ペットがしつけ教室から帰ってきて問題行動を起こす、いうことを聞かないなどストレスを感じているような場合、どう対処するべきなのでしょうか。犬がストレスを感じているサインや対処法などを解説します。
ペットがストレスを感じているサイン
ストレスを感じているサインは軽度から重度までさまざまあります。
- カーミングシグナル(軽度のストレス)
- 問題行動(中度のストレス)
- 体調不良(重度のストレス)
ペットがストレスを感じるときこれらのサインが現れます。
犬のカーミングシグナルとは、不安や緊張。葛藤などを感じたときに本能的に出る仕草をいいます。不安な気持ちを相手に伝えて争いを避けるためや、自分の気持ちを落ち着かせるために行うとされています。
- たくさん寝たのにあくびをする
- 急に今まで舐めなかったところをグルーミングする
これらのサインが、カーミングシグナルに該当します。これまでの様子や状況をみてストレスを感じていないか観察しましょう。
中度のストレスを感じると、明らかに普段とは違う行動がみられます。攻撃的な態度やパニックで逃げ隠れするような問題行動は、かなりのストレスを感じている証拠です。
飼い主さんにうなったり、激しい運動をしていないのに荒井息遣いをしていたら、強い緊張状態だと考えてよいでしょう
重度のストレスの場合、消化器系の体調不良や精神疾患があらわれます。痙攣などを起こすこともあるので、てんかんの持病がある犬は注意が必要です。
ストレスのサインは、ほかにもさまざまなものがあります。少しでも異変を感じたら早めに今の環境から移動させて、ひどい場合は動物病院に相談しましょう。
ストレスの緩和のためにできること
犬がストレスを感じているときは、早めの対策が大切です。どのようなことがストレス発散になるのかいくつか紹介しましょう。
- 散歩や遊びの時間を増やす
- スキンシップの時間を増やす
- 犬用ガムなどおもちゃでストレス発散
- 快適な生活環境を整える
犬のストレス発散には運動が効果的です。毎日ではなくてもよいので、長めの散歩やドッグランなどに連れて行って、満足のいくぐらいしっかり運動させてあげましょう。
飼い主さんとのスキンシップは、とても大切なストレス発散です。忙しいときでも、声をかけて撫でてあげる習慣を付けましょう。定期的なブラッシングやマッサージなどの時間をつくるのもおすすめです。
留守番中のストレス防止には、犬用ガムは噛むおもちゃも効果的です。外出する際に与えておくことで、夢中になって孤独感が軽減されます。与える際には、誤飲しないようなおもちゃにしましょう。
過ごしやすい快適な生活環境はストレスの予防になります。ハウスの中を常に清潔にすることや、犬や飼い主さんのにおいがついたタオルを置くなどリラックスさせてあげましょう。
無理にしつけ教室に通うことを継続しない
犬がしつけ教室でストレスを感じていることが明確なら、無理にしつけ教室へ通わせる必要はないでしょう。問題行動や体の不調などが出てしまってからでは、さらに遠回りになってしまいます。
しつけ教室はさまざまな種類やトレーニング方法も枝分かれしているので、後々、愛犬に合っているしつけ教室を探すことも可能です。まずは、犬のストレスを取り除いてあげることが、飼い主さんがはじめにするべきことでしょう。
まとめ
ペットのしつけ教室へ通わせようと考えている方からすれば、効果がないというのは気になるところです。
しかし、犬も人間と同じように性格が違えば、トレーナーとの相性や飼い主さんとの意思の疎通ができないとき、飼い主さんのしつけ教室への意識の違いなど、原因はいろいろと考えることができます。
ぜひ、本記事と愛犬の現状を見比べて、共通することがないか、通っているしつけ教室へ見学に行って検討するなど参考にしてみてください。