「愛犬のトリミングに失敗したら嫌だ」「失敗は防げるのか」と不安を感じる方もいるでしょう。動物病院やサロン、自宅でのセルフトリミングなど、どの方法でもトリミングで失敗する可能性ははあります。
しかし、サロンでのカウンセリング時の対策や自宅で行う際のポイントがわかれば、失敗のリスクを軽減することが可能です。
この記事では、トリミングに失敗する原因や実際の失敗例、成功させるためのポイントを解説します。満足のいくトリミングを行うための、参考になれば幸いです。
トリミングに失敗はある?
愛犬のトリミングに失敗してしまうケースは、珍しくありません。特に、ご自身でトリミングを行った場合はプロのトリマーのような技術はないため、失敗は十分にありえるでしょう。
カットが思いどおりにいかないだけでなく、ケガにつながるようなミスも考えられます。
プロのトリマーに依頼をすれば、ご自身で行うよりもきれいな仕上がりになり、失敗のリスクも軽減できます。それでも、完全に失敗のリスクを取り除けるわけではありません。
経験豊富なトリマーに任せても、短くなりすぎたり、イメージと異なる仕上がりになったりすることもあります。
失敗を防ぐための対策を取らなければ、失敗のリスクは高まります。
トリミングの失敗例
トリミングでは、サロンでも自宅でもさまざまな失敗が起こりえます。どのような失敗があるのか、実際の失敗例を見ていきましょう。
角刈りになった
愛犬の毛を身体に沿って丸くカットするつもりが、角刈りのような見た目になってしまうことがあります。
毛量が多くて毛質が硬い犬だと、長さが不揃いなのが目立ちやすく、短く切ることで角ばったラインが強調されがちです。
元々の体型や顔立ちが角ばった犬は、短くカットすることで角刈りになりやすい傾向にあります。
修正するために微調整を続け、短く切りすぎて新たな失敗を招いてしまう可能性もあります。無理に修正をしようとせず、数週間経って毛が伸びた頃に切り直すのがよいでしょう。
左右の長さがアンバランスになった
自宅のトリミングで起こりやすいのが、左右の毛の長さが不揃いになってしまう失敗です。カットの技術を身に付けていないと、左右を同じ長さで切りそろえるのは難しいことです。
長さの基準が定まっていないままカットを進めれば、切るうちにどんどん長さがずれていき、失敗の原因となります。
毛の流が左右で異なる場合はバランスを取るのが難しく、プロでも高い技術が必要です。特に、顔周りは微調整が必要なため、愛犬が少し動いただけでも長さにずれが生じてしまうことがあります。
トリミング技術を身に付けたトリマーなら、犬の特性を知って動かない体勢を取りながらカットを進めていけます。トリマーの経験と技術に差が出るところです。
毛の癖にあわせたカット方法と、愛犬が動かない工夫ができなければ、左右の長さをバランスよく切り揃えるのは難しいでしょう。
バリカンの操作をミスした
バリカンを使ったトリミングは、操作ミスで毛を短く刈りすぎたり、皮膚を傷付けたりしてしまうことがあります。
短くカットする場合には、ハサミよりもバリカンの方が手早くカットできるため便利ですが、操作は意外と難しいものです。
特に、絡まりやすい毛質の犬だとバリカンの刃に毛が引っかかり、毛を引っ張って痛い思いをさせてしまう可能性もあります。皮膚にダメージを与える恐れもあります。
お腹周りや関節の辺りは皮膚が薄いため、バリカンの使用にはより一層の注意が必要です。
バリカンの操作ミスは、手が滑って皮膚を傷付けたり、一部分だけを刈りすぎてしまったりする失敗があります。
カットしてみたら似合わなかった
技術的な失敗がなくても、できあがったスタイルが「イメージと違った」「なんだか似合わない」といったこともあります。
インターネットや雑誌などで見た、理想のカットスタイルをオーダーする方もいるでしょう。しかし、同じ犬種に同じカットをしても、体格やお顔の輪郭の違いにより仕上がりは異なります。
毛質によっても、同じスタイルに仕上がらないケースがあるので、注意が必要です。
愛犬の体格や毛質の違いまで見極めてカットするのは難しいため、自宅でのトリミングでは十分に起こりうる失敗です。
サロンに依頼する場合には、事前に愛犬の毛の癖や体格をわかる範囲で伝え、希望のスタイルに仕上がりそうか相談してみるとよいでしょう。
動物病院やサロンでのトリミングで失敗する原因
動物病院やサロンにいるプロのトリマーであっても、トリミングではさまざまな原因により失敗が起こりえます。失敗の主な原因は、以下のようなものです。
- 事前のカウンセリング不足
- トリマーの経験・技術不足
- 環境や犬の性格によるもの
仕上がりイメージと異なる原因は、トリマーと飼い主さんとの間で、事前の意思疎通が不足していることがあげられます。
経験の浅いトリマーだと、カウンセリングがうまく行えないこともあるでしょう。そこに技術不足も加わると、理想のカットスタイルに仕上がらない失敗が起こります。
また、犬の性格によっては、依頼したトリミングサロンの環境があわない場合もあります。
屋外の騒音が多かったり、ショッピングセンター内に併設され、ガラス窓から見える人の行き来が多かったりするサロンもあるでしょう。
音や人の動きに敏感な犬は落ち着きを失い、思わぬ動きによって失敗につながる可能性があります。トリミングが失敗する原因は、飼い主やトリマー、犬、環境などさまざまな要因によるものです。
動物病院やサロンでのトリミングで失敗を防ぐための対策
飼い主さんとトリマーとの間でコミュニケーションがしっかりと取れていれば、失敗の可能性は低くなります。ここからは、プロに依頼する際の失敗を防ぐための対策をお伝えしていきます。
事前にカウンセリング内容を確認する
失敗を防ぐポイントは、トリミングの前に十分なカウンセリングを行うことです。「短めにしたい」「顔周りはすっきりとさせたい」といった曖昧な表現は避けなければなりません。
短めにしたいなら「1cmの長さにしてほしい」と具体的に伝えると、明確な希望がトリマーに伝わります。
顔周りをすっきりさせたいときも「目の周りはギリギリまで短く」「耳は今の長さを残して」などと、わかりやすく伝えるのがよいでしょう。
カウンセリングの際に、希望がうまく伝わらないことが失敗の原因となるため、飼い主さんは伝え方に気を付けなければなりません。
仕上がりイメージを写真で伝える
理想のカットスタイルを正確にトリマーに伝えるには、写真を見せて伝えるのがおすすめです。
口頭で「可愛らしいイメージで毛をふっくらとさせて」「活発でやんちゃなイメージで」と言っても、とらえ方は人により異なります。
細かい希望がある場合は言葉では伝えきれず、理想とは違ったスタイルになる可能性もあります。希望するスタイルの写真を見せれば、トリマーも理解がしやすいでしょう。
インターネットや雑誌で理想のスタイルを探し、トリマーに写真を見てもらうのが失敗を防ぐポイントです。
ペットの体調や持病を伝える
愛犬に持病や体調の不安があれば、事前にトリマーに伝えておきましょう。
伝えておくことで、トリマーが普段以上に注意をしながらトリミングを行うため、体調の変化に気付きやすく不安が減ります。
トリミングはシャンプーからカットの仕上げまでを行うと、数時間かかります。
トリミングの間は愛犬が横になって休めないため、犬にとって体力がいることです。特に、体力のない老犬や体調を崩しがちな犬は、途中で休憩を挟むなどの配慮が欠かせません。
健康な愛犬でも、歳を取って体力が落ちてきたと変化を感じる場合には、トリマーに伝えておくようにしましょう。
トリミングで無理をさせて、その後体調を崩す失敗を防ぐための対策になります。
自宅でのトリミングでよくある失敗例
自宅で愛犬のトリミングを行う際は、知識や技術の不足により失敗しやすい傾向があります。自宅で起こりやすいトリミングの失敗例を紹介します。
切り過ぎた
自宅でトリミングを行う際によくあるのが、切りすぎによる失敗です。特に、カットに不慣れな場合は、イメージよりも切りすぎることがあります。
長さが所々不揃いになれば、あわせようと調整しているうちに、予想以上の短さになってしまうこともあるでしょう。
また、毛の長さやカットスタイルを十分に考えずに切り始めると、短くなりすぎて満足のできるスタイルではなくなってしまいます。
短く切りすぎると冬は寒さに耐えられず、夏は紫外線の刺激で皮膚がダメージを受ける危険性も考えられます。
サロンではオーダーミスがなければ発生しにくい一方、自宅では切りすぎの失敗が起こりやすいようです。
道具の選び方を間違えた
ご自身で愛犬のトリミングを行う際に、適した道具の選び方を間違えてしまうと失敗につながります。
カットする部位やカットスタイルごとに適した道具がありますが、知識がなくうまく使い分けられない場合もあるでしょう。
毛質や部位によってはバリカンがあまり適さない場合もあり、ハサミだとかえってカットしにくいこともあります。
バリカンにも種類があり、威力が強く切れ味がよいものや、細かく繊細なカットに向いているものなどさまざまです。毛の状態や用途によって、使い分けが必要です。
適切な道具選びをしないときれいにカットできないだけでなく、ハサミやバリカンに毛が絡まり、愛犬に痛みを与える可能性があります。
自宅にトリミング用の道具が揃っていないからといって、人間用のハサミやバリカンで代用するのも危険です。正しい道具選びができないと危険が生じ、カットの仕上がりもうまくできません。
ケガをさせてしまった
自宅でのトリミングは、不慣れな手つきで行うことや不安定な作業環境が原因で、愛犬にケガをさせてしまう失敗があります。
愛犬が動いた瞬間に、ハサミが刺さる恐れがあります。特に、顔周りをカットするときには細心の注意が必要です。
愛犬が急に動いたときのことを想定し、ハサミが目に刺さらないよう、ハサミの先を愛犬のお顔に向けないようにしなければなりません。
お口周りをカットしているときに、愛犬が急に舌を出してハサミを舐めようとする可能性もあります。
また、インターホンが鳴ったり家族が帰宅したりと、自宅は愛犬が興奮しやすい環境でもあります。愛犬が急に動くことによるケガは、自宅では起こりやすい失敗です。
自宅でのトリミングで失敗を防ぐための対策
自宅でのトリミングを成功させるために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
プロのような高度な技術はなくても、基本を押さえることでカットの仕上がりに大きな差が生まれます。
ここからは、自宅のトリミングで失敗しないための対策を紹介します。
道具の状態に気を付ける
トリミングに取りかかる前に、使う道具の状態を確認しておくことが大切です。道具のメンテナンスを行うことで、ケガや仕上がりの失敗を防げます。
刃が錆びているようなバリカンは切れ味が悪く、毛を引っ張って愛犬に痛みを与えかねません。うまくカットできずに、毛の長さが不揃いになることもあります。
事前にバリカンの刃を替えておけば、スムーズにカットが進み、愛犬にもストレスを与えません。道具を使いやすくメンテナンスしておくのが、トリミングの失敗を避けるポイントです。
トリミング前にブラッシングを行う
毛のカットを始める前に、愛犬の全身をブラッシングしておくのがおすすめです。ブラッシングをすることで毛の絡まりが取れ、毛の流れがきれいに整います。
整った毛はカットしやすく、ハサミで切っても長さがバラバラになりにくいのがメリットです。バリカンが毛に絡まるのも抑えられ、愛犬に負担をかけずにきれいに仕上がります。
特に、巻き毛の犬や長毛種の犬は毛が絡まり毛玉ができていることもあるため、丁寧なブラッシングが必要です。
毛先だけでなく、毛の根元からブラシを通して絡まりをほどくようにしましょう。
カット前のブラッシングは愛犬に負担をかけないことに加えて、仕上がりをきれいにする効果もあります。
全身を確認しながらカットする
トリミング時は、全身の状態をこまめに確認しながら切っていくと、失敗を防ぎやすくなります。
一部分に集中しすぎず、全身のバランスを見ながらカットを進めることが大切です。ほかの部位とのバランスを見ないと、部位ごとにばらつきが生じ、ちぐはぐな見た目になってしまいます。
左右のバランスや全身の均一な仕上がりに意識を向ければ、統一感のある自然なスタイルに仕上がります。
最後の仕上げでは、角度を変えて全身を確認することも大切です。満足度の高いトリミングを行うには、全身のバランスを見ながら行う必要があります。
まとめ
この記事では、トリミングの失敗例や、失敗を防ぐための対策を解説しました。
動物病院やサロンにトリミングを依頼する際は、トリマーとの事前のカウンセリングを大切にし、必要な情報が明確に伝わるようにしましょう。
自宅でのトリミングでは、事前に行う道具のメンテナンスや、ブラッシングなどが成功のポイントとなります。
初めてのトリミングや初めてのサロンで不安な場合は、予約前に心配な点を相談しておくとよいでしょう。
自宅でトリミングに挑戦する場合は、プロの作業を動画で確認したり、見学したりすると流れがわかります。
失敗しないためのポイントを押さえて、満足のできるトリミングを実現させましょう。
参考文献