ペットを飼っていると、動物病院でのワクチン接種を欠かすことはできません。とはいえ、料金相場がわからなければ、接種に際して不安を覚えてしまいます。そもそも、なぜ同じワクチンを接種するのに料金に差が出るのか、疑問に感じている方も少なくないでしょう。今回は動物病院でのワクチン接種に焦点を当てて、気になる情報を深掘りしました。接種料金を抑える工夫も紹介するので、ぜひチェックしてください。
ワクチン接種料金の相場

まずは、ワクチン接種料金の相場を確認しましょう。法律上接種が必須なワクチンと、ペットの状況や生活環境に応じて選択が可能な任意の混合ワクチンについて、それぞれの平均的な料金をお伝えします。
- 法律上接種が必須なワクチンの平均的な料金を教えてください
- 犬の場合は厚生労働省が定める狂犬病予防法により、狂犬病ワクチンの接種が全犬に義務付けられています。狂犬病ワクチンの接種を怠ると20万円以下の罰金が科せられるケースもあるため、年1回の狂犬病ワクチン接種は必ず行ってください。狂犬病ワクチンの接種には、1回あたり3,000円から4,000円程度の料金がかかります。一方、猫へのワクチン接種は法律によって義務付けられていません。しかしながら、ワクチン接種は猫のさまざまな病気を予防することにつながるため、住んでいる地域や年齢、飼育環境などに応じて、必要なワクチンを接種しましょう。
- 混合ワクチンの平均的な料金を教えてください
- 任意接種である混合ワクチンは、致死率の高い病気を予防するために接種が推奨されているもので、複数の感染症を予防することができます。すべてのケースで接種すべきコアワクチンと、生活環境や感染状況によって接種しておいた方がよいとされるノンコアワクチンがあり、犬のコアワクチンでは犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルス、犬アデノウイルスなどの病気を、猫のコアワクチンでは猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫パルボウイルスを予防することが可能です。何種混合のワクチンかによって料金は変わりますが、犬の混合ワクチンにかかる費用は1回あたり5,000円から10,000円程度が目安となります。一方、猫の混合ワクチンにかかる料金は1回あたり4,000円から6,000円程度です。いずれにしても、接種するワクチンや動物病院によって料金は変動するため、あらかじめ留意しておきましょう。
- ワクチン接種料金以外にも、別途費用がかかりますか?
- 診察や健康診断などに別途費用がかかる場合もあるため、事前に詳細を確認しておきましょう。ほかに病気がない限り、ワクチン接種時に薬は出されないので、処方箋を発行する費用がかかることはありません。
ワクチン接種料金に差が生じる理由
ワクチン接種料金の相場をまとめましたが、同じワクチンであっても接種料金が大きく異なるケースがあり、これといった金額を提示しづらいのが実情です。では、なぜこのような料金の差が生じるのでしょうか。具体的な料金の調べ方と併せて解説を加えます。
- 動物病院によってワクチン接種料金が違う理由を教えてください
- 地域や動物病院の規模は、ワクチン接種料金に大きな影響を与えます。例えば、都市部での料金は地方と比較して、高く設定されることが多いです。また、都市部に位置する大規模な病院については、設備やスタッフ数が充実しているため、料金が高くなる傾向にあります。とはいえ、料金の高さがサービスの質を推し量る指標というわけではないので、さまざまな要素を考慮して、受診する動物病院を選びましょう。加えて、このように、ワクチン接種料金は複数の事情を加味したうえで決定されているため、動物病院によって価格帯が大きく異なるのです。
- 動物病院のホームページに料金の案内がないのはなぜですか?
- 動物病院のホームページに料金案内がない理由はいくつかあります。獣医療法の広告規制では、不特定多数に向けた広告での料金表示は制限されていますが、ホームページ自体は広告とは区別されており、料金を掲載することは可能です。しかし、多くの動物病院が料金を掲載しない理由として、動物の症状や治療内容によって費用が大きく変動するため、一律の料金表示が困難であることや、料金競争によるサービス品質への影響を懸念していることなどが挙げられます。実際には料金を掲載している動物病院もあります。
- 具体的なワクチン接種料金は、どのように調べるとよいですか?
- 具体的なワクチン接種料金を知りたい場合には、動物病院に電話をかけて確認してください。
ワクチン接種料金を抑えるための工夫

ワクチン接種料金を節約したいからといって、ワクチンの接種自体を取り止めることはできません。しかし、飼い主が工夫を凝らせば、ワクチン接種料金を抑えることは可能です。終わりに、ワクチン接種料金を抑える方法やペット保険に関する情報について、詳細を確認しましょう。
- ワクチン接種料金を抑えるための工夫があれば教えてください
- 前述のとおり、ワクチン接種料金は動物病院によって大きく異なります。そのため、複数の動物病院を比較して料金が安い施設を選択すれば、出費を抑えることができるでしょう。動物病院が期間限定のワクチン接種キャンペーンや複数のペットを飼育している方に向けたグループ割引を行い、通常より安い料金を提示している場合もあるので、うまく活用してください。自治体の補助金制度を使うのも一案です。補助金制度は不妊・去勢手術が対象である場合がほとんどですが、一部の自治体はペットのワクチン接種に関しても補助金制度を設けています。居住地域の自治体がそうした制度を導入していないか、一度調べてみるとよいでしょう。
- 室内飼いであれば、節約のためにワクチンを接種しなくてもよいですか?
- 室内飼いのペットであれば、節約のためにワクチンを接種しなくても問題ないように思えますが、室内飼いであってもワクチンの接種は必須です。屋外のペットに比べると感染症のリスクは低いものの、飼い主がほかの猫との接触を通じて感染症に罹患する恐れもあるため、危険性はゼロではないことを覚えておきましょう。ふいに脱走してしまい、感染症のリスクにさらされる可能性もあります。予期せぬ災害に見舞われた場合なども、ワクチンを接種していなければとても危険です。こうしたリスクを考慮して、獣医師の判断を仰ぎ、適切なワクチン接種を行ってください。
- ワクチン接種はペット保険の補償対象ですか?
- ほとんどのペット保険において、ワクチン接種などの予防に関する費用は補償対象外となっています。ただし、ワクチン接種によって生じた怪我や病気は補償の対象になる場合もあるため、加入前に約款を読み込んでおきましょう。なお、ワクチンによって予防できる病気についても、補償の対象外に定められているケースがほとんどです。費用を気にしてワクチンの接種を怠ると、結果的により高額な治療費が発生する可能性もあるため、ワクチンは必ず接種しましょう。費用の件は度外視しても、ワクチン接種で予防できる病気には、ペットの命を危険にさらすものもあります。何よりも大切なペットの健康を守るために、ワクチンを接種してください。
編集部まとめ
ワクチンにかかる費用を抑えたいと考えても、ワクチン接種自体を止めることはできないというのは大前提です。このことを念頭に置いたうえで、ワクチン接種料金が高くなく、サービスの質も担保された動物病院を選ぶなど、可能な限り出費を少なくする工夫を凝らしてください。日頃からワクチン接種への意識を高めておくことが、ペットの健康を守ることにもつながります。費用を抑えながら必要なワクチンを適切に接種して、ペットとともに健やかな毎日を送りましょう。