犬猫の呼吸トラブルで酸素室を使うときもある?動物病院での治療費と酸素室レンタルの料金相場も解説

犬猫の呼吸トラブルで酸素室を使うときもある?動物病院での治療費と酸素室レンタルの料金相場も解説

犬や猫が呼吸を荒くしたり、ぐったりとする様子を見せたとき、動物病院では酸素室を使った治療が行われることがあります。酸素濃度が一定に保たれた密閉空間で呼吸を補助するこの方法は、呼吸器疾患や心不全、熱中症など多くの症状に対応できる重要な治療手段です。本記事では、動物病院での酸素室治療の基本的な仕組みや目的、費用の相場、そして自宅でレンタルする場合の注意点まで、わかりやすく解説していきます。

動物病院の酸素室治療の基本情報

動物病院の酸素室治療の基本情報

酸素室治療はどのような仕組みで行われ、どのような症状に使われるのでしょうか。基本的な特徴をご紹介します。

酸素室とは何か教えてください
酸素室とは、酸素濃度を30~40%に密閉された空間で、犬や猫の呼吸を補助するために設計された専用の医療機器です。動物病院では、呼吸器疾患、心不全、肺炎、貧血、熱中症などにより呼吸機能が著しく低下した動物に対して使用され、緊急処置や回復の支援を行います。この装置は酸素を安定的に供給しつつ、二酸化炭素を効率よく排出し、温度や湿度も自動で管理できます。また、動物の体格や行動特性に配慮した安全性を考慮した設計や静音性も備えており、ストレスをできるだけ少なくした治療環境が整えられています。構造や目的は人間用とは大きく異なり、動物に適した高機能な仕様です。
動物病院の酸素室治療の主な目的と効果を教えてください
動物病院における酸素室治療の主な目的は、呼吸機能が低下した犬や猫に対して高濃度の酸素を安定的に供給し、血中酸素濃度を改善して臓器や組織の働きを支えることです。呼吸器疾患、心不全、肺炎、貧血、外傷、熱中症などによって体内の酸素が不足すると、全身の機能が低下し回復が遅れるおそれがあります。酸素室を活用することで、そのような状態を速やかに緩和し、体力の維持や症状の改善を促します。また、呼吸困難による不安や消耗を軽減し、治療全体の安定にもつながります。自動換気や温湿度管理によって、安全性が高くかつ落ち着いた治療環境が保たれます。
ペット用の酸素室の特徴は?
ペット用は犬や猫の体格や行動特性に合わせたサイズ設計がなされており、出入り口も動物が不安がらずに出入りできるよう工夫されています。内部には転倒防止や視界確保の工夫があり、動物の事故を予防し、リラックスできるよう配慮されています。また、呼吸数や体温調節が人間と異なるため、酸素供給量や換気性能、温湿度管理も専用仕様となっています。ストレスを抑えるために静音性にも配慮されており、動物にとって快適で安全性の高い環境を提供することが重視されています。
どのような症状が現れたら酸素室治療を受けるべきですか?
酸素室治療が必要とされる症状には、呼吸が速い・浅い・苦しそうに見えるといった異常呼吸が挙げられます。また、舌や歯茎の色が紫色や青みを帯びるチアノーゼ、歩行時のふらつき、ぐったりして動かない、意識がもうろうとするなどの症状も警戒すべき兆候です。これらは呼吸器疾患や心不全、肺炎、貧血、熱中症などによる低酸素状態が原因であることが多く、早期の酸素供給が必要です。明らかに様子がおかしいと感じた場合は、すぐに動物病院を受診し、酸素室治療の必要性を判断してもらうことが重要です。

酸素室治療とレンタルの料金相場

酸素室の利用には、動物病院と自宅レンタルの2とおりがあり、費用は酸素室の性能や期間によって異なります。ここでは料金の目安や工夫をご紹介します。

動物病院で酸素室を利用する場合の料金相場を教えてください
動物病院で酸素室を利用する際の料金は、設備の規模や地域、治療の内容によって異なります。加えて、初診料や再診料、検査費用、投薬費などが別途必要となることが多く、症状の重さや治療期間によって総額は数万円に達することもあります。特に入院を伴う場合や24時間体制での管理が必要なケースでは、1日あたり1万円〜2万円以上になることもあります。事前に病院ごとの料金体系を確認し、見積もりをもらっておくことが大切です。
酸素室を自宅でレンタルする場合の料金相場を教えてください
自宅で酸素室をレンタルする際の料金は、装置の性能やレンタル期間、付属機器の有無によって異なりますが、月単位で契約する場合は1万円〜2万円程かかることが多く、初回設置費用として1万円〜2万円前後が必要になるケースもあります。往診サービスや緊急時対応が手厚い業者ではその分料金が高くなる傾向にあります。契約前には、費用の総額、対応サービス、解約条件などを十分に比較検討し、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
動物病院やレンタル酸素室で費用を抑える方法はありますか?
動物病院やレンタル酸素室の費用を抑えるには、事前に料金体系を確認し、不要なオプションや重複する診療を避けることが大切です。ペット保険によっては、動物病院での酸素室治療が補償対象になる場合があります。ただし、自宅で使用する酸素室レンタル費用は対象外となる場合があるため、加入前に契約内容をよく確認する必要があります。長期レンタルの割引制度や、必要なサービスを取捨選択する工夫も重要です。さらに複数の病院や業者から見積もりを取り、内容と費用を丁寧に比較することが、出費を抑える有効な手段になります。

自宅で酸素室を使用するときのポイント

自宅で酸素室を使用するときのポイント

自宅で酸素室を使う際には注意点を必ず把握しておく必要があります。ここでは使用上のポイントを解説します。

ペットを酸素室から出すときの注意点を教えてください
ペットを酸素室から出すときは、急激な環境の変化が体調に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応が必要です。高濃度の酸素環境から通常の空気に戻ることで呼吸が不安定になることがあるため、扉を開ける前には室内外の温度差を確認し、徐々に空気を入れ替えるなどの配慮が重要です。また、無理に抱き上げたり急に動かしたりせず、ペットが落ち着いた状態でゆっくり移動させましょう。出した後はしばらく様子を観察し、異常があればすぐに酸素室に戻してから、速やかに獣医師へ相談することが大切です。獣医師の指示をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
酸素室内で容態が急変した場合の対処法を教えてください
酸素室内でペットの容態が急変した場合は、まず装置の状態を確認します。酸素の流量が止まっていないか、電源が切れていないか、警告ランプやアラーム音が出ていないかをチェックしましょう。いずれかの異常があれば、ただちに装置の使用を中止し、扉を開けて新鮮な空気を取り入れつつ、落ち着いて外へ移動させます。異常が見られなかったとしても、呼吸や意識に明らかな変化がある場合は、すぐに扉を開けて容態を確認してください。そのうえで、かかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。自己判断は避け、緊急時の対応手順や連絡先を事前に準備しておくと、落ち着いた対応につながります。
酸素室を使用中のペットを通院させるときの注意点はありますか?
酸素室を使用中のペットを動物病院へ通院させる際は、移動中に酸素濃度が下がらないよう工夫が必要です。携帯型の酸素供給装置や簡易酸素ケージを使えば、酸素を保ったまま移動することが可能です。移動はできるだけ短時間で行い、車内の温度管理や換気にも注意を払いましょう。移動中に容態が変化する可能性もあるため、獣医師の連絡先はすぐに確認できるよう控えておきます。診察時間や受付手順を事前に確認し、病院側にも酸素を使用していることを伝えておくことで、よりスムーズかつ安全性の高い対応が期待できます。

編集部まとめ

編集部まとめ


ペットの呼吸トラブルに対して行われる酸素室治療は、動物病院だけでなく自宅でも取り入れることができ、つらい症状をやわらげたり、回復をサポートしたりする大切な手段です。治療にかかる費用は内容によって異なりますが、ペット保険を使ったり、レンタルの契約方法を工夫することで、経済的な負担を軽くすることもできます。トラブルなく使うためには、正しい使い方や注意点を知っておくことがとても大切です。少しでも様子がおかしいと感じたら、無理せず早めに動物病院に相談してください。

【参考文献】