犬が耳をかくのは、不自然なものではありません。しかし、あまりにも頻度が多く、いつも耳を痒がっているようであれば、病気が隠れている可能性があります。犬が耳をかくときに考えられる原因を把握しておけば、動物病院を受診する目安にもなります。この記事では、犬が耳をかくのはなぜか、考えられる原因や動物病院を受診する目安を解説しています。愛犬が耳をかいていて気になっている飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
犬が耳をかくときに考えられる原因
- 犬がよく耳をかく場合、どのような原因が考えられますか?
- 犬が耳をかく場合に考えられる原因は、乾燥やアレルギーなどの環境に関する要因や、外耳炎などの病気が関係していると考えられます。耳ダニに感染している場合もあるため、耳の状態をしっかり観察することが大切です。犬種によっては、耳の構造的に通気性が悪く、病気になりやすい傾向があります。日常的に犬の様子をチェックしておくことが大切です。耳の外側だけではなく、内側の様子も観察してください。耳垢が多かったり、ニオイがキツかったりしたら、病気のサインかもしれません。
- 乾燥やアレルギーなど環境要因で耳が痒くなることはありますか?
- 犬が耳をかくとき、耳の状態がどのようになっているのか確認してみましょう。耳が赤くなっているときは、アレルギー症状が出ているのかもしれません。犬も人間と同じようにハウスダストや花粉、食物などのアレルギーが挙げられます。アレルギー症状の出方は犬によって個体差があるため、愛犬の様子を観察することが大切です。また、アトピー性皮膚炎も考えられます。アトピー性皮膚炎の場合は、肌が乾燥しガサガサになってしまいます。乾燥したままにしておくと、さらにかゆみが増してしまうため早めの対応が大切になります。
- ほかに考えられる原因があれば教えてください
- 耳がかゆくなる原因は、ホルモンバランスの乱れや腫瘍、細菌や寄生虫などの感染など多岐に渡ります。前述した耳ダニや乾燥、アレルギーやアトピー性皮膚炎のほかにも、ストレスによって痒くなっている可能性もあります。耳の中を見てみても、耳垢などもなく嫌なにおいもしないなど、痒がる以外に異常がみられない場合は、ストレスの可能性もあります。引っ越しをして新しい家に慣れていない場合や、今まで在宅だった飼い主さんが、仕事などによりお留守番の時間が急に長くなると、犬にとっては大きなストレスになります。
犬が耳をかく場合に考えられる病気

- よく耳をかいている場合、どのような病気が考えられますか?
- 犬がよく耳をかいている場合、外耳炎・耳ヒゼンダニ症・アレルギー・皮膚炎などの病気が考えられます。外耳炎にも原因は複数あり、細菌性やアレルギー性などがあるため、正しい判断が必要です。病気かどうかを判断するためには、耳の様子をチェックしてください。
耳をかゆがっていて、耳のなかが赤い場合は耳ヒゼンダニ症や外耳炎の疑いがあります。耳の外側が赤い場合は、アレルギー性皮膚炎などが考えられます。耳のなかが腫れている、耳全体が腫れぼったくなっている場合は腫瘍などの可能性もあるため、早急に対応が必要です。
- 耳の病気になりやすい犬種はいますか?
- 耳の病気は犬種によってなりやすさが異なります。なかでも耳の病気になりやすいといわれているのがパグやフレンチ・ブルドッグです。パグやフレンチ・ブルドッグは外耳道が狭くなりやすいという犬種独自の特徴があります。さらにアレルギーなどの皮膚炎も発症しやすい犬種であることから、外耳炎などの耳の病気にかかりやすくなってしまいます。ほかにも、ゴールデン・レトリーバーやキャバリア、シー・ズーなど耳が垂れている犬種は、耳の通気性が悪くなるため注意が必要です。
- 犬が耳をかくときに注意すべき症状があれば教えてください
- 注意すべき症状は、足で耳をかくだけではなく頻繁に頭を振る行動です。耳ダニなどによってかゆみが強いとき、犬は頭を振ってかゆみを止めようとします。ほかにも耳垢が黒くなったり、耳が臭くなったりしたら注意が必要です。耳垢の変化やにおいの変化は病気のサインになります。耳のあたりを触るのを嫌がるときも注意しましょう。最初はかゆかった耳が、だんだん悪化して痛みを伴っている状態です。普段は触っても平気なのに、耳の周りを触られるのを嫌がっているようであれば、痛みがある可能性があります。
動物病院を受診する目安
- 耳をかく頻度がどの程度続けば受診を検討すべきですか?
- 1日に何回も耳をかいていたら、耳の病気を疑ってもよいでしょう。病院に行くかどうかの判断は難しいものです。普段はそれほど耳をかかない愛犬が、1日に何回も耳をかいていたら、受診がおすすめです。足でかくだけではなく、首を振るなどの症状も注意深くみておきましょう。
- 動物病院では、耳の症状に対してどのような検査と治療が行われますか?
- 耳の症状に対して、まず何が原因となっているのか検査をします。治療は耳の洗浄や清拭をしたあとに点耳薬を投薬するのが一般的です。症状が重症化していたり、耳ダニや細菌感染、中耳炎の併発があったりする場合は、注射や内服薬を併用する場合があります。外用薬や内服薬では対応できないような難治性のケースにおいては、CTやMRIなどの検査や耳道切開や腫瘍切除などの外科手術が必要になることもあります。基礎疾患があると耳の症状を繰り返し発症してしまう可能性もあります。外耳炎は慢性化すると難治性が高くなるため、しっかり治療を行うことが大切です。
- 飼い主さんから獣医師に伝えるべきことがあれば教えてください
- 正しい診断を受けるためには、飼い主さんからの情報が大切です。生活環境や食事の内容など日常生活に変わった点がなかったか、しっかり把握しておきましょう。また、耳をかくようになったのはいつ頃からで、どのぐらいの頻度でかいているのかも重要です。においや皮膚の色など、気になる点があれば、しっかり伝えてください。ほかにも、元気がない、顔を傾けるなど、いつもと違う様子があれば小さなことでも伝えておきましょう。情報が多ければ、病気を見つけるヒントも多くなります。
犬が耳をかく場合の自宅でのケア方法

- 耳を痒がる犬に対して、自宅でできるケアはありますか?
- 自宅でできるケアは、耳を清潔に保つことです。健康的な犬の耳は、薄い黄色〜茶色の耳垢がうっすら付着している、もしくは耳垢がない状態です。目立った耳垢がない状態が普通で、耳掃除を頻繁に行う必要はありません。シャンプーのあとに湿らせた綿花などで優しく水分を拭き取る程度で十分です。耳のなかの皮膚はとてもデリケートなため、綿棒などで強く擦ってしまうと傷つきやすくなってしまいます。ローションなどを使用するときには、肌トラブルなども考慮して刺激が少ないものを選ぶといいでしょう。
- 定期的な耳掃除は予防になりますか?
- 定期的な耳掃除は、耳の病気の予防になります。ただし、耳がきれいな状態なのにも関わらず、頻繁に耳掃除をしてしまうと、逆に耳のなかを傷つけてしまったり、外耳炎を引き起こしてしまったりします。掃除の頻度に決まりはありませんが、愛犬の耳の汚れやニオイが気になってきたら掃除をするようにしましょう。掃除をしなくても、毎日耳の状態をチェックするのは大切です。小さな変化に早く気がつけば、それだけ早く病気に対応できます。
- アレルゲン対策や部屋の湿度管理など、注意するポイントがあれば教えてください
- アレルギー反応によって耳がかゆくなっている場合は、アレルゲン対策が有効です。部屋が乾燥することで皮膚のバリア機能が低下し痒みや炎症を起こしやすくなることがあります。一方で、湿度が高くなりすぎると細菌やカビ、ダニが繁殖しやすくなりアレルゲンが増えることで皮膚やお耳のトラブルにつながります。犬にとって快適なお部屋の温度は22〜25度、湿度は50%程度です。しかし、犬種によって暑がりなタイプがいれば、寒がりなタイプもいます。体型や年齢によっても特徴が異なるため、それぞれに合わせた適温に設定しましょう。
編集部まとめ
犬が耳を頻繁にかいているときは、耳の病気かもしれません。耳のなかの状態がいつもと違っていたり、耳から異臭が出ていたりする場合は、すぐに動物病院へ相談に行きましょう。病院では耳のなかを洗浄し点耳薬の投与などを行います。重症化していると外用薬の他に、内服薬や原因によっては手術が必要になる可能性もあります。日頃から耳の様子を観察し、汚れやニオイが気になったら綿花で拭き取るなどの掃除をするようにしましょう。アレルゲン対策として部屋の温度や湿度を管理するのも大切です。温度は22〜25度、湿度は50%程度を目安に快適な空間を保ちましょう。