警察犬として活躍することもあるドーベルマンを育てる際に、しつけが難しそうと心配する方は少なくありません。
しかしドーベルマンは聡明なので、しつけやすい犬種です。子犬の時期から信頼関係を築き、コミュニケーションをこまめに取りながら必要なしつけを行うことがおすすめです。
この記事では、ドーベルマンをしつけ教室に通わせる流れや時期とタイミング、しつけを行うポイントなどについて詳しく紹介していきます。
ドーベルマンのしつけについてお悩みの方の参考になれば幸いです。
ドーベルマンのしつけは難しい?
ドーベルマンのしつけはほかの大型犬とあまり変わりはありません。小型犬に比べたら体力的に大変なことはありますが、子犬の頃からしつける分にはそこまで難しくはないでしょう。
ドーベルマンは警察犬や軍用犬として活躍することも少なくないため、一見家庭で育てるのは難しいかと思われる犬種です。
しかし、実はとても賢く聡明な犬種のため、しつけやすいといわれています。
子犬の時期からしっかり信頼関係を築いたうえで、コミュニケーションを取りながらしつけを行うとよいでしょう。
しつけ教室にドーベルマンを通わせる流れ
ドーベルマンをしつけ教室に通わせる流れはほかの犬と変わりはなく、自身で気になったしつけ教室に申し込みをするとよいでしょう。
まずは依頼を行い、カウンセリングを実施します。施設によっては見学対応を行っているので、依頼を行う前に実際にドーベルマンを連れて見学しておくと、雰囲気を理解したうえで通わせるか判断ができます。
施設によっては年齢や犬種に限りがあるので、事前に確認しておくことがおすすめです。
ドーベルマンをしつけ教室に通わせる時期やタイミング
ドーベルマンをしつけ教室に通わせる時期は生後3週から12週の、犬の社会化期といわれる時期がおすすめです。
その時期を過ぎてしまったドーベルマンでも、なるべく早い時期にしつけ教室に通わせるとよいでしょう。
犬の社会化期は人間との暮らしやほかの犬との接し方を学び、今後生きていくうえでの基礎を育む時期です。
この時期の経験が乏しい場合は、臆病な犬に育ってしまい、無駄吠えや噛み癖がつくことにつながる可能性があります。
自宅にお迎えしたらできるだけ早い時期にしつけ教室に通わせて、社会で生きるためのルールを身につけておくとよいでしょう。
ドーベルマンのしつけ教室でのトレーニングメニュー
ドーベルマンのしつけ教室でのトレーニングメニューは大きく分けて5つです。
- トイレ
- 吠え癖や噛み癖
- 留守番
- 制止や呼び戻し
- 散歩
ここからはそれぞれのメニューについて詳しく紹介していきます。
トイレ
まず1つ目はトイレトレーニングです。トイレが上手にできないと、自宅内のさまざまな場所で排泄してしまう可能性があります。
一度排泄をした場所を犬はトイレと思ってしまうことが少なくないので、トイレトレーニングは自宅に迎え入れてから早いうちに行うとよいでしょう。
しつけ教室で行われるトイレ指導は、オンラインと訪問とお預かりの3種類があります。
トイレの経験がないドーベルマンに対して、効果的にトレーニングを行うポイントはサークルです。
サークルのなかにシートを敷き詰めてトレーニングを開始し、ある程度覚えたらサークルを外していきます。
大型犬はシートをずらしてしまうことが少なくないので、トレーを活用して固定するように工夫しましょう。
トイレトレーニングは主に以下のような流れです。
- タイミングを見ながらサークルに入れる
- 排泄するまで待つ
- 排泄し始めたらワン・ツー・ワン・ツーなどコマンドの声をかける
- できたらたくさん褒める
- トイレを覚えたらサークルのドアを外しておく
- 自らトイレに行けるようになったらサークルを外す
サークルに入れるタイミングは、ハウスから出した直後や食後15~30分、寝起きや遊びの前後などがあげられます。
吠え癖や噛み癖
2つ目は吠え癖や噛み癖です。犬は人間のように言葉が話せない分、吠えて気持ちを伝えようとしたり、噛んで欲求を発散したりする習性があります。
まず吠える行為には基本的に理由が存在するので、その理由に合わせて対応していきます。
何かを要求しているときは、吠えてもあえて無視をして、吠えたら要求が通るという経験が増えないように関わることがポイントです。
ある程度落ち着いたら要求しているものを与えて、吠える以外の方法で要求する経験を積ませることが大切です。
警戒吠えや興奮吠えは、ほかのものに気がそれるように工夫をしたり、吠えるそのものの対象を変えさせたりします。
ストレス吠えに対しては散歩をする時間をとる、不安吠えは留守番をするトレーニングをすることが効果的です。
噛み癖はストレスやお口のなかの違和感などから生じます。
トレーニングとしては噛む衝動を満たすために噛み応えのあるものを提供したり、噛んでほしくないものを噛んだときにトレーナーがいなくなったりするなど、犬にとって望ましくない結果が生じるなどの経験を積ませたりすることがあげられます。
留守番
3つ目は留守番です。留守番をさせるには安心できる空間をつくることが大切になります。そのために必要なのはハウストレーニングです。
しつけ教室ではハウスで過ごすと安心できるということが学べるように、ご飯やトイレ、遊ぶとき以外の1日のほとんどをハウスで過ごすようにします。
子犬のうちから広い空間でフリーに過ごすことは、トイレの習慣をつけるためにも、あまりよいとはいえません。
はじめのうちは寂しさから吠えることも少なくありませんが、吠えたり鳴いたりすれば外に出られるという勘違いを生じさせないためにも、そのときは徹底して無視をします。
また、好みのお菓子やおもちゃがあればハウスのなかに入れて、リラックスできる環境を作ってしつけを行います。
ドーベルマンは固い床に寝ると床ずれや肘に水が溜まる要因になるので、予防のためにタオルやブランケットを入れておくことがポイントです。
制止や呼び戻し
4つ目は制止や呼び戻しです。制止を教える適切な時期は子犬を迎えて2~3週間になります。理由としては、迎えてすぐに座る、その後に伏せを教えることが主流だからです。
制止や呼び戻しのトレーニングのポイントは以下のとおりです。
- しつけの時間は空腹時
- できなくても怒らない
- 飽きるまでやらない
- できたら褒める
- 最後はできるタイミングで成功体験を積む
呼び戻しは短い距離からはじめ、徐々に長くしてしつけを行っていきます。
散歩
5つ目は散歩です。散歩で大切なのはリードウォークです。リードウォークのトレーニングは小さいことの積み重ねになります。
大切なのは、まず短い距離からはじめて徐々に距離を長くしていくことです。リードウォークの教え方は以下のようになっています。
- 座らせた後首輪とリードをつなげる
- ドアを開けたときに飛び出そうとしたら扉を閉める
- 落ち着いて待てたらドアを開けて出てよいことを伝える
- ドアの前で待てたら飼い主が先に玄関を出る
- 歩くときは犬の行動に逆らうなどさまざまな歩き方をする
飼い主の自由気ままな歩き方についていくことを学び、それができたら横断歩道の前で止まることを伝えます。
それぞれの段階で上手にできた場合、こまめに褒めて、ご褒美をあげることが大切です。
ドーベルマンのしつけ教室選びのポイント
ドーベルマンのしつけ教室選びのポイントは4つです。
- しつけ教室の方針
- トレーナーの指導力と資格
- 飼い主へ方法を伝えるかの有無
- トレーニング内容
ここではそれぞれのポイントについて詳しく紹介していきます。
しつけ教室の方針
まず1つ目はしつけ教室の方針です。方針は教室によって異なり、その方針が合うかどうかも大事なポイントとなります。
ドーベルマンをしつけ教室に通わせるのであれば、褒めて伸ばすトレーニング方法を方針としている場所がおすすめです。
通う子犬たちは新しい環境というストレスに慣れるまで耐える必要があります。そのため、少しでも学習方針がポジティブな内容で、ストレスや負担が少ない方がよいでしょう。
トレーナーの指導力と資格
2つ目はトレーナーの指導力と資格です。しつけ教室を選ぶ際に、トレーナーの経歴や資格を確認しておくとよいでしょう。
その内容が自身が相談したい悩みに合っているかどうかを見極めることが重要です。解決したい悩みと合わない場合、いつまでも解決できません。
あまり合っていない場合は、ほかの施設のトレーナーの経歴も確認しておくとよいでしょう。
資格を持っているトレーナーなら、より的確なしつけを受けることができます。犬の性格に合わせて指導してくれることもあるため、安心感を持って預けられるでしょう。
飼い主へ方法を伝えるかの有無
3つ目は飼い主へ方法を伝えるかの有無です。せっかくしつけ教室に通わせても、飼い主が方法を知らないままだと、ドーベルマンはトレーナーのいうことしか聞かなくなってしまう可能性があります。
何かトラブルが発生したときに、毎回しつけ教室に通わなければならなくなったり、家のなかで飼い主が対処できないようなことが起きたりする可能性があるので注意が必要になります。
ドーベルマンと生活するのは飼い主なので、しっかり飼い主にトレーニング方法を伝える方針のしつけ教室がおすすめです。
トレーニング内容
4つ目はトレーニング内容です。しつけ教室によって、トレーニング方法が変わることが少なくありません。
自宅で自分自身ができるかどうか、犬に合っているかどうかを考えて、合う内容のトレーニングを行っているところを選ぶとよいでしょう。
ドーベルマンのしつけのポイント
ドーベルマンのしつけのポイントは大きく分けて4つです。
- 性格を理解する
- ほめて伸ばし厳しく叱らない
- 指示どおりにしたらよいことが起こると思わせる
- トレーニング時間は短く毎日行う
トイレや散歩、ハウスなどさまざまな内容のしつけがありますが、どれも関わり方の基礎を理解したうえで行うことが大切です。
ここからはそれぞれのポイントについて詳しく紹介していきます。
性格を理解する
1つ目のポイントは、性格を理解することです。ドーベルマンとひとくくりにいっても、3頭いたら3通りの性格や個性があります。
外交的な子もいれば、内向的な子もいて、好奇心旺盛な子もいれば慎重派な子もいます。内向的な子に、活発に動くように求めてもストレスを与えるだけです。外向的な子にジッとするように求めるのも難しいでしょう。
性格は急に変えようと思ってもすぐには変えられないので、まずはその子の性格に合ったトレーニングや指導方針でしつけを行うとよいでしょう。
ほめて伸ばし厳しく叱らない
2つ目のポイントは、ほめて伸ばし厳しく叱らないことです。ドーベルマンを含め犬は言葉がわからないので、正解と伝えられたところで何を言われているのか理解できません。
つまり正解を伝えるには、犬にとってうれしい体験を起こすことで、正解をわかってもらう必要があります。
悪い行動は無視する、気を逸らせるなどの対応を取り、よい行動にはご褒美をあげるというようにメリハリをつけるとよいでしょう。
指示どおりにしたらよいことが起こると思わせる
3つ目のポイントは、指示どおりにしたらよいことが起こると思わせることです。犬には大きく分けて2つの習性があります。
- 自分の行動でうれしいことが起こるとその行動を繰り返すようになる
- 自分の行動で嫌なことが起こるとその行動が減る
犬にとってのうれしいはどのようなことかを考えながらしつけを行うと、望ましい行動を増やせる可能性が高くなります。
トレーニング時間は短く毎日行う
4つ目のポイントは、トレーニング時間は短く毎日行うことです。犬が集中できるのは約5分、子犬は約3分です。
長いトレーニングは、集中力が途中で切れてしまうため効果が薄れてしまいます。犬は繰り返し経験することで、行動が習慣化する傾向にあります。
そのため、トレーニングは毎日コツコツ行うことが大切です。継続をすると犬はなぜこの行動をしているのか、意味を理解します。
犬が集中できる短い時間で、継続的に毎日行うことが大切です。
まとめ
今回はドーベルマンのしつけ教室についてご紹介しました。ドーベルマンのしつけは、その子の個性や特性を理解して関わることが大切です。
しつけはできる限り幼い時期から開始するのが望ましいです。生後3~12週がおすすめされていますが、その時期を過ぎたとしてもできるだけ早めの時期から開始するとよいでしょう。
自分でしつけをするのが難しいと感じる方は、しつけ教室を利用することがおすすめです。
悩みに合った内容のトレーニングをしているか、トレーナーと教室の指導方針、トレーニング方法を飼い主に伝えるかなどさまざまな内容を検討して決めるとよいでしょう。
しつけを行い、好ましい行動を増やしてドーベルマンと飼い主との信頼関係を築いていき、お互いが安心して過ごせる日々を構築していくことが大切です。