トリミングは、伸びた爪や毛をきれいに整える役割があるほか、健康管理や病気予防としても重要な役割を担っています。
しかし、なかにはトリミングを嫌がる犬もおり、「大人しく施術を受けてくれないかな」と困っている飼い主もいるのではないでしょうか。
もちろん、飼い主自身でトリミングすることもできますが、プロの視点で皮膚の状態を確認することで病気を未然に防ぐことができます。
飼い主にとってはトリミングを受けてほしいという気持ちがあるにも関わらず、犬がトリミングを嫌うのには、何か理由があるのでしょうか。
この記事では、犬がトリミングを嫌がる理由や苦手な場合の対処法、注意点などについて解説します。
犬がトリミングを嫌がる理由

犬がトリミングを嫌がると、わがままな性格や自由な性格が原因なのではないかと考える飼い主もいるでしょう。
しかし、トリミングを嫌うのは、性格ではありません。トリミングを嫌うのは、何かしらの理由が隠されています。
ここでは、犬がトリミングを嫌がる理由について具体的に見ていきましょう。
体を触られるのが苦手
飼い主以外から触られる経験が少なかったり、犬にとってデリケートな部分を触られ慣れていなかったりすると、トリミングを嫌がる原因になります。
犬が嫌がる部分は、肉球や耳の中をはじめ、鼻周りやお尻周りなどです。
デリケートな部分を知らないトリマーに触られるのは、犬にとって怖いことであり、警戒するのは当たり前です。
無理に施術を進めると、大きなストレスとなることもあるため、犬の様子を確認しながら施術を検討しましょう。
音や振動が怖い
トリミングサロンでは、ドライヤーやはさみの音など、普段の生活では耳にしない音や振動を感じます。
慣れていない音や振動に驚いて、サロンは怖い場所と認識してしまうことが、トリミングを嫌がる原因です。
特に、お顔周りのカットや爪切りは嫌がる様子が見られるでしょう。
ただでさえ、慣れない環境で慣れないトリマーに施術されているのに、大きな音や振動が加わると大きな恐怖心を抱いてしまいます。
短時間で終わる施術に変更したり、普段から大きな音や振動にも慣れさせたりすることが大切です。
過去にトラウマがある
過去のトラウマもトリミング嫌いの原因の一つです。
トリミングを受けた際に、痛い思いや怖い思いをすると、トリミングに対して恐怖心を抱いてしまうことも少なくありません。
爪切りで出血したり、バリカンに毛玉が引っかかって痛かったり、怒鳴られたりなどの経験はトラウマになりやすいできごとです。
一度トラウマを経験すると、ほかのサロンでもトリミングは怖いものと感じて、拒否するようになってしまうでしょう。
経験不足による恐怖
子犬の頃に、トリミングの経験がないと、何をされるのかわからないという強い恐怖心を抱きます。
初めての場所や初めてのトリマー、初めての施術のように初めてだらけの環境は、人間と同じように緊張します。
特に、生後3〜4ヶ月の社会に慣れるための社会化期にトリミング経験が少ないと、初めてのことに過剰に反応しやすくなるでしょう。
トリミングを嫌がったり怖がったりするのは、初めてのことに緊張しているからです。
トリミング嫌いを克服するための対処法

トリミング嫌いには、トラウマや経験不足など、何かしらの理由があります。
理由がわからないまま無理やり施術を受けさせてしまうと、大きなストレスを抱えてしまい、ときには体調を崩してしまうこともあるでしょう。
トリミングが原因で体調を崩すことのないよう、対策を講じることが大切です。
毎日できるトレーニングを取り入れて、トリミング嫌いを克服しましょう。
体を触られる練習から始める
体を触られることに慣れていない場合は、少しずつトレーニングしましょう。
トリミングで触られやすい足先や鼻周り、お尻周りなどを、過剰反応しない程度に慣れさせておくと落ち着いてトリミングを受けられます。
デリケートな部分に慣れる手順は以下のとおりです。
- 普段ふれている背中やお腹を撫でる
- 落ち着いたらデリケート部分に少しふれる
- 少しふれたら褒めておやつをあげる
毎日繰り返し行い、慣れてきたら数秒増やすなど、触られる時間を伸ばしていくことが大切です。
また、飼い主以外の知らない方とふれ合う機会も増やしましょう。
犬と散歩をしている方と会話をしたり、ドッグランで飼い主同士で話したりして、人慣れする機会も増やすことが大切です。
初めは、飼い主と知らない方が会話をすることに慣れさせてから、触られることに慣れていきましょう。
知らない方に触られることに慣れると、トリミングの際も落ち着いて施術を受けられるでしょう。
道具の音や振動に慣れさせる

トリミングでは、はさみやバリカン、ドライヤーなど大きい音や振動がある道具を多く使います。
普段使わない道具に驚いて、トリミングを嫌がってしまうこともあるでしょう。
トリミングの際に驚かないように、普段から慣れさせておくことが大切です。
- トリミング道具を犬の目に入る位置に置く
- 匂いを嗅いだりふれたりして慣れさせる
- 慣れてきたら道具で体に触る
- できたら褒めておやつをあげる
自宅でできる範囲で慣れさせておくことで、トリミングサロンで道具を見ても見たことあるものだと安心感を覚えることでしょう。
ケアを短時間で終わらせる
始めからトリミングサロンに長時間預けると、犬にとって大きなストレスとなり、怖い場所というイメージを持ってしまうことがあります。
まずは、トリミングサロンに慣れるためにも、短時間でできるメニューから始めてみましょう。
爪切りであれば、5分程度で終わるので、トリミングサロンに慣れるためにもおすすめの施術です。
慣れてきたら、足裏のバリカンをプラスしたりシャンプーをしたりと、少しずつ施術内容をプラスしていきましょう。
犬の様子を観察し、ストレスを感じない程度でトリミングサロンを利用することが大切です。
トリミングに慣れさせる際の注意点

トリミングに慣れさせるには、時間をかけることが大切です。
生後3〜4ヶ月の子犬の頃は、周囲への警戒心が低い社会化期です。この時期は、いろいろなものに興味を持ち、積極的にふれていきます。
恐怖心よりも興味の方が強いため、この時期にトリミングサロンで施術を受けれていれば、成犬になっても落ち着いて施術を受けられるでしょう。
しかし、成犬になってから初めてトリミングを行うと、どうしても慣れるまでに時間がかかってしまいます。
成犬がトリミングに慣れるには、毎日苦手なことに挑戦することが大切です。
毎日コツコツ繰り返すことで慣れやすくなり、トリミングサロンでも落ち着いて過ごせるようになるでしょう。
また、トレーニングを行った際は、しっかりと褒めておやつを与えることも忘れないようにしましょう。
トリミング中のストレスを軽減させるコツ

トリミングに慣れていないと、施術中はストレスを感じやすいでしょう。
施術中はじっとしていなければいけなかったり、慣れない環境で慣れない施術を受けたりするなど、ストレスの原因になることは少なくありません。
トリミング施術中のストレスを少しでも軽減するためにも、飼い主にはどのようなことができるのでしょうか。
ここでは、トリミング中のストレスを少しでも軽減させ、リラックスして施術を受けられる方法を見ていきましょう。
トリミング前に散歩や遊びでリラックスさせておく
犬にとって、散歩や遊びはストレス発散になるだけでなく、気持ちが落ち着く行為でもあります。
トリミングサロンに行く前に軽めの散歩を取り入れましょう。
天候不良などで散歩に行けない場合は、自宅でボール遊びや引っ張り合いなどで、軽い遊びを行いましょう。
トリミングサロン前にエネルギーを発散させておくことは、不要な緊張をほどいたり、施術中に落ち着いて過ごしたりしやすくなります。
トリミングの施術前は、軽めの散歩や遊びを取り入れましょう。
おやつを活用する

おやつを活用することも、トリミング中のストレスを軽減させる一つの手段です。
トリミング中に落ち着いて過ごせている場合には、たくさん褒めて好きなおやつを与えましょう。
ただ、おやつを与えるタイミングは、落ち着いているときのみと一貫性を持つことも心がけましょう。
一貫性を持つことで、大人しくしていればおやつをもらえると覚えてもらいやすくなります。
ただし、おやつの持ち込みはトリミングサロンによってルールが設けられているので、事前に確認することも忘れないようにしましょう。
信頼できるトリミングサロンを選ぶ
トリミング中のストレスを軽減させるためには、信頼できるトリミングサロン選びも大切です。
犬の様子をよく観察し、無理なく施術を進めてもらえるかを確認しましょう。
長時間の施術は犬に大きなストレスを与えてしまうため、施術スピードが早いことももちろん大切です。
トリミングサロン選びでは、犬がストレスを感じないような施術を受けられるかも重要なチェックポイントです。
犬に優しいトリミングサロンの選び方のポイント

トリミング嫌いの犬がトリミングを克服するためには、サロン選びも大切です。
犬のことを深く理解しようとしたり、飼い主とのコミュニケーションを大切にしたりする経験豊富なトリミングサロンを選ぶことで、少しずつ施術に慣れてくるでしょう。
また、犬のことを第一に考えて施術を進めるトリミングサロンであれば、飼い主も安心感を持って預けられるでしょう。
ここでは、トリミングサロンの選び方を紹介します。
カウンセリングを丁寧に行っている
トリミングサロン選びでは、施術前のカウンセリングの丁寧さがポイントです。
カウンセリングでは、希望するメニューやスタイルを伝えます。
飼い主の要望を汲み取ることはもちろんですが、犬の性格や苦手なことなども細かく聞いてくれるトリミングサロンであれば、安心感を持って預けられます。
また、施術前に犬とふれ合う時間を確保しているかも確認しましょう。
事前にコミュニケーションを取ったり、緊張をほぐしてくれたりするサロンであれば、犬自身もリラックスできるでしょう。
サロン内の衛生管理が行き届いている

トリミングサロン内の衛生管理が行き届いているかもチェックしましょう。
床やトリミング台の掃除が行き届いているか、使う道具は清潔に保たれているか、清潔感を確認しましょう。
また、ケージの大きさや空調など犬が快適に過ごせるような環境が整っているか、も確認することが大切です。
もし、衛生管理が行き届いていないと、ノミやダニをもらってきてしまうこともあります。
そのため、トリミングサロン内の衛生管理の確認は、犬の健康を守るためにも大切です。
トリミング後の犬の様子を確認する
犬に優しいトリミングサロン選びでは、犬の様子を観察し、様子に合わせた対応をしてくれるかを確認しましょう。
トリミング後の犬の様子や、皮膚の状態などを確認してくれると、安心感を持って預けられるでしょう。
飼い主の希望に沿うだけでなく、トリミング後の犬がどのような様子かまでを確認し、飼い主に報告してくれるトリミングサロンを選ぶことも大切です。
施術中の様子やできたことなど、飼い主が気になる点を伝えてくれることで、飼い主も安心感を持って犬を預けられます。
また、気になることを気軽に聞ける関係性を築くことができるトリミングサロンであるかも確認しましょう。
トリミングを嫌がる犬のカットをお願いする際のポイント

トリミングが苦手な場合は、トリマーにトリミングが苦手ということを正直に伝えましょう。
トリミングサロンでは飼い主の要望にあわせて、全身のカットや爪切り、シャンプーや耳掃除などの施術を実施しています。
そのため、触られると過剰に反応する箇所や苦手な施術内容を詳しく伝えることが大切です。
トリマーに正直に伝えることで、苦手を避けた施術や短時間でできる施術などを提案してもらいやすくなります。
まずは、犬にもトリマーにも負担がかからないメニューからスタートしましょう。
また、過去に暴れたり噛んだりした経験がある場合は正直に伝えて、トリマーの安全性も確保することを忘れないようにしましょう。
もし、トリミングでトリマーやほかの犬にケガを負わせてしまった過去がある場合は、トリミングが苦手な子を受け入れているトリミングサロンを選ぶことも大切です。
トリミングを嫌がる犬に施術をする場合は、飼い主が正直に情報を伝えて、トリマーと協力体制を組むようにしましょう。
まとめ

犬がトリミングを嫌がる理由には、体に触られる恐怖心や慣れない場所への不安感、過去のトラウマなどがあります。
トリミング嫌いを克服するには、トリミングを嫌がる原因を見つけ、対処法を知ることが大切です。
克服する際は、犬のペースにあわせて毎日トレーニングを繰り返しましょう。
毎日少しずつトレーニングをすることで、徐々にトリミングサロンでも落ち着いて施術できるようになるでしょう。
焦らず、犬と飼い主のペースでコツコツ取り組むことが克服へとつながります。
参考文献
