被毛が伸びてくると、トリミングに行きたいと感じる飼い主も少なくないでしょう。
トリミングは、見た目を整えるだけでなく、健康を維持するためにも大切な役割を担っています。
例えば、伸びた被毛を整えることで皮膚トラブルを予防したり爪切りをすることで転倒や巻き爪を予防したりと、犬の健康を保つ効果があります。
一方で、トリミングは犬にとって大きな負担となりやすく、過度なストレスを与えてしまうリスクがあるのも事実です。
トリミングは、慣れない場所で見知らぬ人間にデリケートな部分を触られる行為です。そのため、犬が恐怖心や不安感を抱き、ストレスから体調不良を引き起こすことも少なくありません。
また、老犬や持病を持っている犬にとっては、症状が悪化することもあるでしょう。
この記事では、犬が病気のときにトリミングしてよいか、避けるべき症状や自宅でのケアについて紹介します。
犬が病気のときにトリミングをしてもよいかの判断基準

犬は、言葉で病気の症状や体調不良を訴えることはできません。そのため、飼い主がいつもと違う様子や異変に気がつく必要があります。
普段から犬の様子をよく観察することで、いつもの様子との違いにいち早く気がつくことができるでしょう。
ここでは、犬が病気のときでもトリミングを受けられるのかの判断基準について見ていきましょう。
体調が安定している場合に検討できるケース
老犬や持病がある犬の場合は、体調が安定しているときにトリミングを行いましょう。
体調が安定していると、トリミングの際にかかるストレスが過度になることないため、安心して施術を受けられるでしょう。
体調が安定しているサインとしては、食欲や元気があること・表情の明るいこと・散歩に行きたがること・排便の硬さがほどよく健康的であることなどが挙げられます。
また、持病の薬を服用している場合は、数日間発熱や持病の発作などの症状が出ていないことが、安定しているサインです。
ただ、体調が安定しているときでもトリミングの際には体調を崩してしまうこともあるため、施術時間を短くしたり施術を数日にわけたりして負担が大きくならないようにしましょう。
動物病院に通っている場合は、獣医師から許可をもらってから施術を受けることも大切です。
トリミングを控えたほうがよい状態

犬が発熱や咳、持病の症状が出ている場合には、トリミングを避けたほうがよいでしょう。
体調不良のサインとしては、好きなご飯に興味を示さずぐったりしている・散歩に行きたがらない、便が緩いなどが挙げられます。普段よりも元気がなさそうな場合は体調が優れないサインです。
持病がある場合には、症状が現れたり悪化したりと、体調が優れない様子が見られます。
犬は言葉で状態を伝えることはできないため、普段の様子を観察しておき、いつもと違う変化や体調が悪そうな様子が見られたらトリミングは別日に変更しましょう。
トリミングは無理に行うと、ストレスの影響で体調を大きく崩してしまうことも少なくありません。そのため、犬の体調や様子を考慮してトリミングを行うことが大切です。
トリミングを避けたほうがよい主な症状や病気

数日間、発熱などの症状がなく体調が安定している場合は、トリミングを受けても問題ないケースが多いでしょう。
反対に、元気がなかったり食欲がなかったりする場合は、体調不良やどこかに痛みがある可能性があるためトリミングは避けるのが賢明です。
では、具体的にどのような症状が見られたときにトリミングを避ければよいのでしょうか。ここでは、トリミングを避けるべき症状について確認していきます。
発熱や食欲不振などの全身症状
犬にとって、トリミングは大きなストレスとなります。元気なときでさえ、ストレスを感じやすい施術のため、発熱や食欲不振などの全身症状がある場合には避けるのが賢明でしょう。
トリミングは、慣れない場所で見知らぬ人間にデリケートな部分を触られることが多く、犬にとって恐怖心や不安感を抱きやすい行為です。
恐怖心や不安感から、精神的にも身体的にも疲れてしまうことも少なくありません。
体調不良のときにトリミングを行うと、トリミングのストレスにより症状が悪化したり、体力や免疫力が低下したりすることが考えられます。
そのため、トリミングは元気なときや体調が安定しているときに行いましょう。
皮膚トラブルや感染症が疑われる場合

皮膚病や感染症の疑いがある場合は、動物病院で明確な診断が出るまでトリミングは避けたほうがよいでしょう。
皮膚病のなかには、人間や周囲の犬に感染するものもあります。例えば、皮膚糸状菌症や疥癬、ノミによる皮膚トラブルなどは周囲に感染するリスクが高い病気です。
皮膚病や感染症の疑いがある場合は、周囲に感染を広げてしまう可能性を考え、診断が出るまではトリミングは避けるようにしましょう。
また、皮膚トラブルがある際にトリミングを受けると、症状を悪化させてしまう可能性もあります。
シャワーやドライヤーでは、皮膚が乾燥したり強いかゆみが生じたりしてしまいます。
かゆみが強くなり、掻いてしまうことで皮膚トラブルが悪化する可能性もあるため、トリミングは避けるとよいでしょう。
心臓病や呼吸器疾患など負担がかかりやすい病気
心臓病や呼吸器疾患など、負担がかかりやすい病気を持っている場合も、トリミングは避けたほうがよいでしょう。
特にシャンプーやドライヤーは心身への負担が大きく、心臓発作や呼吸困難などの症状を発症する可能性があります。
シャンプーやドライヤーの施術では、シャワーの水温やドライヤーによる急激な温度変化で血圧が上がったり、シャワーの湿度で呼吸が苦しくなったりする危険性が考えられます。
トリミングは避けるか、シャワーの回数を減らすなどを検討し、負担が少なくなる方法を考えましょう。
また、動物病院に併設しているトリミングサロンを利用し、症状が現れても対処できる環境で施術を受けるようにしましょう。
病気の犬にトリミングを行うリスク

トリミングは、皮膚の健康や体調の管理、犬自身の衛生を維持するためにも大切なお手入れです。しかし、トリミングは大きなストレスを感じやすいものでもあります。
トリミングは、長時間同じ体勢で施術を受けることになります。これにより、緊張感や不安感・恐怖感などを抱き、心身ともに大きなストレスがかかってしまうでしょう。
トリミングのストレスにより、体調不良を引き起こしたり、症状が悪化したりする可能性もあります。ストレスや負担の少ない施術を検討したり、施術内容を数日に分けたりしましょう。
また、皮膚トラブルや感染症の場合は、周囲への感染リスクを考慮してトリミングの利用を控えるのが賢明といえるでしょう。
安全性に配慮したトリミングのポイント

体調不良の際にトリミングを実施すると、元気なときより大きな負担となり、体調や症状が悪化するリスクが考えられます。
そのため、老犬や持病を持っている犬の場合は、動物病院と連携していたり、事前に情報共有ができたりするトリミングサロンを選ぶことが大切です。
犬だけでなく、飼い主も安心感を持って施術を任せられるサロンを選ぶ際のポイントについて解説します。
事前に動物病院へ相談する
持病がある犬がトリミングを行う際は、事前に動物病院に相談しましょう。
トリミングは犬にとって大きなストレスとなることも少なくありません。そのため、動物病院でトリミングサロンに行ってもよい体調か、受けられる施術内容などを確認しておきましょう。
また、一般的なトリミングサロンの利用が難しい場合は、動物病院に併設しているトリミングサロンを利用するのもよいでしょう。
獣医師が体調を確認しながら対応するため、持病や病気がある犬でも安心して利用できます。
トリミングサロンへの情報共有

トリミングサロンで施術を受ける前に、動物病院に通っていることや持病のことなど、犬の健康状態について情報共有しておくことも大切です。
健康状態を正直に伝えることで、トリマーも犬の状態に合わせた施術を提供することができます。
犬の体調や健康状態の情報共有は、犬の心身にかかる負担を軽減するためにも重要です。トリマーから施術内容の提案を受けられることもあるため、動物病院での相談内容とあわせて施術内容を決定しましょう。
トリミング当日の体調を確認する
トリミング当日に体調が安定しているかを確認しましょう。前日まで元気でも、当日は体調が変わっていることも少なくありません。
負担が少ない状態でトリミングを受けるためにも、当日の体調確認は重要です。
確認事項としては、食欲や元気はあるか、呼吸は荒くないか、便や尿に異常はないかなどです。
もし、いつもよりも元気がなかったり運動後ではないのに呼吸が荒かったりするなどの異変がある際には、体調を考慮してトリミングを延期しましょう。
定期的にブラッシングをしておく

トリミングサロンや動物病院でのトリミングのほかに、自宅でも定期的にブラッシングを行いましょう。
ブラッシングには、被毛の絡まりや毛玉を取り除くほか、皮膚病や感染症のリスクを予防する効果があります。
また、定期的にブラッシングをしておくことでシャンプーが浸透しやすくなり、トリミングの時間を短縮することもできます。
ブラッシングによるお手入れは、毎日することが理想的ですが、週に1回丁寧に行うだけでも十分効果的です。
トリミング後に体の状態をチェックする
トリミング後の体の状態のチェックも大切です。
皮膚の状態や元気の有無など、犬の様子に異変がないかを確認します。
具体的には、皮膚に赤みやかゆみ、目の充血や食欲不振など体調に変化がないかもチェックしましょう。万が一、異変が見られた場合には、トリミングサロンに問い合わせて異変の原因や対応について確認することも大切です。
体調を崩したり症状が悪化したりした場合には、速やかに動物病院を受診し、診察してもらいましょう。
トリミングが難しいときの代替ケア

病気や持病がある犬でも、動物病院への相談やトリマーとの情報共有を行うことで、トリミングを受けられる場合があります。
しかし、なかには体調不良が続いていたり、持病がなかなか落ち着かなかったりする場合もあるでしょう。その場合は、トリミングサロンでの施術は延期しましょう。
その代わり、自宅でできるケアを実施することで、犬の健康維持につながります。
ここでは、トリミングサロンの利用が難しい場合の代替ケアについて紹介します。
部分的なケアや自宅ケア

トリミングサロンでの施術が難しい場合には、部分的なケアや自宅でのケアを大切にしましょう。
定期的に爪切りや耳掃除、肛門絞り、足裏のトリミングなどを行うことで体を清潔に保てます。
爪切りは、爪の中の血管や神経をカットしないよう注意しながら行い、耳掃除はイヤークリーナーを使って耳の中を拭き取るように掃除します。
肛門絞りは、分泌物を排出することで肛門に炎症が起こらないように行います。月に1回程度を目安に実施するのが一般的ですが、分泌物の量が多い場合は、1週間に1回のペースで対処するとよいでしょう。
足裏のトリミングは、すべって転倒することや、蒸れによる皮膚トラブルを予防するために行います。専用のバリカンで、肉球の間の被毛をカットしましょう。
また、毎日のお手入れとしてはブラッシングや歯磨きがあります。毎日お手入れをすることで、犬の健康状態を維持しやすくなるでしょう。
部分的なケアや毎日のお手入れは、専門知識がないと難しそうに感じるでしょう。自分でケアをすることが不安な場合は、動物病院でケアの方法を教えてもらうこともできます。
トリミングサロンが利用できないときに備えて、自宅でのケア方法を覚えておくとよいでしょう。
体調回復後のトリミング再開の目安
犬の体調が安定し、再びトリミングサロンを利用できる状態になったら、まずは動物病院に相談しましょう。
特に、老犬や持病を持っている犬の場合は一見体調が回復したように見えても、実際はまだ回復していないことも少なくありません。
そのため、動物病院で診察してもらい、トリミングをしても問題ないと判断されてから施術を受けましょう。獣医師からトリミング再開の許可をもらえれば、犬も飼い主も安心感を持って施術を受けられるでしょう。
まとめ

老犬や持病を持っていると、トリミングサロンを利用できなかったり、利用を躊躇したりする飼い主も少なくないでしょう。しかし、トリミングは犬の健康を維持するためにも、必要不可欠な施術です。
トリミング方法を動物病院から教えてもらったり、自分で覚えたりすることで、自宅でケアをすることもできます。不安な方は動物病院に併設しているトリミングサロンを利用しましょう。
獣医師がいる場所でのトリミングであれば、万が一何かあっても、すぐに対応してもらえるため安心して任せられるでしょう。
また、トリマーや獣医師と相談を重ね、犬に合う適切な施術方法を見つけていくことも大切です。
愛犬が健康的な日々を過ごせるよう、日々のお手入れや体調管理を欠かさないようにしましょう。
参考文献
