動物病院の下痢の治療とは?ペットが下痢をした際の動物病院に行くべき症状と対処法を解説

動物病院の下痢の治療とは?ペットが下痢をした際の動物病院に行くべき症状と対処法を解説

ペットが下痢をすると、飼い主さんは「何か悪いものを食べたのかな?」「病気かもしれない」と心配になるものです。この記事では、ペットが下痢をする主な原因と、その対処法について詳しく解説します。大切な家族の健康を守るために、正しい知識を身につけましょう。

ペットが下痢をする主な原因

ペットが下痢をする主な原因

犬や猫は人間と違い、体調の変化を言葉で伝えることができません。そのため飼い主さんがペットの様子を注意深く観察し、適切な対応をすることが大切です。下痢は一時的なものから重篤な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。

ここでは、ペットが下痢をする主な原因を解説します。

消化不良

消化不良による下痢は、ペットの食事内容や食べ方が関係していることが多く、適切な対応をすれば改善する可能性があります。犬や猫の消化器官は人間よりも食べ物に敏感です。特に、突然フードを変えたり高脂肪のフードを与えた場合に消化不良を起こしやすくなります。また、一度に大量の食べ物を食べた場合も、消化が追いつかず下痢の原因となりやすいので気をつけましょう。フードはなるべく消化のよいものを1日数回に分けて与え、フードを変更するときは1週間ほどかけて徐々に以降するように心がけることが肝心です。そして生肉や人用のご飯を与えた際にも、消化不良に陥り下痢の原因になります。お肉を与える際は、必ず火を通して少量にとどめ、人のご飯は絶対に与えないように気をつけましょう。

ストレス

ペットは繊細な動物のため、環境の変化や精神的なストレスが原因で下痢を引き起こすことがあります。特に、新しい環境や生活リズムの変化には敏感です。引っ越しや飼い主さんの長期不在、ペットホテルでの宿泊、新しい家族が増えたときなど、さまざまなことがストレスになり下痢が発生しやすくなります。ストレスが原因の下痢は、生活環境の改善で落ち着くことが多いため、日頃から安心できるスペースを用意し、ストレスをできる限り抑える工夫をしましょう。ストレスの症状が強い場合は、獣医師と相談したうえで、ストレスを軽減するサプリメントや内服薬を使用することで改善する場合もあります。

感染症や寄生虫による影響

主にジアルジア・コクシジウム・回虫などの寄生虫や、サルモネラ・大腸菌などの細菌感染が原因で下痢を引き起こすことがあります。特に免疫力の低い子犬や子猫、高齢のペットは感染しやすく重症化しやすいため、注意が必要です。感染症や寄生虫による下痢は、駆虫薬の使用やワクチン接種で未然に防ぐことが可能なため、日頃からワクチン接種や寄生虫予防を徹底して、飼い主さんが意識して病気のリスクを減らすことが大切です。

持病や内臓疾患の可能性

長期的に下痢が続く場合、単純なストレスや消化不良とは違い、内臓疾患、腫瘍、ホルモン異常などの大きな疾患が関係している可能性があります。慢性疾患の場合は原因を見極めた上で、長期的な内服薬の処方、ときには手術が必要なこともあります。これらの病気は放置すると危険な状態になるため、自己判断せずに動物病院で細かい検査を受けることが大切です。

自宅でできる下痢の対処法

自宅でできる下痢の対処法

愛犬や愛猫が下痢をしてしまったときに、家族にできることはたくさんあります。正しく対処してあげると下痢が早く改善する場合もあるため、ぜひ試してみてください。

水分補給をしっかり行う

下痢が続くと脱水症状を起こしやすくなります。水を小まめに与え、飲みたがらない場合は水の代わりにスープやペット用の経口補水液を少量ずつ与えるなど、脱水を防ぐ工夫をしてみましょう。ペットフードをお湯でふやかして与えるのもおすすめです。

食事を一時的に控えて消化器を休ませる

軽度の下痢であれば、消化によい食事を与えるなど、胃腸を休めることで下痢が回復することがあります。ただし、長期間の絶食は病気を悪化させる場合もあるため注意してください。特に子犬や子猫、高齢のペットは低血糖になるリスクがあるため、絶食せずに消化のよい食事を少しずつ与えるようにしましょう。

消化のよい食事に切り替える

食べ物が原因の下痢の場合、消化器に配慮した療法食に変えることで胃腸への負担を軽減できます。特に、食物アレルギーや食事に関連した腸疾患の場合は、適切なフードを選ぶことで症状が大幅に改善する可能性があります。現在のフードが合っていないと感じる場合は、獣医師に相談してフードを変えてみるのがおすすめです。

安静にしてストレスを軽減する

ストレスの可能性が高い場合は、静かな環境を作り安心して過ごせるよう工夫が必要です。他の動物がいる場所や騒がしい場所への外出は避け、静かな場所で一定期間休ませてあげてください。自宅にいても窓やテレビの側などにベッドやケージがあると、騒音でストレスに感じることがあります。部屋のなかにストレスの原因となるものがないか、お子さんや同居の犬や猫との相性は悪くないか、注意して観察しましょう。

動物病院に行くべき下痢の症状

動物病院に行くべき下痢の症状

少しの下痢でも、実は命に関わる重大な病気のサインの場合もあるため、油断は禁物です。ここからは、すぐに動物病院に連れて行った方がいい下痢の特徴をご紹介します。

長時間または数日間続いている

下痢が24時間以上続く場合や、数週間にわたって頻繁に繰り返している場合は重大な病気の可能性が高くなります。一時的な消化不良による下痢であれば、数時間から1日程度で自然に回復することがほとんどです。しかし長引く場合は感染症や腸の炎症など重い疾患の可能性があります。特に思いあたることがないのに、下痢が長引いている場合はなるべく早めに動物病院を受診しましょう。

血便や黒い便が出ている

血便や黒色便は、胃や腸からの出血の可能性があります。赤い血が混じった便(鮮血便)は大腸や肛門付近の出血の際に見られ、黒い便(タール便)は胃や小腸などでの出血で見られます。特に気をつけるべき特徴は、出血量が多い場合や黒い便が出る場合です。重篤な病気と関連していることが少なくないので、早急に動物病院に連れていきましょう。

嘔吐や発熱などを伴う

下痢に加えて嘔吐や発熱がある場合は、急性感染症や体内での炎症の可能性があるため、緊急の受診が必要です。若齢の場合は細菌やウイルス、寄生虫感染症、そして高齢の子は腫瘍や内臓疾患で発熱や嘔吐が起こりやすい傾向があります。これらの症状は忘れずに獣医師に伝え、詳しい検査を受けることを推奨します。

元気や食欲がなく衰弱している

下痢と一緒に食欲不振や元気が低下している場合も、すぐに動物病院を受診しましょう。特に体重が減っていたりぐったりしている場合は、緊急度が高い可能性があります。いつもと違う様子が見られたら、迷わずに動物病院へ連れていくことが重要です。夜に症状が悪化した場合は最寄りの夜間救急センターを利用してください。

動物病院を受診する際の準備とポイント

動物病院を受診する際の準備とポイント

受診時には、獣医師にできるだけ詳しくペットの状態を伝えることが大切です。ペットは言葉が喋れないため、飼い主さんからの情報が何よりも重大な手がかりになります。動物病院に連れて行く前に、事前にまとめておきましょう。

下痢の頻度や状態をメモしておく

ひとくくりに下痢といっても、その状況はペットによってさまざまです。そのため、下痢の状態を詳しく伝えることが重要です。開始時間や頻度・便の色・形状・水分量から、嘔吐や食欲不振などの下痢以外の症状がないかも伝えてください。言葉で伝えることが難しい場合は、便の状態や愛犬の様子を写真や動画に残しておくと便利です。

便を持参する

新鮮な便をビニール袋や密閉容器に入れて持参すると、より正確な診断が可能になります。うんちは寄生虫や細菌、ウイルス感染の有無を調べるためにとても重要な材料になります。寄生虫や細菌感染の場合は人にも感染するリスクがあるので、触らないように気をつけてください。持参できない場合は、写真や動画を撮るのを忘れずに行いましょう。

食事や行動の変化を獣医師に伝える

最近食べたもの、新しいフードへの切り替え、誤食の可能性など、食生活の変化も診断に役立ちます。特にフードは成分表示がわかるように実物を持参したり写真に収めておくと便利です。また、家族間で愛犬や愛猫に何をどのくらい与えているのか共通で確認しておくことも重要です。過去に治療していた病気や飲んでいる薬があれば、治療歴がわかるものを持参するようにしてください。

動物病院の下痢の治療法

獣医師が診察と必要な検査を行い、下痢の原因を診断したうえで治療を行います。元気や食欲があり軽度の下痢であれば、整腸剤や下痢止めなどの内服薬の処方を行い数日安静に過ごします。生菌製剤の入ったサプリメントや、食事療法で様子を見る場合もあります。また、下痢が重度のときや、脱水が疑われる場合は、皮下点滴で水分と電解質を補給することもあります。内臓疾患や腫瘍など重度の病気が疑われる場合は、ご家族の同意のもと数日間の通院や入院が必要になることも考えられます。治療方法は多岐に渡りますが、獣医師と相談したうえで愛犬や愛猫にとって適切な治療を決めていくことが大切です。

ペットが下痢にならないようにできること

ペットが下痢にならないようにできること

ペットが下痢にならないように、日頃から家族で健康管理を心がけるようにしましょう。

ここでは、ペットが下痢にならないためにできることについて解説します。

食事管理

ペットの健康は、毎日の食事から作られます。食事の管理を適切に行うことで、下痢のリスクを大幅に減らすことができます。また、フードは低脂肪でタンパク質をしっかり取れる総合栄養食を与えるようにしましょう。体重に相当した正しい回数と容量を与え、おやつの量や種類が適切かどうかも、家族間で共有することが重要です。また、日頃から下痢や便秘をしやすい場合は、現在のフードとの相性が合っていない可能性があります。動物病院では、体質に合わせて成分が特別に配合された療法食を取り扱っています。獣医師に相談し、消化器に配慮したフードやアレルギー対応のフードを試してみることで、下痢が改善するかもしれません。

さらに、昨今では腸内環境を整える効果のあるサプリメントなども販売されているので、1度試してみることをおすすめします。急いでたくさん食べてしまう場合は、食べるのに時間のかかるフードトレイを試したり、食事回数を増やすなどの工夫をしてみてもよいでしょう。

ストレスの軽減

ストレスを減らすためには、安心できる環境を整えることが大切です。日頃から静かで落ち着いた場所に寝床を作り、安心して休める空間を提供しましょう。騒音が響く場所に寝床を置いたり、同居動物とベッドやトイレを共有している場合は、安心して使用できていない可能性があります。

また、部屋の温度やエアコンの風で体調を崩さないように、温度管理にも気をつけてください。適度な運動や遊びを毎日の生活に取り入れ、留守番の時間が長くなる場合はお気に入りのおもちゃや、飼い主さんの匂いのついた布を用意することで安心感を与える工夫も大切です。

猫の場合はキャットタワーやおもちゃを活用し、室内でも十分な運動ができる環境を整えてあげましょう。ホテルに預ける場合は事前に短時間の慣らし預けを行ったり、ペットシッターを利用することでストレスを軽減できます。

定期的な健康診断を受診する

年齢に関わらず、定期的な健康診断はとても大切です。普段元気に見えていても、実は気付かないうちに病気が隠れている場合は少なくありません。年に1~2回は健康診断を受け、必要に応じた検査を行うことで、消化器の異常を早期に見つけることができます。特に高齢の場合は病気のリスクが高いため、健康には特に注意が必要です。基本的なワクチン接種や寄生虫の予防も毎年忘れずに行いましょう。

まとめ

ペットの下痢は、軽度の消化不良から重篤な病気まで、さまざまな原因があります。日頃の食事管理はもちろん、ストレスのケアや定期的な健康診断を行うことで、下痢のリスクを減らすことができます。もしも長引く下痢や血便、嘔吐が見られた場合は、すぐに動物病院を受診することがとても大切です。ペットの下痢をしっかり予防して、快適な暮らしをサポートしてあげてくださいね。

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