うさぎの便は通常であればコロコロしていて掃除も簡単です。しかし、うさぎがお腹の不調をきたして下痢をするケースも少なくありません。大切なうさぎが下痢をすると、飼い主さんは何か重大な病気が潜んでいるのではないかと心配になってしまいますが、下痢の原因としてはどのようなものが考えられるのでしょうか。動物病院を受診する目安や家庭でできる予防のポイントも含めて、詳しく解説を加えます。
うさぎが下痢をする原因と動物病院を受診する目安

そもそも、うさぎはなぜ下痢をするのでしょうか。考えられる原因を押さえたうえで、動物病院を受診すべき目安などを知り、どのような対応を取ればよいのか理解を深めましょう。正しい知識があれば、万が一の際にも必要以上に慌てることがありません。
- うさぎが下痢をするとき、どのような原因が考えられますか?
- うさぎが下痢をするとき、考えられる原因は一つではありません。子ウサギに多いのは、寄生虫や細菌やウィルスが原因の感染性腸炎や毛玉が胃や腸に詰まる毛球症によるもの、歯が伸びすぎたり曲がったりする不正咬合によるもの、腸管うっ滞からクロストリジウムという菌が増え、その毒素によっておこる腸毒素血症によるもの、繊維不足による食餌性の下痢、ストレス性の下痢などが挙げられます。
- うさぎが元気そうであれば、下痢をしていても問題ないですか?
- うさぎが一見元気そうにしていても、下痢をしている以上は注意しなければなりません。食欲がない場合は、より重症である可能性が高く、脱水や栄養失調のリスクもあって危険です。自然界において捕食される立場であるうさぎには、体調が悪くても隠そうとする習性があります。そのため、深刻な状態に見えなくても、早めに動物病院を受診することが求められます。
- 下痢が何日続く場合、動物病院を受診すべきか教えてください
- うさぎが下痢をしているようであれば、可能な限り早めに動物病院を受診することが大前提です。特に、食欲がないといった下痢以外の症状が見られたら、早急に獣医師の判断を仰ぎましょう。脱水や栄養失調の状態に陥ると、重篤な場合は命に関わる恐れもあります。また、毛球症などの場合、手術によって取り除かなければならないこともあります。動物病院では原因や治療法について説明されるほか、必要に応じて入院治療も行われます。適切な対応が取られると、飼い主さんの不安も軽減されるでしょう。
動物病院を受診することの重要性
次に、動物病院を受診することの重要性についてまとめます。実際に動物病院へ行くことが決まったら、どのように準備を進めればよいかについても解説を加えるので、万が一のときに備えて参考にしてください。
- 下痢への対処が遅れると、どのようなリスクがありますか?
- うさぎの下痢が2~3日程続き、食事も取らない場合には、急激に体重が減って体力も低下します。さらに、水も取らないとなると、短期間で脱水症状が進行して命に関わるでしょう。特に体温も下がっているようであれば、すぐに動物病院を受診しないと致命的な結果を招く恐れがあります。下痢を放置すると命の危険があるということを念頭に置き、気になる症状が見られたら早急な対処を心がけてください。
- どのようなことを動物病院で伝えるべきか教えてください
- 動物病院に行ったら、下痢の頻度や状態について詳しく説明しましょう。色や形状などの詳細を伝えると、下痢の原因を究明する重要なヒントになります。下痢の情報のみならず、食事内容と量、体重の変化、活動量などについても共有してください。診断をスムーズにするため、さまざまな情報を正確に伝えることがポイントです。なお、病院へ行くまでの間にも、湯たんぽやタオルを使ってうさぎの身体を適度に温めることで、体温を保つように工夫しましょう。スポイトやシリンジで、ぬるま湯や電解質溶液を少しずつ与え、水分補給することも効果的です。獣医師の診断を受けるまで緊急のケアを行うことは、飼い主さんの大切な務めといえます。
- 下痢をしたら動物病院に持参すべきですか?
- 動物病院を受診する場合には、うさぎの下痢を必ず持参すべきです。下痢そのものが原因がわかるきっかけなり、適切な治療を受けることにつながります。
- 動物病院では、下痢に対してどのような治療を行いますか?
- 治療方法は原因によって異なります。例えば、寄生虫性であれば、駆虫薬を用います。また、細菌性であれば、抗生物質を使用します。毛球症で手術が必要な場合は開腹手術を行い、不正咬合であれば歯を切ることや痛み止めによる治療などを行います。また、胃腸のうっ滞を起こしているケースもあるので、胃腸運動機能改善薬や食欲増進剤を投与することもあります。原因療法に加えて、補液や下痢止め、痛み止め、強制給餌などの対症療法を施すこともあります。状況に応じてレントゲン撮影を行い、お腹のなかの異常を調べることもあるので、動物病院を探す際は、うさぎが入院できる設備が整っているかどうか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
うさぎの下痢対策

うさぎが下痢をしたら早急に動物病院を受診すべきですが、そもそも下痢の症状が見られなければ、それに越したことはありません。終わりに、うさぎの下痢を予防するために飼い主さんができることは何か、ポイントを押さえましょう。
- ストレスの軽減は下痢の対策になりますか?
- うさぎの下痢はストレスによっても引き起こされるため、ストレスの軽減は下痢の対策になり得ます。しかし、うさぎはもともと非捕食動物であることから、少しの変化にも敏感で、ストレスを感じやすい点が特徴です。うさぎのストレスを少しでも軽減するためには、室温や湿度はもちろん、物音などにも気を配り、清潔でリラックスできる飼育環境を整えてやることが欠かせません。なお、うさぎとほかの動物を一緒に飼育していると、そのことがストレスの原因になる恐れもあります。うさぎ以外の動物がいる場合には、部屋を分けるなどの工夫をしましょう。
- うさぎの便がどのような状態であれば、健康であると判断できますか?
- 健康なうさぎの便には、硬便と盲腸便という2種類があります。消化されなかった物質を排泄する硬便は丸くコロコロした形をしており、その大きさは均一です。繊維状の物体を含んでいるためフワッと軽く、においはほとんどありません。便の色は食事内容や水分量によって変わり、排泄当日には黒っぽい傾向が見られます。適度なサイズはうさぎ自身の大きさによって異なるので、一概にはいえません。一方で盲腸便と呼ばれる便も、健康なうさぎの便といえます。盲腸便はうさぎが食べるために排泄する、栄養を凝縮した便のことであり、目にする機会はそう多くないものの、食べ残しが落ちているケースがあります。こちらは通常よりもやわらかい便で、ブドウの房状になっていて、強いにおいを放ちます。一見すると下痢と間違えやすいのですが、心配はいりません。
- エサを工夫することは下痢予防につながるのか教えてください
- 適正な食事を与えることは、うさぎの下痢予防につながります。具体的には、チモシーなどのイネ科の良質な乾牧草を主体に、少量のペレット(できれば粗繊維20%以上のもの)を加えたエサを与えるとよいでしょう。野菜をエサにする場合には、新鮮なものを少量与えるように気を配ってください。
編集部まとめ
うさぎの下痢は放置していると命に関わる恐れもある症状です。一方で、適切な治療を受ければ早期の回復も見込めるため、様子を見すぎて重症化する前に、動物病院の受診を心がけましょう。うさぎに異変が起きた場合はすぐ気付けるように、飼い主さんが日頃から目を配っておくこともポイントです。予防という点では自宅でできる対策も少なくないため、今一度うさぎの飼育環境を見直してみるとよいでしょう。