動物病院での避妊・去勢手術|必要性・メリットやデメリット・流れを解説

動物病院での避妊・去勢手術|必要性・メリットやデメリット・流れを解説

「避妊・去勢手術は愛するペットにとって本当に必要なの?」と疑問に思ったことはありませんか。

避妊・去勢手術は、望まない妊娠を防ぐ目的だけでなく、ペットの健康を守るメリットもあります。例えば、メスは子宮や卵巣の病気、オスは精巣の病気を防げる可能性が高まります。

また、発情期のストレスが減り攻撃的な行動やマーキングが落ち着くことで、ペット自身はもちろん飼い主も穏やかに過ごせるようになるでしょう。

愛犬や愛猫にとって、どのような選択が望ましいのでしょうか。この記事では、避妊・去勢手術の必要性やメリット・デメリット、手術の流れをわかりやすく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、避妊・去勢手術を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

避妊・去勢手術とは

抱かれている猫のアップ

避妊・去勢手術とは、動物の生殖能力をなくす手術のことです。

  • 避妊手術:メスの動物の子宮や卵巣を摘出する手術
  • 去勢手術:オスの動物の精巣を摘出する手術

避妊・去勢手術は、望まない妊娠を防げるだけでなく、病気の予防やストレス軽減などさまざまな効果があります。ここではなぜ避妊・去勢手術が必要なのか詳しくみていきましょう。

動物病院での避妊・去勢手術の必要性

犬や猫をはじめとする動物は、本能的に子どもを作ろうとします。犬や猫の妊娠期間は短く、一度の妊娠で複数の赤ちゃんが生まれるため、増えるスピードも速いです。

特に猫は交尾の刺激により排卵し、ほぼ100%の確率で妊娠します。多頭飼いをしていない場合でも、ほかの猫と少しでも接触すれば妊娠する(もしくは妊娠させる)可能性があります。わずかな隙で子どもを宿すこともあるため、注意が必要です。

犬や猫が増えすぎると、適切な環境下でのお世話が難しくなることや、生まれた子犬や子猫すべての里親を見つけることも決して簡単ではありません。場合によっては、行き場を失った動物たちは、殺処分されてしまいます。

また避妊・去勢手術には病気の予防や問題行動の抑制効果もあり、メスの場合は乳腺や子宮の病気、オスの場合は精巣の病気を防ぐことができる可能性があります。

動物病院での避妊・去勢手術は、動物の健康を守るだけでなく、よりよい環境で暮らすためにもとても大切です。

避妊・去勢手術に適した時期

犬の赤ちゃん

避妊・去勢手術は、適切な時期に受けることで病気の予防につながります。しかし、日本には法的な規則がなく、動物病院によって推奨時期が異なっているのが現状です。

一般的には、生後6ヶ月頃を目安としており、これは初めての発情期を迎える前にあたります。

特にメスの場合、この時期の手術で乳腺腫瘍の発生率を大幅に下げられます。犬の乳腺腫瘍は約50%、猫では約90%が悪性とされるため、早めの手術が効果的です。

ただし、品種や体格、健康状態によって適切な時期は異なります。かかりつけの獣医師と相談し、適切なタイミングを決めましょう。

避妊手術のメリット・デメリット

おむつをつける獣医さん

避妊手術には健康面や行動面でのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。飼い主がそれぞれの特徴を理解し、納得したうえで手術を決めることが大切です。

メリット

避妊手術の大きなメリットは、病気の予防につながることです。メスの犬や猫は、年齢を重ねると乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの病気になるリスクが高まります。

しかし、避妊手術を受けることで、これらの病気の発生率を大きく下げることが可能です。特に子宮蓄膿症は命に関わる病気ですが、避妊手術により子宮を摘出することで、完全に防ぐことができます。

また、発情期のストレスを減らせるのもメリットの一つです。発情期になると落ち着きがなくなったり、独特の大きな声で鳴いたりすることがあり、これらの行動は家族だけでなく近所の方にも不快な思いをさせる可能性があります。

しかし、避妊手術を受けるとこうした変化はなくなり、普段どおりの生活を送りやすくなります。犬の場合は発情出血(生理)がなくなるため、飼い主にとってもお世話がしやすくなるでしょう。

さらに、飼い主のいない犬や猫を増やさないためにも、避妊手術は有効です。望まない妊娠を防ぐことで、すべての犬や猫が幸せに暮らせる環境を守ることにつながります。

デメリット

避妊手術にはデメリットもあります。まず、全身麻酔を使うため、身体への負担がゼロではありません。

健康な犬や猫であれば問題なく手術を終えられることがほとんどですが、麻酔のリスクが完全にないわけではないため、事前に健康チェックを受けることが大切です。

また、手術後は太りやすくなることがあります。これはホルモンバランスの変化によって代謝が落ちる一方で、食欲が増す傾向があるためです。そのため、これまでと同じ食事量では体重が増えてしまうことがあります。しかし、食事の管理や運動の工夫次第で、適切な体型を維持することは十分可能です。

意外と知られていないデメリットとして、災害時の同行避難が難しくなるケースがあります。同行避難とは災害時にペットを連れて避難することを指しますが、住んでいる地域によっては避妊手術を受けていない場合、繁殖の可能性があることを理由に受け入れを制限されることがあります。避難所のルールは自治体ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

去勢手術のメリット・デメリット

猫

去勢手術には、オス特有の病気を予防する効果や行動面での変化が期待できます。しかし、身体への負担や手術後の変化もあるため、メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで判断しましょう。

メリット

去勢手術の大きなメリットは、精巣腫瘍や前立腺などの病気を予防できることです。特に潜在精巣と呼ばれる病気(陰嚢内に精巣が下りてきていない状態)は精巣腫瘍の発生率が10倍に高まるともいわれており、その予防にも去勢手術は効果があります。
また肛門周囲腺腫は良性腫瘍の一種で、男性ホルモンが関係していると考えられています。そのため、去勢手術を受けることで発生を防ぐことが可能です。

発情による問題行動の軽減も大きなメリットです。去勢していないオスは、発情期のメスのにおいに反応し、落ち着きをなくしたりマーキングや攻撃的な行動が増えたりします。手術を受ければ、こうした行動が抑えられ、室内飼いもしやすくなるでしょう。

また去勢手術は、望まない妊娠を防ぐことにもつながります。オスだけを飼っていても、散歩中にメスと接触する可能性はゼロではありません。去勢手術を受けることで、思いがけない繁殖を防ぎ、飼い主のいない犬や猫が増えるのを抑えることできます。

デメリット

全身麻酔のリスクがあることは避妊手術と同じです。健康な犬や猫では問題になることは少ないものの、麻酔の影響を受けやすい個体もいるため、手術前の健康チェックが重要です。

また、避妊手術と同じく、太りやすくなる傾向があります。ホルモンバランスの変化から代謝が落ち、食欲が増すことがあります。適切な食事管理や運動をすれば防げるものの、飼い主が意識してケアしてあげることが大切です。

さらに、災害時の避難に影響が出る可能性がある点も考慮すべきです。去勢していないオスの場合、繁殖の可能性がある点から避難所での受け入れを制限されるケースがあります。事前に自治体のルールを確認し、同行避難できるか確認しておきましょう。

動物病院での避妊・去勢手術の手術内容

鉗子を持つ手元

ここでは、動物病院で受ける避妊・去勢手術の手術内容を詳しくみていきましょう。

【避妊手術】犬の場合

避妊手術の方法は、卵巣と子宮を摘出する卵巣子宮摘出術と卵巣のみを摘出する卵巣摘出術の2通りがあり、獣医師の考えや個体によってどちらの方法で行うかは異なります。

また、お腹を切って卵巣や子宮を摘出する開腹手術だけでなく、腹腔鏡手術を選択できる動物病院もあります。

腹腔鏡手術の場合、数ミリ程度の傷口が2~3箇所で済むため、術中や術後の痛みを抑えられ術後の回復も早い点がメリットです。一方で、特殊な機械を使用するため、開腹手術に比べて費用が高額になりやすいデメリットがあります。

麻酔・手術時間は1時間~1時間半程度です。

【避妊手術】猫の場合

犬と同じように卵巣または卵巣と子宮を開腹手術または腹腔鏡手術によって摘出します。

手術方法は犬と同じですが、開腹手術の場合でも猫は犬に比べて個体の大きさが小さいため、傷口が小さく済むことがほとんどです。

麻酔・手術時間は1時間程度です。

【去勢手術】犬の場合

精巣付近の皮膚を切開し、精巣を摘出する手術で、避妊手術に比べるとシンプルな手術です。
麻酔・手術時間は避妊手術よりも短く、30分~40分程度で終了します。

ただし、腹腔内の潜在精巣の場合は開腹手術や腹腔鏡手術によって精巣を摘出する必要があるため、手術時間も通常の去勢手術と比べて長くなります。

【去勢手術】猫の場合

犬と同様に、精巣付近の皮膚を切開し、精巣を摘出します。

猫の場合、傷口の癒合が早い点と陰嚢を縫合することで猫が創部を気にしてしまう点から縫合を行わない動物病院もあります。

麻酔・手術時間は20分~25分程度です。

動物病院での避妊・去勢手術の流れ

動物病院で猫の顔を診察する獣医師

事前に手術の流れを知っておくと、手術に対する不安を軽減できます。ただし、飲食の制限や抜糸の有無など、細かなルールは病院によって異なります。手術を受ける際は、動物病院の指示に従いましょう。

術前検査

避妊・去勢手術は全身麻酔で行うため、ほとんどの動物病院では安全性を高めるための術前検査を実施しています。

一般的な検査内容は、以下のとおりです。

  • 身体検査(健康状態の確認)
  • 血液検査(内臓機能や感染症の有無チェック)
  • レントゲン検査(心臓や肺の異常の確認)

万が一検査で異常が見つかった場合は、手術の延期や中止など、個体に応じた対応がとられます。

また、動物病院によっては術前検査とあわせて手術の流れや麻酔の説明を行うため、飼い主の同席をお願いする場合もあります。

手術前日

ペットフード

全身麻酔の安全性を高めるため、かつては12時間以上の絶食を行うことが一般的でした。

しかし、長時間にわたる絶食による影響も考慮され、近年では前日までは通常の食事を可能とする動物病院も増えています。

飲食制限がある場合、それを守らないと手術が延期になる可能性が高いため、事前に確認し徹底しましょう。

手術

手術当日は午前中にペットを預け、手術前の健康チェックを行います。問題がなければ全身麻酔で手術を行います。

万が一の事態に備え、手術中はいつでも連絡が取れる状態にしておきましょう。

入院またはお迎え

無事に手術を終えたら、入院が必要かどうかは病院や手術内容によって異なります。メスの場合、開腹手術を行うため、1泊入院する病院が少なくありません。しかし、日帰りで避妊手術を行っている病院もあるため、事前に確認しましょう。

去勢手術は日帰りであることがほとんどですが、個体の状態(麻酔から覚めにくい・出血が多いなど)によっては入院する場合もあります。

術後診察

診察中のヨークシャテリア

手術後1~2週間ほどで傷口の状態を確認し、抜糸が必要な場合は、このタイミングで行われることが一般的です。

しかし近年は、抜糸不要の埋没縫合や吸収糸を用いる病院も増えています。手術を受ける際は、事前に抜糸の有無を確認しておくとよいでしょう。

避妊・去勢手術を受ける動物病院の選び方

聴診器を着けた白い犬と茶色の猫

避妊・去勢手術を受ける際は、以下のポイントを押さえて病院を選ぶことで、納得のいく手術をペットに受けさせられます。

  • 手術方法(開腹手術・腹腔鏡手術の選択)
  • 費用(手術費・麻酔代・入院費など)
  • 獣医師の経験や対応力(手術件数・緊急対応の有無)
  • 通いやすさ

メスの避妊手術では、一般的な開腹手術のほかに、傷口が小さく回復が早い腹腔鏡手術を実施する病院もあります。腹腔鏡手術を希望する場合は、対応している病院をホームページなどで事前に確認しましょう。

避妊・去勢手術の費用は病院によって数万円の差が出ることがあります。麻酔の種類や入院の有無によっても変わるため、事前に見積もりを取ると費用面でも安心感を持って手術をお願いできるでしょう。

獣医師の経験は、動物病院のホームページから手術件数を確認できる場合があります。また事前に病院へ相談し、獣医師の説明が丁寧か、質問にしっかり対応してくれるかをチェックするのもおすすめです。

避妊・去勢手術はほかの外科手術と比べて負担の少ない手術ですが、手術では何が起こるかわかりません。術後のケア体制はもちろん、緊急時の対応も、しっかりと確認しておくとよいでしょう。

さらに通いやすさも動物病院を選ぶうえで重要なポイントです。避妊・去勢手術は術前検査や術後の経過観察など何度か通院が必要になるため、移動の負担が少ない動物病院を選んだほうがペットに無駄なストレスを与えずに済みます。

これらのポイントのなかでも優先順位をつけて探すことで、より自分にあった動物病院を見つけられるため、おすすめです。

まとめ

ペットに関わる仕事をする男女

避妊・去勢手術は、ペットの健康管理において重要な選択肢の一つです。

手術にはメリット・デメリットがありますが、適切な時期に手術を受けることで、動物たちは健康で快適な生活を送れるようになります。

手術を受けるかどうかは、飼い主がしっかり考え、動物病院の獣医師と相談しながら決めましょう。

参考文献

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