動物病院の治療費を払えない場合はどうする?費用負担を軽減する方法も解説

動物病院の治療費を払えない場合はどうする?費用負担を軽減する方法も解説

人間とは異なり、動物病院での治療費は原則として飼い主が全額負担することになります。

突然の体調不良や予期せぬ怪我で、高額な治療費がかかるケースもあるでしょう。高額な治療費がかかるとしても、大切な家族である動物の治療を諦めるわけにはいきません。

この記事では、動物病院の治療費を払えない場合の対処法や、費用負担を軽減する方法を解説します。動物病院の治療費が支払えないとお悩みの方は、最後まで読んで参考にしましょう。

動物病院の治療にかかる費用

注射ほ受ける犬

犬の治療費の目安を教えてください。
症状や犬のサイズによって異なりますが、一般的な治療費は10,000円(税込)前後です。1回の治療で済むこともありますが、平均すると3日程度の通院で総額20,000円~30,000円(税込)程度になります。通院の頻度には個体差があり、0歳の平均年間通院回数は3.8回なのに対し、7歳以上の場合は平均5回と年齢が上がるほど通院回数は多くなります。
シニア期に入ると毎月通院しなければならないケースも出てくるでしょう。年間で犬が動物病院にかかる医療費は、小型犬で70,000円~100,000円(税込)程度、中・大型犬の場合は40,000円~90,000円(税込)程度です。手術が必要になると治療費は大幅に上がり、大型犬になると300,000円(税込)以上かかるケースもあります。
猫の治療費の目安を教えてください。
猫の治療費も犬とほぼ同じです。犬のようにサイズが大きく変わることがないため、必要な薬剤量もあまり増減がありません。そのため、治療費も小型犬程度になるケースがほとんどです。ただしペット保険の調査によると、心筋症や慢性腎臓病など高額な治療費がかかる疾患で保険金を請求したケースは犬よりも多くなります。
動物病院の治療費が高額になる理由を教えてください。
動物病院の治療費が高額になるのにはいくつかの理由が挙げられますが、理由のひとつが医薬品の原価です。動物用の医薬品は基本的に人間用の医薬品よりも高額なので、治療にかかる費用も高くなります。人間のように言葉で不調を伝えられないため、動物の場合はどこが悪いのかを特定するために、さまざまな検査が必要となります。
尿・便の検査や血液検査、エコーやレントゲンなどが行われるケースも少なくありません。検査項目が多くなればなるほど、治療費も高くなるでしょう。さらに、検査用に高度な医療機器を導入している動物病院であれば、検査の費用も上がります。
同じ治療でも動物病院によって費用が異なるのはなぜですか?
同じ治療でも動物病院によって費用が異なるのは、各病院が治療費の価格設定を行っているからです。人間のように一定の基準で治療費が決められていないので、同じ治療内容でも病院によって価格が異なります。
獣医師の判断で人間用の医薬品を使用するケースもあり、そのような動物病院は費用が安い傾向です。近年ではホームページ上に治療内容と費用が掲載されているところもほとんどなため、治療費が不安な方は比較してから病院を選択するとよいでしょう。

動物病院の治療費を払えない場合の対処法

獣医師と犬

治療費を払えない場合の対処法を教えてください。
動物病院の治療費を払えない場合の対処法として、下記が挙げられます。
  • クレジットカードで支払う
  • ペットローンを利用する
  • 借金をする
  • 事前に予算を伝えておく

動物病院の70%以上は、クレジットカード支払いに対応しています。一時的に手持ちの現金がない場合は、クレジットカードで支払っておいて、引き落としまでにお金を工面するのもひとつの方法です。
ペットローンとは、ペットに関する費用を賄うためのローンで、提携している動物病院もあります。銀行や信販会社が審査を行うため、即日給付はできません。親や兄弟など、信頼できる相手からお金を借りる方法もあります。ただし、関係にヒビが入らないよう、期日内にしっかり返済するようにしましょう。
また、高額な治療費が払えないとわかっている場合は、事前に動物病院に予算を伝えておく方法もあります。例えば胃腸炎の治療で10,000円(税込)程度かかる見込みのものを、飲み薬だけの処方にして2,000円(税込)程度にするなど、柔軟に対応してもらうことも可能です。安く済ませることが治療としてよいとは限りませんが、払えない場合は事前に相談してみましょう。

分割払いにしてもらうことは可能ですか?
動物病院によっては、治療費を分割払いにしてくれるところもあります。頭金を多めに支払い、残りを分割で支払えるよう、支払い計画を提示してみましょう。ただし、基本的には一括払いを原則としている病院がほとんどです。断られてしまった場合には、潔く諦めて別の方法を考えましょう。
費用が払えない場合はどのようなリスクが生じますか?
動物病院の治療費が払えない場合、大事なペットに手術や適切な治療を受けさせられない可能性があります。希望する治療が行えず、最悪の場合は動物の命が失われてしまうかもしれません。また支払えないことがわかっているにも関わらず治療を受けた場合は、訴訟になるリスクがあるため注意が必要です。
給与や資産を差し押さえられ、社会的信用の失墜にもつながります。通常は治療前に見積もりを確認するため、支払いができないとわかっている場合は、その時点でほかの選択肢を検討しましょう。

ペットの治療費の負担を軽減する方法と備える手段

ペット保険の案内

ペットの治療費の負担を軽減する方法を教えてください。
高額な治療費がかかるのを抑えるためには、定期的な健康診断が必要不可欠です。健康診断のたびにお金がかかりますが、健康診断を受けると病気の早期発見につながります。病気が重症化する前に発見できるので、結果的に治療費を安く抑えられるでしょう。
また、適度な運動や健康的な食事など、犬や猫にとって健康的な生活を心がけることも大切です。いつまでも元気で長生きしてもらうために、ペットの飼育環境を見直してみましょう。
ペットの治療費に備えておく方法を教えてください。
若いうちはそれほど治療費がかからない動物でも、年を重ねれば病気や怪我をしやすくなります。そのため、いざというときに支払いに困らないよう、少しずつお金を貯めておくことは重要です。また、ペット保険に加入する方法もあります。ペット保険は通院や入院・手術にかかった費用を一部補償してくれるサービスです。
金額によって補償対象となる病気の種類や補償額が変わるため、加入前に細かく確認しましょう。犬種や猫種によっては、特定の病気を発症しやすいこともわかっています。かかりやすい病気を調べ、その病気を補償してくれる保険会社やプランを選ぶことが大切です。
ペット保険の補償内容や補償金額の目安を教えてください。
ペット保険の補償内容は加入するプランによって異なります。例えば、通院補償なしのプランの場合、月額は安く抑えられますが手術・入院のみにかかった費用しか補償されません。またペット補償の対象は治療にかかった費用のみです。そのため、病気を予防するための健康診断やワクチン接種、避妊・去勢手術は補償の対象外です。さらに生まれつきの病気や飼い主の過失による怪我も、補償されません。
なお、1ヶ月あたりの保険料は動物のサイズや年齢によっても変わりますが、1,500円~2,500円(税込)と補償内容によって大きな差があります。ほとんどのペット保険には補償金額の上限があり、年間に補償してもらえる限度額や1回の通院の支払限度なども確認しておきましょう。補償金額はプランごとに異なり、50%や70%など補償割合が決められています。
例えば100,000円の治療費がかかった場合、70%のプランなら70,000円、50%のプランなら50,000円が支給されます。補償割合が高いほど負担は減りますが、月額の保険料が上がるのが一般的です。

編集部まとめ

猫を可愛がる女性

愛犬や愛猫は大切な家族の一員なので、病気や怪我の際には適切な治療を受けさせたくなるのが飼い主の心境です。とはいえ、動物には人間のように健康保険制度がありません。

そのため、治療費が予想よりも高くなり、どうやって支払えばよいのだろうかと途方に暮れる方も少なくありません。

もし治療費が払えない場合は、手術や適切な治療を受けられず、苦しい時間が長引いてしまうでしょう。そうならないためにも、日頃からいざというときのために貯金しておく・ペット保険に加入するなどの対策を立てておくことが重要です。

万が一、支払いができない場合にはクレジットカード支払いやペットローンの利用も検討してみましょう。

参考文献