猫の便秘は放っておくと危険!原因と対策、予防法を徹底解説

猫 便秘

猫も人間と同じように、便秘になります。
便秘になると、猫は不快な症状を感じたり、重大な健康問題に陥ったりする可能性があります。
本記事では猫の便秘について以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫の便秘の原因
  • 猫の便秘を放置すると
  • 猫の便秘で受診する目安

猫の便秘について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

猫の便秘の原因

猫が便秘になる原因には、どのようなものがあるでしょうか?以下で、猫が便秘になる原因について解説します。

ストレス

猫はストレスを感じると、自律神経のバランスを崩すことがあります。自律神経は、消化器官の働きにも影響を与えるため、ストレスが原因で便秘になることがあります。

猫がストレスを感じる原因は、環境の変化や人間や他の動物との関係など様々です。例えば、引っ越しや家族構成の変化、ペットシッターの利用、トイレの場所や数の変更、他の猫との喧嘩やマーキングなどが挙げられます。

猫のストレスを減らすためには、猫の気持ちを理解し、リラックスできる環境を作ることが大切です。猫にとって快適なトイレの数や場所、水や食事の提供方法、遊びやスキンシップの時間などを考えてあげましょう。

水分不足

猫は自然界で獲物から水分を摂取する習性があるため、水分摂取量が不足しやすい動物です。そのため、水分不足は猫の便秘の一般的な原因となります。

水分が不足すると、腸内の便が硬くなり、排便が困難になることがあります。また、腸の動きが遅くなることもあり、これが便秘を引き起こす可能性があります。

猫の水分摂取を促すためには、ウェットフードの提供や、飲み水の新鮮さと清潔さを保つことが重要です。また、複数の水飲み場を設置し、猫が自由に水分を摂取できる環境を作りましょう。

腸の不調

猫の便秘の一因として、腸の不調が考えられます。腸は消化器系の中心的な役割を果たし、食物の消化と栄養素の吸収、そして排便をします。しかし、腸の働きが正常でないと、これらのプロセスがうまくいかず、便秘を引き起こす可能性があります。

腸の不調は、食事の問題、感染症、薬の副作用、老化など、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。特に、食事が腸の働きに大きな影響を与え、不適切な食事は腸の動きを遅くする可能性があります。

腸の不調を改善するためには、適切な食事と適度な運動が重要です。また、定期的な健康チェックと適切な予防接種も、腸の健康を維持するために重要です。

毛玉

猫は自己清掃の一環として自身の毛を舐めますが、その際に毛が飲み込まれ、毛玉が形成されることがあります。通常、これらの毛玉は便と一緒に排出されますが、大きな毛玉が腸内に詰まると、便秘の原因となる可能性があります。

毛玉が便秘を引き起こす可能性がある猫には、長毛種や高齢の猫、過度に毛づくろいをする猫が含まれます。これらの猫は、毛玉が腸内に詰まるリスクが高いため、特別な注意が必要です。

毛玉による便秘を防ぐためには、定期的なブラッシングと毛玉対策の食事が役立ちます。また、毛玉ケア用のキャットフードや毛玉ケア用のサプリメントの使用も考慮しましょう。

猫の便秘を放置する危険性

便秘を放置すると、どんな危険があるのでしょうか?以下で詳しく解説します。

巨大結腸症

猫の便秘を放置すると、巨大結腸症という深刻な病気になる可能性があります。便秘が続くことで腸内に便が溜まり、結腸が異常に拡張される状態を指します。

巨大結腸症は、結腸の壁の神経や筋肉が退化し、結腸の機能が低下するため、便を溜め込む傾向があり、便は硬くなり、排便が困難になります。

さらに、便が腸内に長時間留まると、便中の菌の代謝物を吸収し、脱水や食欲不振を引き起こす可能性があります。

巨大結腸症の治療は難しく、内科的治療や外科的治療が必要となることがあります。そのため、猫の便秘には早期に対処し、適切な治療を行うことが重要です。

神経障害疾患

猫の便秘は、神経障害疾患によって引き起こされるとされています。神経障害疾患とは、脊髄の疾患や椎間板ヘルニアなど、神経系に問題がある状態を指します。

これらの疾患は、猫の排便を制御する神経系に影響を及ぼし、便秘を引き起こす可能性があります。特に、椎間板ヘルニアは、猫の腰部に痛みを引き起こし、排便時の踏ん張りが効かなくなることがあります。

神経障害疾患による便秘の治療は、病状によりますが、内科的治療や外科的治療が必要となります。

猫の便秘の予防・解消法

どのようにして猫の便秘を予防し、解消できるのでしょうか?以下では、猫の便秘の予防と解消法について詳しく解説します。

こまめな水分補給

水分補給は猫の便秘の予防・解消におすすめです。水分を十分に摂取すると、腸内の便が柔らかくなり、スムーズに排出されます。水分補給の方法としては、以下のようなものがあります。

  • 水を飲みやすい場所に置く。猫は水を飲む場所にこだわりがあるので、いろいろな場所に水を置いてみましょう。水の入れ物も、猫が好む形や素材のものを選びましょう。
  • 水の鮮度を保つ。猫は新鮮な水を好むので、水をこまめに取り替えたり、循環式の給水器を使ったりしましょう。水の温度も、猫が飲みやすいように調整しましょう。
  • ウェットフードを与える。猫はドライフードを食べるときに水をあまり飲まないので、水分が不足しがちです。ウェットフードは水分が多く含まれているので、ドライフードと併用したり、水を加えたりして与えましょう。

清潔なトイレ環境

猫は清潔好きな動物であり、トイレの環境が不潔だとストレスを感じ、排便を控えるといわれています。その結果、便秘を引き起こす可能性があります。

清潔なトイレ環境を提供することは、猫の便秘の予防・解消に非常に重要です。具体的には、以下のような対策が考えられます。

  • トイレの掃除:トイレは毎日掃除し、猫が快適に使えるようにしましょう。また、トイレの砂も定期的に取り替えることが重要です。
  • トイレの数:猫の数に応じてトイレの数を増やし、猫が自由にトイレを選べるようにしましょう。一般的には、猫1匹につきトイレを一つ用意し、さらに一つ余分に用意することが推奨されています。
  • トイレの場所:トイレは静かでプライバシーが保たれ、猫がリラックスできる場所に設置しましょう。また、家の中の複数の場所にトイレを設置することで、猫がトイレを使いやすくなります。

下剤

猫の便秘が重度になった場合、獣医師の指導のもとで下剤を使用することがあります。
下剤は、腸内の便の水分量を増やし、排便促進が期待できます。しかし、下剤の使用は獣医師の指導が必要であり、適切な量とタイミングで与えることが重要です。

下剤の種類には、ラクツロースなどのオスモティック下剤や、食物繊維を含む下剤などがあります。ラクツロースは、腸内で水分を引き寄せて便を柔らかくするとされています。食物繊維は、便の量を増やし、腸の動きを刺激します。

しかし、下剤の使用はあくまで一時的な対策であり、便秘の根本的な原因を解決するためには、食事の改善や適度な運動などの生活習慣の見直しが必要です。

消化の良い療法食を与える

猫の便秘問題の対処法として、消化が良い療法食を与えることも良いとされています。療法食は、特定の疾患や健康状態にある犬猫の食事療法に利用され、栄養素の量とバランスが調節され、特殊な製法で作られたペットフードです。

療法食は、獣医師の診断に基づく治療の一部として使用され、獣医師の指導のもとで与えられます。療法食を適切に使用することで、食事管理に役立つことが期待できます。

しかし、療法食を適切でない方法で使用すると、ペットの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、療法食を使用する際には、定期的な獣医師の診療と指導が必要です。

猫の便秘で動物病院に行く場合

便秘が続くとき、いつ動物病院に連れて行くべきなのでしょうか?また、動物病院で何が行われるのでしょうか?
以下で、猫の便秘で動物病院に行く場合の目安と、病院での対応について詳しく解説します。

動物病院を受診する目安

一般的に、猫は1日に1~2回排便します。しかし、排便がない日が2日以上続くようなら便秘の可能性があり、動物病院を受診することをおすすめします。

特に、5日以上全く便が出ていない場合は、便秘と考えられます。

また、便が硬くてコロコロとした小さな便や絞り出したような細長い便が少量しか出ない場合も、便が腸内に残っていて便秘になっている可能性があります。

さらに、「排便姿勢をとっているのに便が出ない」「いつもよりも時間をかけて踏ん張っている」「排便時に苦しそうに鳴く」「何回もトイレに行く」といった変化があった時も、便秘の可能性が高いでしょう。

動物病院での摘便

猫の便秘が重度になった場合、動物病院で摘便という処置が行われることがあります。摘便は、獣医師が指を肛門から入れて、硬くなった便をかき出す処置です。この処置は痛みを伴うため、鎮静や麻酔が必要になることがほとんどです。

摘便は、便秘が長期間続いて腸内に便が溜まり、自然に排便ができなくなった場合に行われます。また、摘便は一時的な対策であり、便秘の根本的な原因を解決するためには、食事の改善や適度な運動などの生活習慣の見直しが必要です。

まとめ

ここまで猫の便秘についてお伝えしてきました。猫の便秘の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫の便秘はストレス、水分不足、腸の不調、毛玉など、さまざまな要因によって引き起こされる
  • 便秘を放置すると、猫は巨大結腸症や神経障害疾患などの深刻な健康問題を引き起こす可能性がある
  • 便秘の症状が見られ、特に排便がない日が2日以上続く場合は、動物病院を受診することを推奨する

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献