猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべき?猫の下痢の原因や対処法を解説します

猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべき?猫の下痢の原因や対処法を解説します

猫の下痢は、体調不良や消化器官の問題を示すサインのひとつです。また、泥状の下痢は注意が必要で、単なる食べ過ぎやストレスが原因の場合もあれば、病気の兆候である場合もあります。

本記事では猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべきなのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫の下痢の原因とは
  • 猫の下痢のタイプと対処法
  • 猫が下痢をしているときに気を付けること

猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべきなのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

猫の下痢の原因

猫の膀胱炎の原因とは?膀胱炎になりやすい猫の特徴や再発のリスクなども併せて解説!
ストレスで猫が下痢をすることがありますか?
猫はストレスに敏感な生き物であり、ストレスが原因で下痢を引き起こすことがあります。生活環境の変化や新しい刺激が、大きな影響を与えることがあります。

例えば、引っ越しや家族構成の変化、新しいペットの追加、ペットホテルに預けられる経験、長時間の外出や旅行などが挙げられます。これらの出来事は、猫にとって環境が変わることでストレスを感じさせる要因になりやすいです。

ストレスが原因で下痢をしている場合、猫が環境に慣れることで症状が自然に改善することもあります。ただし、下痢が長期間続く場合やその他の症状が見られる場合は、単なるストレスが原因ではなく、別の健康問題が関係している可能性もあります。
猫は食事の変化や誤食で下痢になることがありますか?
猫は食事の内容や誤食によって下痢を起こすことがあります。例えば、食べすぎや急に新しいフードに切り替えた場合、消化器官がその変化に対応できずに消化・吸収不良が生じ、下痢につながることがあります。新しいフードを与える際は少しずつ慣れさせ、猫が誤飲しないよう環境を整えることで下痢を予防しましょう。

また、人間の食べ物や適切でないおやつを食べた場合も、猫の消化システムに負担をかけ、下痢の原因になることがあります。

さらに、洗剤や殺虫剤などの化学物質を誤飲・誤食してしまうと、中毒性の下痢が発生する場合もあります。このような物質には猫にとって有害な成分が含まれていることが多く、緊急の対応が必要になります。一方で、毒性のない異物を誤飲した場合でも、それが消化されずに腸内を進むことで下痢を引き起こすことがあります。

また、下痢が長引く場合は、食物アレルギーが隠れている可能性も考えられます。
猫は薬の影響で下痢をすることがありますか?
猫が下痢をする原因のひとつに、薬の副作用があります。特に抗生物質や一部の処方薬は、腸内細菌のバランスを崩しやすく、これが下痢の引き金となることがあります。猫の体は敏感なため、薬が合わない場合には消化器系に影響がおよび、下痢や軟便がみられることがあります。

もし薬を飲み始めた後に下痢が続いたり、ほかの症状(嘔吐、食欲不振など)が現れた場合は、すぐに獣医師に相談してください。投薬の中止や、腸内環境を整えるための対策が必要になる場合があります。
猫が下痢を引き起こす病気を教えてください
猫の下痢は、さまざまな病気が原因で発生することがあります。
以下に具体的な例を挙げて説明します。

・感染症による下痢:ウイルス、細菌、寄生虫のいずれかが関与

・ウイルス性感染:猫パルボウイルスや猫コロナウイルスが主な原因で、重篤化すると致命的な病気を引き起こす可能性がある

・細菌性感染:サルモネラ菌などの細菌が関与し、下痢や嘔吐を引き起こす

・寄生虫感染:線虫や条虫などの寄生虫が原因で、免疫力が弱い子猫や高齢猫で重症化しやすい

・食物アレルギー:特定の食物にアレルギー反応を示し下痢を起こすことがある

・内臓疾患による下痢:肝臓(脂肪肝、肝炎、肝不全)や膵臓(膵臓疾患膵炎、膵外分泌不全)の異常

・腫瘍:腸管内や消化器系に発生した腫瘍が、慢性的な下痢の原因になることがある

猫の下痢のタイプと対処法

猫の避妊におすすめな時期は?避妊手術にかかる費用や猫への影響も併せて解説します
猫の下痢の色で健康状態が分かりますか?
猫の下痢の色は、健康状態や体内で起こっている異常のサインを示す重要な指標です。便の色がいつもと異なる場合、その色によって考えられる原因や病気が推測できます。

以下に主な便の色と、それに関連する健康状態を解説します。

1.黄土色
健康的な便は、食べているフードの色と同じ茶色か、それよりもやや濃くて黒っぽい色です。下痢であっても黄土色で元気や食欲に問題がなければ、一時的な体調不良や食事の影響である可能性が高いです。

ただし、黄色味が強い場合や薄い色合いに変化した場合、原虫感染や消化管内寄生虫感染、肝臓・膵臓の異常が考えられるため注意が必要です。下痢が数日以上続く場合は、動物病院への受診をおすすめします。

2.緑色
成猫で緑色の便が見られる場合、消化不良や胆汁の影響が疑われます。特に腸内細菌のバランスが崩れたり、寄生虫や感染症が原因の場合もあります。緑色の便が続く、または元気がない・嘔吐を伴う場合は、早急に動物病院で診察を受けてください。

3.白色・灰色
白や灰色の便は、膵臓や肝臓に問題がある可能性を示します。膵液の分泌が不十分だと脂肪が分解されず、便が白っぽく見えることがあります。また、胆汁の代謝異常も原因の一つです。この色の便が出た場合、元気であっても早めに獣医師の診察を受ける必要があります。

4.赤色
赤い便や血液が混ざった便は、大腸や肛門からの出血を示している場合があります。ゼリー状の粘液が付着していることもあり、大腸炎、潰瘍性腸炎、直腸がん、ポリープなどが原因となることがあります。

特に便全体が血液で覆われている場合や、嘔吐・元気消失がある場合は緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診しましょう。

5.黒色
黒い便は、上部消化管(胃や小腸)で出血が起きている可能性があります。これは赤血球が分解され、便がタールのような黒色を呈することで確認できます。
感染症や消化器の炎症、異物の摂取などが考えられるため、元気であっても早急に獣医師に相談することが大切です。

便の色だけでなく、下痢の頻度、元気や食欲の有無、嘔吐などの付随する症状も総合的に観察しましょう。便の色がいつもと異なる場合や、下痢が数日続く場合は、早めに動物病院で診断を受けましょう。


猫が泥状の下痢をしている場合の対処法を教えてください
便の大部分が水分で構成され、ほとんど液体のような状態(水様便)が見られる場合、小腸性または大腸性の下痢症の可能性が考えられるため、早急に動物病院での診察を検討してください。

一方で、軟便は水様便ほどではないものの、いつもの便よりも水分が多く、半固形から泥状の状態は、元気や食欲がしっかりとあるようであれば、ストレスや食事の影響による一時的なものの可能性があるようです。様子を見てもよいでしょう。

症状が3日以上続く場合は、念のため獣医師の診察を受けることをおすすめします。
猫の下痢にゼリー状の粘液が混じっている場合の対処法を教えてください
便にゼリー状の粘液が付着している場合、大腸炎の可能性が考えられます。猫は、大腸から粘液を分泌しますが、炎症が起きると分泌が過剰になることがあるようです。

また、体質的に粘液が便に付きやすい猫もいるため、日頃から猫の状態をよく観察しておきましょう。

猫が元気で食欲もある場合には、しばらく様子を見ても問題ないこともあります。ただし、嘔吐を伴っている、元気がない、便に血が混ざっているなどの症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診するのがおすすめです。
猫の下痢の臭いがいつもと違う場合の対処法を教えてください
臭いがいつもより強い場合、その原因の多くは硫化水素の増加によるもので、慢性腸炎や膵炎、または感染症が関与している可能性があります。

さらに、腐敗臭や酸っぱい臭いがする場合は腸炎が疑われます。また、薬品のような異臭や血液のような臭いがする場合には、何らかの疾患や中毒性の物質を誤飲している可能性があります。

猫の便は独特の臭いがありますが、下痢の臭いが普段と明らかに異なる場合は、早めに獣医師に相談することをおすすめします。

猫が下痢をしているときに気を付けること

猫が下痢をしているときはどのような食事を与えた方がいいですか?
猫を自宅で様子を見る際には、ドライフードを水でやわらかくして消化しやすくするか、食事量を少し減らして腸を休める工夫をしましょう。

猫に食欲がない場合は、無理に食べさせる必要はありません。下痢が続くと体内の水分が不足しやすいため、猫が水を欲しがるようであれば、新鮮な水をしっかり与えてあげましょう。
猫が下痢をしているときの受診の判断ポイントを教えてください
猫が下痢をしているときの受診の判断ポイントは以下のとおりです。

・元気や食欲が明らかに低下している
・嘔吐など、ほかの症状が現れている
・下痢の回数が異常に多い、またはしぶり便が見られる
・どす黒いタール状の便が出ている
・尿の量が減少し、色が濃くなっている
・食事の変更や与えすぎなど、原因となりそうな心当たりがない

これらの兆候が見られた場合は、早めに動物病院での受診が大切です。

編集部まとめ

猫の顎の下にできる黒いブツブツは猫ニキビ?発症の原因や対処法について解説!

ここまで猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべきなのかについてお伝えしてきました。猫の下痢が泥状の場合は動物病院を受診すべきなのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 猫が下痢をする主な原因はストレス、薬の副作用、ウイルス性感染や細菌性感染などが挙げられる
  • 猫の下痢には、いつもと違う色の下痢、水様便、泥状便、ゼリー状の粘液が混じっている下痢、臭いのきつい下痢などさまざまなタイプがあり、状況に応じた対処が必要
  • 猫が下痢をしている場合、便の色、下痢の頻度、元気や食欲の有無、嘔吐などの付随する症状も総合的に観察し、早めに動物病院で診断を受けることが大切

愛猫が下痢をしている場合、自宅で様子をみていてよいのか、すぐに動物病院を受診するべきなのか迷いますよね。猫の状態をしっかりと観察して、緊急性が高いと思われる場合や判断できない場合には獣医師へ相談しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献