猫が下痢になったらどうすればいい?猫の下痢の原因や、考えられる病気についても紹介

猫 下痢

猫の下痢はさまざまな原因により引き起こされることがあります。猫が下痢をしたら飼い主の方は不安になるかと思います。猫が下痢をしたときの対処法を知っておくことで慌てずに対処できます。
そこで本記事では、猫の下痢の原因や、考えられる病気について以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫の下痢について
  • 猫が下痢になった時の症状について
  • 猫が下痢をしてしまった場合の対処方法

猫が下痢になったらどうすればいいのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

猫の下痢について

猫が下痢になる原因について教えてください
猫の下痢はさまざまな原因により引き起こされることがあります。ここでは、主な原因を詳しく解説し、飼い主がどのように対応すれば良いのかを示します。


感染による下痢
・ウイルス性: ウイルス、特にパルボウイルスやコロナウイルスが原因で猫汎白血球減少症や猫伝染性腹膜炎な     どが発症することがあります。これらは適切なワクチンや室内飼育で予防できます。
・細菌性: カンピロバクターなどの細菌感染も原因となります。特に免疫力の低い猫や子猫は注意が必要です。
・寄生虫性: コクシジウムや線虫のような寄生虫も原因となり得ます。外で生活している猫は特に感染リスクが高いため、定期的な病院での検査が推奨されます。

食事による下痢
一度に大量の食事や急なフードの切り替えが原因で下痢を起こすことがあります。フードの切り替えは徐々に行うことが大切です。
食物アレルギーも考えられ、アレルゲンを避ける食事管理が必要です。

異物や薬物の摂取
猫が異物を誤って飲み込んだり、毒性を持つ物質(例:ねぎ類、チョコレート)を摂取した場合、下痢の他に命を脅かす状況になることも。家の中の危険物はきちんと片づけることが大切です。
一部の薬も下痢の副作用を持つため、異変を感じたら獣医師に相談しましょう。

病気やストレスによる下痢
内臓疾患や腫瘍、内分泌の病気などが原因で下痢を起こすことがあります。定期的な健康診断が重要です。
猫はストレスを感じやすい動物です。新しい環境や飼育状況の変化がストレスとなり、下痢の原因となることがあります。

その他の原因
毛づくろいで飲み込んだ毛や腐ったものを食べることで下痢が発症することがあります。
高齢猫は甲状腺機能亢進症や腫瘍のリスクが上がるため、特に注意が必要です。
以上の点を踏まえ、猫の下痢には迅速に対応することが大切です。
症状が続く場合や重症の場合は、速やかに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
猫の下痢にはどんな種類がありますか?
猫の健康管理において、便の状態は大切な健康のバロメーターとなります。
突如として現れる下痢は、様々な原因や背後にある疾患を示唆することがあるため、猫の下痢の特徴を理解して適切な対応をすることが必要です。

・軟便: これは水分量が通常よりも多い半固形の便であり、泥状の形状をしていることが特徴です。正常な猫の便は固形であり、軟便はそれよりも水分含有率が高いことが分かります。
・水様便: 極度に水分を多く含んだ便で、液状に近い状態を指します。これは通常、感染症や重篤な消化器疾患の兆候として現れることが多いです。
・血便・血様便: 便中に鮮血や黒色の血液(タール便)が混じること。大腸や肛門近くの部位からの出血は鮮血として現れ、小腸やそれ以前の部位からの出血はタール状の便として排出されることが多いです。
・小腸性の下痢: 小腸が原因となる下痢では、未消化の食物が便として排出されることが特徴的です。
・大腸性の下痢: 大腸が原因の下痢では、水分の吸収不良や粘液の過剰分泌が原因となり、しばしば血便が伴います。
・急性の下痢: 短期間(約1週間以内)で突然発症し、その後自然に改善することが多い下痢の形態です。
・慢性の下痢: 長期間(数週間以上)にわたり続く下痢。徐々に猫の栄養状態や体重に悪影響を及ぼすことがあります。

猫の便の状態は、その健康状態を示す重要なサインとなります。愛猫の下痢の種類や特徴をしっかりと理解し、異変を感じた際は迅速に獣医師の診察を受けることが大切です。
猫が下痢になった場合、どんな病気が考えられますか?
猫の下痢は単なる軽度の消化不良から重篤な疾患までの幅広い原因が考えられます。以下にその主な疾患や原因を挙げます。

・感染性腸疾患: ウイルス、細菌、寄生虫などの病原体による感染が原因となることが多い。特に子猫や老齢猫では、病状が重篤化しやすいため注意が必要です。
・炎症性腸疾患 (IBD): 原因不明の炎症により、腸の動きや機能が異常となり、下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
・異物誤飲: 誤って飲み込んだ異物が消化管を刺激し、下痢を引き起こすことがあります。
・毛球症: 体を舐めることで摂取した毛が胃腸に詰まることで、下痢を引き起こすことがあります。
・腫瘍: 腸に発生した腫瘍は、腸の機能を阻害し、下痢や便秘などの症状を引き起こすことがあります。
・中毒: 薬品や食物中の有害物質、細菌の毒素などが体内に取り込まれた場合、下痢をはじめとする多彩な症状が現れることがあります。
・食物アレルギー: 特定の食材に対するアレルギー反応により、下痢や皮膚のかゆみなどの症状が現れることがあります。
・肝疾患: 肝臓の異常が下痢や嘔吐、黄疸などの症状を引き起こすことがあります。
・出血性胃腸炎: 腸の粘膜に出血が生じることで、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が現れることがあります。
・膵外分泌不全: 膵臓の異常により、消化酵素の分泌が不足することで、食物の消化不良が引き起こされ、稀に下痢や体重減少などの症状が現れることがあります。

猫が下痢をしている場合、原因となる疾患や状態の特定は非常に重要です。
持続する下痢やその他の異常な症状が現れた場合は、早めの獣医師の診察を受けることをおすすめします。

猫が下痢になった時の症状について

猫 結膜炎
猫が下痢になった時の症状に、どんなものがありますか?
猫の下痢は様々な原因により引き起こされます。
猫が下痢を始めた際、その背後に何があるのかを知るためには、伴う症状や下痢の持続時間、性質をよく観察することが重要です。

・急性の下痢
急に下痢を始めた場合、それに伴い全身的な症状が見られることもあります。
猫の元気がなくなったり、熱を持っていたり、嘔吐したり、腹痛を示すような行動を取ることがあります。

これらの症状は、感染症や中毒、膵臓の病気などの重篤な原因を示唆することがあります。感染症には、ウイルス性、細菌性、寄生虫性のものが挙げられます。
さらに、紐や小さな玩具などの異物を飲み込むことも原因として考えられます。

犬より猫は食性が選り好みであるため、食べ物による中毒や下痢は少ないのですが、完全に排除できるわけではありません。

診断のため、便検査のほか、全身の状態を確認するための血液検査、尿検査、血液化学検査などの検査が行われることが多いです。特定の感染症が疑われる場合、便の細菌培養も必要とされます。

・慢性の下痢
下痢が2-3週間以上持続する場合、それは慢性のものと判断され、原因を特定するための異なるアプローチがとられることが多いです。
慢性の下痢の原因は多岐にわたりますが、消化器系の持続的な問題や食物アレルギー、炎症性腸疾患などが考えられます。

猫の下痢を見た際、早急に獣医師の診察を受けることが、猫の健康を維持し、適切な治療を始めるための鍵となります。
元気で食欲もあるのに下痢をしているのですが、大丈夫ですか?
愛猫が元気で食欲もあるのに、下痢の症状は猫飼いの飼い主さんにとって心配になります。しかし、必ずしも深刻な病気が隠れているわけではありません。

元気で食欲もある下痢の主な原因
急性の下痢が始まった際、元気で食欲もある場合、主な原因として以下のものが考えられます。

・食事の変化:新しいフードへの急な切り替えや、食材にアレルギーがある場合があります。
・腸内寄生虫:特に若い猫では、回虫やコクシジウムなどの寄生虫感染が原因となることがあります。
・ごみあさり:食べ物の残りや他の物を食べることで、消化不良を引き起こすことがあります。
・薬物反応:特定の薬の副作用として下痢を引き起こす場合があります。

診断と治療
上記のような症状が続く場合、まずは獣医師に相談することが推奨されます。
多くの場合、身体検査と便の検査を行い、具体的な原因を特定します。
寄生虫が便検査で確認された場合、適切な薬剤で治療が行われ、多くの猫はこれで回復します。また、下痢の症状を緩和するための対症療法や、脱水症状の予防・治療も併せて行われることがあります。

猫が下痢をしているものの、元気で食欲もある場合、必要以上に深刻に考えることはないかもしれません。
しかし、長期間続く場合や他の症状が出た場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
下痢だけでなく嘔吐もしてます。重い病気でしょうか?
猫が下痢をしている場合、その症状の度合いや猫の状態によっては、深刻な病気の兆候である可能性も考えられます。
下痢が軽度で、猫が元気で活発な場合はすぐに大きな心配は要らないかもしれません。
しかし、以下のような症状が伴う場合は、早急な獣医師の診察が必要です。

・元気の低下: 猫が明らかにぐったりとして活動性が低下している。
・食欲喪失: 食事を全く摂取せず、水も飲まない。
・異常な便の状態: 血便や黒色便の発生、極端に水様な下痢や粘液が混ざった便。
・脱水の兆候: 皮膚の弾力がなく、乾燥している感じで、皮膚をつまんだときに戻るのに時間がかかる
・年齢: 幼齢の猫や高齢の猫は、痢や嘔吐に隠れて深刻な疾患に罹患している可能性がある。
・嘔吐の併発: 下痢と共に嘔吐も繰り返している。
・持続期間: 下痢が継続して数日以上経過している。

これらの症状は、猫の健康状態が危険である可能性を示唆しています。早めに適切な治療を受けることで、猫の不快感を和らげ、さらなる健康リスクを防ぎます。

猫が下痢をしてしまった場合の対処方法

猫 便秘
猫が下痢をしてしまったら、まず何をすべきですか?
猫が下痢を始めた際の対応はその症状の程度や猫の全体的な状態によって異なります。
ここでは、猫の下痢や嘔吐が見られた際の基本的な対処法と確認すべきポイントについて解説します。

1. まず、猫の全体的な様子や便の状態を詳しく観察しましょう。特に、元気の有無、食欲の状態、便の色や固さ、下痢の頻度などは重要な情報源となります。

2. 状態が急に悪くなったり、他の全身症状(嘔吐やぐったりするなど)が現れたりした場合、すぐに獣医師の診察を受けることを推奨します。

3. 下痢の様子を具体的に知るため、以下の「猫の下痢」チェックリストを参考にして、獣医師への報告の際に使える情報を収集しておきましょう。

「猫の下痢」チェックリスト

・下痢の種類: 水様便か軟便か?
・下痢の頻度や量は?
・便に異物や血、黒い色、粘液、白い虫はあるか?
・全身の状態: 嘔吐の有無、食欲や元気の状態は?
・他の異常: お腹が痛そうな様子や皮膚の状態、口の中に異物はないか?
・過去の食事の変更や異常に気付いた日時は?

4. 基本的には、獣医師の判断が必要となります。特に、慢性的な下痢や全身の症状が併発している場合は、病気の可能性が高いので迅速な診断と治療が求められます。

猫の下痢や嘔吐は、多くの原因が考えられるため、獣医師としっかりとコミュニケーションを取りながら、適切なケアを行っていくことが大切です。
猫が下痢をしてしまったら、すぐ動物病院へ行くべきですか?
猫が下痢をしてしまった場合、飼い主としてその対処に迷うこともあるでしょう。
下痢の状態や猫の全体的な様子によって、獣医師に相談するタイミングが変わります。

症状の軽い場合:もし下痢が「いつもより少し柔らかい」程度で、猫自体は元気で食欲も普段通りであれば、すぐには動物病院へ行く必要はないかもしれません。
しかし、下痢が数日続く場合や気になる変化が見られる際には、早めに専門家の意見を求めることを推奨します。

すぐに獣医師に相談すべき症状

・激しい下痢や頻回の下痢
・元気がなく、食欲減退や脱水の兆候
・嘔吐や血便、黒色便の出現
・幼齢猫や高齢の猫での下痢
・下痢以外の消化器症状の併発
・中毒の可能性が考えられる場合(例: 猫が有毒な物を食べた可能性がある場合)

猫の下痢は一時的なものから重症の病気のサインまでさまざまな原因が考えられます。
従って、何かしらの異変や気になる症状を感じた場合、早めに動物病院を受診し、獣医師に相談するのがベストです。
病気の早期発見・早期治療は、猫の健康を守るためにとても重要です。
猫の下痢が続いていますが、どうしたらいいでしょうか?
猫の下痢は一時的なものから深刻な疾患の兆候までさまざまな原因が考えられます。
下痢が3日以上続く、頻繁に再発する、または元気や食欲が低下し、嘔吐などの症状が伴う場合、それはただの一時的な症状ではない可能性が高まります。

特に、異物や毒物の摂取が疑われる、子猫や老齢猫が下痢をしている、トマトジュースのような赤い便が確認される、または激しい嘔吐が伴う場合など、これらの症状は緊急性の高い疾患や症状の重症化を示唆しています。
そのため、これらの兆候を確認した場合は迅速に動物病院を受診することを強く推奨します。

下痢の持続期間によって、急性と慢性に分けられます。
急性の下痢は、特定の原因(食事の変更、感染症など)により突然発症し、短期間で回復が見られることが多いです。
一方、慢性の下痢は、数週間にわたり続くもので、治療にはより継続的なアプローチと診断が必要となることが多いです。

猫の健康を守るため、下痢の症状には敏感に対応し、必要に応じて動物病院での診察を受けることが大切です。
猫が下痢をしたとき、自宅でできる対処法はありますか?
猫が下痢をしてしまうと飼い主として心配になりますが、自宅で取り組める初期対応がいくつかあります。

1. 便の観察:猫の健康状態を知る手がかりとして、便の状態をしっかりチェックしましょう。
具体的には、便の形や匂い、色、そして便以外の異物混入有無や排便回数を観察します。
特に、便の匂いや色に変化がある場合、内部での炎症や出血、消化不良の可能性が高まります。

2. 尿のチェック:下痢による脱水を早期に察知するため、尿の回数や量、色の変化をチェックします。
尿の色が濃くなる、または量が少なくなっている場合、脱水の危険性が考えられます。

3. 食欲と元気の確認:猫の日常の様子、食欲や活動量を確認します。
下痢とともに食欲が落ちたり、元気がなくなったりした場合、その下痢の原因が深刻なものである可能性が考えられます。

4. 食事の見直し:突然の食事の変更や新しいおやつの導入は、猫の下痢の原因となることが多いです。
食事内容を見直し、もし最近変えた食事があれば、一時的に前の食事に戻してみるのも一つの方法です。

5. 水分と電解質の摂取:脱水症状を予防するため、常に新鮮な水を提供しましょう。
脱水が懸念される場合、電解質入りの液体や手作りのスープを追加してあげることも考えられます。

6. 薬の使用:猫専用のプロバイオティクスや下痢止めは、獣医師の指示の下でのみ使用すべきです。
自己判断での投薬は避け、症状が持続する場合は必ず獣医師の診察を受けるようにしましょう。

猫の下痢は一過性のものもあれば、深刻な疾患のサインであることも。猫の様子や症状をしっかりと観察し、適切な対応を心がけることが大切です。
猫の下痢を予防する方法はありますか?
猫の下痢は、ペットオーナーにとっても猫自身にとっても大きな負担となります。
そんな下痢を予防するための具体的な方法を以下にまとめました。

1. ストレスの管理:猫はストレスを受けやすい生き物です。新しい環境や変化に慎重にアプローチし、例えば引越しの際は数日前から新しい場所での生活を始めることで、猫のストレスを軽減させましょう。
また、キャットタワーや隠れ家を設けることで、プライベートな空間を提供することが重要です。

2. 適切な食事の選択:「安さ」のみで食事を選ぶのではなく、猫の年齢や健康状態に合わせた食事を選びましょう。
食事の変更時は、新旧のフードを段階的に混ぜることで、消化器系への影響を緩和します。

3. 人間の食事の与え方:猫は人間の食べ物を食べることは好きかもしれませんが、それが猫の消化器系に合わない場合が多いです。
また、肥満や他の健康問題の原因ともなり得るため、人間の食事は控えることが推奨されます。

4. ワクチン接種:感染性の下痢を予防するためには、適切なワクチン接種を実施することが大切です。
特にウイルス性の下痢には、ワクチンが非常におすすめです。

5. 室内飼いの実践:外部の感染リスクを低減するため、猫を室内で飼うことをおすすめします。
特に感染性の下痢の危険がある場合や、他の猫との接触が考えられる場合は、猫を隔離し、他の猫との接触を避けることが大切です。

まとめとして、日常的な注意と適切なケアによって、猫の下痢を予防できます。愛猫の健康を守るため、これらの方法を実践してみましょう。

編集部まとめ

ここまで猫が下痢になったらどうすればいいのかについてお伝えしてきました。
猫が下痢になったらどうすればいいのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • か猫の下痢の種類は、「軟便」「水様便」「血便・血様便」「小腸性の下痢」「大腸性の下痢」「急性の下痢」などがある
  • 猫が下痢になった時は、猫の元気がなくなったり、熱を持っていたり、嘔吐したり、腹痛を示すような行動を取ることがある
  • 猫が下痢をしたときには、「便の観察」「尿のチェック」「食欲と元気の確認」「水分と電解質の摂取」「薬を使用する」などの対処法がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献