目が赤い、普段と色が違う、瞬膜が出たままになっているなど、猫の目がおかしいと感じた経験はありませんか。何らかのトラブルが起きているときに、猫の目に異変が起きることがあります。結膜炎や角膜炎などのほか、失明リスクのある眼病やほかの部位の疾患が原因となる場合もあります。猫の目がおかしいと感じたときに考えられる病気やその対応について解説します。
猫の目がおかしいときに考えられる病気

猫の白目や虹彩部分、また瞬膜の様子がおかしいときに考えられる病気について解説します。実際に目の異常が見られた場合には、動物病院できちんと診断を受けるようにしましょう。
- 猫の目が赤いときに考えられる病気はなんですか?
- 猫のまぶたが赤い場合には、眼瞼炎(がんけんえん)である可能性が高いでしょう。眼瞼炎は目の縁に起きる炎症です。アレルギーや涙によって炎症が起きることが原因といわれています。
目の表面が赤く充血している場合は、まずは結膜炎が考えられます。結膜炎は、白目の表面からまぶたの裏を覆う粘膜に炎症が起きている状態です。また、黒目の表面を覆う角膜に炎症が起きているときは角膜炎、眼球の内側のぶどう膜に炎症が起きているときはぶどう膜炎の可能性があります。その他にも、角膜に傷がある場合、緑内障、網膜剥離などの病気でも、目の充血が現れることがあります。
目のなかが赤い場合は、眼球内の出血である眼内出血が起きています。眼内出血は白内障、緑内障、網膜剥離、角膜穿孔(せんこう)、水晶体脱臼などのほか、高血圧や心臓病が原因で起こることもあります。失明リスクも高いため、注意が必要です。
- 猫の目の色から病気を判断する方法があれば教えてください
- 虹彩が全体的に白く濁っている場合は、角膜炎の可能性があります。角膜炎では、光をまぶしがる様子や涙が出ることがあります。水晶体のみが白く濁る場合は白内障が疑われます。
虹彩が赤く見えるときは、出血や充血が起きていることが考えられます。虹彩が真っ赤になっているときは、前眼房で出血が起きている可能性があるため注意しましょう。白目が赤くなっており、かゆそうにしている場合は結膜炎が疑われます。
全体的に緑や黄色に見える場合は緑内障かもしれません。明るいところでも瞳孔が開いているかどうかをチェックしましょう。緑内障は進行すると目が大きく飛び出します。失明リスクも高いため、早めに動物病院を受診しましょう。
白目が黄色く見える場合は、肝機能障害が原因で黄疸(おうだん)が出ている可能性があります。歯肉なども黄色くなるため、併せて確認してください。
目の表面が黒く変色している場合は、その部分が壊死している角膜黒色壊死症が疑われます。特にペルシャやヒマラヤンに多く罹患報告がある病気です。痛みや涙が出ることも少なくないでしょう。
- 猫の瞬膜が赤いのは病気ですか?
- 瞬膜とは、猫の目頭にある白い膜で、第3のまぶたとも呼ばれます。普段はまぶたの下に入っており見えませんが、眠いときやまばたきをした際に出ることがあります。
瞬膜が赤やピンク色に見える場合は、傷がついているケースや、細菌による感染症で炎症が起きているケースが考えられます。少し腫れることもあるため、瞬膜の色の変化が見られた場合は併せて確認しておきましょう。
- 猫の瞬膜が戻らず出たままになっています。どのような対応をするべきですか?
- 猫の瞬膜は通常は出ていないものです。普段から常に瞬膜が出ている場合は、内側にある瞬膜腺に炎症が起きている可能性があります。また、瞬膜を固定する結合組織が弱いことも原因になります。
その他、瞬膜や目の周辺に腫瘍ができている場合、神経麻痺、脱水によっても瞬膜が出たままになることがあります。一時的に出たままになっている場合は、ストレスが原因であることもあるので注意しましょう。
瞬膜が出たままになっている場合は、自宅で治すことは困難です。動物病院を受診して、適切な処置をしてもらいましょう。
猫の目がおかしい場合の治療

猫の目がおかしい場合には、それぞれの原因に応じた治療が必要です。目の病気が起きたときの治療について解説します。
- 猫の目がおかしい場合はすぐに病院に連れて行くべきですか?
- 猫の目がおかしいと感じたら、できるだけ早く病院に連れて行きましょう。特に片目だけに異常が起きているときは、何らかの病気にかかっている可能性が高いといえます。猫の目の病気には、結膜炎をはじめさまざまなものがありますが、どの病気であっても大切なのは早期発見と早期治療です。適切な診断を受けて早めに治療を行えば、早くよくなる可能性も高くなるでしょう。
- 点眼薬や眼軟膏をうまく使うコツはありますか?
- 点眼薬や眼軟膏をうまく使うには、猫に恐怖感を与えないことです。正面から行うと怖がってしまうことがあるため、背後から抱っこして投薬します。顔を固定するときは、親指は額に置き、その他の指で顎を支えましょう。
点眼薬の場合は、親指で上まぶたを引き上げて、白目の部分に1滴垂らします。点眼の際には、目薬が猫の視界に入らないようにするのがポイントです。
眼軟膏は、白目ではなくまぶたの裏に塗るようにします。寝ているときに行う場合は、閉じたまぶたを引っ張り、なかに入るように塗るとよいでしょう。
- 目の手術が必要なケースを教えてください。
- 眼球や眼窩(がんか)の腫瘍、角膜穿孔、緑内障、重度の角膜潰瘍、まぶたの形状異常が起きている場合には、目の手術が必要になることがあります。腫瘍の場合は、腫瘍部分だけを切除することは困難であるため、多くの場合が眼球摘出手術となります。角膜穿孔や緑内障で失明し、痛みや感染症が起きた場合にも、眼瞼摘出手術を選択することがあります。
猫の目がおかしくなる前にできるケア
猫の目がおかしくなる前に、自宅でできる予防策をご紹介します。目の病気にかからないような環境を整え、日頃から愛猫の様子を観察するよう心がけましょう。
- 猫の目がおかしくなる前に自宅でできるケア方法があれば教えてください
- 目に汚れなどが付着していた場合は、優しく拭き取ってきれいにしてあげましょう。汚れや目やにを放置しておくと、目の病気にかかるリスクが上がってしまいます。
自宅でできる予防策は、愛猫が健康的に暮らせる環境を整えることです。室内飼いの場合でもさまざまな刺激や異物で目にダメージを受ける場合があります。リスクになりそうなものは猫の居住空間に置かないなど、猫が安全に暮らせるようにしましょう。猫の健康を保つには、バランスのよい食事を与え、ストレスのない環境や清潔な空間を保ち、日頃から体調管理を行うことが大切です。
- 定期的に動物病院に通うことも対策となりますか?
- 定期的な健康診断や検査は、猫の健康管理においてとても大切です。目がおかしいと感じることや気になる症状がなくても、検診を行うことで病気が発見される可能性もあります。早期に治療を行えば、治療の効果も高まるといえるでしょう。年齢や体調にもよりますが、少なくとも1年に1回は動物病院の受診をおすすめします。
編集部まとめ
猫の目がおかしい原因としては、結膜炎や角膜炎などの病気が考えられる可能性があります。失明リスクの高い緑内障や角膜穿孔などの場合もありますので、異常を感じた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。目の病気を防ぐためには、日頃から愛猫の健康管理を徹底することが重要です。食事や生活環境はもちろん、普段の様子をよく観察して、おかしいと感じたらすぐに気付けるようにしておくと早期発見につながります。