「やたらと鳴くようになった」「鳴き方がいつもと違う」など、愛猫の変化に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
猫は言葉の代わりに鳴き声で気持ちを伝える動物です。ですが、必要以上に鳴き続ける無駄鳴きには、空腹や甘えだけでなく、ストレスや体調不良、病気が関係していることもあります。
本記事では、猫の無駄鳴きの原因や対処法、受診の目安について、わかりやすく解説していきます。
猫が無駄鳴きする主な原因

猫が突然よく鳴くようになったと感じたときは、まずは「何か訴えていることがあるのでは」と考えてみましょう。ここでは、猫が無駄鳴きをする主な理由について解説します。
- 猫が無駄鳴きするのはなぜですか?
- 空腹やかまってほしい気持ち、ストレスや体調不良など、さまざまな原因が考えられます。
猫は言葉で伝えられない分、鳴き声で気持ちを表現します。例えば、餌が空になっていたり、飼い主に遊んでほしかったりすると、鳴いて知らせようとします。特に室内飼いの猫は、飼い主との接点が少ないと「構ってアピール」として鳴くことが多くなります。
また、環境の変化や我慢していることがあるときには、ストレスが原因となって無駄鳴きにつながることもあります。運動不足も気分転換ができず、鳴くことで欲求不満を紛らわせようとするケースが見られます。
さらに、猫が痛みや不調を感じているときも、鳴き声で異変を伝えようとすることがあります。普段と様子が違う、動きが鈍い、鳴き方にいつもと違う調子があると感じたら、体調不良のサインかもしれません。よく観察してあげましょう。
- 発情期は無駄鳴きが増えますか?
- 増えます。特にメス猫では、大きな声で何度も鳴くことが多くなります。
発情期の猫は、オス・メスともに独特な大きな鳴き声を発することがあります。これは交尾相手を探すための行動で、特にメスは「雄叫び」のように激しく鳴き続けることがあります。夜間の無駄鳴きが増えるのもこの時期の特徴です。
- 環境の変化やストレスによる影響があるのか教えてください
- あります。猫は変化に敏感な動物なので、ちょっとした違いにも強く反応します。
引っ越しや模様替え、来客、ほかの動物との接触などは猫にとってストレスの原因になりがちです。新しいにおいや音、人の気配などに敏感に反応し、落ち着かなくなったり、無駄鳴きが増えることがあります。
トイレや食事の場所が変わっただけでも不安定になる猫もいます。無駄鳴きが続くときは、環境に変化がなかったかを振り返ってみるとよいでしょう。
無駄鳴きの裏に潜む病気や不調
猫が鳴くのは自然な行動のひとつですが、急に鳴き方が変わったり、鳴く頻度が増えたりしたときは、体や心に何らかの不調を抱えている可能性があります。
- 高齢猫が急に鳴き続ける場合、病気の可能性もありますか?
- あります。加齢に伴う病気や認知症、内臓の異常が原因になっていることもあります。
高齢猫がこれまでと違ってよく鳴くようになった場合、体に異変が起きているサインかもしれません。特に、夜中に鳴く、突然大きな声を出す、落ち着きがないといった変化がある場合は注意が必要です。
- 認知機能不全で無駄鳴きすることはありますか?
- 高齢猫の夜鳴きや意味のない鳴き声は、認知症の症状のひとつです。
猫の寿命が延びるなかで、認知症になる猫も増えています。11歳を過ぎたあたりから発症のリスクが高まり、特に15歳以上では顕著に見られるようになります。夜中に突然鳴き出したり、昼夜のリズムが乱れたりする場合は要注意です。
そのほかにも、方向感覚を失って徘徊する、トイレの失敗が増える、反応が鈍くなるなどの行動変化が現れることがあります。
- 甲状腺機能亢進症や高血圧が原因になることもあるのか教えてください
- あります。特に甲状腺機能亢進症は中高齢の猫に多く、夜鳴きや落ち着きのなさを引き起こします。
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、代謝が異常に活発になるため、興奮しやすくなり、夜鳴きや攻撃的な行動が増えることがあります。
また、よく食べるのに痩せてくる、落ち着きがない、毛づやが悪くなるといった症状も特徴的です。高血圧もあわせて起こりやすく、眼や腎臓、心臓に負担がかかるため、放置すると命に関わることもあります。
- 痛みや不安が原因で無駄鳴きすることもありますか?
- あります。ケガや病気の痛み、不安や恐怖が原因で鳴くことがあります。
急なケガや体の異変による痛みで、叫ぶように鳴くことがあります。また、トイレの痛みがある尿路結石などでも、排尿時に鳴くケースがあります。不安や恐怖でも鳴くことがあり、知らない人の来訪や大きな音などがきっかけになることもあります。
猫の無駄鳴きをやめさせるための方法
猫の無駄鳴きは、正しいアプローチで軽減できることがあります。ここでは、家庭で試せる対策をご紹介します。
- 猫の無駄鳴きをやめさせる方法を教えてください
- まずは食事やトイレなど基本的な欲求を満たし、それでも鳴く場合は無視や遊びで対応します。
空腹や不快感などの原因があれば、まずはそれを取り除くことが大前提です。環境が整っているのに鳴く場合は、鳴いても構ってもらえないと学習させるため、あえて無視することが効果的な場合もあります。
また、遊びの時間を増やすことでストレスや退屈を軽減でき、鳴き声が落ち着くこともあります。発情期が原因の場合は、避妊・去勢手術を行うことで改善が期待できます。
しつけとして霧吹きで水をかける、落ち着ける狭い場所に入れるなどの方法もありますが、猫の性格を見ながら慎重に取り入れましょう。
- 鳴いたときに無視するのは効果がありますか?
- あります。要求鳴きには反応しないことが基本です。
猫は「鳴けば構ってもらえる」と学習すると、さらに鳴くようになります。そのため、生理的な問題が解決されている場合は、あえて反応せず静かにしておくのが効果的です。根気が必要ですが、しだいに無駄鳴きが減っていくことが多いです。
- 猫が安心できる隠れ家や高い場所を用意すると効果がありますか?
- 安心できる居場所があると、無駄鳴きが減る傾向があります。
猫は環境に敏感な動物です。落ち着ける隠れ家や、高所に設けたキャットタワーなどは、安心感を与え、ストレスをやわらげる効果があります。リラックスできる空間があることで、鳴いて気持ちを発散する必要がなくなることもあります。
- フェロモン製品やおもちゃの利用は無駄鳴き対策になるのか教えてください
- はい。気分を落ち着かせる製品や、遊びで気を紛らわせることが効果的です。
フェロモン製品(フェリウェイなど)は、猫の気持ちを安定させる作用があり、ストレスによる鳴き声に対して効果が期待できます。また、遊びを通じてエネルギーを発散させることで、鳴き声を減らせる場合もあります。
動物病院を受診するタイミング

無駄鳴きが続く場合、すぐに病気とは限りませんが、なかには命に関わるケースもあります。以下の内容を参考に、受診の目安を知っておきましょう。
- 無駄鳴きが何日くらい続いたら受診を検討すべきですか?
- 発情期が原因であれば自然におさまることが多く、すぐに受診する必要はありません。
猫は日照時間の変化に反応して発情がおさまるため、発情期の鳴き声であればしばらく様子を見ても問題ないことが多いです。ただし、発情ではなさそうな場合や、鳴き方が異常に感じられる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
- 無駄鳴き以外にどのような症状があれば早めに受診した方がよいですか?
- 排尿異常や元気消失、嘔吐、けいれんなどがある場合は、すぐに受診が必要です。
特に尿路結石で尿が出なくなった場合は命に関わるため、以下のようなサインがあるときは、様子を見ずに病院へ連れて行きましょう。
・排尿時に痛がって鳴く
・何度もトイレに行くが尿が出ない
・血尿が見られる
また、次のような症状も病気の可能性が高く、早めの受診が必要です。
・食欲がない・元気がない
・嘔吐や下痢をしている
・呼吸が荒い
・けいれんしている
鳴き方の変化があるときは、ほかの症状がないかも合わせて観察しておくと、受診時の説明に役立ちます。
編集部まとめ
猫の無駄鳴きには、必ず何かしらの理由があります。なかにはちょっとした甘えや運動不足など、すぐに対処できるものもありますが、放っておくとストレスや体の不調が悪化してしまう可能性も。
まずは、鳴く理由を冷静に観察することが大切です。飼い主にできる工夫で改善するケースも多くありますが、異常が見られる場合は早めに動物病院へ相談しましょう。愛猫とよりよい関係を築くためにも、無駄鳴きのサインに耳を傾けてみてください。