猫の抜け毛対策|ブラッシングや部屋掃除のポイント、抜け毛の原因など解説

猫の抜け毛対策|ブラッシングや部屋掃除のポイント、抜け毛の原因など解説

猫の抜け毛に悩んでいませんか? 猫の抜け毛が増えるのにはいくつかの原因が考えられます。また、抜け毛を放置していると、猫が病気になるリスクがあるだけでなく、人間の健康にもさまざまな悪影響を及ぼします。特に、猫の毛が生え代わる換毛期には、適切な抜け毛対策を行うことが大切です。この記事では、猫の抜け毛の原因やブラッシングや掃除のポイントを詳しくご紹介します。猫の抜け毛が気になる方はぜひ参考にしてください。

猫の毛が抜ける原因

猫の毛が抜ける原因 猫の抜け毛にはいくつかの原因が考えられます。抜け毛の原因を知っておくことで、正しい対策を行うことができるでしょう。ここでは、猫の毛が抜けるときに考えられる4つの原因について、解説します。

ダブルコートの猫種

猫の毛には、ダブルコートとシングルコートという2つの種類があるのをご存じでしょうか。ダブルコートとは、短い下毛(アンダーコート)と長めの上毛(オーバーコート)の2タイプの毛が生えている猫種のことをさします。ダブルコートの猫は転換期に下毛が生え変わるため抜け毛が多くなるのが特徴です。ダブルコートの代表的な猫種は、短毛種であればアメリカンショートヘアやスコティッシュフォールド、ロシアンブルー、長毛種ではペルシャ、ラグドール、ノルウェージャンフォレストキャットなどが挙げられます。特に抜け毛が目立つのは長毛種の猫であるといわれています。

一方、シングルコートの猫種は、短毛種ならベンガルやシャム、長毛種はメインクーン、ターキッシュアンゴラなどがいます。シングルコートの猫は下毛が生えていないため抜け毛が少ないのが特徴です。

換毛期

ダブルコートの猫は、年2回毛が生え変わる換毛期を迎えます。春には毛を落として通気性がよく涼しく過ごせる夏の毛に、秋にはふわふわとあたたかい冬の毛に生え変わります。一般的に、換毛期は6週間から2ヵ月程続くことが多く、その期間は抜け毛が増えます。特に春の換毛期は、冬の寒さに耐えるために蓄えた大量のやわらかい毛が抜け落ちるため、空中に舞いあがりやすく抜け毛が目立つ傾向があります。

栄養不足

ビタミン類やタンパク質など、皮膚や被毛を健康に保つための栄養分が不足している場合にも抜け毛が増えることがあります。なかでも、タンパク質やビタミンA、ビタミンEは皮膚や被毛の維持に重要な栄養素です。転換期ではないのに抜け毛が気になるという場合には食事の内容を見直してみましょう。

病気やストレス

病気やストレスも抜け毛の原因になります。抜け毛が増える病気としては、猫ニキビや皮膚糸状菌症、疥癬(かいせん)、アレルギーなどがあります。猫ニキビができると、炎症を起こした場所にかゆみが出るため、猫が皮膚を引っかいて毛が抜け落ちます。皮膚糸状菌症はカビの一種に感染することで円形の脱毛を引き起こす病気です。この病気は人間にも感染することがあるため、気が付いたらすぐに受診し治療を開始するようにしましょう。疥癬はヒゼンダニというダニによって発症し、かゆみが強く、脱毛のほかに発疹やフケも見られます。この病気も人間に感染するリスクがあるため注意が必要です。アレルギーは、人間と同様、食べ物やノミ、ハウスダストなどが原因で引き起こされます。アレルギー反応にはさまざまな症状があるため、必ずではありませんが毛が抜ける場合があります。病気の場合は脱毛だけでなく、ほかの症状も併せて見られることが特徴です。いつもと違った症状がないか普段から気を付けて観察しておきましょう。

また、猫はストレスを感じるとグルーミングをすることがあります。グルーミングとは、身体をなめて毛の汚れを取ったり、精神を落ち着かせたりする行動のことですが、過剰な場合は皮膚の炎症や脱毛を引き起こす可能性があります。グルーミングの頻度が多すぎると感じたときは、強いストレスを感じているかもしれません。猫のストレスの原因となっているものがないか、環境を見直してみましょう。

猫の抜け毛を放置すると起こるトラブル

猫の抜け毛を放置すると起こるトラブル 猫の抜け毛を放置していると部屋が汚れるだけではなく、猫や人間の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。ここからは、猫の抜け毛を放置していると具体的にどのようなトラブルの原因になるのか解説します。

皮膚炎や毛球症

大量の抜け毛が猫の身体にもつれて毛玉になってしまうと、何かにひっかかったり皮膚への刺激になったりして皮膚炎を起こす可能性があります。毛玉の状態がひどいと自宅でカットするのが難しくなるため、その場合は動物病院やトリミングサロンでの処置が必要です。

また、毛を飲むことで毛球症を発症するリスクもあります。毛球症は消化器官内に毛玉がたまって排出できなくなる病気です。脱毛が多いと、猫がグルーミングで身体をなめたときに毛を大量に飲み込み、胃腸のなかで毛玉ができます。小さな毛玉の場合は猫が自分で吐き出すこともできますが、大きな毛玉ができた場合は、吐き出すことができず開腹手術が必要になることもあります。毛球症になると食欲不振や便秘、吐き気などがみられるため、このような症状がある場合は早急に動物病院を受診しましょう。

毛玉による胃炎や食道炎

飲み込んだ毛が胃を刺激したり、毛玉を吐き出すために嘔吐を繰り返したりすると、胃炎や食道炎を引き起こすリスクがあります。胃炎や食道炎を発症すると、食欲不振や下痢嘔吐などの症状が現れます。そのままにしていると、食事が取れなくなってしまう恐れもあるため、早めの治療が必要です。

ハウスダストによるアレルギー

猫の抜け毛を放置していると、ほこりやダニが集まり、ハウスダストとなってアレルギーを引き起こす場合があります。ハウスダストアレルギーは人間だけでなく、猫も発症する可能性があります。特に猫は地面近くの空気を吸っているため、ハウスダストの影響を受けやすいのです。猫がアレルギー反応を起こすと、かゆみや皮膚炎、くしゃみ、咳など人間と同じような症状が現れます。

また、飼い主がアレルギーを発症してしまうと、猫を飼い続けるのが難しくなってしまう可能性もあるでしょう。猫の抜け毛は放置せず、こまめな掃除と抜け毛対策を行うことが大切です。

猫の抜け毛対策

猫の抜け毛対策

猫の抜け毛を放置していると、猫と人間双方の健康を害するリスクがあります。猫を飼っているなら抜け毛対策は必須といえるでしょう。ここからは、猫の抜け毛に効果的な対策をご紹介します。

こまめにブラッシングする

猫の抜け毛の散乱や、猫が毛をなめて飲み込んでしまうのを防ぐにはこまめなブラッシングが効果的です。ブラシとコームを使用し、身体を念入りにブラッシングしましょう。しっぽや耳回り、内股部分も毛が抜けやすいため忘れずに行い、顔周りや足はコームでとかします。皮膚を傷つけないように優しく行うのがポイントです。換毛期には短毛種なら1日1回、長毛種なら1日2回ブラッシングを行うと、抜け毛が落ちる量を減らすことができます。

シャンプーで抜け毛を予防する

抜け毛の除去にはシャンプーが効果的です。ブラッシングをしてからシャンプーをするとより多くの毛を落とし毛のもつれも予防できます。ただし、あまりに頻回なシャンプーは猫のストレスになってしまうため注意しましょう。嫌がる場合は無理にシャンプーをするのは控え、あたたかいお湯で濡らしたバスタオルで身体を拭いてあげるだけでも、抜け毛を取り除くことができます。

食事を見直す

栄養不足による脱毛を予防するためには、タンパク質やビタミンなど栄養バランスが取れた食事を与えることが大切です。キャットフードを与えている場合は、栄養成分にも注意して選びましょう。特にタンパク質は筋肉や皮膚、毛を維持するために重要な栄養素です。キャットフード100gあたり26g以上のタンパク質が含まれているものが理想といわれています。

手作りの餌を食べさせる場合は、高タンパク低カロリーな鶏肉やビタミンが豊富な野菜などをバランスよく与えるようにしましょう。ただし、身体に必要なタンパク質でも、過剰に与えすぎると腎臓に負担をかけてしまいます。新たな病気のリスクにもなりかねないため、食事の内容や種類には注意が必要です。猫種や体重に応じて決められた適正量を与えるようにしましょう。

猫の抜け毛対策になる正しいブラッシング方法

猫の抜け毛対策になる正しいブラッシング方法 猫の抜け毛対策に有効なブラッシングですが、実は正しい方法を知らずに行っているという方も少なくありません。間違った方法でブラッシングを行うと、猫の地肌を傷つけてしまったり、猫がブラッシング嫌いになってしまったりする可能性があります。ブラッシングは抜け毛対策に効果的なため、換毛期には頻繁に行いたい場合もあるでしょう。人間にも猫にもストレスにならないために、正しいブラッシングのコツを押さえて効果的な抜け毛対策を行いましょう。

毛並みに沿って行う

ブラッシングは毛並みに沿って行うことが基本です。背中側は頭からしっぽへ、側面は背中からお腹へ、お腹側は胸からお尻へ、顔は中心から外側へというように毛の流れと同じ向きにブラシを動かしましょう。猫も毛並みに沿ってブラシでなでられると気持ちがよく、おとなしくブラッシングをさせてくれる場合があります。毛並みに逆らったブラッシングは毛玉を作ったり、皮膚を傷つけたりするリスクがあるため避けましょう。

地肌を傷つけないように慎重に行う

ブラッシングで地肌を傷つけると皮膚トラブルの原因になってしまうため、力加減に気を付けて慎重に行う必要があります。弾力があり、先が丸いブラシで毛の生え際から流れに沿ってブラッシングをするのがポイントです。コームを使うときには、猫の身体に垂直に当てると地肌を傷つけるリスクがあるため、少し寝かせてとかします。一度痛い思いをしてしまうと、ブラッシングが嫌になり、ブラシを見ただけで逃げ出してしまう猫もいます。力を入れすぎたり、骨が出ている部分にブラシやコームを当てたりしないように注意しましょう。

短時間でご褒美をあげながら行う

ブラッシングの時間が長すぎると猫のストレスになってしまいます。途中で嫌がった場合は無理に続けるのではなく、いったん中止して時間を空けたり、ご褒美をあげながらブラッシングしたりするのがよいでしょう。猫によっては、短い時間で複数回に分けてブラッシングを行う方がストレスにならない場合もあります。猫の様子を見ながら無理のない範囲で行いましょう。

心地よいブラッシングは猫と飼い主のスキンシップになり、猫のストレスを減らす効果や身体に触って健康状態の確認ができるメリットがあります。また、ブラッシングは定期的に何度も行う必要があるため、猫がブラッシングは嫌なもの、怖いものというイメージを持ってしまうと、今後のお手入れが難しくなってしまう場合があります。猫にブラッシングは気持ちがよいものと感じさせ、好きになってもらうことが大切です。

猫の抜け毛に効果的な掃除のポイント

猫の抜け毛に効果的な掃除のポイント

猫の抜け毛を放置していると、部屋が不衛生になりアレルギーや病気にかかるリスクが高まります。こまめに掃除を行っていても、猫を飼っていないお部屋と同じ掃除の方法では実は猫の毛が取り切れていない場合もあるのです。ここからは、猫の抜け毛に効果的な掃除のポイントをご紹介します。抜け毛対策をしっかりと行い、部屋を清潔に保ちましょう。

掃除機をかける前に霧吹きをする

猫の毛はふわふわと軽いため、普通に掃除機をかけると猫の毛が空中に舞いあがってしまいます。毛が舞うと、壁やカーテン、棚のうえなどにまで毛が付着し、掃除が一層大変になってしまいます。これを防ぐためには、掃除機をかける前に部屋全体に霧吹きをかける方法がおすすめです。適度に毛を湿らせることで、掃除機の排気で毛が舞うのを防げます。また、霧吹きをした後に床を雑巾で拭いて毛を集めてから掃除機をかけるのも効率的な方法です。

布製品の掃除にはゴム手袋を使う

布製のカーペットやソファーなどは、猫の毛が絡まって取れにくく、意外と汚れがたまっている場所です。こまめに掃除機をかけていても、布製品に付着した猫の毛はなかなか落ちてくれません。そこでおすすめなのが、ゴム手袋を着けて軽くこする方法です。布製品の表面をゴム手袋で軽くこすると、ゴムの摩擦が猫の毛を巻き取り、簡単に抜け毛を集めることができます。粘着ローラーなどでは取りにくい細かい箇所のお掃除にも活用できるのがメリットです。

まとめ

猫の抜け毛の原因と対策について解説しました。猫の抜け毛は、放置していると人間にも猫にも健康に悪い影響を及ぼします。猫の抜け毛が気になったときは、ブラッシングやシャンプー、食事の見直しなどの抜け毛対策を行いましょう。しかし、対策を行っていても、猫と暮らしている限り、抜け毛をなくすことはできません。猫の毛を取り除くためには定期的な掃除を行うことが大切です。掃除機をかける前の霧吹きや、ゴム手袋などを活用して清潔なお部屋の環境を維持しましょう。

参考文献