猫がずっと鳴いてるのはなぜ?鳴き声からわかる猫の気持ちや、注意の必要な鳴き声も解説します

猫がずっと鳴いてるのはなぜ?鳴き声からわかる猫の気持ちや、注意の必要な鳴き声も解説します

人間の言葉が話せない猫にとって、鳴き声は飼い主さんに自分の気持ちを伝える手段の一つです。鳴き声をよく聞いているとさまざまなバリエーションがあることに気付きます。鳴き声には猫の体調を知る手がかりが隠されています。病気にかかったことでいつもと違う鳴き声を発している場合など、鳴き声には猫の体調を知る手がかりもあります。獣医師に相談すべき鳴き声はどのようなものなのか、猫が鳴き続けてるのはなぜなのかについて解説します。

猫がずっと鳴いてる理由

猫がずっと鳴いてる理由

飼い猫が頻繁に鳴き声を発している場合、どのような理由があるのでしょうか。どうして子猫はよく鳴き、野良猫よりも飼い猫の方がよく鳴くのかについて解説していきます。

子猫がよく鳴く理由を教えてください。
子猫が鳴くのは、空腹などの欲求を鳴き声で母猫に伝えているためです。大人の猫であれば、鳴き声以外でも表情や仕草でコミュニケーションを取れますが、子猫にはそれができないため、人間がその原因を見分けるのは簡単ではありません。生後まもない子猫を世話するときは、鳴き声以外の様子からも状態を判断できるように注意深く観察しましょう。
野良猫より飼い猫の方がよく鳴くのはどうしてですか?
野良猫は、外敵の脅威から身を守り日々の糧となる獲物を捕らえるためには、自分の存在を気付かせないように振る舞う方が都合がよいのです。野良猫同士は、ボディランゲージやお互いのニオイを嗅ぐことで十分にコミュニケーションが取れているのです。猫同士の喧嘩のときや発情期ぐらいにしか野良猫は鳴きません。一方、言葉によってコミュニケーションを取っている人間と暮らす飼い猫はお腹がすいたり遊んで欲しかったりすると、飼い主さんに鳴き声で呼びかけているのです。

注意が必要な猫の鳴き方

病気などの異常があって鳴いている場合は注意が必要です。ではそれはどういった鳴き方なのでしょうか。病気によって違う鳴き方をする場合がありますので、その傾向について解説します。

猫が大声で叫ぶように鳴いているのはなぜですか?
猫の平均寿命が延び、認知症になる猫が増えてきました。11歳を超えるくらいの高齢の猫が大きな声で鳴いたり、夜鳴きしたりするようになった場合は、認知症が疑われます。認知症になるとこのほかにも徘徊やトイレ以外の場所での粗相、日中寝ている時間が増える、自分の名前や飼い主さんの声に反応しなくなる、興奮しやすくなるなどの行動の変化が見られます。
猫がうなるように鳴いています。具合が悪いのでしょうか。
猫は尿路結石ができると、トイレをするときに痛みを感じ(排尿痛)鳴くことがあります。尿路結石にかかると、排尿痛のほかに頻尿や血尿などの症状が見られます。
猫が鳴いた後に吐いたり咳き込んだりするとき、考えられる病気を教えてください。
ナウン、ナウンと鳴いてから毛やフードを吐き出す場合は、消化器官の働きが弱まっているかもしれません。鳴きながら頻繁に嘔吐するときは、一度動物病院で診てもらうとよいでしょう。鳴いているとき、たまに咳き込んでいる場合は、気管支炎などの呼吸器系の病気が疑われます。また、呼吸音にゼーゼーと苦しそうな音が混じる場合は、心臓系の病気のおそれもあるので、すぐに動物病院を受診してください。

ずっと鳴いてる猫への対処法

ずっと鳴いてる猫への対処法

飼い主さんは鳴き続けてる猫に対してどのように接したらよいでしょうか。原因には何があるのか、そのとき飼い主さんはどう行動すればよいのか、また受診の目安についても解説します。

ストレスが原因で鳴き続ける猫にはどう接すればよいですか?
飼い主さんがかまってくれないストレスや不安感によって鳴き続けてる場合、積極的に猫とコミュニケーションを取れば改善することもあります。短時間でもよいのでこまめに撫でてあげるなどして、精神的なケアを心がけましょう。

ただし、まだ人に慣れていない猫の場合は、飼い主さんがかまうことが逆にストレスになってしまうこともあるので注意が必要です。そういった猫の場合は人の目を気にせず安心してこもっていられる空間を用意してみてください。

ほかには、家具の配置変更などのささいな変化がストレスになり、鳴くことで自分自身を落ち着かせようとすることがあります。飼い猫が不安そうにしているときには、家のなかで何か変化はないかなどを見直し元の状態に戻すことで落ち着くかもしれません。

ストレスによる猫の問題行動への解決策として、ストレス緩和効果を謳うフードやサプリメントが挙げられます。猫の下部尿路疾患の療法食を食べさせることで、ストレスからくる問題行動が改善できる場合もあります。ただし、これらの療法食は基本的に獣医師が処方するものなので、使用を検討する際はまず動物病院へ相談しましょう。

ほかには、母乳のもつ鎮静作用からヒントを得た、α-カソゼピンという成分が配合された動物病院専門のサプリメントなども人気です。分離不安症やストレスが原因の鳴き癖に悩まされている場合は検討してもよいかもしれません。猫のフェロモンから着想を得たストレス軽減の手段として、フェイシャルフェロモンF3類緑化合物を含むスプレータイプのグッズがあります。これは猫の頬袋に含まれるフェロモンを人工的に作り出した成分で、部屋やケージで使用すれば、猫の不安を和らげ精神を安定させる効果があるとされています。

サプリメントの使用によって粗相やイタズラ、鳴き続けてるなど、ストレスが原因の問題行動が治まるケースもあります。これらのサプリメントやグッズを使用する前にも、かかりつけの獣医師に念のため相談しましょう。
ずっと鳴いてる猫を無視しても大丈夫でしょうか。
猫は人間でいうと2~3歳くらいの知能がありますので、鳴いてせがめば飼い主さんが要求に応えることを学習します。例えば、夜中に鳴き続けてる猫をかまってしまうと、鳴けば自分の要求を聞いてもらえると思ってしまうのです。
鳴けば要求に応えてもらえることが習慣化すると、状況はより悪化します。この場合は無視を決め込むことが効果的です。猫によっては、静かにして欲しいといった呼びかけもかまってもらえたと感じてしまうので、反応しないのがポイントです。猫がおとなしくなってから要求に応えるようにしてみてください。
どのような場合に動物病院を受診するべきか教えてください。
認知症になった高齢の猫は鳴き続けることがありますが、そこには別の病気が潜んでいる場合もあります。代表的なものは甲状腺機能亢進(こうしん)症です。異常分泌された甲状腺ホルモンによって日頃から興奮状態になる病気で、急に活発になりやたらと走り回る、頻繁に大きな声で鳴くといった行動が見られるようになります。ほかに、高血圧症が原因で頻繁に鳴くようになる猫もいます。猫の場合、腎臓病に罹患したことで高血圧症に陥ることがあるのですが、糖尿病や心臓病から高血圧になることもあります。甲状腺機能亢進症も慢性腎不全も高齢の猫がかかりやすい病気なので、愛猫の年齢によってはこれらの病気にかかっている可能性も頭に入れておきましょう。

編集部まとめ

猫がずっと鳴いている場合のさまざまな原因について解説しました。猫には飼い主さんに何かを伝えようとして鳴き声を発する場合と、病気のシグナルとして鳴いている場合があります。いつもの様子と比べて猫の鳴き声や行動に違和感を抱いたときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。速やかに異常に気付くことで、愛猫の苦痛をいち早く取り除いてあげられるかもしれません。

参考文献