子猫は病気にかかりやすい?子猫がかかりやすい病気や予防法について解説します!

子猫 病気

子猫が病気にかかりやすいというのは本当でしょうか?また、子猫が病気にかかったときどのように対処すればよいのか、不安を抱く方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、子猫の病気について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 子猫がかかりやすい病気
  • 子猫の注意すべき症状
  • 子猫の病気を防ぐための予防法

子猫の病気について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

子猫がかかりやすい病気

子猫は生後数週間から数ヶ月の間に、上部気道感染症、消化器症状、寄生虫感染のリスクが非常に高いライフステージとされています。また、適切な予防接種を受けていない子猫は、深刻な感染症にかかるリスクも高まります。以下で詳しく解説します。

上部気道感染症

子猫がかかりやすい上部気道感染症は、別名「猫カゼ」とも呼ばれ、「猫伝染性鼻気管炎」は猫ヘルペスウイルス、「猫カリシウイルス感染症」は猫カリシウイルスが原因となって引き起こされます。二次的に細菌感染も引き起こすことがあります。

上部気道感染症は、人間の風邪に似た症状を引き起こし、その90%以上が猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルスによって引き起こされます。感染すると、鼻水、咳、くしゃみ、目ヤニ、結膜炎、発熱、口内炎などの症状が現れます。特に子猫では黄色い目ヤニが特徴的です。

猫ヘルペスウイルスは一度体内に入ると、リンパ節に潜伏し、免疫力の低下しているときに再発することがあります。猫ヘルペスウイルス感染は角結膜炎や鼻水などの症状が強く現れ、カリシウイルス感染では口内炎や食欲低下が顕著になることが少なくないとされています。

感染は主にほかの感染猫との接触により起こります。子猫がウイルスに対して免疫を獲得するまでは、症状を和らげる対症療法が中心となります。二次的な細菌感染が疑われる場合は抗生物質の投与が行われることもあります。

猫汎白血球減少症

猫汎白血球減少症は、猫パルボウイルスによる感染症で、特に子猫にとってリスクをもたらす病気です。このウイルスは、感染した猫の排泄物などを介して拡散し、腸に炎症を引き起こします。感染すると、発熱、嘔吐、下痢、血便などの症状が現れ、特に子猫では重症化しやすく、命に関わる場合も少なくありません。血液検査では白血球数の減少が確認され、これが猫汎白血球減少症の診断の重要な指標となります。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)、別名「猫エイズ」とも呼ばれるこの病気は、主に感染した猫とのケンカや母子感染により広がります。FIVに感染した猫は、初期段階では特に重篤な症状を示さないことが少なくないですが、病状が進行すると免疫力の低下によりさまざまな感染症にかかりやすくなります。典型的な症状には、発熱、下痢、口内炎、リンパ節の腫れ、貧血、食欲の低下があります。

感染の有無は血液検査によって確認できますが、離乳直後やケンカ直後などのタイミングでは正確な結果が得られないこともあります。この感染症は、一度感染すると完全にウイルスを排除する治療法は存在せず、生涯ウイルスを保有し続けることになります。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は、子猫にとって特に危険なウイルス性疾患で、発熱、免疫力の低下、貧血、成長不良、さらには白血病を引き起こす可能性があります。このウイルスは、感染した猫の唾液や鼻腔分泌物を通じてほかの猫に伝播することが多く、特に密接な接触がある場合に感染リスクが高まります。FeLVに感染した猫の多くは、3〜4年以内に重篤な健康問題を経験し、最悪の場合、命を落とすこともあります。

感染が確認された場合は、定期的に追跡検査が必要となります。FeLVは治療法が確立されておらず、一度感染するとウイルスを体内に保持し続けることになります。したがって、予防が最も重要で、特に子猫をほかの猫と接触させる際には十分な注意が必要です。

猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、多くの猫が保有する腸コロナウイルスがFIPウイルスに突然変異することによって発症する稀ながら重篤な病気です。腸コロナウイルス自体は弱く、多くの猫が無症状でこれを保有していますが、1歳以下の猫では約10%の確率でこのウイルスがFIPウイルスに変異し、発症する可能性があります。

FIPに感染すると、食欲不振、発熱、下痢の症状に加え、腹水(腹部に水が溜まる状態)や成長不良が現れることがあります。さらに重篤な場合には、死に至ることもあります。感染ルートは主に猫の唾液、鼻水、糞便、尿などを通じており、共同のトイレの使用やグルーミングを通じて感染することがあります。

現在、FIPの発症メカニズムについては解明されておらず、そのため予防法も限られています。しかし、ストレスが変異の原因となる可能性があるため、ストレスを最小限に抑えた生活環境を提供することが、猫の健康を守るための一つの方法です。

寄生虫による感染症

子猫は、体の抵抗力が成猫より弱いため、寄生虫による感染症にかかりやすいとされています。特に回虫、コクシジウム、ジアルジア、そしてトリコモナスの寄生虫は、子猫が汚染された環境で遊んだ後の毛づくろい、または母猫からの胎盤感染によって体内に入ります。感染すると、下痢、嘔吐、発育不全、食欲不振などの症状が現れることがあります。

子猫を迎えた際には、動物病院での健康診断と寄生虫駆除の相談をお勧めします。これらの病気は早期発見と適切な治療が鍵となり、子猫の健康を守るためには常に注意が必要です。

特に回虫は、体を一周して腸に戻る過程で咳を引き起こし、場合によっては口から虫体を吐くこともあります。コクシジウムやジアルジアはストレスや免疫力の低下しているときに下痢などを引き起こすことがあります。

トリコモナス症は、特に免疫力の低い子猫にとっては致命的になる可能性があります。早期発見と治療が重要で、新たに迎える子猫の健康診断では寄生虫検査も欠かせません。これらの寄生虫による感染症は予防ワクチンがないため、定期的な駆虫と環境管理が必要です。

これらの寄生虫に対してはワクチンでの予防が難しいため、定期的な健康診断と適切な駆虫が必要です。

皮膚糸状菌症

子猫がかかりやすい皮膚疾患の一つに、皮膚糸状菌症があります。この病気は糸状菌(カビの一種)に感染することで引き起こされ、特徴的な症状としては円形脱毛、フケ、かさぶた、かゆみが挙げられます。特に頭部や四肢に症状が現れることが多く、ブラックライト(UVライト)で照らすと、感染部位が蛍光グリーン色に光ることがあります。

重要なのは、この病気が人獣共通感染症であり、人にも感染する可能性がある点です。そのため、子猫が感染した場合は、人との接触を極力控え、触れた後は手をしっかり洗うことが推奨されます。

治療には、抗真菌薬の塗り薬、シャンプー、内服薬などが用いられます。子猫が感染してしまった場合は、速やかに獣医師の診断と治療を受けることが肝心です。

注意が必要な症状

子猫の食欲不振、過度の嘔吐や下痢、異常な眠り方、呼吸の問題、活動性の低下などは、すぐに診察を受けるべきサインです。また、目やに・目の充血、皮膚の異常、体重の急激な減少なども、健康上の問題を示唆している可能性があります。
以下で詳しく解説します。

嘔吐・下痢

子猫の嘔吐と下痢は、多くの場合、ウイルス・細菌感染症や寄生虫によるものです。

特に、野良猫から生まれた子猫は、生まれたときから寄生虫を体内に持っていることが多く、これらの寄生虫が栄養を奪うことで、子猫は十分に成長できず、下痢や嘔吐を繰り返すことがあります。

また、嘔吐や下痢はさまざまな病気のサインとなることが多く、子猫の場合、これらの症状が続くと脱水症状になり、それだけで命に関わるケースもあります。

子猫がミルクを少し吐いた程度でも、その症状を軽視せず、獣医師の診察を受けることが重要です。

咳・くしゃみ・鼻水

子猫に見られる咳、くしゃみ、鼻水などの症状は、上部気道感染症のサインであることが多く、これは「猫風邪」と呼ばれます。この病気は主に猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスによって引き起こされ、鼻水、咳、くしゃみ、眼やに、結膜炎、発熱、口内炎などの症状を伴います。

特に子猫は免疫力がまだ発達していないため、感染症にかかりやすく、環境の変化によっても体調を崩しやすいとされています。また、猫のぜんそくも咳の原因の一つで、アレルギー物質に反応して起こることがあります。

猫風邪のほかにも、細菌感染や鼻内の悪性腫瘍が原因でくしゃみや鼻水が見られることもあります。これらの症状が現れた場合は、早急に動物病院を受診することが重要です。また、子猫の日常の様子に注意を払い、健康上の変化を見逃さないようにしましょう。

食欲不振

子猫にとっての食事は成長と健康を維持する上で重要です。しかし、食欲不振や体重の極端な減少、食べる量の減少は、さまざまな健康問題の兆候になります。

食欲不振の原因としては、過剰な食事提供、フードの種類や味への好みの不一致、精神的なストレス、さまざまな病気などが考えられます。病気の中には、口腔内の問題、消化器系の疾患、腎臓病、心臓病、泌尿器系の病気、感染症など、食欲不振を引き起こすものがあります。

子猫が食欲不振を示した場合、ただちに動物病院での診察を受けることが重要です。特に生後数ヶ月の子猫では、食欲不振は深刻な健康リスクにつながる可能性があるため、様子を見るのではなく、迅速な対応が必要です。子猫の食事の量や回数に注意を払い、普段からの様子を観察して、健康上の問題を見逃さないようにしましょう。

発熱

子猫の発熱は、健康上の警告信号です。猫の平熱は一般的に約38℃前後であり、39℃以上の体温が測定された場合は発熱していると考えられます。発熱は、感染症、炎症、免疫反応など、体内で何らかの異常が発生していることを示唆しています。特に子猫は免疫力が未発達であるため、細菌やウイルス、寄生虫などによる感染症にかかりやすく、ストレスや環境の変化に敏感です。

そのため、子猫が発熱を示した場合は、ただちに動物病院での診察を受けることが重要です。また、41℃以上の高熱、だるくしている、激しい嘔吐や下痢などの症状が見られた場合は、特に早急に受診しましょう。

目やに・目の充血

目やにが大量に出る場合や、目頭の瞬膜がはみ出るように出る場合は、何らかの病気を患っている可能性が高いといわれています。

猫の瞬膜は、通常目の奥に隠れており、体調が悪いときに目頭から出てくることがあります。

目やにが黄色や黄緑色の場合は、特に注意が必要です。
また目の充血は、眼の炎症や感染症のサインであることが多く、子猫が何らかの病気にかかっている可能性があります。

子猫の病気を防ぐための予防法

子猫の健康を守るためには、適切な予防が必要です。

良質な栄養バランスの取れた食事、清潔な生活環境の提供、定期的な寄生虫の駆除も子猫の健康を保つためには欠かせません。以下で予防法について詳しく解説します。

動物病院で健康状態を確認する

子猫の健康を守るためには、動物病院での定期的な健康チェックが特に重要です。

子猫は、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症にかかりやすく、環境の変化によっても体調を崩しやすいため、気になる症状が見られたときは早めに動物病院を受診しましょう。

動物病院での診察では、フードやおやつの内容、生活習慣や飼育環境などについて聞かれることが少なくないため、フードの種類や量を確認してから受診するとスムーズです。

また、糞便を持参することで、速やかに糞便検査を受けられます。

ワクチンを接種する

ワクチンは、さまざまな感染症から子猫を守るための予防策としておすすめです。通常、子猫のワクチン接種は生後2ヶ月頃から始まり、その後1ヶ月ごとに2回目、3回目の接種をします。

ワクチン接種は、子猫が感染症にかかるリスクを減らし、感染しても重症化を防ぐために重要です。特に、生後50〜60日頃は感染症にかかるリスクが高くなるため、適切な月齢でのワクチン接種が推奨されます。

また、猫だけでなく人にも伝染する病気があるため、家族の健康を守るためにもワクチン接種は重要です。

寄生虫を駆除する

寄生虫には、体表面に寄生する外部寄生虫と、体内に寄生する内部寄生虫があります。外部寄生虫の駆除には、駆除剤が多く使用されます。これには飲み薬や背中に滴下するタイプがあり、子猫の症状や年齢に応じて適切な駆除剤を選ぶことが重要です。

一方、内部寄生虫の駆除には、虫下しの駆除薬を飲ませることで、麻痺や痙攣した寄生虫が排泄物と一緒に体外に排出されます。

まとめ

ここまで、子猫の病気についてお伝えしてきました。子猫の病気の要点をまとめると、以下の通りです。

  • 子猫がかかりやすい病気には、上部気道感染症や猫汎白血球減少症、FIV、FeLV、FIPなどがある
  • 子猫の注意すべき症状には、嘔吐・下痢、咳・くしゃみ、食欲不振、発熱、目やに・目の充血などがある
  • 子猫の病気を防ぐための予防法は、定期検診、ワクチンの接種、寄生虫の駆除である

これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献