猫の粟粒性皮膚炎| 原因や治療法、予防法を解説します

猫の粟粒性皮膚炎| 原因や治療法、予防法を解説します

猫の背中や頭などにブツブツとした湿疹のようなものが見られることがあります。これは粟粒性皮膚炎といい、感染すると文字どおり粟の粒のような大きさの丘疹が猫の体に多数見られる疾患です。かゆみを伴うことがあるため、引っかいたり舐めたりすることで、皮膚があれる、出血する、毛が抜けるなどが同時に起こってしまうケースもあるでしょう。猫の粟粒性皮膚炎とはどのような病気なのでしょうか。粟粒性皮膚炎になる原因や治療法、予防法を解説します。

猫の粟粒性皮膚炎について

猫の粟粒性皮膚炎は珍しいものではありません。さまざまな原因によって、どの猫でも罹ってしまう可能性があります。猫の粟粒性皮膚炎とはどのようなもので、原因やリスクは何なのでしょうか。粟粒性皮膚炎の知識を身に着けて、大切な猫の健康を守りましょう。

粟粒性皮膚炎とはどのような病気ですか?
粟粒性皮膚炎は、粟粒状の丘疹が見られる皮膚炎です。猫に起きる皮膚炎としては珍しくないものであり、発生する箇所としては、背中、頭部、頚部、耳介、鼻などに見られやすいです。ノミアレルギーを持つ猫の35%は粟粒性皮膚炎の症状があるといわれています。

粟粒性皮膚炎はかゆみを伴うことがあり、猫が自分で舐めたり引っかいたりすることもあるでしょう。スキンシップを取ったときやブラッシングのときにざらつく感じから、飼い主が異変に気付くケースもあります。
粟粒性皮膚炎の原因を教えてください
粟粒性皮膚炎は、アレルギーや感染症、食べ物、ストレスによって発症することもあるほか、ノミアレルギーによって発症することも少なくありません。猫のアレルギーは、アレルギーの原因となるアレルゲンに触れることで起き、ノミの場合はノミの唾液が原因です。ノミに刺されると、ノミの唾液が体内に入り、その唾液に含まれるたんぱく質によって猫のアレルギー反応が起きます。

また、夏の場合は蚊に刺されたことによるアレルギーが原因で、粟粒性皮膚炎を発症することもあります。
猫の粟粒性皮膚炎を放置するとどのようなリスクがありますか?
粟粒性皮膚炎はかゆみを感じることがあるため、猫は自分で患部を舐めたり引っかいたりします。これにより、脱毛、赤み、ただれ、出血などが起きることがあります。猫のざらざらした舌や鋭い爪による刺激は強いため、皮膚は傷つきやすいでしょう。傷口から細菌が入り、別の感染症にかかる可能性もあります。

粟粒性皮膚炎を放置すると、患部の状態が悪化して炎症を起こすばかりか、別の病気を引き起こすリスクがあります。粟粒性皮膚炎は、気付いた時点でできるだけ早く治療を行いましょう。
ほかの猫や人にも感染する病気ですか?
粟粒性皮膚炎は、それ自体がほかの猫や人に感染する病気ではありません。

ただし、粟粒性皮膚炎の原因が細菌、カビ、寄生虫などの場合は、それらがほかの猫や人に感染することはあるでしょう。

粟粒性皮膚炎はノミアレルギーが原因となる病気です。猫に粟粒性皮膚炎の症状が見られた場合は、ノミがほかのペットや人にうつらないように気を付けましょう。場合によっては、粟粒性皮膚炎が見られた猫を隔離するのもひとつの手です。

猫の粟粒性皮膚炎の治療法

猫の粟粒性皮膚炎の治療法

猫が粟粒性皮膚炎を発症したら、まずは病院に連れていきましょう。通常は検査ののち治療が始まります。猫の粟粒性皮膚炎の検査や治療の方法を解説します。

病院ではどのような検査や診断がなされますか?
病院では、まず問診、視診、触診が行われます。問診の際には、ノミ駆除の有無、食事の内容などを聞かれることがありますので、すぐに答えられるように準備しておくとよいでしょう。視診や触診では、患部の様子を見て、どの部位にどの程度丘疹が見られるかなどを確認します。その後、必要に応じて皮膚検査やアレルギー検査が行われます。

皮膚検査は、丘疹の見られる皮膚の細胞を採取する検査方法です。皮膚にどのような細菌や微生物がいるのかをチェックします。アレルギー検査は、アレルギーの原因を突き止めるための血液検査です。
粟粒性皮膚炎の治療法について教えてください
粟粒性皮膚炎に対しては、薬による治療が行われます。特にかゆみ止めとして、かゆみを生じさせる物質であるヒスタミンに対して、抗ヒスタミン薬を投与します。軽症の場合だと、これだけで症状がよくなることもあるでしょう。強いかゆみがある場合には、抗炎症作用と免疫抑制作用があるステロイド薬を使うこともあります。ステロイドは塗り薬などの外用薬のほか、内服薬、注射薬など種類はさまざまです。症状や部位などを考慮して処方されるので、獣医さんの指示に従いましょう。また、激しく引っかいたり舐めたりしたせいで脱毛症状や炎症が起きている場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬とともに、抗生物質が処方されることもあります。

粟粒性皮膚炎はノミによるアレルギーが原因であるケースが多い病態です。ノミが原因の場合は、ノミを駆除するための駆虫薬が投与されます。もし粟粒性皮膚炎が見られる猫以外に同居猫やほかのペットがいる場合は、一緒に暮らすペット全員に駆虫薬の投与が必要です。
治療費用の目安はどれくらいですか?
粟粒性皮膚炎の治療を動物病院で行った場合、症状の重さや治療の内容にもよりますが、治療費の目安は4,000~5,000円程度が相場です。症状が軽ければ1回の治療で回復することもあります。別の皮膚炎を併発している場合や、ほかの病気が見つかった場合はそちらの治療を行うことになり、別途費用が発生します。

猫が粟粒性皮膚炎にならないための予防法

猫が粟粒性皮膚炎にならないための予防法

飼い主が気を付けてあげることで、大切な愛猫の健康を守ることができます。粟粒性皮膚炎の予防法をご紹介します。猫が粟粒性皮膚炎にならないためにも、しっかりと予防をしてあげましょう。

粟粒性皮膚炎の予防法があれば教えてください
粟粒性皮膚炎の予防法としては、まずはノミやダニの定期的な駆除が大切です。粟粒性皮膚炎の主な原因はノミによるアレルギーです。猫のノミは定期的に予防薬を投与することで、ほぼ100%防げるといわれています。予防薬としては内服薬、スポットなどがありますので、自宅でも簡単に対応することができるでしょう。

また、猫を飼っている自宅や空間を清潔に保つのもポイントです。ノミが産んだ卵が床に落ちて、幼虫やさなぎになることもあります。ノミに限らず、外から感染症の原因となるウイルスが入ってくることもあるでしょう。こまめに掃除をして、常に清潔にしておくことが寄生虫や感染症対策としては有効です。

アレルギー対策としては、アレルギー検査を受けるのもひとつの手です。どのようなものに反応してアレルギーが起きるか把握していれば、事前にアレルギー対象のものを避けることができます。

また、普段からスキンシップを取ることもおすすめです。日頃から猫に触れていれば、粟粒性皮膚炎のような小さな異変も見逃さずにいられるでしょう。飼い主が触ったりブラッシングをしたときに、粟粒性皮膚炎に気付くパターンも少なくありません。体をかいていないか、頻繁に毛づくろいをしていないかなど、スキンシップを取りながら観察することも予防策のひとつです。
粟粒性皮膚炎に罹っている猫のシャンプーはどうすればよいですか?
基本的に、健康な猫にはシャンプーは必要ないとされています。また、皮膚炎の場合は清潔にするためにシャンプーをしようとする人もいますが、かえってかゆみがひどくなることもあります。

もしシャンプーをするのであれば、細菌や真菌感染用などの薬用シャンプーを使用しましょう。ただし、症状に合ったものでないと、症状を悪化させる恐れがあります。迷った場合は自己判断せず、獣医師に相談しましょう。

編集部まとめ

粟粒性皮膚炎は、猫の体にブツブツとした丘疹が見られる状態のことで、珍しいものではありません。主な原因としてはノミアレルギーだと考えられています。かゆみを伴うことがあるため、自分でかいたり舐めたりすることで、患部が炎症を起こしてしまうこともあるでしょう。粟粒性皮膚炎の症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。治療としては、主にかゆみ止めなどが処方されます。予防策としてはノミ予防薬を使用したり、生活する環境を清潔に保つことが有効です。日頃から猫の様子に注意して、粟粒性皮膚炎から大切な愛猫を守りましょう。

参考文献