犬や猫は、人間のように「痛い」「苦しい」と言葉で伝えられないからこそ、飼い主さんが病気の兆候を見逃さないように注意を払わなければなりません。とはいえ、どういった症状があると病気の可能性につながるのでしょうか。
犬や猫には、それぞれかかりやすい病気があります。病気になったときによく見せる症状を知っておけると早期発見・早期治療が可能です。こちらの記事では、犬と猫がかかりやすい病気とその症状についてお伝えしたうえで、予防方法や見逃してはいけない病気の兆候を解説します。
犬がかかりやすい病気と症状

犬は、散歩中に害虫や野生動物と触れ合う機会があり、常にアレルギーや細菌、寄生虫などの危険にさらされているため、注意が必要です。ここでは、犬がかかりやすい病気と症状について解説します。
皮膚の病気
身体を痒そうに身体の一部分をいつも以上に舐める、引っ掻く、噛むなどの症状をみせている場合は、皮膚の病気や炎症の可能性があります。
ダニが原因であれば、除去器具で取り除き洗浄したあと、駆除薬を使って目視で確認できない個体を確実に死滅させます。一方で、食事や外部の病原菌が原因のアレルギー性皮膚炎や、遺伝やハウスダストなどが原因の犬アトピー性皮膚炎は根本的な治療法がありません。
動物病院で原因がわかれば、一定のものを避けることで悪化を防げます。また、ステロイドや痒み止めなどを処方してもらえるため、患部を過剰に触って悪化する事態を避けられます。
胃腸炎
嘔吐や下痢、食欲不振などの症状は、胃腸炎の可能性があります。
なんでも口に入れて食べようとする習性がある犬は、飼い主さんが目を離した隙に、人間の食べ物や古くなっている食材を食べてしまうことがあります。ゴミ箱から細菌が増殖した生ゴミを漁って食べる犬も珍しくありません。また、ストレスを感じると、急性胃腸炎になるケースもあります。
動物病院では、糞便検査や血液検査で原因を突き止めます。その後、原因に応じて輸液療法や抗生剤、下痢止め剤などの治療・薬の投与をすることで、症状の改善を目指します。
外耳炎
耳を地面に擦り付けながら下に傾けてる、耳垂れ、脱毛などの症状は、外耳炎の可能性があります。
犬の外耳炎は決して珍しい病気ではなく、寄生虫やアトピー、異物混入などが原因で発病します。耳の構造的に、耳が重く垂れ下がっていたり耳道が狭かったりすると、耳の自浄作用が低下するため、外耳炎から細菌感染や中耳炎などの二次感染につながりやすいです。
動物病院では、耳洗浄をして、痛みや腫れがある犬に対してはプレドニゾロンと呼ばれるホルモン剤の一種を投与して経過をみます。さらに、二次感染があれば、点耳薬や抗真菌薬で対処します。
歯周病・むし歯
口臭がしたり、遊んでいるおもちゃに血がついたりする症状は、歯周病やむし歯の可能性があります。
犬の場合、歯の構造と砂糖の含まれた食べ物を口にしないことから、ほとんどむし歯になることはありません。しかし、人間が食べるお菓子を食べるとむし歯リスクが高まります。一方で、犬の歯周病は頻繁に報告されています。歯周病は、歯とつながっている鼻や眼球、顎、頬などの炎症、歯を失うリスクなどが懸念されるため、放置してはいけない病気です。
動物病院では、全身麻酔で歯石除去や腫瘤切除、レントゲン結果に応じた抜歯・縫合などの手術をおこないます。
異物誤飲
呼吸困難や食欲不振、嘔吐などの症状は、異物誤飲の可能性があります。
犬はなんでも口に入れる習性があるため、食べ物でなくても間違って飲み込んでしまうこともあります。危険度の高いものとして、竹串や画びょうなど先の尖ったものが内臓を傷つけたり、タバコや漂白剤などは中毒症状を引き起こしたりします。何かを飲み込んだ形跡があれば緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診してください。
動物病院では、レントゲンで異物がどこにあるかを確認します。小さいものであれば、吐き気を促す薬を投与して口から吐き出させます。また、吐かせたり排泄を待つことが不可能であれば、腸閉塞のリスクがあるため、開腹手術を検討します。
猫がかかりやすい病気と症状

猫は、家で過ごす時間が長いため、犬よりも寄生虫や細菌感染のリスクは低いです。しかし、猫特有の病気があるため、飼い主さんは注意が必要です。ここでは、猫がかかりやすい病気と症状について解説します。
猫風邪
くしゃみやせき、鼻水、発熱など一般的な風邪症状は、猫風邪(上部気道感染症)の可能性があります。
猫風邪は、猫同士での感染力がとても強いです。そのため、外に出したり多頭飼いしたりしていると、感染リスクが高まります。なお、ウイルスの種類が異なるため、猫から人間にうつることはありません。軽症であれば数日〜2週間ほどで改善しますが、子猫や老猫のように免疫力が低いと、重症化リスクがあるため、動物病院への受診をおすすめします。
動物病院では、抗生剤や点滴などで症状を落ち着かせます。特効薬がないため、自宅に帰ってからも保温や保湿などを心がけることで再発防止に効果的です。
腎不全
いつもより水を飲む量が増えたり、食欲不振や嘔吐などの症状は、腎不全の可能性があります。
猫の腎臓は、老廃物や毒素の排出、血圧調節などの作用を持つ臓器の一種です。腎臓が何かしらの負担を感じて機能しなくなる状態を腎不全と呼び、この状態が長期化すると慢性腎不全へと変わります。原因は、細菌やウイルス感染、外傷、心筋症などさまざまです。比較的高齢化した猫にみられる病気で、死亡率も高いです。
動物病院では、点滴をおこないます。腎臓が一度破壊されると治療で回復させることはできないといわれていますが、幹細胞治療を取り入れている動物病院もあります。この場合、麻酔不要で点滴や注射で症状の改善が期待できます。
尿路結石症
ピンクや濃い色の尿、頻尿、お腹周りを触ることを嫌がるなどの症状は、尿路結石の可能性があります。
尿路結石とは、下部尿路疾患(FLUTD)の一種で、尿管や膀胱、尿道に結晶や結石ができて閉塞を起こす病気です。年齢や性別問わず、すべての猫に発病する可能性がありますが、水分不足や肥満などが原因といわれています。
動物病院では、詰まっている結晶や結石の種類と大きさによって食事療法の提案や止血剤の投与、手術による摘出などをおこないます。ストラバイト結石であれば、抗炎症剤や抗生剤の内服で結石を溶かして治療が完了します。一方で、大きさや数によってはカテーテルの挿入や超音波などを使った手術が必要です。
膀胱炎
血尿や頻尿、排泄中に痛そうにする症状は、膀胱炎の可能性があります。
10歳以下の猫は、大半が細菌や結晶がないにも関わらず膀胱炎の症状だけが現れる特発性膀胱炎を発病します。肥満やストレスが原因だろうといわれていますが、根本的な原因は突き止められていません。一方で10歳以上の猫は、大半が細菌感染と膀胱結石が原因です。年齢によって原因が異なる傾向にあります。
動物病院では、超音波やX線検査をして細菌と結石の種類、膀胱の異常を確認します。細菌感染がみられる場合は抗生物質、症状が重い場合は消炎鎮痛剤の投与が必要です。特発性膀胱炎には特効薬がないため、住環境のアドバイスをして改善するか様子をみます。
犬猫の病気を予防する方法

犬や猫の病気は遺伝や年齢によるものもありますが、飼い主さんが日常生活を見直すだけで発病を抑えられる病気もあります。ここでは、犬猫の病気を予防する方法について解説します。
バランスの取れた食事と適度な運動をさせる
規則正しい生活は、ペットの健康を守るために欠かせません。食事に関しては、年齢によってフードを選ぶことが重要です。生まれた直後や成長期は、食事の回数を増やして栄養バランスを意識します。成長がとまったあとは、運動量や体重に応じてカロリーや食事量を調整することで肥満による発病リスクを抑えられます。
肥満気味になってきたら、食事の量を減らすだけではなく、毎日の散歩時間を増やす方法も有効です。家猫の場合は、おもちゃで遊んであげると、家のなかでも運動量を増やせます。
清潔な生活環境を整える
生活環境を清潔に維持するだけで、ペットの感染リスクを軽減できます。
ペットのトイレに排泄物を放置していると、細菌増殖の原因になります。トイレシートや砂は、こまめに交換して、清潔に保つようにしてください。寝床も汚れが溜まりやすい部分のため、定期的に洗浄が必要ですが、時間がないときは天日干しするだけでも消毒効果があります。
また、水は残っていても毎日取り替えて新鮮な状態にしておき、食事を提供するお皿も毎日洗ってあげましょう。なお、食べ残したフードは雑菌の繁殖につながりやすいので、新しいものと取り替えてあげてください。
ストレス管理をする
犬や猫は、自分の気持ちを言葉で伝えられないからこそ、飼い主さんの気づかないうちにストレスを抱えている可能性があります。ストレスは、免疫力が低下して発病リスクが高まるだけではなく、問題行動を起こす原因にもなり得るため、注意が必要です。
犬の場合、運動不足がストレスにつながりやすいので、ペットの性格に合わせて運動量を調整してみてください。猫の場合、家でのんびりする時間が長いですが、おもちゃやキャットタワーを用意することで適度な刺激がストレス発散につながります。
定期的な健康診断で早期発見を心がける
定期的に健康診断を受けると、ペットが肥満になっていないか、細菌や寄生虫にさらされていないか、身体的な異常がないかを確認してもらえます。
毎日一緒に生活している飼い主さんは、病気の兆候を見落としてしまうこともありますが、専門知識を持った獣医なら異常を察知しやすいです。また、その日の便を病院に持って行くことで、寄生虫や細菌の有無、消化不良の可能性を調べてもらえます。
年齢や基礎疾患の有無によって健康診断の頻度は異なります。まずは、動物病院を受診して、どれくらいのペースで健康診断を受けるべきか相談してみましょう。
定期的なワクチン接種と予防薬の使用
ワクチン接種は、ペットの命を守るために欠かせない予防策の一つです。犬を飼う場合は、狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。犬猫の混合ワクチンは、法律で義務化されていませんが、発病や重篤化のリスクをできる限り抑えるために、ワクチン接種は効果的です。
また、外を出歩く犬や猫には、ノミやダニに噛まれやすいため、定期的に予防薬を投与すると皮膚病のリスクを避けられます。予防薬は、動物病院で処方してもらえるため、相談してみてください。
病気の兆候を見逃さないためのチェックポイント

犬や猫は、病気が進行するほど治療や手術の負担が大きくなるため、治療の選択肢が少なくなったり、重篤化する恐れがあります。大切なペットと長く一緒に過ごすためにも、少しの変化にすぐ気づいて対処できるようにしましょう。ここでは、病気の兆候を見落とさないためのチェックポイントについて解説します。
食欲の低下や体重の減少
食欲の低下や体重の減少は、消化器官や胃腸の病気が原因である可能性があります。
食事量の変化に気づくためにも、毎日同じ量のフードを与えるようにしてください。おやつの量が増えると総合栄養食や普段の食事に手をつけなくなり、食事量の変化に気づきにくくなります。また、毛がフサフサしているペットは身体の変化の見分けが付きにくいです。毎日、身体を撫でて骨がでていないか、抱っこをして重さが変わっていないか、確認してみてください。
いつもより元気がない状態が続く
いつもより元気がない状態が続くと、免疫力が落ちて不調になっている可能性があります。
とくに子犬・子猫・老犬・老猫など免疫力や抵抗力の弱いペットは、体内に入ったウイルスや細菌に対抗する力がないので、重篤化しやすいです。元気がないまま食事や水分を取らなければ弱体化してしまうため、早急に動物病院を受診して、点滴による栄養摂取や薬の投与をしてもらいましょう。
呼吸が荒く、咳をしている
呼吸が荒くて咳をしていると、気管や心臓、呼吸器の病気が原因である可能性があります。
乾いたような咳をしているときは気管支炎、痰が絡むような湿った咳をしているときは肺炎や心臓病が懸念されます。深刻な呼吸困難は、命に関わります。動物病院なら咳の仕方のほかに血液検査やX線などで原因を究明して、適切な対症療法を行ってもらえるため、安心です。とくに、舌や歯茎の色が変わっていたり、座り込んだまま動けずにいるときは、緊急性が高いため、すぐに動物病院を受診してください。
毛並みが悪くなる
毛並みのよさは、ペットの健康状態を把握する一つのサインです。
毎日ペットの身体を撫でる際には、皮膚の炎症や脱毛、腫れ、毛並みを意識しながら、些細な違和感がないかを確認します。毛並みのチェックポイントは、光沢感、密度、柔らかさ、清潔さの4点です。栄養不足や皮膚の病気になっていると、ゴワゴワしたり、薄毛やフケが目立ったりします。このような変化があれば、病気を疑い毛並み以外の違和感を探してみてください。
便や尿の回数が増える
便や尿の回数の増加は、腎臓や泌尿器系の病気が原因である可能性があります。
腎臓の機能が低下すると体内の水分調整ができなくなったり、毒素を排出できずに体内に溜め込んでしまいます。また、血糖値が高くなると糖分を減らそうと、必要以上に尿意を催し、脱水症状を引き起こします。トイレの回数を把握するのがむずかしい場合は、便や尿の色に違和感がないかを確認するだけでも、病気の前兆を見逃さずに済みます。
病気が疑われる場合は早めに動物病院の受診を

大切なペットと長く一緒に暮らすためにも、日常的に犬や猫の状態を確認しつつ、違和感を感じたら、早急に動物病院を受診しましょう。
自宅で様子を見るだけでは苦しい状態が続きますが、動物病院なら対症療法が可能です。食欲不振に対しては点滴で栄養や水分の投与、呼吸困難に対しては酸素療養などで、痛みや苦しみから緩和してあげられます。
ペットの病気が疑われる際は、すぐに動物病院を受診できるよう、行きつけの動物病院のほかに救急で駆け込める動物病院をチェックしておくと安心です。
まとめ

こちらの記事では、犬と猫がかかりやすい病気と症状、予防する方法などをお伝えしました。犬は外で散歩をするので細菌やウイルスなどの感染リスクが高く、猫は器官に関わる病気のリスクが高いです。
ワクチン接種や規則正しい生活習慣で予防できる病気もありますが、飼い主さんがどんなに気をつけていても発病することがあります。ペットに病気の兆候が見えた際は、早期治療が重要になるため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。