犬が夜に吠えてうるさい、夜鳴きが止まらないという悩みを抱えている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。近所迷惑にならないか、トラブルを引き起こさないか、不安になる方もいらっしゃることと思います。
本記事では犬が夜中に吠えることについて以下の点を中心にご紹介します。
- 犬が吠える原因
- 吠えやすい犬の特徴
- 犬が夜中に吠える場合の対策方法
犬が夜中に吠える原因や対策方法を理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
犬が吠える理由
犬が吠えるのには必ず理由があります。「夜鳴き」や「無駄吠」といわれることが多いようですが、犬が飼い主に対して何か伝えたいことがあるかもしれません。
例えば飼い主が、犬が吠えるたびに「静かにして!」「うるさい!」と叱れば、犬は自身の意思表示に対して反応してもらえている、と理解して、さらに吠えてしまう可能性も高くなります。今まで以上に吠えやすくなるでしょう。
犬は警戒心があったり興奮したりするときや、不安や痛みがある場合に吠えるといわれています。
また吠えることが犬のストレス発散になっている可能性もあります。飼い主は自分の犬がなぜ吠えているのか、原因を知ることが大切です。
吠えやすい犬の特徴
犬種的に吠えやすい犬や性質的に吠えやすい犬がいます。
まず吠えやすい犬種は以下になります。
- 日本犬(秋田県、柴犬など)
- 狩猟犬(ビーグル、テリア、ダックスフンドなど)
- 牧畜犬(シェパード、ボーダーコリーなど)
- 愛玩犬(ポメラニアン、パピヨン、チワワなど)
上記の犬種は今まで、人間に対して吠えるようしつけされていたことがあるそうです。犬が吠えることで、羊や牛の動きをコントロールしたり、獲物や敵を追い詰めたりしていた犬もいます。
飼っている犬が吠えやすい犬種である場合は、防音シートを引いたり、防音のゲージに入れたりと、犬種にあった環境の用意が必要です。
また、性質的に吠えやすい犬は、そもそも警戒心が強く神経質なチワワや、気が強くわがままなポメラニアンなど、さまざまです。犬の性質に併せて、環境を整えてあげることが必要です。
犬が夜中に吠える原因
犬が夜中に吠える原因として、以下の5つの原因があるといわれています。
寂しさや不安
犬は夜になると寂しさや不安を感じ、飼い主に訴えるように吠えたり鳴いたりすることがあります。例えば日中は散歩に行って遊んでもらっていたのに、夜になると家族は家のなかで過ごし、犬だけ外にいると取り残された感覚を味わうことになります。
飼い主や家族がいない空間にいることが、寂しくなり、よく耳にする「夜鳴き」は寂しい気持ちによるものである場合が多いようです。「クーン、クーン」「ピィーピィー」という鳴き声が特徴です。
何か要求がある
犬は「お腹が空いた」「遊びたい」といった欲求を伝える場合に吠えることがあり、犬にとっての成功体験と関係があります。
例えば、お腹が空いたときに吠えると飼い主に餌をもらったことや、遊んでほしいときに吠えると飼い主と遊んでもらえた経験があるから、吠えて自身の気持ちを伝えようとしているのかもしれません。
犬が夜に鳴くときは、何か伝えたいことがあるのかも、と考えるとよいかもしれません。
警戒
犬が夜中に吠える原因の一つに、警戒心が強まっていることが挙げられます。犬は本能的に自身や家族を守ろうとする生き物であり、特に夜間は周囲が静かでわずかな音や動きにも敏感に反応しやすくなります。人間には気付かない小さな物音や外部の動きに対して、犬は異常や危機感が生まれて吠えることがあります。
特に見知らぬ人やほかの動物が近くを通ったり、不審な音が聞こえたりすると、犬は自身の縄張りを守るために警戒して吠えます。この行動は、犬が家族や自身を守ろうとする自然な防衛反応であり、日中よりも静かな夜中には特に顕著になることがあります。
体調不良
犬が無駄吠えをする場合、しつけだけでなく体調の確認も重要です。
犬が吠える原因は行動上の問題だと考えがちですが、実は体の不調が影響していることも少なくありません。
痛みや違和感を感じている場合や、体調の変化に伴う不安から吠えることがあります。特に高齢の犬では、認知症などの健康問題が吠えの原因となることもあります。
無駄吠えが頻繁に見られる際は、体の異常が隠れていないか、獣医師に相談して確認することが大切です。
認知症
高齢犬に見られる認知症は、夜と昼の区別がつかなくなり、夜間に吠えてしまうことがあげられます。犬の平均寿命が延びる中、認知症は高齢犬の増加傾向にある病気のひとつです。しかし、認知症の診断は容易ではありません。血液検査などで明確な診断は難しく、類似の症状を持つほかの疾患を除外しながら、総合的に判断していくことが必要です。
認知症の評価には、いくつかの項目があります。
例えば、飼い主や家の場所などを理解できなくなる「見当識障害」、ほかの犬や人とのコミュニケーションが難しくなる「社会的交流の障害」、トイレの場所を認識できずに失敗する「排泄の問題」、活動意欲の低下や食欲の変化、さらには徘徊などの「活動性の変化」があります。
また、昼夜が逆転し、夜に吠えたり、徘徊したりする「睡眠サイクルの乱れ」も特徴的です。
一般的に、犬の認知症は9歳以上の高齢犬に多く見られる傾向にあり、年齢とともにリスクが増します。
日本国内では、日本犬系の雑種や柴犬に多く、ほかにもビーグル、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、マルチーズ、シェットランド・シープドッグなどの犬種でも発症が報告されています。
犬が夜中に吠える場合の対策方法
犬が夜中に吠える場合の対策方法として、以下の3つがあります。
環境を整備する
夜中に吠える原因にはいくつかのパターンがあります。それぞれに合う環境を整えることが必要です。パターン別でおすすめの方法を紹介します。
トイレに行きたい、お腹が空いたとき
夜間に犬が吠える原因には、トイレに行きたい欲求や空腹が考えられます。もし空腹で吠えるようであれば、与える食事量を増やすのではなく、日中の食事の配分を調整しましょう。例えば、夜の食事の量を少し増やすと、夜間の空腹感が和らぐかもしれません。
また、おやつを与えるタイミングにも気を配ることが大切です。夕食後、犬がリラックスしているときや、クレートに入ったときにおやつをあげることで、クレートトレーニングの効果も期待できます。
ただし、吠えた後におやつや食べ物を与えてしまうと、「吠えれば何かもらえる」と犬が学習してしまう場合があるため、注意が必要です。必ず、吠える前の落ち着いているタイミングで与えるようにしましょう。
トイレに行きたくて吠えている場合は、寝る前にしっかりと排泄を促したり、犬が寝る場所にトイレを設置して、夜中のトイレ要求を減らす工夫ができます。
また、寝床が快適でないと、犬は不安を感じて吠えることがあるので、寝床の温度や清潔さも確認し、快適な環境を整えてあげることも大切です。
眠たくない、もっと遊びたいとき
愛犬がまだ遊び足りないと感じるときは、散歩の時間を少し長めに取ったり、寝る前にたくさん遊んであげることがよいです。しっかりと体を動かすことで、心も体も満たされ、リラックスしやすくなります。愛犬がエネルギーを十分に発散できるよう、愛情を込めたスキンシップや遊びを心がけると、より落ち着いて眠りにつけるでしょう。
認知症のとき
認知症を患った犬が夜に鳴くことは、飼い主にとってとても悩ましい問題です。この場合、吠える理由は単純な要求とは異なり、混乱や不安から来ることが多いようです。
昼と夜の感覚が逆転してしまうこともあり、夜間に落ち着かず鳴き続けることがよく見られます。こうした行動を軽減するためには、日中に十分な運動や刺激を与えて、夜間にぐっすり眠れる環境を整えることが大切です。
しかし、それでも解決が難しい場合は、獣医師に相談し、精神安定剤や睡眠薬を検討することも選択肢の一つです。
適切なケアで犬の負担を軽減してあげることが重要です。
原因が不明なとき
愛犬の行動に原因がはっきりしない場合は、まず身体に異常がないか確認するために動物病院での相談をおすすめします。
動物病院には、行動診療科という専門分野があり、問題行動に対して心の健康や脳の機能、体調など多角的な視点で診断を行い、おすすめな治療法を提案してくれます。
原因がわからない夜鳴きなどに対しても、適切なアドバイスを得られる可能性があります。
適切なトレーニングを行う
それぞれの原因に合った環境を整えることで、犬の夜鳴きは軽減できる可能性が高くなります。さらに適切なトレーニングも取り入れることがおすすめです。
例えば空腹やストレスが原因なら、犬の種類や性格に合わせた運動がおすすめです。ストレスを解消し、満足感を与えることにつながります。日々の散歩に加え、遊びを通じて頭や身体を使うトレーニングを取り入れましょう。
例えば、おもちゃを使った遊びや、簡単な命令のトレーニングを行うことで、犬の集中力やエネルギーを発散させることができます。運動不足は夜泣きやストレスの原因となることがあるため、適度なトレーニングを日課に組み込むとよいでしょう。
また、「寂しい」「構ってほしい」ときは、新しい環境に慣れるために、犬に安心感を与えることが大切です。例えば、飼い主が同じ部屋で寝ることで、そばにいる安心感が夜鳴き防止につながります。
また、寝床にはやわらかいタオルやクッション、さらに湯たんぽを入れると、温かさと快適さを感じてリラックスして眠りやすくなります。
さらに、無音の環境が不安に感じる犬には、ラジオやテレビなどの音を利用するとよいでしょう。
そして、新しい家に来たばかりの犬は「不安」や「寂しさ」を感じやすいです。しっかりと周りの環境を確認させてあげることが大事です。ただし、入ってほしくない場所はあらかじめ制限を設けるなど、適切な範囲で自由に探索させて新しい生活に慣れさせましょう。
犬の安心感を高める工夫をしながら、環境に慣れるためのトレーニングを行うことが重要です。
動物病院で相談する
愛犬が夜鳴きを始めても、必ずしも病気が原因ではない場合があります。
例えば、欲求や不安、警戒心から吠える行動は、通常の犬の反応としてとらえられることが多く、必ずしも病院での診察が必要なわけではありません。
ただし、家族にとって大きなストレスになる場合や、近所に迷惑をかける程の頻度や音量になっている場合は、問題行動として扱うべきです。そうした場合は、行動に関する専門的なアドバイスが得られる動物病院や行動診療科の受診を検討しましょう。
医師のサポートを受けることで、犬の不安を和らげ、問題行動を改善できる可能性があります。
犬が夜中に吠える場合に動物病院を受診する目安
犬が夜中に吠える(夜鳴き)の場合、原因にはさまざまな要因が考えられますが、なかでも認知機能の低下が関与している場合は、早めに動物病院の受診が大切です。
もし、犬が突然慣れた場所で迷ったり、飼い主や家族の顔に反応しなくなったりするなど、普段と異なる行動が見られるようになったら、認知症の初期兆候である可能性があります。
さらに、昼夜逆転して夜間に活動的になったり、頻繁に吠えることも、認知機能の低下に伴う行動変化の一つです。
これらの症状が続く場合は、犬の生活の質に大きな影響を与える可能性があるため、動物病院での専門的な診察を受けることが推奨されます。
夜鳴きが続く場合は、まずその原因を特定し、早めの対応を心がけることが重要です。
まとめ
ここまで犬が夜中に吠えることについてお伝えしてきました。
犬が夜中に吠えることについて、要点をまとめると以下のとおりです。
- 犬が夜に吠えるときは、要求、警戒、興奮しているときや、不安や痛みを伝えたいとき
- それぞれの原因に併せて環境を整えたり、トレーニングを入れる
- トレーニングを取り入れても変化がない場合は、動物病院で相談する
夜になると寂しいと感じたり空腹感があったりと、環境に慣れていない場合もあります。飼い主だからこそできることを実践してみましょう。
この記事が、夜中に犬が吠える原因や対策についての参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。