愛犬の高齢期や老衰期に必要なケアとは?健康管理と見守り方を解説します

愛犬の高齢期や老衰期に必要なケアとは?健康管理と見守り方を解説します

愛犬とともに暮らしていると、必ず老齢期が訪れます。老衰の兆候が現れると、どう対処したらよいかわからず、戸惑ってしまう飼い主さんもいるのではないでしょうか。

今回の記事では、愛犬が老齢期を迎えたときに必要なケアについて、詳しく解説をします。老衰を避けることはできませんが、適切な健康管理や見守り方に関して理解を深め、大切なペットと後悔のない日々を過ごしましょう。

老齢期の犬に見られる変化とサイン

愛犬の様子に変化が見られても、それが老齢期を迎えたサインなのか、よくわからない場合も少なくありません。老齢期の犬にどのような変化が起こるのか具体的に説明します。

老齢期に入ると、犬の体にはどのような変化が現れますか?
よくある老衰のサインとして、見た目の変化があげられます。目や鼻、お口の周りから白髪が生えるようになり、次第に被毛全体の色が薄くなっていきます。老化が進むにつれて、食生活や運動量が変わり、体重が減少することもあります。
食欲や活動量の低下は、老衰のサインと考えるべきか教えてください
食欲や活動量の低下も、老衰のサインと考えることができます。老化が進むと、嚙む力が衰えて、硬いフードが食べづらくなるといった理由から、食欲が低下していきます。

関節の痛みなどにより、散歩や運動を避けてしまう傾向も現れます。体力が落ちて疲れやすくなるため、歩くスピードが遅くなったり、段差につまずいたりするケースも見受けられます。活動量の低下によって、お腹が減りづらくなった結果、食欲が低下するという側面もあるでしょう。
老衰が進んだ犬の行動や生活リズムにどのような変化が起きますか?
老衰が進むと、睡眠時間が長くなります。体力が落ちて疲れやすくなるため、自然と寝ている時間が増えて、活動時間は減っていきます。

老齢期の愛犬に必要な健康管理

老齢期の愛犬に必要な健康管理

愛犬が老齢期を迎えたら、飼い主さんはどのように健康管理すればよいのでしょうか。ここでは、適切な食事管理や運動頻度、定期健診の必要性について解説します。飼い主さんができることを知り、愛犬の老衰を慌てずに受け止めてあげましょう。

老齢期の犬の健康を維持するために、どのような食事管理が必要ですか?
シニア期に入ると、床に置いたフードが食べづらくなり、場合によっては介助が必要になることもあります。食欲がない様子であれば、1食分の量を減らし、食事の回数を3回程度に増やしてあげましょう。また、フードをふやかしてやわらかくしたり、缶詰などウェットフード主体にすると食べやすくなることがあります。

さらに老化が進むと、自力で食べることが難しく、食事をうまく飲み込めない状態になります。このような状況になると、食べられるだけの食事を少量ずつ、5回程度に分けて与えてください。水も飲まないとなると状況は深刻です。すぐに動物病院へ連れて行き、獣医師による診察を受けてください。
シニア犬に適した運動頻度を教えてください
成犬の場合は運動器疾患予防のために、少なくとも1日に30分程度の運動が必要ですが、老齢期に入ると、5分歩いただけでも疲れてしまうケースがあるため、愛犬の状況によって調整しましょう。

一度に歩ける距離が短くなってきたら、散歩の回数を増やして運動量を維持するのも方法のひとつです。シニア犬になったからといって、完全に運動を止めてしまう状況は望ましくありません。体を動かさなければ、筋肉や骨が弱るとともに、刺激が少なくなり、認知能力も低下してしまいます。

以前のような運動が難しくなったとしても、介助しながら庭を少し歩く、カートに乗せて出かけてみるなどの工夫をして、運動の機会を設けましょう。
老齢期の犬の場合、定期検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
大型犬は5歳頃から、小・中型犬は7歳頃から、半年に1回は定期検診を受けましょう。本格的な老化が始まる前から定期検診を受けることで、不調のサインに気付きやすくなります。

愛犬の老齢期に必要なケアと見守り方

愛犬の老齢期に必要なケアと見守り方

愛犬が老いていく姿を見るのはつらいものですが、老化のサインを見逃さず、適切にケアすることが、老齢期も快適に暮らしてもらうためには大切です。ここでは、老齢期に必要なケアと見守り方について、ポイントを紹介します。

老衰が進んだ犬の寝たきり予防のためにできることはありますか?
老衰が進んでも無理のない範囲で、抱っこをしたり、カートや台車に乗せたりして、外出してあげましょう。愛犬の歩きたいという欲求が満たされるだけでなく、日光浴にもなり状態が落ち着きます。
排泄の介助や清潔さを保つための工夫を教えてください
寝たきりの状態になると、排泄に関わる筋肉のコントロールが難しくなり、排泄物が垂れ流しになってしまいます。さらに老化が進むと、便の水分を吸収する機能がうまく働かなくなり、下痢の症状も現れることがあります。

排泄物で汚れた体を放置すれば、皮膚炎や床ずれの原因となり、愛犬も不快感をもってしまいます。犬が寝ている場所を掃除したり、こまめに体の汚れを取り除いたりして、清潔な状態を保ってください。オムツやペットシーツ、寝たきりでも使いやすい部分洗い用の洗浄液などを活用するのもおすすめです。
老犬が快適に過ごせるような生活環境の整え方を教えてください
床に滑りにくいマットを敷き、弱った足腰をサポートしてあげましょう。コーナーガードを付けて家具などの角を覆うことも怪我の防止につながります。トイレがうまくできない場合には、トイレの数を増やしてあげるとよいでしょう。早めに対策をしていると犬だけでなく、飼い主さんの負担も軽減することができます。

愛犬の老齢期に飼い主さんが心がけること

老齢期を迎えた愛犬と長く穏やかな毎日を送るために、飼い主さんが心がけるべきことを紹介します。

老齢期の犬と過ごす際に、飼い主さんが心がけるべきことは何ですか?
老衰の症状が軽いあいだは、愛犬の変化に気付きにくいものです。しかし、犬は人間よりも寿命が短いこともあり、少しの変化を放置していると、急激に症状が悪化する恐れもあります。

日頃から愛犬の様子に気を配り、老衰の症状が現れたら早めに対処することが重要です。老衰が進む前に、室内環境や生活習慣を見直して、愛犬が落ち着いて過ごせる環境の整備を心がけましょう。

寝たきりになってしまった場合、特に痩せた犬や大型犬では床ずれができやすいため、数時間毎に体位を入れ替えたり、低反発のマットを敷いて体重を分散させることが有効です。
老犬がストレスを感じにくくするために、どのような接し方をすればよいですか?
できるだけ、撫でたり話しかけたりして、今までと同じように接してあげましょう。老衰が進んでいくと、意識が朦朧とした状態が続き、飼い主さんが声をかけても反応しにくくなってしまいます。声が届いていないのではないかと不安を抱いてしまいますが、たくさん撫でて、話しかけてやると、愛犬は喜びや癒しを感じます。

老齢期だからこそ、愛犬のストレスを軽減するためにも、積極的にコミュニケーションを図り、一緒に過ごす時間を大切にしてください。
老齢期を穏やかに過ごさせるために、飼い主さんができることを教えてください
老齢期になると、さまざまなことに興味を示さなくなります。新しいものや知らないものにも警戒して、吠えたり怖がったりするケースが少なくありません。愛犬が恐怖心を抱くようであれば、可能な限り刺激を避けて、穏やかに過ごせるよう気を配ってあげましょう。

編集部まとめ

犬の寿命は人間より短いため、老衰していくのも早くなります。そのため、小さな変化を見逃さず、老齢期の負担を軽減できるようにサポートすることが大切です。早めに対策ができれば、さまざまなリスクを回避することができ、愛犬と穏やかに過ごせる時間も長くなります。老衰は仕方のないことと放置するのではなく、いつも愛犬に寄り添って、必要なケアを行ってください。解決できない問題があれば、獣医師に相談してみるのもよいでしょう。

参考文献