犬の外耳炎の原因はなに?注目したいサインや治療法を徹底解説!

犬 外耳炎

犬の外耳炎の原因はなにか知っていますか?

本記事では犬の外耳炎の原因はなにかについて以下の点を中心に徹底解説します!

  • 外耳炎ってどんな病気か
  • なぜ犬は外耳炎になりやすいのか
  • 犬が外耳炎になったときのサイン

犬の外耳炎の原因はなにかについて理解するためにも参考にしてください。

ぜひ最後までお読みください。

犬の外耳炎ってどんな病気?

外耳炎は、鼓膜の手前を指す外耳(外耳道)と呼ばれる部位に炎症が起こる病気です。主な原因は耳かきや指で耳の中をかくことなどで外耳に傷ができ、細菌が感染することで発症します1。主な症状は耳の痛み、赤み、耳だれなどです。耳の痛みは耳の入り口を押したり、耳たぶを引っ張ったりした時に強くなることがあります。また、耳の中が腫れて耳が聞こえにくくなることもあります。外耳炎は水泳の後にみられることが多く、スイマーズイヤーと呼ばれることもあります。また、アレルギーがある人や、乾癬、湿疹、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患がある人や、補聴器を使用する人などは、外耳炎にかかりやすくなります。通常は外耳道を傷つけるような耳掃除などを控えて外耳を清潔にし、必要に応じて治療薬を使用することで軽快しますが、高齢者や糖尿病患者などでは治りが遅くなることがあります。重症の場合は外耳の細菌感染が頭蓋骨にまで広がる悪性外耳道炎を引き起こすことがあります。

なぜ犬は外耳炎になりやすいのか

なぜ犬は外耳炎になりやすいのでしょうか。原因となりやすい犬種について解説します。

犬の外耳炎の原因

犬の外耳炎は、耳介から鼓膜までの領域(外耳道)の皮膚に炎症が起こる病態を指します。その主な原因は、下記の通りです。

  • 通気しにくい形状:犬の外耳道は人間と異なり、「L字型」をしており、通気しにくい構造をしています。垂れ耳であること、耳道が狭いこと、耳毛が多いことなどは、耳道内の通気性をさらに悪くし、外耳炎の悪化させる要因である細菌や真菌を増殖しやすい環境を作り出します。
  • 異物:耳道内に外から異物が入り込んでしまった場合に、外耳炎が起きることがあります。例えば、お散歩中に草むらに入って、耳のなかに植物の種が入ってしまったなどの異物による物理的な刺激が原因となります。
  • アレルギー:アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの基礎疾患を持っている場合でも、外耳炎は起こります。アレルギーを持つ犬は皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌や真菌の感染が非常に起こりやすく、感染性の外耳炎を繰り返してしまうことがあります。
  • 寄生虫:外耳炎を引き起こす寄生虫の代表として、ミミヒゼンダニ(疥癬)があります。犬の外耳道に寄生するミミヒゼンダニは、強い掻痒を伴う外耳炎を引き起こします。
  • 細菌・真菌:細菌や真菌などの微生物の増殖は、外耳炎の直接的な原因ではなく、慢性化し悪化させてしまう要因です。正常な耳にもブドウ球菌などの細菌やマラセチアといった真菌は少数みられますが、先述した原因によって耳道内に炎症が起こることによって微生物が増えやすい環境ができることで外耳炎を悪化させます。

これらの原因を理解し、適切な予防と早期治療を行うことで、犬の外耳炎を管理することが可能です。

外耳炎になりやすい犬種

外耳炎になりやすい犬種については、以下のような特徴があります。

  • 耳が垂れている犬種:ビーグルやミニチュア・ダックスフンド、アメリカン・コッカ―・スパニエルなどの耳が垂れている犬種は、立ち耳に比べて通気性が悪く耳が蒸れやすいため、外耳炎を発症しやすいといわれています。
  • アレルギー疾患を発症しやすい犬種:柴やゴールデン・レトリーバー、シー・ズーなどの犬種は、遺伝的にアレルギー性疾患になりやすいといわれているため、外耳炎になるリスクも高い傾向にあります。
  • 耳の中に毛が密集している犬種:ミニチュア・シュナウザーやトイ・プードル、ヨークシャー・テリアなどの耳の中に毛が密集している犬種も、垂れ耳の犬種と同様に耳の中の通気性が悪くなりやすいため、外耳炎を発症しやすいといわれています。
  • 皮脂の分泌が多い犬種:シー・ズーやフレンチ・ブルドッグ、パグなどの犬種は、皮脂の分泌量が多い傾向があります。皮脂は真菌の栄養源にもなるため、真菌の増殖による外耳炎の発症リスクも高くなります。

これらの犬種は外耳炎になりやすいとされていますが、それぞれの犬種の特性を理解し、適切なケアを行うことで、外耳炎のリスクを軽減することが可能です。

犬が外耳炎になったときのサイン

犬 散歩 歩かない

犬が外耳炎になったときのサインについては、以下のようなものがあります。

  • 耳がかゆい・痛い:犬が頭を振ったり、後ろ足で首元や耳を掻いたりすることが増えてきた場合、これは耳がかゆい・痛いというサインかもしれません。
  • 耳の赤み:耳道内を見ることは難しいですが、外耳炎を起こしている場合、炎症が耳介部にも広がっており、耳がいつもより真っ赤になっていることがあります。
  • 耳から悪臭:外耳炎を起こしている場合、独特の臭いがするようになります。耳をめくったときに臭いと感じたら、すぐに外耳炎を疑うべきです。
  • 耳垢・膿:耳に耳垢が付着している場合や、コットンなどで耳を拭ったときに茶色~黒褐色の耳垢が取れてきた場合に、外耳炎を疑います。場合によっては、緑色の膿が耳介や耳の穴に付着していることがあります。

これらのサインを理解し、適切な予防と早期治療を行うことで、犬の外耳炎を管理することが可能です。

犬の外耳炎の治療

犬の外耳炎の治療について解説します。

徹底的な洗浄

犬の外耳炎の治療において、徹底的な洗浄は重要なステップとなります。以下に、その手順を説明します。

  • 耳の観察:まずは両耳の様子をしっかり確認します。耳が赤く腫れていたら、痛みがひどいこともあります。触ろうとしても嫌がる場合は、無理をせず動物病院を受診しましょう。
  • 洗浄液の使用:耳洗浄液を用いると耳の汚れが浮きやすくなります。イヤーローションを直接耳の中に数滴だけ垂らすか、コットンに浸して耳の外側から優しくマッサージし馴染ませます。
  • 耳垢の除去:洗浄液と汚れをなじませ、汚れを浮かせてから優しくふきとります。あまりやりすぎると皮膚の表面を傷つけ、バイキンが入って外耳炎の原因になりますので、優しくでかまいません。
  • 注意点:耳掃除をする際、綿棒や耳かきは用いないようにしてください。犬が動いた時に鼓膜を傷つけてしまう危険性があると同時に、局所的な圧力が強すぎて皮膚の表面にミクロな傷を作ってしまいます。また消毒効果を期待してアルコール(エタノール)やエッセンシャルオイル(アロマオイル)を用いないでください。薄い耳の皮膚から成分が経皮的に吸収され、中毒に陥ってしまう危険性があります。

これらの手順を適切に行うことで、犬の外耳炎の治療における洗浄は効果的になります。ただし、炎症が激しい場合や鼓膜が破れているケースでは、耳の洗浄は行えないため注意が必要です。また、洗浄の方法を誤ってしまうと、外耳炎を悪化させてしまうので、必ず獣医師の指導を受けてください。

点耳薬や内服薬の投与

犬の外耳炎の治療には、通常、点耳薬や内服薬が使用されます。以下に、それぞれの薬について詳しく説明します。

点耳薬:外耳炎の治療で一般的に使用されるのが点耳薬です。これらの薬は直接耳に投与し、感染を治療します。点耳薬には抗菌剤(ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、フラジオマイシンなど)や抗真菌剤(ケトコナゾールなど)が含まれています。また、炎症を抑えるためのステロイドも含まれていることがあります。

内服薬:外耳炎が重度である場合や、痒みや感染が症状として出る場合は、内服薬が処方されることがあります。これらの薬は全身に働き、炎症を抑えたり感染を治療したりします。内服薬には抗生物質や抗真菌剤、ステロイドなどが含まれています。

これらの薬は、獣医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。また、犬が薬を嫌がる場合や、症状が重い場合は、獣医師と相談して犬ごとの適切な治療法を選択することが必要です。

治療期間

犬の外耳炎の治療期間は、症状の重度によります。軽度の場合、約1週間ほどで良化することがあります。しかし、炎症が強い場合や、異物混入や腫瘍が原因の外耳炎では、治療が長期化することもあります。また、炎症が非常に強い場合は、痛みを伴うため耳の洗浄は控え、炎症を抑える薬を使用しながら定期的に通院して少しずつ洗浄することもあります。これらの情報は一般的なものであり、個々の犬の状況により異なる場合がありますので、具体的な治療計画については獣医師にご相談ください。

犬の外耳炎は再発しやすい!

犬の外耳炎は再発しやすいとされており、その原因と予防について解説します。

犬の外耳炎が再発しやすい原因

犬の外耳炎が再発しやすい原因はいくつかあります。まず、一度外耳炎になると、耳の環境が変わり、再発しやすくなることがあります。また、アレルギー(食物アレルギーや環境アレルギーなど)が原因で外耳炎を引き起こすこともあります。これらのアレルギーは長期的な管理が必要で、完全に治すことは難しいため、外耳炎が再発しやすくなります。

さらに、耳ダニや真菌などの寄生生物が耳に感染すると、外耳炎を引き起こすことがあります。これらの寄生生物は完全に除去するのが難しく、再感染する可能性があるため、外耳炎が再発しやすくなります。

また、一部の犬種(例えば、ラブラドール・レトリバーやコッカー・スパニエルなど)は、遺伝的な要素や耳の形状(垂れ耳など)により、外耳炎を発症しやすい傾向にあります。これらの犬種では、外耳炎の予防と管理が特に重要となります。

したがって、犬の外耳炎の再発を防ぐためには、定期的な耳の清掃、適切な食事、アレルギーの管理、寄生生物の予防などが重要となります。

犬の外耳炎を防ぐために

犬の外耳炎を防ぐためには、以下の予防策が有効とされています。

  • 定期的な耳掃除:耳の中を清潔に保つことは非常に重要です。しかし、家での耳のケアは難しく、内部の汚れを取ろうとすると返って耳道を傷つけてしまう可能性がありますので、基本的には見える部分に汚れがあったらコットンで拭き取るなどの簡単なケアが良いとされています。掃除の方法や頻度は犬種や個々の犬の状態によりますので、適切な方法については獣医師にご相談ください。
  • 湿度管理:耳の中が湿っていると、細菌や真菌が繁殖しやすくなります。特に水泳やシャンプー後は、耳の中をしっかりと乾かすことが重要です。
  • 食事の管理:食物アレルギーが外耳炎の原因となることがあります。アレルギーの可能性がある場合は、食事の見直しを検討することも一つの方法です。
  • 定期的な健康チェック:定期的に獣医師による健康チェックを受けることで、早期に問題を発見し、適切な治療を始められます。

これらの予防策は一般的なものであり、個々の犬の状況により異なる場合がありますので、具体的なケア方法については獣医師にご相談ください。

まとめ

ここまで犬の外耳炎の原因についてお伝えしてきました。

犬の外耳炎の原因についてまとめると以下の通りです。

  • 外耳炎は、鼓膜の手前を指す外耳(外耳道)と呼ばれる部位に炎症が起こる病気
  • 犬の外耳道は人間と異なり、「L字型」をしており、通気しにくい構造をしているため外耳炎になりやすい
  • 犬が頭を振ったり、後ろ足で首元や耳を掻いたりすることが増えてきたのは外耳炎サインの可能性がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献