愛犬が顔を掻く仕草をするのが気になるときはありませんか。構ってほしいとき、ストレスを感じているとき、何かしらの病気でかゆみが出ているときなど、犬が顔を掻く理由はさまざまです。自宅ですぐに対処できる場合もあれば、病院に連れて行った方がよい場合もあります。犬が顔を掻く理由について、考えられるケースをはじめ、病気の場合はその治療法についても解説します。
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犬が顔を掻く理由
犬が顔を掻く理由は、あまり心配のいらないケースから病気が疑われるケースまでさまざまです。理由が明らかな場合は、その原因を取り除いてあげましょう。
- 犬が顔を掻く場合、理由はありますか?
- 犬は、構ってほしいとき、ストレスを感じているとき、緊張しているとき、眠いときなどに、顔を掻く仕草をすることがあります。退屈だったり、飼い主がほかのことに集中していたりするときに、飼い主の気を引くために顔を掻くこともあるでしょう。叱られているときや、動物病院を受診しているとき、雷などの大きな音が聞こえているときなど、特定の状況で顔を掻く場合は、その状況に緊張しているのかもしれません。
また、目への異物混入、乾燥、換毛期などによってかゆみを感じている場合にも、顔を掻くことがあります。
顔を掻く理由が特定できる場合は、その原因を取り除いてあげましょう。顔を掻く仕草以外に気になる症状や様子が見られた場合は、病気が原因である可能性もあります。気になる点があれば動物病院を受診しましょう。
- 犬が顔を掻くことはストレスと関係しているのですか?
- 犬は、ストレスを感じたときにも顔を掻きます。遊び足りない、体格に合わないケージに入れられている、長時間ケージに閉じ込められている、長時間チェーンでつながれている、同居動物との仲が悪いなど、ライフスタイルや性格によって、犬が今の生活にストレスを抱えており、そのサインとして顔を掻く場合があります。ストレスが原因となって、心因性の皮膚炎を発症するケースもあるので注意しましょう。
特に後ろ足で顔を掻く、全身をブルっと震わせるなどの行動は、ストレスを抱えているときに見られます。犬が顔を掻いていたら、遊ぶ時間を増やす、ストレス要因がないかを探るなど、飼育環境を見直してあげましょう。
- 犬が顔を掻くときに考えられる病気を教えてください
- 犬が顔を掻くときには、外耳炎、皮膚炎、目の病気など、かゆみの症状が出る病気が潜んでいる場合があります。
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの部分に起きる炎症のことです。寄生虫やアトピー、異物など、何らかの基礎疾患による外耳道の変化や自浄作用の低下によって起こる皮膚炎のひとつです。細菌やマラセチアなどの二次感染が起きる可能性もあります。床や壁に耳を擦りつける、悪臭がする耳だれ、耳の脱毛、頭を振る動作、音への反応が鈍るといった様子が見られた場合は外耳炎が疑われます。特に垂れ耳の犬種は蒸れやすいので注意が必要です。
皮膚炎は、細菌、真菌(カビ)、アレルギー、寄生虫などのさまざまな発生原因によって、皮膚に炎症が起きる病気です。かゆみのほか、かさぶた、脱毛、皮膚の表面が黒ずむ(色素沈着)などが見られた場合は皮膚炎が疑われます。アレルギーが原因の場合は、左右対称に湿疹が出ることが多く、感染症が原因の場合はかさぶたやフケなどが見られることが特徴です。ブラッシングのときには、皮膚の表面までよく観察しましょう。
目の病気としてよくあるのが結膜炎です。結膜炎は白目を覆う結膜に炎症が起きている状態で、細菌や異物によって結膜に傷がついて起こります。顔を掻く以外にも、目の充血、涙目、目やにが増えるなどの症状が見られた場合には、結膜炎の可能性があるでしょう。また、まぶたに炎症が起こる眼瞼炎になっている場合もあります。目の周りに赤みや腫れがないか、目やにの様子が普段と違わないかなど、注意して観察してください。
犬が顔を掻く症状への対処法
犬が顔を掻く症状に対して、すぐに対処できるケースと病院に連れて行くべきケースがあります。場合によっては早めの治療が必要な病気が潜んでいることもありますので、気になる点がある場合は一度病院で検査してもらうとよいでしょう。
- 犬が顔を掻く症状に対して飼い主ができる対処法を教えてください
- 犬が顔を掻いている様子が見られたら、まずは原因を特定しましょう。顔を掻く以外に、目や鼻、皮膚などに異常がないかを注意深く観察します。目に異物が入っている場合など、飼い主ができる範囲であれば自宅で対処しても構いません。難しい場合は動物病院を受診しましょう。
遊び足りない、ストレスが溜まっているなどの場合は、遊ぶ時間を増やしたり飼育環境を見直したりして、犬の様子に変化があるかを観察してください。
乾燥や換毛期によって皮膚にかゆみが生じている場合は、飼育環境の湿度を調整する、シャンプーの回数を減らす、ブラッシングをこまめにするなどで改善することがあります。
- 犬が顔を掻くときに病院に連れて行くべき症状はありますか?
- 顔を掻く以外にも、目や耳、皮膚などに異常が見られた場合は動物病院を受診しましょう。目が充血している、目やにが増える、涙が止まらない、腫れや赤み、脱毛、異常な仕草をするなどの様子があれば、一度検査してもらうことをおすすめします。
アレルギーが原因の場合は、原因となっているアレルゲンを避けることで改善される場合があります。犬が掻き続ける症状がある場合は、アレルギーの可能性もあるので、アレルギー物質から遠ざけるためにも、病院にてアレルギー検査を受けることがおすすめです。
犬が顔を掻く症状への治療法
何らかの病気が潜んでいる場合は、動物病院で治療を受ける必要があります。顔を掻く症状がある場合に多い病気について、それぞれの主な治療法を解説します。
- 顔を掻く理由が外耳炎の場合、どのように治療しますか?
- 外耳炎の場合は、耳洗浄を定期的に行う治療が行われます。耳洗浄は自宅でできる場合と病院での処置が必要な場合があります。痛みがあるときや、外耳道の腫れ、外耳道が狭くなっているなどの症状が見られる場合は、抗生物質や消炎剤などの薬が投与されることもあります。また、マラセチア感染などの二次感染が起きている場合は点耳薬や抗真菌薬による治療も行われます。
- 皮膚炎が原因で顔を掻く場合の治療法を教えてください
- 皮膚炎は、ノミ、シラミ、マダニといった寄生虫、アレルギー、感染症などさまざまな原因によって起こります。皮膚炎の場合は、寄生虫であれば駆虫薬、アレルギーであればアレルゲンの除去と投薬、感染症であれば抗生剤や細菌に対応した薬など、それぞれの原因に合わせた治療が行われます。薬の種類は、外用薬、内服薬のほか、薬用シャンプーなどがあります。
また、徐々に拡大していく皮膚病変が見られる場合は、肥満脂肪種や皮膚リンパ腫といった病気の可能性もあるため、気になる症状を見つけたら、早めに病院を受診しましょう。
- 眼の病気が原因の場合はどのように治療しますか?
- 目の病気は、細菌感染、寄生虫、アレルギー、異物混入、逆さまつげ、眼瞼内反などによって起こります。治療方法は主に点眼薬が用いられますが、炎症が慢性化している場合は内服薬が投薬されることもあるでしょう。
結膜炎などの目の病気は1週間程度で自然治癒することもあります。ただし、悪化してしまうと腫れやかゆみの重症化を引き起こしてしまいます。結膜炎や角膜炎から、眼瞼炎を発症してしまう可能性もありますので、軽視せずに早い段階で治療することをおすすめします。
編集部まとめ
構ってほしかったりストレスを抱えていたりと、飼い主に訴えたいことがある場合に、犬は顔を掻くことがあります。顔を掻く様子が見られたら、飼育環境に問題がないか、今一度見直してあげましょう。顔を掻く仕草以外にも、耳や目、皮膚などに異常が見られた場合は、外耳炎、皮膚炎、眼病といった病気にかかっている可能性があります。放置してしまうと、重症化したりかゆみが悪化したりすることもありますので、できるだけ早く病院を受診しましょう。日頃から愛犬の様子をよく観察し、異変にいち早く気付くことが大切です。