犬の尿が出ない場合の対処法とは?考えられる病気や普段からできるケア方法を解説します!

犬の尿が出ない場合の対処法とは?考えられる病気や普段からできるケア方法を解説します!

愛犬の尿が出ないことに気付いたら、飼い主さんは不安になるものです。犬の尿閉は深刻な健康問題につながる可能性があり、迅速な対応が必要です。

本記事では、犬の尿が出ない場合の対処法について以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬の尿が出ない場合に考えられる病気
  • 犬の尿が出ない場合の対処法
  • 犬の尿について普段からできるケア

犬の尿が出ない場合の対処法について理解するためにもご参考いただけると幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

犬の正常な尿とは

犬の健康管理において、尿の回数や量は重要な指標となります。成犬は1日に3〜5回の排尿を行い、体重1kgあたり20〜45ml程度の尿を排出します。しかし、これらの数値は個体差や季節、活動量によって変動するため、愛犬の排尿パターンを把握しておくことが大切です。 

注意すべきは、尿の回数よりも総量の減少です。1日の尿量が体重1kgあたり7ml以下になると”乏尿”、2ml以下では”無尿”と呼ばれ、これらの状態は尿路結石症や膀胱炎、腎臓病などの疾患が疑われます。これらの病気は、放置すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期の対応が求められます。 

また、排尿時の様子にも注意を払いましょう。頻繁にトイレに行くが尿が出ない、排尿時に痛がる、血尿が見られるなどの症状がある場合、早急に動物病院を受診することが推奨されます。これらの症状は、尿路の閉塞や感染症などの兆候である可能性があります。

犬の尿が出ない場合に考えられる病気

犬の尿が出ない場合、どのような病気の可能性があるのでしょうか。

尿路結石症

犬が尿を出せない場合、尿路結石症が疑われます。これは腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石が形成される病気で、細菌感染や食事、ストレスなどが原因となります。メス犬に見られることが多いといわれています。

 これはメスの方が肛門を陰部の距離が近く、膀胱炎になりやすく、尿道がオスと比較して太いため結石の症状に気付きにくいからです。偶発的に健康診断の尿検査・画像検査で見つかるケースもあります。

主な症状として、頻尿、血尿、排尿時の痛み(排尿痛)が挙げられます。結石が尿路を塞ぐと、尿がまったく出なくなることもあり、これは緊急を要する状態です。放置すると、急性腎障害や尿毒症を引き起こし、命に関わる可能性があります。  

尿路結石症の予防には、適切な水分摂取とバランスの取れた食事が重要です。また、定期的な健康チェックを行い、早期発見・早期治療に努めることが大切です。愛犬の排尿状況に異常を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。 

膀胱炎

犬が尿を出そうとしても出ない場合、膀胱炎が疑われます。膀胱炎は、膀胱内に細菌が侵入し、炎症を引き起こす病気です。主な症状として、頻繁にトイレに行くが尿がほとんど出ない、排尿時に痛みを感じる、血尿が見られるなどがあります。これらの症状が現れた場合、早急に動物病院を受診することが重要です。  

膀胱炎の治療には、抗生物質の投与や、適切な水分補給が行われます。また、再発防止のために、日常的な飲水量の管理や、トイレ環境の清潔さを保つことが推奨されます。寒い季節は飲水量が減少しやすく、膀胱炎のリスクが高まるため、注意が必要です。

前立腺肥大

犬が尿を出そうとしても出ない場合、前立腺肥大が原因の一つとして考えられます。前立腺肥大は、高齢の未去勢のオス犬に多く見られるとされる疾患で、前立腺が肥大化することで尿道や直腸を圧迫し、排尿困難や排便困難を引き起こします。 

主な症状として、頻繁にトイレに行くが尿がほとんど出ない、排尿時に痛みを感じる、血尿が見られる、便秘や細い便が出るなどが挙げられます。また、肥大に限らず、前立腺炎でも血尿が見られるケースもあります。これらの症状が現れた場合、早急に動物病院を受診することが重要です。 

前立腺肥大の症状の緩和や再発防止のために、適切な飲水量の確保や、バランスの取れた食事管理が推奨されます。日常的に愛犬の排尿状況を観察し、異常を早期に発見することで、前立腺肥大の予防や早期治療が可能とされます。

急性腎臓病

犬が尿を出せない、または排尿量が著しく減少している場合、急性腎臓病が原因である可能性があります。

急性腎臓病は、腎臓の機能が数時間から数日の間に急激に低下する状態を指し、体内の老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなります。尿量の減少や無尿、食欲不振、嘔吐、元気消失などの症状が現れ、放置すると命に関わる危険性があります。

原因としては、毒物の摂取、重度の脱水症状、感染症、外傷、腎臓への血流低下などが考えられます。診断には血液検査や尿検査、超音波検査などが用いられ、腎臓の状態や体内の電解質バランスを詳しく確認します。

慢性腎臓病

犬が尿を出せない、または排尿量が極端に減少している場合、慢性腎臓病が原因の一つとして考えられます。慢性腎臓病は、腎臓の機能が長期間にわたり徐々に低下する疾患で、高齢の犬に見られることが多いといわれています。

初期段階では、多飲多尿(水を多く飲み、尿量が増える)といった症状が現れますが、病状が進行すると、逆に尿量が減少し、最終的には無尿となることがあります。これは、腎臓が老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなるためであり、体内に毒素が蓄積され、尿毒症を引き起こす可能性があります。尿毒症になると、嘔吐、食欲不振、元気消失、さらにはけいれんなどの神経症状が現れ、放置すると命に関わる事態となります。

慢性腎臓病の原因としては、加齢による腎機能の低下、遺伝的要因、感染症、免疫異常などが挙げられます。診断には血液検査や尿検査、超音波検査などが用いられ、腎臓の状態や全身の健康状態を総合的に評価します。

犬の尿が出ない場合の対処法

犬が尿を出さない、または排尿が困難な場合、これは深刻な健康問題の兆候であり、迅速な対応が求められます。尿がまったく出ない状態が24時間以上続くと、体内に老廃物や毒素が蓄積し、尿毒症を引き起こす可能性があります。尿毒症は嘔吐、下痢、食欲不振、けいれん、昏睡などの症状を伴い、最悪の場合、死に至ることもあります。 

排尿困難の原因としては、尿路結石、膀胱炎、前立腺肥大、腎臓の機能低下などが考えられます。これらの疾患は、尿路の閉塞や炎症を引き起こし、排尿を妨げます。 

愛犬が頻繁にトイレに行くが尿が出ない、排尿時に痛がる、血尿が見られる、性器をしきりに舐めるなどの行動を示す場合、これらは異常のサインです。このような症状が見られたら、すぐに動物病院での受診が必要です。 

自宅での様子見は危険であり、早急な専門的診断と治療が求められます。日頃から愛犬の排尿習慣を観察し、異常を早期に発見することが大切です。尿の回数、量、色、匂い、排尿時の様子に注意を払い、異常があれば速やかに獣医師に相談しましょう。 

普段からできるケア

脱水症状の対処法

犬の尿について、普段からどのようなケアができるのでしょうか。

日頃から尿の回数や量を確認

成犬の排尿回数は1日3〜5回程度とされていますが、個体差や季節、環境によっても変動します。 そのため、愛犬の普段の排尿パターンを把握しておくことで、異常の早期発見につながります。

また、排尿時の様子や尿の色、においにも注意を払いましょう。例えば、排尿時に痛がる素振りを見せたり、尿の色が濃い、血が混じっている、強いにおいがするなどの変化が見られた場合、何らかの健康問題が潜んでいる可能性があります。 さらに、飲水量の変化も重要なサインです。飲水量が増加している場合、糖尿病になります。 日頃から飲水量をチェックし、異常があれば早めに動物病院で相談することが大切です

このように、日常的に愛犬の排尿や飲水の状況を観察し、普段と違う様子が見られた場合は、早めに動物病院で受診することが、愛犬の健康を守るために重要です。

飲み水の量を確認

犬の1日の飲水量は体重1kgあたり約50mlが目安とされています。例えば、体重10kgの犬であれば約500mlとなります。ただし、食事内容や運動量、気温などによって適切な飲水量は変動するため、愛犬の飲水パターンを把握しておくことが大切です。 

飲水量の変化は、健康状態のサインとなることがあります。例えば、急に水を大量に飲むようになった場合、糖尿病や腎臓病などの可能性が考えられます。逆に、水をほとんど飲まなくなった場合は、脱水やほかの健康問題の兆候である可能性があります。そのため、日頃から飲水量をチェックし、異常が見られた場合は早めに動物病院で相談することが重要です。 

飲水量を正確に把握するためには、計量カップやペットボトルを使用して与える水の量を測定し、飲んだ量を記録する方法が有効とされています。また、清潔な水を常に用意し、飲みやすい環境を整えることも大切です。暑い季節や運動後は飲水量が増える傾向があるため、その都度適切な量の水を提供するよう心がけましょう。

このように、日常的に愛犬の飲水量を確認し、変化に気付くことで、早期に健康問題を発見し、適切な対応を取れます。愛犬の健康を守るために、普段からの観察とケアを怠らないようにしましょう。

排尿時の様子を確認

成犬の排尿回数は1日3〜5回程度ですが、個体差や年齢、季節によっても変動します。例えば、子犬や高齢犬は排尿回数が多くなる傾向があります。普段の排尿パターンを把握しておくことで、異常の早期発見につながります。 

排尿時には、以下の点に注意して観察しましょう。まず、排尿の姿勢をとっているのに尿が出ない、または少量しか出ない場合、尿路結石や膀胱炎などの可能性があります。次に、排尿時に痛がる、鳴く、力むといった行動が見られる場合、尿路の炎症や閉塞が疑われます。また、トイレ以外の場所で排尿をしてしまう、頻繁にトイレに出入りする、性器をしきりに舐めるなどの行動も注意が必要です。 

これらの異常が見られた場合、早急に動物病院での受診を検討してください早期の診断と適切な治療が、愛犬の健康維持に不可欠です。日頃から愛犬の排尿時の様子を注意深く観察し、普段と違う兆候があれば、速やかに獣医師に相談することが大切です。

トイレを清潔にしておく

犬は清潔な環境を好むため、トイレが汚れていると排泄を我慢してしまうことがあります。これが続くと、膀胱炎や尿路結石などの泌尿器系の疾患を引き起こす可能性があります。そのため、使用済みのペットシーツはこまめに交換し、トイレトレーも定期的に洗浄して清潔を保つことが大切です。 

また、トイレ環境の整備も重要です。トイレの場所は静かで落ち着ける場所に設置し、適切なサイズのトイレを用意することで、犬が安心して排泄できる環境を整えましょう。さらに、トイレの数が少ないと、犬が排泄を我慢する原因となるため、必要に応じて複数のトイレを設置することも検討してください。

日頃からトイレを清潔に保ち、適切な環境を整えることで、犬の健康維持に大きく寄与します。愛犬が快適に過ごせるよう、日常的なケアを心がけましょう。

犬の尿がでない場合はすぐに動物病院へ

犬 ワクチン

犬が尿を出さない、または排尿が困難な場合、これは深刻な健康問題の兆候であり、迅速な対応が求められます。尿がまったく出ない状態が24時間以上続くと、体内に老廃物や毒素が蓄積し、尿毒症を引き起こす可能性があります。尿毒症は嘔吐、下痢、食欲不振、けいれん、昏睡などの症状を伴い、最悪の場合、死に至ることもあります。 

排尿困難の原因としては、尿路結石、膀胱炎、前立腺肥大、腎臓の機能低下などが考えられます。これらの疾患は、尿路の閉塞や炎症を引き起こし、排尿を妨げます。愛犬が頻繁にトイレに行くが尿が出ない、排尿時に痛がる、血尿が見られる、性器をしきりに舐めるなどの行動を示す場合、これらは異常のサインです。このような症状が見られたら、すぐに動物病院での受診が必要です。

早期の診断と適切な治療が、愛犬の健康と命を守るために重要です。 

まとめ

ここまで犬の尿が出ない場合の対処法についてお伝えしてきました。

犬の尿が出ない場合の対処法の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 犬の尿が出ない場合、尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大、急性腎臓病、慢性腎臓病などの病気が考えられる
  • 犬の尿が出ない場合、自宅での様子見は危険であり、すぐに動物病院での受診が必要
  • 犬の尿について、日頃の尿の回数や量、飲み水の量、排尿時の様子を確認することやトイレを清潔にしておくことが重要

犬の尿が出ない問題は、単なる水分不足から深刻な泌尿器系の疾患まで、さまざまな原因が考えられます。まずは水分補給を促し、排尿を促す散歩を試みましょう。

しかし、症状が24時間以上続く場合や、ほかの異常が見られる場合は、迷わず獣医師の診察を受けることが大切です。愛犬の健康と幸せな生活のために、日頃から尿の状態を観察し、異変にすぐ気付けるよう心がけましょう。適切な対応で、愛犬の健康を守りましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献