旅行や出張、急な入院などでペットを預けなければならないときに、少しでも安心できるペットホテルに預けたい、と思う飼い主さんもいらっしゃるでしょう。特に持病があったり、高齢のペットを飼っている方は、万が一のときに獣医師や動物看護師が常駐していると心強いです。
こちらの記事では、動物病院併設のペットホテルに預けるメリットやデメリット、利用する前の注意点や確認しておくべきことを解説します。
預けている間も大切なペットが快適に過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてください。
動物病院併設のペットホテルを利用するメリット

動物病院併設のペットホテルには、一般的なペットホテルにはない安心感があります。医療面のサポート体制が整っていたり、何かあったときでも迅速に対応してもらえるのは大きな魅力です。
ここでは、動物病院併設のペットホテルを利用する4つのメリットを解説します。
獣医師や動物看護師が在籍している
動物病院併設のペットホテルでは、獣医師や動物看護師が常にペットの様子を見守ってくれます。普段からペットの診断をしている、経験や知識のあるプロの目でチェックしてもらえるため、安心して預けられます。食欲不振や排泄などの日常的な行動の変化や、病気の兆候に早く気付いてもらえるだけではなく、必要に応じて検査や処置も対応してもらえる点が魅力です。
一般的なペットホテルでは行えない、投薬や点眼などの医療行為も、動物病院併設のペットホテルでは可能となります。
持病があるペットでも預かってもらえる
持病のあるペットは、一般的なホテルで預かりを断られるケースがあります。獣医師や動物看護師がいないため、投薬や点眼などの医療行為ができず、数時間おきに処置が必要な場合に対応できないからです。しかし、持病がある場合でも動物病院併設のペットホテルであれば、預かりができるケースが大半です。
毎食ごとにお薬を飲まなければいけないペットや、毎日点滴が必要なペットでも、必要な処置を行ってもらえます。「環境が違うとお薬を飲んでくれないかも」と心配になる飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、経験豊富なスタッフが対応するので安心して任せられます。
急な体調の変化にも対応してもらえる
ペットはいつもと環境が変わると、ストレスがかかり体調を崩してしまう可能性があります。
環境の変化によって、体調を崩す要因は以下のようなものがあります。
- 飼い主さんと離れることへの不安
- においや音の違い
- スタッフやほかのペットの声や存在
- トイレ環境の変化
- 室温・湿度の違い
- 生活リズムの違い
これらの要因が重なると、食欲不振や、嘔吐、下痢などの体調不良になる可能性があります。しかし動物病院併設のペットホテルであれば、このような急な体調の変化にも、迅速に対応してもらえます。
高齢のペットも任せられる
高齢のペットは、体力の低下や持病を抱えている場合もあり、「ペットホテルに預けるのは不安」という飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
どうしても家を空けなければいけない、というときでも獣医師や動物看護師が常駐している環境は、とても心強いものです。
普段からかかりつけ医として通っている病院であれば、いつも診察でペットの様子を見ているので、些細な変化にも気付いてもらいやすくなります。また、帰宅後に体調不良になった場合でも、引き続きその病院に相談ができます。
動物病院併設のペットホテルを利用するデメリット

動物病院が併設されているため、安心感は大きい一方で、すべてのペットが快適に過ごせるとは限りません。特にペットが繊細な性格だったり、環境の変化に敏感だったりすると、ストレスになる場合もあります。
ここでは、動物病院併設のペットホテルを利用するデメリットを解説します。
慣れない環境でストレスを感じる
自宅とは異なる環境は、ペットにとって大きなストレスになる場合があります。においや音の違い、室温や湿度、ほかのペットの存在などが不安や緊張の原因になるおそれもあります。
さらに飼い主さんとの絆が深いペットであれば、離れることにより、不安に陥りやすい傾向があるでしょう。宿泊初日や、初めて宿泊する場合は特に注意が必要です。
このようなストレスによって、元気がなくなったり、食欲がなくなったり、体調を崩してしまう場合があります。慣れない環境による変化は、放っておけない問題です。
こうしたストレスを軽減するために、預ける際にはできるだけ対策をとってあげましょう。
普段使っているお気に入りのおもちゃや毛布を一緒に預ける、普段食べているフードや好きなおやつを一緒に預けるなど、なるべくいつもと同じ環境になるよう工夫をするのが有効です。預ける前にスタッフに、ペットの性格や不安要素があれば伝えておくのも効果的でしょう。
環境の変化によるストレスを理解し、対策をしてあげれば、いつもと違った環境でもより快適に過ごせるようになります。
感染症にかかるリスクがある
動物病院ではさまざまな病気を抱えた動物が来院し、治療や処置を行います。共有部分の消毒や、器具などの滅菌消毒をし、衛生管理は徹底されていますが、感染するリスクがゼロとは言い切れません。ペットホテルに泊まる犬や猫も、スタッフによる健康チェックが行われますが、一部の感染力の高い感染症は完全に防げないケースもあります。
このような感染症によるリスク対策として、ワクチン接種が有効です。一部のペットホテルでは宿泊前に、ワクチン接種の証明書の提出を求められる場合もあり、どのようなワクチンが必要かを事前に確認しておきましょう。あらかじめ獣医師と相談をしてワクチン接種を受けておけば、感染症のリスクを大幅に下げられます。
さらにもう1つの対策として、施設の衛生管理が行き届いているかを事前にチェックするのも重要です。ケージや室内が清潔に保たれているか、換気や空調の設備は整っているか、感染症対策についての案内があるかなど、重要な判断基準になります。このような点に注意すれば、感染症のリスクを大幅に下げ、安心してペットを預けられるでしょう。
ペットホテルを利用する前に準備すべきこと

ペットホテルを安心して利用するために、事前の準備がとても重要です。感染症対策や、万が一のことがあったときに病院とスムーズな連携が取れるように、前もって準備を行っておきましょう。
ここでは、ペットホテルを利用する前に準備すべきことを5つ解説します。
ワクチン接種
ペットホテルにはたくさんのペットたちが集まるため、感染症対策のワクチンは必ず接種しておきましょう。ワクチン接種は子犬の場合、2〜3回に分けて接種します。今までワクチンを一度も受けたことのない成犬でも、初回は3〜4週間あけてから2回目の接種を行います。ワクチンを接種してから免疫ができるまで、2回目の接種から最低でも1週間以上の期間が必要となります。
ワクチン接種はいつでもできる訳ではなく、ペットの体調が万全なときや、接種後は安静にさせておく必要があるため、宿泊直前ではなく日数に余裕を持って受けるようにしましょう。
ノミ・マダニ予防
ノミやマダニもほかのペットとの接触で感染する恐れがあるため、必ず予防しておきます。特に子犬や子猫の場合、ノミやマダニが多数寄生すると、貧血を起こすこともあるので注意が必要です。
ノミ・マダニの駆除方法は、首元に薬剤を滴下するタイプ、スプレータイプ、飲み薬などさまざまなものがあります。犬や猫、体重や年齢に応じても処方が異なるため、必ず動物病院で獣医師の指示にしたがってください。
ケージやキャリーケースに慣らせておく
ペットホテルでは、ケージや個室で預かるタイプが一般的です。宿泊するペットは基本的に、その限られた空間のなかで1日を過ごします。普段からケージのなかで落ち着いて静かに過ごせるよう、慣れさせておきましょう。ケージのなかでおやつをあげたり、遊んでみたり、そのなかに入るとよいことがあると思わせるのがポイントです。
ペットホテルに移動する際も、キャリーケースに入れなければなりません。キャリーケースに入ると嫌なところに行くとペ思われてしまうと、出発前の慌ただしい時間に入ってもらえず、予想以上に手間取ってしまう原因になります。普段から「入っても怖くない安心できる場所」と思わせるようにしましょう。
飼い主さんの情報がわかるようにしておく
万が一のときに備えて、飼い主さんの連絡先や、旅行であれば宿泊先の電話番号も伝えておくと安心です。連絡先は電波の届かない可能性も考慮して、可能であれば連絡のつく固定電話や、行動をともにする人の連絡先も伝えておくのも有効でしょう。
ペットホテルでは脱走や事故が起こらないよう十分に配慮されていますが、地震や台風など、予測できない災害に巻き込まれる可能性もゼロではありません。そのようなときのために、名前や連絡先を記載した名札をつけておいたり、マイクロチップを活用したりしておきましょう。
ペットの体調を整えておく
できるだけ健康な状態で預けられるよう、ペットの体調管理をしっかりと行っておきましょう。預ける前に元気があるか、食欲はあるか、排泄の回数はいつもと変わらないかなど、普段からよく観察しておきます。さらにかかりつけ医で健康診断と便検査を受けておくとよりよいでしょう。
持病がある場合は医師と相談し、ペットにとって適切な預け方を確認しておきます。
ペットホテル利用前の確認事項

ペットホテル利用前には、宿泊時にトラブルにならないよう、あらかじめいくつか確認しておくべき項目があります。予約は何日前からできるのか、ワクチン接種は必要かなど、確認を怠ったために預けられなかった、なんてことになりかねません。
ここでは、ペットホテル利用前の確認事項を解説します。
予約はいつから可能か
ペットホテルによって、予約可能な時期はさまざまです。一般的に3ヶ月前から数日前に予約ができ、当日予約ができる施設もまれにあります。年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの繁忙期は利用者が増えるため、早い段階で予約が埋まる可能性があります。予定が決まった段階で、早めに予約を取るようにしましょう。
ペットホテルの予約は、電話、Web、店頭で直接行う方法があります。初めてペットホテルを利用する場合は、ペット同伴で来店が必要な場合もあります。こちらも必要かどうか、先に電話で確認するのがよいでしょう。
どの種類のワクチン接種が必要か
ワクチンの種類にはさまざまなものがあり、施設によって求められるワクチンも異なります。ワクチン接種は行っているものの、その施設が求めるワクチンではなかった、なんてことにならないよう事前に確認しておきましょう。狂犬病ワクチンだけでよいのか、また混合ワクチンも必要なのか、必要であれば何種のものが必要なのか、などの確認も必要です。同時にノミ・マダニ予防も必要か、確認しておくとよいでしょう。
ワクチン接種もノミ・マダニ予防も、獣医師の診断と処方が必要です。特にワクチンは接種後すぐに免疫ができる訳ではないので、予定が決まった時点で早めに確認するようにしましょう。
預けられているほかのペットと接触があるか
ペットホテルでは、たくさんのペットが同時に預けられています。ペットは個別のケージや個室のなかで過ごすのが大半ですが、ほかのペットとの接触がゼロとは限りません。散歩やトイレなどの時間に、すれ違ったり接触するケースもあります。
フリースペースで犬同士が遊べるようなスペースや、ストレスを考慮してケージフリーで犬同士が自由に動き回れるスタイルをとっている施設もあります。動物病院併設のペットホテルでは、持病や感染症対策として、完全個別管理を徹底している施設が大半です。こちらも利用前にあらかじめ確認しておくと安心です。
災害時や緊急時の対応
ペットホテルに預けているときに、予測しない災害が起こる可能性もあります。そのような場合、連絡体制や、避難時のマニュアルの有無も確認しておきましょう。
その際は、緊急時に連絡が取れるよう、飼い主さんの連絡先も忘れずに伝えておきます。合わせて、かかりつけの動物病院や家族など、代わりに対応できる連絡先も共有しておくと、より安心です。
まとめ

動物病院併設のペットホテルは、獣医師や動物看護師が在籍し、医療体制が整っているため大きな安心感があります。
特に持病があったり、高齢のペットの飼い主さんにとって、頼れる選択肢の1つでしょう。一方で環境の変化に敏感だったり、繊細な性格のペットにおいてはストレスがかかってしまいます。
ペットにとってなるべくストレスにならないよう、利用前にはしっかりと準備、確認を行います。大切な家族であるペットが、飼い主さんと離れても快適に過ごせるよう、預ける施設は慎重に選びましょう。