犬の毛は定期的に伸びたり抜けたりするため、定期的なケアが欠かせません。犬のケアにはトリミングとグルーミングの2種類があり、それぞれ目的や必要性が異なります。
トリミングは主に被毛をカットすることを指し、動物病院やペットショップで行われているほかトリミング専門で営業している個人経営のサロンも存在します。
トリミングは大事な愛犬が可愛くなったりおしゃれになったりする美容面の効果だけでなく、皮膚病の予防などにつながる健康面の効果もあります。
グルーミングはブラッシングやシャンプー、爪切り・耳掃除などを含むケア全般のことで、すべての犬に必要なケアです。
犬種によってケアが必要な頻度や費用に違いがあるだけでなく、子犬や老犬の場合に注意するべき点もあります。
この記事では、トリミングの適切な頻度に加え、犬種による頻度の違いや費用の相場などについて解説します。
犬のトリミングの適切な頻度
トリミングの頻度は犬種や犬の年齢によって違いがあるため注意が必要です。
犬の毛はアンダーコートとオーバーコートの二種類があります。アンダーコートは体温調節の役割をしており、オーバーコートは皮膚を守る役割をしています。
アンダーコートがなくオーバーコートのみの一層になっているものはシングルコートと呼ばれ、抜け毛は少ないですがカットが必要となる頻度が増えるのが特徴です。
アンダーコートとオーバーコートの二層になっているものはダブルコートと呼ばれ、カットの頻度は少ないですが季節ごとの換毛があり抜け毛が出やすいことが特徴です。
シングルコートとダブルコートではトリミングの内容や頻度に違いが出てくるため、飼っている犬がどちらの犬種か知っておくとよいでしょう。
さらに、子犬や老犬だと毛の生え方にも違いが出てくるため、年齢に応じた頻度でのトリミングが必要です。
シングルコートの犬種の場合
シングルコートの犬種は、オーバーコートが伸び続ける犬種が多いため、定期的なトリミングが必要です。
トリミングの頻度は毛の長さによって変わります。
プードルやヨークシャーテリアなどのシングルコートの長毛種と呼ばれる犬種は、伸びた毛が絡みやすいため4週間毎の頻繁なトリミングが必要です。
アイリッシュウォータースパニエルやベドリントンテリアなどの中毛種と呼ばれる犬種は、6〜8週間毎のトリミングが必要となります。
ミニチュアピンシャーやイタリアングレーハウンドなどの短毛種と呼ばれる犬種はトリミングは必要なく、定期的にブラシをかける程度で問題ありません。
ダブルコートの犬種の場合
ダブルコートの犬種は、トリミングで定期的に毛をカットする必要がありません。
ダブルコートはアンダーコートとオーバーコートの二層構造になっています。
アンダーコートは半年毎の換毛期の間に抜け落ちて新しく生え変わり、オーバーコートは一年を通して伸びては抜けるのを繰り返します。
そのためダブルコートの犬種の毛は一定以上の長さになることがないため、カットは不必要です。
しかし、トリミングで毛玉を取り除いたり清潔感を保ったりすることで健康的な状態を保ちやすくなるほか、美容目的でのトリミングをするケースもあります。
子犬・老犬の場合
子犬も老犬も、トリミングは変わらず必要ですが、成犬と比べるとトリミング頻度に違いがあります。
子犬の場合は、8〜12週間毎の頻度でのトリミングが必要です。
しかし、毛が伸びるペースが早い場合には4〜8週間ほどで行うとよいでしょう。
子犬は最初のうちは慣れない環境下によるストレスを感じやすいため、生後3〜4ヶ月頃からトリミングを行うことをおすすめします。
老犬の場合も、8〜12週間毎の頻度でのトリミングが必要です。
老犬だとトリミング室の環境やトリマーさんに対して慣れてはいても、長時間立ち続けていることで体力的に負担がかかってしまいます。
そのため老犬になるとそれまでよりも頻度を減らした方がよいでしょう。
【犬種別】トリミング頻度の違い
トリミングの頻度が高い犬種と低い犬種について解説します。
飼っている犬種がどのくらいの頻度でのトリミングが必要となるか知ることで、初めて犬を飼う場合でもおおよそのタイミングを把握することができます。
これから犬を飼おうと考えている方にとっても、トリミングに通うペースを計算しての犬種選びに役立つでしょう。
頻度が高い犬種
トリミングの頻度が高い犬種の例は、以下のとおりです。
- マルチーズ
- トイプードル
- シュナウザー
- ヨークシャーテリア
- シーズー
これらの犬種はそのままだと毛が長く伸びていき、からまったり汚れたりしやすい特徴を持っています。
そのためトリミングの頻度は高くなりやすいです。
しかし、毛が長く伸びやすいためカットのデザインも多く、美容面でおしゃれを楽しむことができる点が魅力です。
頻度が低い犬種
トリミングの頻度が低い犬種の例は、以下のとおりです。
- ラブラドール
- フレンチブルドッグ
- パグ
- ボーダーコリー
- ビーグル
- チワワ
- 柴犬
- シベリアンハスキー
ラブラドールやフレンチブルドッグなどは短毛種で毛が長くは伸びないため、トリミングの頻度は低く済みます。
柴犬やシベリアンハスキーなどはダブルコートのため、毛の長さには上限があり一定以上は伸びないため、定期的なトリミングは不要です。しかし、ブラッシングやシャンプーなどをこまめに行い、清潔に保つことが大切です。
犬のトリミングの費用相場
トリミングの費用は犬種によってさまざまで、主に小型犬から大型犬までのサイズで費用が変わります。
小型犬の方が費用は安くなることが多く、大型犬の方が費用が増えます。
トリミングは定期的に行う必要があるため、費用の相場を知っておくことであらかじめ費用を準備しておきやすくなるでしょう。
動物病院やトリミングサロンによってはサイズに加えて犬種によっても費用が変わることがあるため、実際に確認しておくことも必要です。
小型犬から大型犬までの費用相場について解説します。
小型犬
小型犬の場合、カットは5,000〜8,000円が相場です。シャンプーは2,000〜4,000円が相場になっています。
爪切りや耳掃除などのオプションがある場合もあり、オプション費用は1,000〜3,000円になっています。
すべてを含めると10,000円ほどの費用が必要となるでしょう。
中型犬
中型犬の場合、カットは7,000〜10,000円が相場です。シャンプーは3,000〜5,000円が相場になっています。
オプション費用も計算すると、合計で15,000円ほどになります。
大型犬
大型犬の場合、カットは10,000〜15,000円が相場です。シャンプーは5,000〜7,000円が相場になっています。
オプション費用も計算すると合計でおよそ20,000〜25,000円ほどになり、小型犬や中型犬と比べると高額になりやすいです。
サロンと自宅でするトリミングの違い
トリミングにサロンを利用する飼い主さんもおられますが、自宅で飼い主さん自身がトリミングをするケースもあります。
サロンを利用すると定期的に費用が必要となりますが、自宅で行うと初期投資以外の定期的な費用を抑えることができるでしょう。
さらに犬によって飼い主さん以外の方には懐きにくい場合でも、飼い主さん自身がトリミングを行うことでストレスの軽減を期待することができます。
しかし、自宅でトリミングを行う場合には次の点に注意が必要です。
トリミングは刃物を使用するため、飼い主さんの技量によっては犬に怪我をさせてしまう可能性があります。
サロンであれば資格を持っているトリマーが行うため、技量のない方が行うよりも怪我のリスクは減るでしょう。
さらには身体の隅々まで見てもらえることで、ときには皮膚病などの飼い主さんが気付かなかった異変を発見するケースもあります。
自宅でトリミングをする場合の注意点
自宅でトリミングをする場合には、以下の注意点があります。
- 道具の購入にはコストがかかる
- 日頃のスキンシップでストレスを緩和する
- 技術面で不安があるならサロンに任せる
自宅でトリミングをする際は、使用する道具と犬のメンタルと飼い主さんの技術に注意が必要です。
よくわからないままトリミングをしてしまうと、犬が怪我をしてしまったり健康面で影響が出てしまったりする可能性があります。
それぞれの注意点について詳しく知り、怪我をさせないトリミングが可能か十分に検討してから行うとよいでしょう。
それぞれの注意点について詳しく解説します。
道具の購入にはコストがかかる
トリミングには、専用の道具が必要です。
主な道具にハサミ・バリカン・ブラシ・爪切りがあり、どれも犬専用のものが必要となります。
ハサミやバリカンを人間用のもので使用してしまうと、サイズや形の違いによりうまく切れないだけでなく、場合によっては怪我にもつながりかねません。
ブラシも犬種によってサイズが変わります。また、爪切りも犬の爪に合わせた形になっているため、間違っても人間用のものを使用せず犬用の正しい道具を使うことが大切です。
ハサミだけでも安価なものからプロ用の高価なものまであり、すべての道具を一式揃えようとすると数万円の費用が必要となります。
日頃のスキンシップでストレスを緩和する
トリミングは犬にとってストレスを感じやすい作業になります。
ストレスを感じて落ち着きがなくなってしまうと、トリミング中に動いてしまい怪我につながるリスクもあります。
さらにはストレスにより健康面に影響が出てしまうことも考えられるでしょう。
トリミングでのストレスを緩和させるために、日頃からのスキンシップで信頼関係の構築やストレス軽減が必要です。
犬と飼い主さんとの信頼関係が十分でない場合や、トリミング中に落ち着きがなくなってしまった場合には、トリミングを中断する判断も大切になります。
技術面で不安があるならサロンに任せる
トリミングを行う飼い主さんの技術が不足していると、犬が怪我をしてしまうリスクがとても大きくなります。
ハサミで毛だけではなく皮膚や耳を切ってしまったり、バリカンで必要以上の毛を刈り取ってしまうことで皮膚に影響が出てしまったりすることも考えられます。
特に使用していないハサミを置く位置や向き一つを間違えてしまうだけでも、犬が踏んで怪我をしたり蹴飛ばしたりするなど、予想外なトラブルにもつながりかねません。
怪我をする位置によっては、そのまま命を落としてしまう場合もあります。
技術面で不安がある場合は、自宅でのケアはブラッシングやシャンプーなどのグルーミングだけにし、トリミングはプロに任せることをおすすめします。
サロンでトリミングをする場合の注意点
サロンにトリミングをお願いする場合には、以下の注意点があります。
- トリミング以外のオプションを調べる
- 店内が清潔かどうか確認する
- 頻度が高い場合は料金の比較も必要
トリミングサロンは大手の店舗から個人経営の店舗までさまざまあり、トリミングの内容や費用にも違いがあります。
定期的に利用することにもなるため、内容や料金に加え店内の衛生環境についても注意が必要です。
それぞれの注意点について解説します。
トリミング以外のオプションを調べる
トリミングサロンでは、カット以外にもシャンプーやマッサージなどさまざまなオプションサービスを行っている店舗があります。
カット以外にマッサージもお願いしたかったとしても、そのサロンが行っていなければ受けることができません。
利用しようとしている店舗がどのような内容のサービスを行っているかを事前に把握し、犬が必要としているケアを受けることができるか確認しておくことが大切です。
店内が清潔かどうか確認する
サロン内の衛生環境が清潔かどうかも重要なポイントです。
店内にゴミや汚れがたくさんあったり、前回カットした犬の毛が散乱していたりすると、清潔な店内とはいえません。
特に、ほかの犬との接触があると怪我や病気があった場合に感染症になるケースもあるため、注意が必要です。
ほかの犬との接触がなるべく少なくなるように、部屋を分けているサロンもあります。
可能であれば予約をする前に一度店内を見に行き、店内が清潔であるかチェックしておくとよいでしょう。
頻度が高い場合は料金の比較も必要
通うことができる範囲に複数のサロンがある場合は、料金の比較をしておくとよいでしょう。
トリミングは犬種によっては毎月通うこともあるため、年間通しての費用を計算するとイメージしていたより高額になることもあります。
トリミングだけの費用で比較するのではなく、オプション料金も含めた実際の受けたいサービス全体での費用で比較することをおすすめします。
まとめ
犬のトリミング頻度は、犬種によってさまざまです。
シングルコートの犬種は毛が伸び続けるため頻繁にトリミングを行う必要があります 。一方、ダブルコートの犬種は毛が一定以上は伸びないため、基本的にトリミングは必要ありません。
トリミング費用も小型犬から大型犬に至るまでサイズによって違いがあり、年間を通しての費用総額にも差が出ます。
費用を抑えるために自宅で飼い主さんがトリミングを行うことも可能ですが、安全面や健康面で十分な注意が必要です。また、子犬や老犬の場合には、犬の体調を考慮してのトリミングが必要となってきます。
老犬や持病のある犬は負担がかかりやすいため、動物病院併設型のトリミングサロンを利用すると安心感を持って任せられるでしょう。
これから犬を飼おうと考えている方は、犬種によってトリミングの頻度や料金が異なるため、それぞれ計算しながら安定してケアを行っていける犬種を選ぶとよいでしょう。
参考文献