社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできる?トレーニングの流れや接し方を詳しく解説

社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできる?トレーニングの流れや接し方を詳しく解説

犬の社会化期に経験する刺激や環境は、性格や行動に大きな影響を与えるといわれています。しかし、さまざまな事情でこの社会化期を過ぎてから犬を迎えた場合、「もう手遅れなのでは…」と不安に思う方もいるかもしれません。

本記事では社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 犬の社会化期とは
  • 社会化トレーニングとは
  • 社会化期を逃した場合のしつけ教室のトレーニングとは

社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

犬の社会化期とは

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犬の社会化期とはどのような時期なのでしょうか?社会化期の重要性も併せて以下で詳しく解説します。

社会化期の時期

犬の社会化期とは、さまざまな刺激や環境、人や動物に対して柔軟に適応できるようになる力を育む大切な時期を指します。個体差はあるものの、生後3週齢から12〜13週齢頃までがこの社会化期とされており、この間に経験する出来事が、性格や行動に大きく影響を与えるといわれています。

この期間には、母犬やきょうだい犬とのふれ合いを通じて犬同士のルールを学び、その後は人間との関わりを通じて社会性を身につけていきます。できるだけ刺激に触れさせることが、成犬になってからの適応力につながります。

すべてのワクチンが完了していない場合でも、抱っこやキャリーバッグを活用して外の世界を見せるなど、工夫しながら社会化の経験を積ませてあげることが大切です。

社会化期の重要性

犬の社会化期は、単なる「しつけ」の枠を超えて、愛犬の一生に大きな影響を与える大切な時期です。生後3週齢から12〜13週齢にかけてのこの短い時間に、犬は母犬や兄弟犬との関わりを通じて、犬同士のルールや加減を学びます。さらに、日常生活における音や人間の動き、ほかの動物などにも触れることで、人間社会に対する適応力を育てていきます。

この時期に必要な社会経験が不足してしまうと、成長後にさまざまな問題行動が現れる可能性が高まります。例えば、見知らぬ人や犬への過度な警戒、日常的な音に対する極端な反応、攻撃的または引っ込み思案な態度などが挙げられます。また、分離不安を引き起こし、お留守番ができない、預かりが難しいなど、犬だけでなく飼い主にも負担を与える結果となることもあります。

社会化期は、一度しか訪れない大切な成長の時期です。このタイミングでできるだけさまざまなポジティブな経験を積ませてあげることが、犬の落ち着いた性格と健やかな心を育てるために大切になります。

社会化トレーニングとは

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社会化トレーニングでは、何を行うのでしょうか。以下で詳しく解説します。

人に慣れさせる

子犬の社会化トレーニングでは、家族だけでなく、できるだけ多くの“人”と接する機会を持つことが大切です。

まずは家族とたっぷり遊んで、「人と触れ合うのは楽しい」という認識を育てていきましょう。慣れてきたら、ご近所の方や友人、動物病院のスタッフさんなど、年齢や性別、服装の異なるさまざまな方とのふれあいを少しずつ増やしていきます。

例えば、帽子や眼鏡を着けた方、マスクをした方に慣れる練習もおすすめです。できれば、おやつを手渡してもらうことで「この方は怖くない」と感じやすくなります。ただし、子犬が極度に怖がっていたり、過度に興奮している場合は無理をせず、距離をとって落ち着かせましょう。

また、保護犬や成犬で人間に不信感を持っている場合は、焦らず時間をかけて信頼を築く必要があります。状況に応じて、ドッグトレーナーなどの力を借りるのもおすすめです。

犬に慣れさせる

愛犬がほかの犬と安心して過ごせるようにするためには、早いうちからほかの犬との接し方を経験させておくことが大切です。散歩中やドッグカフェ、病院の待合室など、日常生活のなかでほかの犬と出会う機会はよくあります。そのような場面で落ち着いて行動できるよう、少しずつ慣らしていきましょう。

最初のうちは、リードをしっかり持ち、落ち着いた状態で距離を保ちつつ挨拶させてあげましょう。このとき、相手の飼い主さんに「社会化トレーニング中である」とひと声かけておくと、スムーズに進めやすくなります。犬同士にも相性があり、大型犬には警戒心を示すけれど小型犬には興味を持つといった犬もいます。無理をさせず、その子のペースで進めてあげることが大切です。

また、急な飛びつきやトラブルを避けるためにも、伸縮性のあるリードは避け、短めに持つようにしましょう。万が一、犬同士の距離を素早く取る必要があっても、すぐに対応できるようにしておくとおすすめです。

ほかの犬と自然にふれあい、遊びや散歩のなかでよい経験を重ねていくことで、ほかの犬への過剰な反応や恐怖心が軽減されていきます。ただし、普段と違う行動や強い不安が見られたときには、無理をせず距離を置くことも必要です。

ものに慣れさせる

子犬が安心して日常を過ごせるようにするためには、日々使う道具や環境音に少しずつ慣らしていきましょう。首輪やリード、ブラッシング用のブラシ、歯ブラシといったアイテムは、いずれ日常的に使うものですが、いきなり長時間使用するのではなく、短い時間から徐々に慣らしていくことが大切です。

首輪やリードは、お散歩デビューの当日に初めて装着するのではなく、室内でつけて歩かせたり遊んだりすることで、自然と違和感を減らしてあげるのがおすすめです。

また、生活のなかで避けられない音や動きにも慣れてもらいましょう。車やバイク、自転車といった移動手段や、チャイム、掃除機、電子レンジ、ドライヤーなどの生活音に対して過敏に反応してしまうと、犬自身がストレスを感じる要因となります。そうした刺激に対して平常心を保てるようにするには、無理なく、少しずつ音や動きを体験させることがコツです。

例えば、車や自転車が通っても落ち着いていられたときには、おやつや声かけでしっかり褒めて、ポジティブな印象を与えましょう。

物や音に対する慣れは、一朝一夕でできるものではありませんが、愛犬の暮らしを快適にするために大切なトレーニングなので、根気よく取り組んでいきましょう。

社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできる?

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社会化期は生後3〜12週齢が理想とされていますが、たとえその時期を逃してしまっても、しつけや社会化のトレーニングが手遅れになるわけではありません。成犬になってからでも、少しずつ新しい経験を積み重ねることで社会性を育てることは十分に可能とされています。

例えば、社会化されていない保護犬を迎えたり、ワクチン接種の関係で外出の機会が持てなかった場合などもよくあるケースです。こうした状況では焦らず、犬のペースに合わせてゆっくりと人やほかの犬、音や場所などに慣らしていくことが大切です。

しつけ教室では、犬の年齢や性格に応じた段階的なトレーニングを受けられます。社会化期を過ぎた犬でも、快適な環境と接し方を学ぶことで安心して生活できるようになるでしょう。

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社会化期を逃した場合のしつけ教室のトレーニングでは、どのような効果が期待できるのしょうか?

トレーニング内容を併せて以下で詳しく解説します。

トレーニング内容

社会化期を過ぎた犬に対しても、しつけ教室では段階的なトレーニングが行われます。

まず、犬同士の交流では、安全性の高い遊び場を用意し、ほかの犬と一緒に過ごす時間を通して、自然なあいさつや遊び方を学べます。遊びを通じた関わりにより、過度な緊張や警戒心をやわらげ、社会性を育てることが目的です。

次に、基本トレーニングとして「おすわり」や「アイコンタクト」などのコマンドを習得します。これは飼い主との信頼関係を築き、外出先や日常生活での落ち着いた行動につなげるためのステップです。

さらに、人との接し方も学習内容のひとつです。トレーナーと接するなかで、人に対する恐怖心や過度な興奮を軽減し、落ち着いて指示を受け入れる姿勢を育てます。

このように、しつけ教室では遊びとトレーニングを組み合わせながら、犬の心に無理のない方法で社会性を養っていきます。

期待できる効果

社会化期を逃した犬でも、しつけ教室でのトレーニングには以下のような効果が期待できます。

  • 犬同士のルールを学べる
    ほかの犬との遊びを通じて、快適な距離感やボディランゲージの読み取り、関わり方を自然と学習します。人では教えられない「犬同士のマナー」が身につく貴重な機会です。
  • 人との信頼関係が深まる
    ブラッシングや抱っこなどの練習を通じてスキンシップに慣れ、診察や日常のケアにも落ち着いて対応できるようになります。
  • 問題行動の予防と改善につながる
    基本のしつけやハウストレーニングを通して、吠え・噛み・飛びつきなどの行動をコントロールしやすくなり、落ち着いて過ごす力が育ちます。
  • ストレスの発散と心の安定
    楽しい経験を重ねることで不安や緊張がほぐれ、自信を持って行動できるようになります。

このように、しつけ教室は成犬にとっても心と行動のバランスを整える場となります。

社会化期を逃した場合の接し方のポイント

成犬になってからでも、社会化トレーニングは十分に効果が期待できます。ただし、子犬の頃に比べて習得に時間がかかることも多いとされているため、焦らずゆっくりと取り組む姿勢が大切です。

まずは、愛犬が何を苦手としているのかを丁寧に観察しましょう。例えば、「ほかの犬に吠える」「男性が苦手」「大きな音でパニックになる」など、具体的な状況やきっかけを把握すると、適切に対処がしやすくなります。

いきなり苦手な対象に近づけるのではなく、最初は刺激の少ない環境からスタートするのがおすすめです。ほかの犬に苦手意識があるなら、犬が少ない時間帯に散歩に出て、遠くから眺めるだけでも十分なトレーニングになります。

また、トレーニングの際にはご褒美をうまく使いましょう。苦手な場面でおやつを与えたり、褒めてあげたりすることで、「怖い=楽しいことが起きる」といった前向きな印象を形成できます。こうした積み重ねが、不安の克服へとつながっていきます。

もし自力での対応が難しいと感じたときは、ドッグトレーナーや獣医師の力を借りるのも一つの手です。サポートを受けることで、飼い主さんの気持ちも楽になり、より深く向き合えるでしょう。

時間をかけて愛犬の気持ちに寄り添い、無理のない範囲でトレーニングを重ねていくことで、信頼関係はより深まっていきます。

社会化期を逃してもトレーニングは可能

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社会化期はたしかに子犬の成長において重要な時期ですが、たとえその時期を過ぎてしまっても、社会化トレーニングは決して手遅れではありません。

成犬になってからでも、環境を整えながら少しずつ経験を重ねることで、新しい刺激に慣れ、落ち着いて行動できるようになります。焦らず、愛犬のペースに寄り添いながら丁寧に取り組みましょう。

まとめ

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ここまで社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできるのかについてお伝えしてきました。社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできるのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 「犬の社会化期」とは、人間社会や犬社会に順応するための基礎を築くとても大切な期間のことを指す
  • 犬の社会化トレーニングとは、子犬が健やかに人間社会で暮らしていくためにさまざまな方に慣れさせることや、安心して暮らせるよう早いうちからほかの犬との接し方を経験させておくことが挙げられる
  • 社会化期を逃した場合のしつけ教室のトレーニングの内容は、基本的な動作(おすわり・アイコンタクトなど)や人とのスムーズなコミュニケーションの取り方をサポートがある

犬の社会化期は、生後3週齢から12〜13週齢頃までの短く貴重な期間で、さまざまな方や音、環境に慣れるための大切な時期です。

しかし、たとえこの時期を逃してしまっても、トレーニングによって社会性を身につけられます。しつけ教室では、犬同士のふれあいや基本的なコマンド練習、人への慣れなどを通して、暮らす力を養っていきます。焦らず、愛犬のペースに寄り添いながら取り組みましょう。

これらの情報が少しでも社会化期を逃した場合もしつけ教室でトレーニングできるのかについて知りたい方の皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献