古くから恐れられてきた狂犬病は、致死率ほぼ100%という恐ろしい感染症です。ベストな治療法が存在せず、一度発症すると、ほぼ死に至ってしまうといわれています。
この致死的な病は、どのように人に感染し、どのような症状を引き起こすのでしょうか?
本記事では、犬の狂犬病について以下のとおり解説します。
- 犬の狂犬病について
- 狂犬病が怖い理由
- 狂犬病の発生国や状況
- 犬が狂犬病にならないために
犬の狂犬病について感染経路や症状などを理解し、正しい知識を身につけていきましょう。
ぜひ最後までお読みください。
犬の狂犬病について
- 犬が狂犬病に感染する感染経路を教えてください。
- 犬が狂犬病に感染する主な経路は、狂犬病ウイルスを保有する野生動物や他の犬との直接的な接触です。これには、咬まれたり、引っかかれたりすることが含まれます。また、感染した動物の唾液が人や他の動物の傷口や粘膜に接触することでも感染が広がる可能性があります。
このウイルスは中枢神経系(体内でも複雑な器官であり、体のすべての機能を制御している部分)に影響を与え、最終的には脳に侵攻し、死に至る可能性があります。
- 犬が狂犬病に感染したときの症状を教えてください。
- 犬が狂犬病に感染した場合、初期症状としては行動の変化、興奮状態、攻撃性の増加などが見られます。進行すると、筋肉の麻痺、嚥下障害、過剰な唾液の分泌、恐水症(水を飲むことが怖くなる)などの神経症状が現れます。
最終的には、発症から数日で致死的な結果に至ることが一般的です。狂犬病の進行は速く、一度症状が現れたら治療が困難であり、ほとんどの場合、死に至ります。
狂犬病が怖い理由
- 犬が狂犬病に感染したら完治しますか?
- 犬が狂犬病に感染した場合、現在のところ、完治する方法はありません。
感染が確認された犬は、通常、発症してから短期間内で死亡に至ります。狂犬病は致死率が高く、症状が現れ始めた後の治療法は限られており、主に症状の緩和に焦点を当てた支持療法が行われます。感染が疑われる場合、速やかに専門の医療機関に連絡し、適切な処置を受けましょう。
- 狂犬病は犬から人に感染しますか?
- はい、狂犬病は犬から人に感染する可能性があります。
狂犬病は主に感染した動物の唾液を介して伝播します。人が狂犬病を持つ犬に噛まれたり、傷口や粘膜が感染した動物の唾液に触れた場合、狂犬病ウイルスに感染するリスクがあります。
狂犬病は全ての哺乳類に感染する可能性があり、特に犬は人間への感染源として一般的です。感染が進行すると、致命的な脳炎を引き起こす可能性があるため、狂犬病の予防として犬に対するワクチン接種が非常に重要です。
- 狂犬病が人に感染したら致死率はどのくらいですか?
- 狂犬病が人に感染した場合、致死率はほぼ100%に近いとされています。
一度症状が発現すると、現在の医療技術では治療法が確立されておらず、ほとんどのケースで死に至ります。感染した人が生存する例はまれとされで、過去に生存が報告された数例は、発症前に適切な予防接種を受けていたか、極めて早期に集中的な治療を受けたケースです。
このため、狂犬病の予防はとても重要であり、特に感染リスクのある地域に住む人々や旅行者には予防接種の検討をおすすめします。
狂犬病の発生国や状況
- 狂犬病のない国はどれくらいありますか?
- 狂犬病が発生していない国(清浄国)は、世界中でごく限られています。
具体的には日本、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、そしてスカンジナビア半島の国々が狂犬病のない国として知られています。これらの国々は、厳格な動物の監視と管理により、狂犬病を撲滅または未発生状態に保っています。しかし、世界のほとんどの地域では依然として狂犬病のリスクが存在し、予防対策が重要視されています。
- 世界でどれくらいの人が狂犬病で亡くなってるのですか?
- 世界保健機関(WHO)によると、狂犬病による死亡者数は毎年約3万5,000人~5万人に上ります。狂犬病は主にアジアやアフリカで発生し、感染の多くは犬から人への伝播によるものです。特に、発展途上国では狂犬病の予防と管理が重要な公衆衛生の課題となっており、これらの地域では未だに多くの人々が狂犬病によって命を落としています。
- 近年日本で狂犬病が発生しましたか?
- 近年、日本国内で狂犬病の発生はありません。
昭和32年以降、日本で狂犬病が国内発生することはなく、予防対策として犬の登録や年1回の予防接種が義務付けられています。
ただし、海外で感染し帰国後に発症するケースは数件報告されています。したがって、日本国内では狂犬病の発生は確認されていませんが、狂犬病に対する警戒は依然として必要です。
犬が狂犬病にならないために
- 飼い犬の登録はなぜ重要ですか?
- 飼い犬の登録は非常に重要です。
登録することにより、国や地方自治体は正確な犬の頭数や飼育状況を把握でき、狂犬病などの感染症が発生した際の迅速な対応や、狂犬病予防策の実施が可能になります。
登録された犬は、狂犬病予防注射を受け、鑑札と注射済票を装着することが義務付けられており、これにより病気の拡散防止だけでなく、万一の逃走時や事故時に迅速な対応を助けられます。
- 犬の狂犬病を予防する方法を教えてください。
- 犬の狂犬病を予防するための最も重要な方法は、狂犬病予防接種を定期的に行うことです。
狂犬病予防接種の受け方は、大きく分けて2通りあります。
一つは、市区町村が定期的に開催する集合注射会場で、接種できます。接種料金は市区村により異なるため、市町村の公式ホームページで確認することが大切です。
また、開催日時や場所が限られていたり、待ち時間が長い場合があったりするため、注意が必要です。
集合注射会場以外で摂取する場合、動物病院に行く必要があります。動物病院では、獣医師による健康診断を受けられるだけでなく、他の犬との接触が少ないとされています。
接種費用は、お住まいの市区町村や動物病院によって異なりますが、3,000円~5,000円程度が目安です。
編集部まとめ
これまで、犬の狂犬病の感染経路や症状、日本での発生状況について解説してきました。要点をまとめると、以下のとおりです。
- 狂犬病ウイルスを保有する野生動物や他の犬との直接的な接触(咬まれたり、引っかかれたりすることも含む)が、狂犬病に感染する主な経路である
- 日本、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、そしてスカンジナビア半島の国々が狂犬病のない国として知られている
- 狂犬病が人に感染した場合、致死率はほぼ100%に近いとされていて、現在の医療技術では治療法が確立していない
- 犬の狂犬病を予防するための最も重要な方法は、狂犬病予防接種を定期的に行うこと
狂犬病予防接種は、愛犬を守るための大切な義務です。
すべての飼い犬は、狂犬病予防法に基づき、生後三か月を過ぎた後で、初めての予防接種を受ける必要があります。その後は年に一度、定期的に予防接種を更新することが求められます。
狂犬病は犬だけでなく、すべての温血動物に感染する可能性があるとされています。そのなかでも犬は公衆衛生の理由から、予防が重要視されています。犬の健康のみならず、飼い主を含む人間を守るためにも、愛犬の狂犬病予防接種は重要とされています。日本は狂犬病の発生が長らくないため、油断しがちですが、法律や予防接種を普及させる努力によって清浄国として保たれていることを忘れずにいましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。