動物病院のセカンドオピニオン|手順・注意点などについて解説

動物病院のセカンドオピニオン|手順・注意点などについて解説

動物病院のセカンドオピニオンとは、かかりつけの獣医師の診断や治療法について、別の獣医師から意見をもらうことです。病気の治療方針を相談したり、誤診や不適切な治療を避けたりするのに役立ちます。

セカンドオピニオンは、言葉を持たぬペットの代わりに飼い主さんがよい治療方針を求める愛情表現といえるでしょう。同時に、心の負担も軽減してくれます。

今回は、動物病院のセカンドオピニオンの手順や注意点などをQA方式でお答えしていきます。ペットの治療方針において重要な決定を下す際の一助になれば幸いです。

動物病院のセカンドオピニオンについて

診察を受ける犬108

セカンドオピニオンとはどのようなものでしょうか?
動物病院でのセカンドオピニオンとは、治療方針について、かかりつけの獣医師とは別の獣医師から異なる意見を聞くことです。
別の獣医師に意見を聞くことで、迷っている飼い主さんは決定の際の参考にでき、病気や治療に対する理解が深まるというメリットもあります。
また、主治医から示された治療方針についての疑問や不安などを解消するのにも役立つでしょう。
ただし、セカンドオピニオンを聞いたうえで、得られた複数のアドバイスや選択肢の中から決定するのは飼い主さん自身です。最終的には自分で適切な治療法を決めなくてはなりません。
動物病院のセカンドオピニオンが重要なのはなぜですか?
近年では獣医療ミスを問われる裁判やトラブルも多発しています。誤診や治療のトラブルを未然に防ぐためにも、獣医療界でもセカンドオピニオンの必要性が提言されています。
また、獣医学の進歩によりさまざまな治療法が開発されてきたこと、動物の高齢化に伴いさまざまな慢性疾患も増えてきたことを受けて、飼い主さんの要求も多様化してきました。
一人の獣医師の意見だけでなく、複数の専門的な意見を聞いて治療方針の選択肢を広げるのは、今後も重要になっていくでしょう。
セカンドオピニオンのメリットについて教えてください
セカンドオピニオンを受けるメリットには、以下のようなものがあります。
  • 新しい知識を取り入れることで病気や治療への理解が深まる
  • 別の治療法の提案を得られる
  • 別の獣医師の意見を聞くことで、より適切な治療法を見つける助けとなる

そのほか、誤診予防や治療法の選択肢を広げることにも役立つでしょう。

セカンドオピニオンのデメリットについて教えてください。
セカンドオピニオンのデメリットには、以下が考えられます。
  • 医療費の負担が増える
  • 別の動物病院を受診する時間と手間が増える
  • 動物の心身に負担がかかる

セカンドオピニオンの受診に必要な費用はペット保険の適用対象ですが、保険に加入していない場合は全額が飼い主側の自己負担になります。
また、遠方の場合は、交通費の負担や時間の確保も考えておかなければなりません。
セカンドオピニオンをもらうには、相談だけでなく、診断のために前の動物病院で行った診察・検査をもう一度受ける場合があります。そのため、費用と時間がかかる点も理解してからセカンドオピニオンを受けるようにしましょう。

動物病院でセカンドオピニオンが必要な場合

獣医さんと犬

ペットの病状が改善しないときセカンドオピニオンは必要でしょうか?
病状が改善しないのに同じ治療法を続けている場合は、セカンドオピニオンが必要です。
主治医と同じ見解であれば、迷いなく治療を継続できるでしょう。セカンドオピニオンを受けず、不安材料を残したままペットの病状が悪化した場合、飼い主さんは一生後悔してしまうのではないでしょうか。
ただし、セカンドオピニオンを受ける際は現在通院している動物病院のこれまでの診断・治療の経緯や検査データなどが必要です。
主治医に内緒で受けることは、担当医との信頼関係を損なうだけでなく、今後何かあっても連携できなくなってしまいます。
診断が不確かである場合、セカンドオピニオンは重要ですか?
命にかかわるような病気や手術の際、誤診や不適切な治療を避けるためにもセカンドオピニオンは重要です。
ほかにも、以下のようなときはセカンドオピニオンの検討が必要です。
  • 獣医師の説明に納得していない
  • 治療に迷いがあり、決断ができない
  • 複数の獣医師の意見や検査法や治療法を知りたい
  • 説明が不十分で治療法に一貫性がない
  • 気の進まない手術を勧められている
  • 希望していない検査をされている
  • 治療費が高額でほかに治療方法や選択肢がないか知りたい

ペットの病状が改善しないときにセカンドオピニオンが必要かどうかは、飼い主さんの不安の度合い・獣医師からの説明の納得具合にもよります。「せっかく診断してもらったのに悪いかもしれない」などと、セカンドオピニオンを後ろめたく感じる必要はありません。
セカンドオピニオンの根底にあるのは、病気に苦しむ動物をよい方向へ導くために受けるという動物主導の考え方です。そのため、セカンドオピニオンを受けると告げると、快く紹介状を書いてくれる主治医もいるでしょう。

動物病院のセカンドオピニオンの手順・注意点

診察中のヨークシャーテリア

セカンドオピニオンはどのような手順で進めますか?
セカンドオピニオンとは、ほかの獣医師の意見をもとに主治医と今後の適切な治療方針を模索していくものです。
まずは、かかりつけの動物病院の獣医師にペットの病気についての疑問や不安を相談してみましょう。セカンドオピニオンを希望していることを明確に伝えると、わかりやすく病状を説明し直したり、他の高度診療施設に紹介状を書いたりなどの対応をしてくれるでしょう。
セカンドオピニオンを受けるときは、以下の手順で進めます。
  • 主治医にセカンドオピニオンを受けたいと希望を告げる
  • 過去の病気・手術歴および投薬状況などのメモを準備する
  • 診療情報提供書(紹介状)・治療経過の記録を準備してもらう
  • セカンドオピニオンを受けたい動物病院に予約する

予約をする際は、セカンドオピニオンを受けたい旨を伝え、病気の動物も連れていくかどうかも確認しましょう。

セカンドオピニオンを受ける際の注意点はありますか?
セカンドオピニオンを希望する飼い主さんは、現在の動物病院での診断に不安や疑問を抱えている場合が少なくありません。しかし、セカンドオピニオン外来を受けるときはマナーを守り、ほかの獣医師の不平・不満を言うことは控えましょう。
今後も連携などでお世話になるかもしれません。たとえ転院したとしても、前の獣医師と良好な関係を保つことが望ましいでしょう。
また、獣医師によって違う意見や治療方針が出され、新たな検査によって別の病気が見つかる可能性があります。そのような場合は、飼い主さんが複数の意見を参考にご自身で決定をします。
ただし、大した不安材料もないのにセカンドオピニオンを求めて転々とするのは動物の負担になるためやめましょう。
セカンドオピニオンを受けるタイミングはいつが適切ですか?
かかりつけの獣医師から病気のペットの治療方針について、ファーストオピニオンが提示されたときが適切なタイミングです。
ほかにも、以下のようなタイミングでセカンドオピニオンを受けるのが適しているでしょう。
  • 命に関係する重大な病気が疑われるとき
  • 手術や長期的な治療が必要なとき
  • 現在の治療で効果が現れないとき
  • 現在の治療法に疑問や不満があるとき

獣医療においては、飼い主さんのペットへの愛情や思いが優先されます。納得できる治療法の可能性を求め、セカンドオピニオンを希望していることを主治医に告げて協力を仰ぎましょう。
新たな病気が発覚したり、より負担のない治療法を提示されたり、的確なアドバイスを受けて納得して元のかかりつけ病院に戻る飼い主さんも大勢います。
適切なタイミングでセカンドオピニオンを活用することは、大事なペットの命を守ることにつながります。

セカンドオピニオンを受ける際の料金はどのようになっていますか?
セカンドオピニオンの料金設定は、動物病院によって異なります。
30分ほどの相談料の目安は、約2,200〜8,800円(税込)です。診察がある場合は相談料がかからない病院もあれば、セカンドオピニオン費用のほかに別途で診断料などがかかる病院もあります。予約の際に、セカンドオピニオンを受ける旨を伝えたうえで料金の詳細を確認しましょう。
また、当日は動物を同伴するかどうかの確認も必要です。これまで実施した血液検査・レントゲン・エコーなど各種検査データのコピーを事前に主治医から送ってもらうか、初診時に持参するようにしましょう。

編集部まとめ

笑顔の犬

今回は、動物病院のセカンドオピニオンを得る方法や手順について解説しました。

セカンドオピニオンを希望したくても、主治医に申し訳ないと踏み出せない飼い主さんが多いかもしれません。

しかし、大きな決断を前に別の獣医師からセカンドオピニオンを得ることは、ペットの健康を気遣い、今後の治療方針を確認するうえでとても重要です。

別の獣医師に第二の意見を聞くことでより正しい情報を得て、あるいは治療の選択肢を増やし、納得のいく方針を選ぶことは飼い主さんの当然の権利ともいえるでしょう。

最近では、「飼い主さんがセカンドオピニオンを希望された場合は快く協力したい」と考える獣医師も少なくありません。本記事が、セカンドオピニオンを受ける検討の参考になれば幸いです。

参考文献