動物病院で耳掃除をするべき理由とは?ペットの耳を健康に保つ方法を解説

動物病院で耳掃除をするべき理由とは?ペットの耳を健康に保つ方法を解説

ペットの耳の掃除はどうされていますか? 定期的に自分でお手入れしている方もいれば、ペットサロンでトリミングやシャンプーの際に、一緒にお願いしている方もいるかもしれません。実は、動物病院でも耳掃除してくれるのです。 耳掃除が犬猫に与えるストレスから動物病院で行う耳掃除、家庭でできる耳のケアまで、詳しく解説します。ペットを迎えた方はもちろん、自分の耳掃除でいいのか気になっていた方にもたいへん役立つ内容です。ぜひ目を通してください。

ペットの耳掃除とストレスの関係

ペットの耳掃除とストレスの関係

犬や猫も人間と同じように耳垢が溜まりますので、定期的に耳掃除をされている方もいるでしょう。しかし、耳掃除が正しく行われないと、かえって耳のトラブルを引き起こすことがあります。ここでは、耳掃除を正しく行わない場合のリスク、耳トラブルがペットに与えるストレス、動物病院で耳掃除を受けるべき目安についてそれぞれ解説します。

耳掃除を正しく行わない場合のリスクは何ですか?
耳のなかを定期的にチェックし、汚れを取り除いて清潔にしておくことは、ペットの耳を健康に保つことにつながります。耳掃除は、ペットの大切なお手入れの一つといえるでしょう。しかし、自己流の耳掃除はリスクを伴います。頻繁に耳掃除を行う、つい力を入れすぎて皮膚を擦る、綿棒などを使用して耳の奥まで掃除するなどの行為は、ペットの耳トラブルの原因になることがあります。間違ったお手入れにより、皮膚の粘膜を傷つけたり、皮膚のバリア機能が弱って細菌が繁殖しやすくなったりするのです。悪化すると、外耳炎や中耳炎を発症することもあります。また、綿棒でのお手入れは、鼓膜を傷つける可能性や、耳垢を奥に押し込んで詰まってしまうことがあります。汚れを効果的に落とせるイヤークリーナーも適切に使用しないと耳トラブルの原因になり、洗浄剤の成分によってはアレルギーを引き起こすこともあるので注意が必要です。このように、耳掃除を正しく行わない場合には耳のトラブルを引き起こすリスクがあります。
耳トラブルがペットに与えるストレスを教えてください
主な犬や猫の耳の病気には、外耳炎、中耳炎のほか、耳疥癬(かいせん)(耳ダニ症)、マラセチア性外耳炎などがあります。これらは痛みや痒みなどの自覚症状を伴うことが多く、ペットにとっても大きなストレスになるでしょう。不快な症状が続くと、ストレスが溜まって、苛立ったり、触ろうとする飼い主に対して攻撃的になったりすることもあります。いつもより頭を振っている、床や物に耳をこすりつけている、耳の後ろを過剰にかいているなどの気になる様子が見られたら注意が必要です。症状が悪化する前に、早めに動物病院を受診する方がよいでしょう。
どのような場合、動物病院で耳掃除を受けるべきですか?
自分ではお手入れの仕方がわからず耳掃除をためらっている方は、一度、動物病院にお願いするとよいでしょう。また、例えば、垂れ耳で耳の構造が複雑な犬猫もいれば、トイ・プードルやヨークシャー・テリアなどの犬種のように耳のなかに毛が生えていることもあります。自分では耳掃除がしづらいと感じたら、無理をしないことです。また、自宅では嫌がって耳を触らせてくれないとお困りの方もいるでしょう。こうした場合もお願いしましょう。無理やり耳掃除をしようとすると、暴れて耳を傷つけたり、ペットが強いストレスを感じたりするのでやめましょう。いつもより耳垢が多い、耳のなかが臭う、皮膚が赤くなっている、耳垢が黒いなど、異変が見られるときは、自分でのお手入れは控え、動物病院で耳に異常がないか診てもらいしましょう。

耳掃除における動物病院の役割

耳掃除における動物病院の役割

動物病院で耳掃除を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。耳掃除における動物病院での役割について解説します。また、耳掃除だけで受診していいの? 事前に準備しておくことは? といったよくある疑問についても説明します。

動物病院で耳掃除を受けるメリットは何ですか?
一番のメリットはプロに任せるということでしょう。耳の構造を熟知した獣医師であれば、適切に耳の汚れを落とせます。動物病院であれば耳掃除に適した専用の器具や薬剤など環境も整っているので、ペットにとっても負担が少なく済むでしょう。また、耳掃除だけでなく、耳に異常がないかも診てもらえます。自分では耳の奥まで見られないので、ペットの耳の異常を早期に発見できるでしょう。耳掃除をお願いした際に、家庭での耳のケアについて、獣医師に相談もできます。実際に目の前で獣医師が耳掃除を行う様子を見れば、家庭でのお手入れの参考になるでしょう。
耳掃除だけでも受診できますか?
耳掃除だけでも受診できます。耳掃除だけで、と躊躇することはありません。動物病院は自由診療のため、病院によって料金は異なりますが、耳掃除だけの場合、大体の相場は500~2,000円で、これに初診料や再診料の診察代が別途かかることもあります。料金が気になる方は事前に病院に確認しておくとよいでしょう。病院に連れて行くのが難しい場合は、往診サービスの利用も選択肢の一つです。かかりつけの病院が往診に対応していない場合は往診専門の動物病院もあります。料金は、診察代、処置代のほかに往診料がかかります。往診料の相場は2,000円~5,000円ですが、夜間対応や病院から自宅までの距離がある場合、別途追加料金が加算されることがあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。なお、ペット保険は、耳掃除だけの場合、病気やけがの治療ではないため対象外になりますので、お気をつけください。
耳掃除を受ける際に準備すべきことがあれば教えてください
通常、動物病院を受診する際に必要なものを準備します。耳掃除だからといって特別な準備は必要ありません。気になることや聞いてみたいことがあれば、メモをしておくとスムーズです。料金が心配な方は事前に確認しておきます。また、動物病院に行くことが難しい場合は、往診サービスがある病院などをネットで調べて検討しておくとよいでしょう。

耳掃除のための家庭ケアのポイント

動物病院での耳掃除も、毎回の通院は負担になることもあるでしょう。ここでは、家庭でできる耳掃除の方法について解説します。耳掃除を行う頻度や注意点についても説明しますので、家庭でのケアの際に参考にしてください。

家庭でできる耳掃除の方法を教えてください
耳掃除の前に、まずは耳のなかをチェックします。耳垢の色や量に異常はないか、赤みなどの炎症はないか、悪臭はないか、触ってみてペットが痛がっていないかなどを確認します。異常が見られた場合はやめましょう。お手入れは、水で湿らせた清潔なコットンやガーゼで優しく耳のなかを拭き取ります。見える部分だけで、あまり奥まで指を入れたり、強く擦ったりしないようにしましょう。本来、耳には自浄作用があり、耳垢は外へ排出される仕組みになっているからです。汚れや臭いが気になる場合は、イヤークリーナーをつけて拭いたり、耳掃除専用シートで拭いたりするとさっぱりします。溜まった耳垢を取り除くのにイヤークリーナーを耳に注ぎ込む方法もありますが、使い方を間違えるとかえって耳のトラブルを引き起こすので、要注意です。
耳掃除の頻度はどれくらいが適切ですか?
耳に異常がなければ、週に1~2度のお手入れを目安にしましょう。特に梅雨などの湿気がある時期は耳のなかが蒸れやすく、汚れがつきやすくなります。汚れのつきやすさや耳垢の溜まりやすさは耳の形状や個体によっても異なります。例えば、垂れ耳の場合、通気性が悪く、細菌や酵母が繁殖しやすく、耳のなかに毛が生えている犬種は汚れがつきやすくなります。ご自身のペットはどのくらいの頻度で行うべきか、獣医師に聞いてみるとよいでしょう。
家庭で耳掃除を行う際の注意点を教えてください
まず、過剰な耳掃除はしないことです。細かいところまで届く綿棒は便利そうですが、耳垢を押し込んでしまうことがあるので、使用しないか、奥まで入れないようにしましょう。耳垢を取りやすくするイヤークリーナーも、使い方を間違えると耳のトラブルにつながります。またアルコールなど含まれる成分によってはアレルギーを引き起こすこともあるので注意が必要です。どれが合っているのか、動物病院に相談してみるとよいですね。そして、嫌がるペットを無理に押さえつけての耳掃除はやめましょう。耳掃除をがんばった後はご褒美をあげて、たくさん褒めてあげることも大切です。

編集部まとめ

ペットの耳掃除について理解は深まりましたでしょうか。耳を清潔に保つことは、耳の病気の予防につながります。耳掃除はペットの健康を保つために大切なお手入れの一つといえるでしょう。ご自身の耳掃除だけでは心配な方、耳掃除自体を躊躇してしまう方は動物病院での耳掃除をお願いするとよいですね。家庭で定期的に耳のチェックを行えば耳の異常を早期に発見することができます。家庭でのケアも少しずつ慣らしていけばペットとの大切なコミュニケーションの時間になるでしょう。

参考文献