猫の気管支炎とは?治療法や予防法について解説します!

猫 気管支炎

猫の気管支炎の治療法や予防法にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、猫の気管支炎について以下の点を中心にご紹介します。

  • 猫の気管支炎の症状とは
  • 猫の気管支炎の治療法とは
  • 猫の気管支炎の予防法とは

猫の気管支炎について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

猫の気管支炎とは

猫の気管支炎は、猫の気道(気管と気管支)に炎症が起こる病気です。早期発見と適切な治療が重要で、異常に気付いたらすぐに動物病院を受診することが推奨されています。

猫が気管支炎になる原因

まずは、猫が気管支炎になる原因を解説します。

ウイルス性気管支炎

猫の気管支炎は、気道(気管と気管支)に炎症が起こる病気で、その原因としてウイルス感染があります。

ウイルスが原因の代表的なものとしては、ネコカリシウイルスが原因のネコカリシウイルス感染症と、ネコヘルペスウイルスが引き起こす猫の感染性鼻気管炎が存在します。

ネコカリシウイルス感染症は、気管や気管支に炎症を引き起こします。

一方、猫伝染性鼻気管炎は、気管や気管支だけでなく、鼻や眼などの粘膜にも影響を及ぼします。

これらのウイルス感染は、猫の気管支炎の一般的な原因であり、特に、空気が乾いている冬季には、その流行が顕著になります。

細菌性気管支炎

猫の気管支炎の原因として、細菌感染も挙げられます。

細菌による気管支炎として主に挙げられるのは、ネコカリシウイルスやネコヘルペスウイルスなどのウイルス感染が原因で起こる二次感染で、マイコプラズマ・フェリス菌が入り込むことで気管支炎を引き起こします。

これらの細菌は、猫の気道に侵入し、炎症を引き起こすことで気管支炎の症状を引き起こします。

フィラリア症による寄生虫感染

猫の気管支炎の原因として、フィラリア症による寄生虫感染も挙げられます。

フィラリアは、一般的に犬の心臓に寄生する虫として認識されていますが、実は猫など、さまざまな哺乳類に寄生します。

猫については、犬より気付かれにくい事例が多いというのが現状ですが、最近の研究によれば、猫の10匹中1匹が感染の兆候を示しているという結果が存在します。

フィラリア症に感染すると、フィラリアの幼虫が肺の血管に寄生し、肺血管で炎症が起きます。

この炎症が気管支に広がり、気管支炎を誘発する可能性があります。

気管支異物

猫の気管支炎の原因として、異物の誤飲や吸引も挙げられます。

これは、本来口に入れるべきではないものを誤って飲み込んだり、吸い込んだりした結果、それが気管支に間違って入り込んでしまうことを指します。

また、刺激性のあるガスや煙などの毒物を吸引することで気管に傷が付き、炎症を引き起こすこともあります。

このような事態を防ぐためには、猫が誤飲や誤食をしそうなものを部屋に置かないようにし、飼い主が見ていないときは誤飲をしやすいおもちゃなどはしまうようにすることが重要です。

刺激物の吸引

猫の気管支炎の原因として、刺激性の煙やガス、化学薬品などの吸引も挙げられます。

これらの物質は、猫の気道に刺激を与え、気道が腫れて狭くなる場合や、分泌物が増えるために呼吸器症状が強く現れる場合が多いです。

また、これらの物質は気管に傷をつけ、炎症を引き起こす可能性があります。

アレルゲン物質

猫の気管支炎の原因として、アレルゲン物質の吸引も挙げられます。

アレルゲン物質とは、体が過剰に反応を示す物質のことを指し、ハウスダスト、花粉、タバコの煙、芳香剤などが該当します。

これらの物質を猫が長期間吸引すると、気管支が刺激され、慢性的なアレルギー性気管支炎を引き起こす可能性があります。

このような状況を防ぐためには、猫がこれらの物質に触れないような環境を整えることが重要です。

猫気の管支炎の症状

次は、猫の気管支炎の症状についてです。

猫の気管支炎の主な症状として「咳」が挙げられます。

急性の気管支炎では、眠れないほどの強い咳が連続して発生し、それが数日間持続することがあります。

一方、慢性気管支炎の場合、まばらな軽い咳から始まり、次第に頻度が増し、苦痛を伴う咳へと進行することが多いです。

また、慢性的な症状では、突然咳が出る発作が起こり、その後は一時的に落ち着くというパターンを繰り返すこともあります。

猫が急に激しい咳をした場合は、直ちに動物病院に連絡しましょう。

喘鳴音が聞こえる

猫の気管支炎は、気道が炎症を起こし、粘膜から過剰に粘液が分泌されることで、気道が狭くなり、うまくガスの交換ができなくなる病気です。

この状態が続くと、猫は呼吸音が異常になり、通常は聞こえないような、やや高い音域の異常な呼吸音、例えば「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」、「スースー」などの音が聞こえることがあります。

これは、気道が狭くなった結果、空気が出る際に生じる音で、音量はさまざまです。

このような異常な呼吸音が聞こえた場合、猫が気管支炎を患っている可能性がありますので、早急に動物病院に連れて行くことをおすすめします。

その他の症状

猫の気管支炎のその他の症状としては、発熱や鼻汁、クシャミ、結膜の炎症などが同時に見られる場合があります。

さらに、気道が細くなると呼吸が困難になり、呼吸の回数が増加します。

さらに症状が悪化すると、活動的でなくなり、静かに過ごす時間が増えることがあります。

咳や呼吸の困難が続くと、体力が奪われ、食事の欲求が減退し、体重が落ちることがあります。また、脱水症状も引き起こす可能性があります。

もし口を開けて息をしたり、うつぶせになって首を伸ばしたりする行動が見られたら、それは低酸素状態を示しており、いつでも急に症状が悪化する可能性があるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

注意するべき症状について

猫の気管支炎の急性症状では、発作的に数日間から数週間にわたり、強い咳が止まらないことがあります。
また、咳の刺激で吐くこともありますが、猫の咳は吐き気の動作と似ていることがあるため、しばしば嘔吐していると誤解されます。

その他の症状としては、涙や鼻水、発熱を伴うこともあります。
さらに、元気がなくなり、食事に対する興味が減少する場合もあります。
症状が進行すると胸が痛むようになり、飼い主に触れられるのを嫌がることや、胸部に圧力を感じるような姿勢をとることを避けます。

重篤な状態になると呼吸が困難になり、チアノーゼを示すこともあります。
早期発見のためにも猫の咳を見逃さないようにしましょう。

もし猫が咳をし、胸部に痛みがあるような様子を見せたら、すぐに動物病院に連れて行くことをおすすめします。

猫の気管支炎の治療法

猫の気管支炎の治療法についても解説していきます。

抗生物質・抗真菌剤の投与

猫の気管支炎の治療法には、抗生物質や抗真菌剤の投与が含まれます。
これらの薬は、気管支に侵入した細菌や真菌を排除し、炎症を抑える役割が期待できます。

しかし、治療は病状や原因により異なるため、具体的な治療法や治療費は獣医師の診断に基づきます。
猫が異常な呼吸音を出したり、咳をしたりする場合は、早急に動物病院を受診することが重要です。

対症療法

猫の気管支炎治療法の対症療法としては、咳がひどく呼吸がしづらい、眠れないなどの場合には症状を緩和するためにネブライザー(吸入)治療をすることもあります。
また、咳によって体力の消耗が激しく食事や水分をしっかりとれていない場合は必要に応じて点滴治療をします。

ただし、これらの治療は症状の緩和と感染症の管理に役立つものの、気管支炎の根本的な原因を解決するものではありません。
そのため、症状が改善したら投与回数や投与方法の変更を検討し、できるだけ投与量を減らして維持することが重要です。
また、症状が悪化した場合や改善が見られない場合は、すぐに獣医師に相談することが必要です。

猫が気管支炎にならないための予防法

猫が気管支炎にならないためにはどうすればいいのでしょうか。以下で、予防法も解説します。

ワクチンを接種する

猫の気管支炎の予防法として、ワクチン接種が有効とされています。

「ネコカリシウィルス感染症」や「猫伝染性鼻気管炎」など、気管支炎の症状を引き起こす可能性のある疾患は、ワクチン接種により感染リスクを低減させることが期待できます。
ただし、ワクチンの接種は、各猫の状況により、接種のタイミングやワクチンの種類が変わる可能性があります。そのため、接種を検討する際は、信頼できる動物病院と詳しく話し合ってください。

ストレスをためない工夫をする

猫の気管支炎の予防法として、ストレスを溜めないことも重要です。

ストレスは猫の免疫力を低下させ、感染症に対する抵抗力を弱める可能性があります。
そのため、猫がストレスを感じないような環境を整えることが推奨されます。

具体的には、猫が過ごせる場所を確保したり、適度な運動をさせたりすることで予防が期待できます。
また、猫同士のトラブルや飼い主とのコミュニケーション不足など、ストレスの原因を早期に見つけて対処することも大切です。

さらに、定期的な健康チェックを行い、早期に気管支炎の兆候を見つけることも重要です。これらの予防策を適切に行うことで、猫の気管支炎のリスク低減が期待できます。

まとめ

ここまで猫の気管支炎についてお伝えしてきました。
猫の気管支炎の要点をまとめると以下の通りです。

  • 猫の気管支炎の症状には、咳や喘鳴音、鼻水やクシャミなどが挙げられる
  • 猫の気管支炎の治療法には、抗生物質・抗真菌剤の投与や対症療法などが挙げられる
  • 猫の気管支炎の予防法には、ワクチン接種やストレスを溜めないことが挙げられる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき有り難うございました。

【参考文献】