猫を感染症から守り、健康な日々を送ってもらうために、ワクチン接種は欠かせないものです。一方で、ワクチンといっても、どのような種類があるのか、いつ打てばよいのかなど、詳しくわからない方もいることでしょう。
この記事では、猫に必要なワクチンについてポイントを質問形式でおこたえします。ワクチンを接種する際の注意点もあげているので、ぜひ参考にしてください。
猫に必要なワクチンの種類
猫に必要なワクチンには、どのような種類があるのでしょうか。室内飼いの猫にもワクチン接種は必要なのかなど、素朴な疑問について紹介します。
- 猫に必要なワクチンにはどのようなものがありますか?
- 猫に必要なワクチンは、猫免疫不全ウイルス感染症ワクチンを除き、混合ワクチンとして同時に接種することが可能です。混合ワクチンには、コアワクチン、ノンコアワクチンの2種類があり、コワワクチンについては、すべての猫が接種するよう推奨されています。
- コアワクチンとノンコアワクチンの違いを教えてください
- コアワクチンは、猫の健康維持のために必要とされるワクチンで、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症といった病気を予防します。
一方でノンコアワクチンは、猫の生活環境や健康状態に応じて接種するワクチンであり、猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症、猫免疫不全ウイルス感染症といった病気を予防します。
- 完全室内飼いの猫でもワクチン接種は必要ですか?
- コアワクチンが予防する病気は感染力が強く、命に関わるケースもあるため、室内外を問わず、すべての猫にワクチン接種が推奨されています。また、ノンコアワクチンは、外に出る猫や多頭飼いなど、ほかの猫と接触する機会がある猫は接種が推奨されています。
猫のワクチン接種の適切な時期

ワクチンはどのタイミングで接種すべきなのか、よくわからないという飼い主さんもいるでしょう。ここでは、ワクチン接種の適切な時期や頻度について具体的に解説します。
- 子猫のワクチン接種は生後何週目から始めるべきですか?
- 子猫の場合、生後6~8週齢より、母親の初乳から受け取った免疫力が低下し始めます。そのため、この時期に合わせてワクチンを接種するとよいでしょう。その後も数週間おきに複数回接種して免疫力を高める必要があります。
- 成猫になってからのワクチン接種の頻度はどのくらいですか?
- 成猫の場合は、初めての接種や前回の接種から1年以上が経過しているようであれば、追加接種が必要となります。その後は年に1回の追加接種が一般的です。
- ワクチンの定期的な接種が必要な理由を教えてください
- ワクチンの効果は永久ではなく、時間とともに低下するため、定期的な接種が必要となります。猫の健康状態によっては、抗体価検査を行うことでワクチン接種が不要となる場合もあります。
猫のワクチン接種時の注意点
ワクチンを接種するとなった際に、飼い主さんは何に注意すればよいのでしょうか。ワクチン接種時の注意点について紹介します。
- ワクチン接種前に健康チェックを受ける必要はありますか?
- ワクチンはウイルスの毒性を抜いて弱めているとはいえ、病原体を体内へ入れることに違いはありません。そのため、接種する猫が健康な状態であることが望ましいです。
動物病院では、ワクチン接種前に健康チェックが受けられますので、ワクチン接種と一緒に受けるようにしましょう。接種当日になって、愛猫の体調が優れないようであれば、ワクチン接種を控えた方がよいです。
- ワクチン接種後に猫に副反応が出ることはありますか?
- ワクチン接種後の猫に副反応が出るケースはあります。副反応は24時間以内に現れるため、ワクチン接種直後は注意深く様子を観察しましょう。
もし、体調の変化が現れたら、すぐに動物病院に相談してください。接種後1週間程度は激しい運動やシャンプーを控えて、安静に過ごした方がよいでしょう。
- ワクチンを受けた後、注意が必要な症状があれば教えてください
- 接種後1時間以内に現れる重篤な副反応として、アナフィラキシーショックがあげられます。よだれや嘔吐、けいれん発作などの症状が見られたら、命に関わる危険性もあるため、すぐに動物病院に連絡してください。
アナフィラキシーショック以外にも、じんましん、かゆみ、下痢や嘔吐といった副反応が出るケースもあります。これらの症状は時間の経過とともに消失する場合もありますが、処置が必要なこともあるので、症状が現れたら獣医師に相談した方がよいでしょう。
猫のワクチン接種をスムーズに行うためのポイント

猫のワクチン接種をスムーズに行うためのポイントを紹介します。飼い主さんが責任を持ってワクチン接種のスケジュールなどを管理し愛猫の負担を軽減してあげましょう。
- 猫がストレスを感じにくいワクチン接種の方法はありますか?
- 健康な毎日を送るためとはいえ、ワクチン接種は猫にとって少なからずストレスになります。そのため、接種前日や当日は来客などの予定を入れないように気を配り、猫ができるだけリラックスして過ごせるようにしましょう。
ワクチン接種の時間は午前中を選ぶのもおすすめです。ワクチン接種後、副作用や精神的なストレスによって猫の体調が急変した場合、早急に動物病院を受診した方がよいため、すぐに診療時間外となる遅い時間帯の接種は避けるようにしましょう。
- 多頭飼いの場合、ワクチン接種のスケジュールはどのように管理すべきですか?
- 新入りの猫を迎えたら、感染病の拡大を防ぐために、すぐに動物病院を受診しましょう。検査を受けて抗体価が低い場合には、ワクチンを接種してもらいます。
その他の猫についても、信頼できる獣医師に相談のうえ、ワクチンスケジュールを決めておくとよいでしょう。
- ワクチン接種を忘れないための工夫を教えてください
- 成猫のワクチン接種は、年に1回の追加接種が一般的ですが、年齢や持病の有無によって接種間隔は変わります。具体的な接種頻度については、かかりつけの獣医師に相談したうえで、決定するのがよいでしょう。
ワクチン接種の日程が決まったら、しっかりとスケジュールを管理して、忘れることがないよう、手帳などに書き留めるようにしましょう。もし指定された時期を過ぎてしまっても、動物病院に相談してみてください。ワクチン接種した季節を覚えておき、毎年の習慣として意識付けするというのも方法です。
ワクチンを接種しなければ、感染症のリスクが高まるということを念頭に、飼い主さんとして自覚と責任を持ち、ワクチンスケジュールを管理しましょう。
編集部まとめ
ワクチン接種というと、猫のストレスにならないか、副反応が出ないかといった不安も抱きますが、大切な愛猫を感染症から守るため、特にコアワクチンの接種は重要です。あらかじめ関連の知識を持っていれば、猫だけでなく、飼い主さんの負担も軽減できるため、計画的なワクチン接種を心がけてください。それぞれの猫の状況と照らし合わせて、疑問に思うことがあれば、一人で悩まずに獣医師の判断を仰ぎましょう。