犬のアレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎) | 検査方法・治療法・病院に行く目安を解説

犬 アレルギー性皮膚炎

急に犬の肌が荒れたり、赤く腫れてかゆがったりしていると不安に感じる方も多いのではないでしょうか。犬にもアレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)があります。

犬のアレルギー性皮膚炎は発症率が極めて高い病気です。もし愛犬にアレルギー性皮膚炎がみられた場合、どのように対処すればよいのかみていきましょう。

本記事では犬のアレルギー性皮膚炎の検査方法・治療法・病院に行く目安を詳しく解説します。

愛犬の様子に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

犬のアレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)の特徴・症状

アレルギー性皮膚炎特徴

犬のアレルギー性皮膚炎とはどのような病気ですか?
犬のアレルギー性皮膚炎とは、慢性掻痒性皮膚疾患です。「皮膚炎」とひと言でいっても、その種類や原因はさまざまなものがあります。
アレルギー性皮膚炎を発症すると、一般的には長期的な治療管理が必要となるため、愛犬も飼い主にも負担がかかる病気です。皮膚の状況と治療効果の継続的な経過観察をしながら、症状が改善する治療方法も並行して探していくことが必要不可欠になります。
アレルギー性皮膚炎の診断治療にはきめ細やかさのある対応が必要なため、通院のしやすさ・相談のしやすさ・獣医師や動物病院のスタッフとの信頼関係など、安心して連携できる動物病院をみつけることが非常に大切であるといえるでしょう。
主な症状について教えてください。
犬のアレルギー性皮膚炎にはいくつかの種類があり、さまざまな症状がみられます。主な症状は皮膚症状・呼吸器官症状・眼科器官症状・消化器官症状の4種類に分けられます。
それぞれの具体的な症状は、以下のとおりです。

  • 皮膚の痒み
  • 赤み
  • 脱毛
  • 湿疹
  • じんましん
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻のかゆみ
  • 目の充血
  • 目のかゆみ
  • 目の腫れ
  • 下痢
  • 嘔吐

上記のようにさまざまな症状があり、どのような症状が現れるかや症状の重さには個体差があります。主な症状のほかにも、運動器官・循環器官・泌尿器官・生殖器官・代謝性・神経系・血液に症状が現れることも多いです。
また、アレルギー性皮膚炎は重症化すると呼吸困難やアナフィラキシーショックなどの危険な状態に発展する可能性も否定できません。特にいくつかの症状が現れている場合には、体調の急激な変化に注意することが大切です。

アレルギー性皮膚炎を発症する原因は何ですか?
アレルギー性皮膚炎は体のさまざまな場所で発症する病気です。そのため、発症する原因はいくつか存在します。
具体的な発症原因は、以下のとおりです。

  • 細菌感染
  • 真菌感染
  • 寄生虫感染
  • 免疫介在性
  • 内分泌関連性
  • 皮膚腫瘍
  • 食物アレルギー
  • 化学伝達物質の採取
  • 中毒性じんましん
  • 刺激によるかぶれ
  • 食物不耐性

上記がアレルギー性皮膚炎の発症原因となり、急激に発症するリスクが高いといわれています。
食物アレルギーや食物不耐性に関しては、日常生活で気をつけなければならないことが多くなる傾向にあります。特に小さい子どもがいる家庭では、子どもが落としたものを愛犬が食べないように生活空間を区切ったり、ごはんの時間は愛犬をゲージに入れたりなど工夫が必要です。
ほかにも、ちょっとしたケガから細菌感染することもあります。愛犬の様子や行動に違和感を覚えたら、まずは動物病院に受診することを心がけてください。

犬のアレルギー性皮膚炎が疑われる場合の検査方法・治療法

検査方法・治療法

どのような検査を行いますか?
それでは、検査や治療の方法について詳しくみていきましょう。犬のアレルギー性皮膚炎が疑われる場合の検査方法は、いくつかあります。
検査内容は以下のとおりです。

  • 内分泌検査
  • 皮膚病理組織学検査
  • 細菌および真菌培養検査
  • 各種アレルギー検査

犬のアレルギー性皮膚炎を発症すると痛み・かゆみなどの軽度な症状から、最悪の場合には呼吸困難やアナフィラキシーショックを引き起こす重症なものまでさまざまあります。また、発症原因もさまざまです。
そのため、いくつかの検査を組み合わせて原因の特定が行われるでしょう。
いくつもの検査を受けなければならないため、飼い主が愛犬に寄り添ってあげることが大切です。

有効な治療法を教えてください。
犬のアレルギー性皮膚炎を発症してしまった時に有効な治療法は、アレルギー性のある食べ物を避ける・かゆみの症状を抑える薬やシャンプーを使うなどの方法があります。
痛みやかゆみが強い場合には、アレルゲン特異的免疫療法やインターフェロン療法によって症状を抑えることが最優先されます。しかし、薬の副作用や薬を飲み続ける必要が生じることもあるため注意が必要です。
アレルギー性皮膚炎を発症した原因によっては、免疫療法が適用されることもあり得ます。ほかにも、犬の生活環境の見直しやストレスを緩和してあげることも症状の改善につながるとされています。
アレルギー性皮膚炎がどの部位に発症するかや、発症の度合いによって治療方法が異なることに留意しましょう。有効な治療法を獣医師と相談しながら、進めていくことがおすすめです。
アレルギー性皮膚炎は完治しますか?
結論からお伝えすると、アレルギー性皮膚炎を完治することは難しいとされています。
しかし、さまざま治療方法や生活環境の見直しなどを駆使して症状を抑えることは可能です。症状を抑えるためには、犬と飼い主の継続的な努力と治療が必要不可欠となります。
また、アレルギー性皮膚炎の原因を突き止めて、予後にはその原因の排除が大切です。いくつもの原因が重なって、アレルギー性皮膚炎につながっている場合もあります。根気強く、発症の原因を探っていく必要があるでしょう。

飼い犬にアレルギー性皮膚炎が疑われる際の病院に行く目安・予防法

病院に行く目安・予防法

病院に行く目安について教えてください。
アレルギー性皮膚炎を発症した場合には、さまざまな症状がみられます。何気ない行動がアレルギー性皮膚炎の悪化につながることもあるため、注意が必要です。
例えば、足をよく舐めるようになったり、下痢や嘔吐が2日続いたりするようであれば動物病院に受診する必要があります。朝から夜まで全然動かず、ごはんも食べないようであれば低血糖を発症する危険性もあるため、緊急病院へ受診しなければならないこともあります。
様子見をするよりも、愛犬の行動に違和感を覚えたらとにかく獣医師に相談することを心がけてください。
症状が軽度であれば犬用または人間用の市販薬を使用してもよいですか?
症状が軽度であっても、犬用または人間用の市販薬の使用はおすすめできません。素人の判断で薬を使用することは、症状悪化やほかの不調を招く原因となります。
犬とは言葉でコミュニケーションを取ることが難しいため、悪影響を及ぼすこともあり危険です。自己判断せず、動物病院に受診してカウンセリングや検査を受けることをおすすめします。
アレルゲンを避けるために自宅でできる予防法はありますか?
自宅でできる犬のアレルギー性皮膚炎予防法はいくつかあります。
具体的な予防法は以下のとおりです。

  • アレルゲンフリーのドッグフードを準備する
  • 生活環境を清潔にする
  • 犬の習慣行動をチェックする
  • 定期的に犬の体を清潔にする
  • 適度な運動を習慣化する
  • 犬の体をチェックする

予防法を定期的に行うことで、早期発見と早期治療につながります。なるべく早い段階で、アレルギー性皮膚炎の発症原因を抑えることが大切です。

スキンケアはどのように行えばよいですか?
愛犬を清潔に保つには日々のスキンケアが必要不可欠です。例えば、散歩後には体や足をきれいに拭くこともスキンケアになります。
ほかにもスキンケアに該当するものは以下のとおりです。

  • 2週間に1回程度のお風呂による洗浄
  • 犬専用の保湿剤で皮膚の水分量を維持
  • さまざまな刺激から体や足を守るために服や犬専用の靴を着用
  • 定期的に毛並みを整えたりマッサージをする
  • ストレスのケア
  • 栄養や環境の管理
  • 生活改善

スキンケアは外側からのものだけでなく、内側のメンテナンスも大切です。愛犬にとってよりよい環境や習慣を取り入れるように留意しましょう。

編集部まとめ

シェルティ

犬のアレルギー性皮膚炎の検査方法・治療法・病院に行く目安を詳しく解説しました。犬にもアレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)があり、急に愛犬の肌が荒れたり赤く腫れたりする傾向にあります。

アレルギー性皮膚炎を発症する原因はさまざまあるため、原因を突き止めたり症状を改善させるには多くの時間が必要です。また、アレルギー性皮膚炎は完治が難しいため、継続的な治療が必要不可欠になります。

アレルギー性皮膚炎を発症してしまう前に、まずは自宅でできることから予防していきましょう。愛犬を守りたい方の参考になれば幸いです。

参考文献