犬の脱水症状への対処法とは?原因や注意すべき症状について解説

犬 脱水症状

犬は暑さなどの影響により脱水症状を起こしやすい動物です。犬は人間とは異なり足の裏にしか汗腺がないため、汗による体温調節ができません。

そのため体温上昇による脱水症状を起こしやすいです。

犬が脱水症状を起こす原因は体温上昇だけではありません。基礎疾患や薬などの影響で脱水となることもあります。

犬の脱水症状が重症化すると、内臓がダメージを受けて後遺症が残ってしまう場合があります。そのため、適切な対処・処置が非常に重要です。

今回は犬の脱水症状の対処法・脱水の原因・注意すべき症状について解説します。

犬の脱水症状とは?

犬の脱水症状とは

犬は人間と同じように脱水症状を起こします。人間が健康を維持するために必要な体内水分量は60%前後とされていますが、犬に必要な体内水分量は70%前後と人間よりも多いです。

このため、犬は脱水症状を起こしやすい動物だとされています。

健康な犬が脱水症状を起こす原因として挙げられるのが、いつでも水が飲める状態になっていないことです。

犬は汗をかくことはできませんが、代わりにパンティングと呼ばれる浅く早い呼吸によって体温を下げます。

運動した後などにハッハッと細かい呼吸をしているのを見ると思いますが、これがパンティングです。

パンティングによって唾液を蒸発させ、その気化熱を利用して体温をさげるため、唾液の蒸発とともに体内の水分量が減っていきます。

犬は減った水分を補うためにその都度水を飲むので、いつでも新鮮な水が飲めるように準備していないと、十分な水分が摂取できずに脱水症状を起こしてしまうでしょう。

これは散歩やドッグランなどでの運動時だけではなく、室内でも起こりえます。この他、下痢や嘔吐などが原因で脱水症状を起こす場合もあるので注意しましょう。

特に体の小さな子犬は成犬よりも脱水症状を起こしやすいので、下痢や嘔吐の症状が見られたらすぐに獣医師に相談してください。

犬が脱水症状を起こすと、元気がなくなったりおしっこが少なくなったりするなどの症状が現れます。

犬の脱水症状の程度が重い場合、適切に対処しないと命の危険があるため、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

脱水となる原因

脱水の原因とは

犬が脱水となる原因は様々です。単純に水分の摂取不足で脱水となる場合もありますが、病気や薬などが原因で脱水となる場合もあります。

以下で犬の脱水の原因について説明します。

下痢や嘔吐

犬は心身ともに敏感な動物なため、ストレスや環境の変化などが原因で下痢や嘔吐しやすい動物です。特に子犬は環境の変化によって下痢や嘔吐してしまう場合が多いです。

この他、ウイルス・寄生虫・異物の誤飲など様々な原因で下痢や嘔吐の症状が現れます。

原因に関係なく、犬が頻繁に下痢や嘔吐をすると体の中の水分が大量に失われてしまうため、脱水症状を起こしやすくなります

特に体の小さな子犬は下痢や嘔吐による脱水の影響を受けやすいため、症状が軽度なうちに動物病院を受診し処置を受けましょう。

下痢や嘔吐の原因によっては自力で水分を摂ることが難しくなる場合があるので、症状が現れたら放置せずにかかりつけの獣医師に相談してください。

利尿剤の使用

犬が心不全などの心臓の病気を患った場合に利尿剤を使用することがあります。この利尿剤の影響でおしっこが出すぎてしまい脱水症状を引き起こす場合があるでしょう。

老齢の犬に多く発症する僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の病気を患った犬には、体の余分な水分やナトリウムの排出を促して心臓の負担を軽くするために利尿剤が用いられます。

利尿剤を服用した犬はおしっこの量が増えるため、のどが渇きやすく水を飲む量が増えます。しかし、利尿剤の作用が効きすぎている場合にはおしっこが出すぎてしまい、脱水症状を引き起こす場合があるでしょう。

このような場合には利尿剤の量を調節する必要があります。

また、利尿剤のジギタリスの副作用に食欲不振・嘔吐・下痢が確認されています。これらの副作用によって脱水症状を引き起こす恐れがあるため、利尿剤使用中に副作用と思われる症状が現れたら獣医師に相談してください。

熱中症

犬でも熱中症で脱水症状に

体が体毛に覆われ汗による体温調節ができない犬は、高気温の影響を受けやすく体温が上昇しやすいため、人間よりも熱中症に警戒しなくてはいけません。

熱中症は水分不足や夏場の高気温の影響により、体温調節機能が正常に働かなくなることで脱水や高体温になることで生じます。

つまり熱中症を発症している場合には、すでに脱水状態に陥っている状態です。

熱中症により犬の体温が高い状態が続くと、蛋白質が変性して脳や腎臓など様々な臓器に影響が現れます。重篤になると臓器に後遺症が残るだけではなく、多臓器不全に陥る危険性があります。

熱中症を疑う症状が現れたらすぐに適切な応急処置を行い、獣医師の診察を受けましょう。

なお、熱中症にかかりやすい犬種としては、パグやブルドッグなどの短頭種・シベリアンハスキーやサモエドなどの寒い地方が原産の犬などが挙げられます。

この他、心臓病・腎臓病・呼吸器疾患の基礎疾患がある犬や肥満体系の犬なども熱中症に罹りやすいので注意が必要です。

腎機能障害

何らかの影響で腎臓の機能が低下する「腎不全」を犬が発症すると、多飲多尿の症状が見られるようになります。腎不全によりおしっこの量が増えると、体に必要な水分を溜めておけなくなるため、脱水を起こす場合があります。

腎機能障害には急性腎不全や慢性腎不全などがあり、発症する原因は様々です。

急性腎不全は迅速に適切な処置を行えば腎機能が回復する可能性があります。しかし、慢性腎不全は徐々に腎機能が障害された状態であるため、機能の回復は見込めません

また逆に、脱水症状が原因で腎不全を発症する場合があります。

いずれの場合にも素早く適切な処置が不可欠なので、脱水の症状に気が付いたらすぐに動物病院を受診しましょう。

糖尿病

犬も人間と同じように糖尿病を発症する場合があり、初期症状として脱水に伴う多飲多尿が多く見られます。

糖尿病を発症すると血液中に余分なブドウ糖が増える高血糖状態となります。通常であれば血液中のブドウ糖は腎臓で水分とともに再吸収されるため、尿中にはほとんど出てきません。

しかし血液中のブドウ糖量が過剰(高血糖状態)である場合、腎臓は大量の水分とともにブドウ糖を排出します。ブドウ糖を排出するための大量の水分は体の中の水分が使われるため、糖尿病により脱水状態になります。

また、糖尿病以外の疾患によっても多飲多尿となる場合があるでしょう。子宮蓄膿症・副腎皮質機能亢進症・尿崩症・甲状腺機能亢進症・高カリウム血症・慢性腎臓病などの疾患が原因となる場合があります。

犬に多飲多尿の症状が見られたら獣医師に相談しましょう。

注意すべき症状

脱水症状でも気を付けたいもの

犬の脱水症状はすぐに適切な処置を行わなければ様々な臓器に悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは犬の脱水症状で注意すべき症状について説明します。

以下のような症状が見られたら早めに動物病院へ連れて行くようにしましょう。

食欲がない

それまで元気に食事を摂っていたのに、急に食欲がなくなりフードを食べなくなったという場合、脱水による全身状態の悪化が予想されます。

犬の食欲がなくなる原因は様々ありますが、ストレスが原因の場合、あまり心配のない食欲減退もあります。

そのため、食欲の有無だけで脱水症状を起こしているのかを特定することは困難です。食欲減退の症状が現れる前に多く運動していたり、暑い中を散歩したりといった原因が思い当れば、脱水を起こしている可能性が高いと判断できます。

原因が脱水ではなくとも、急に食欲が落ちたという場合には何らかの原因によって全身状態が悪くなっている場合があるため、早めに獣医師に相談するようにしましょう。

元気がない

ぐったりしているのも脱水症状のサイン

犬がぐったりと横になり元気がない場合には脱水を起こしている可能性があります。とはいえ、横になってただ休んでいるだけの場合もあるので見極めが大切です。

ドッグランなどで多く遊んだ後、自宅で横になっている場合には、満足してただ休んでいる状態であることが多いでしょう。

しかし、真夏の炎天下などで遊んだ後にぐったりと横になり、激しく呼吸をしていて呼びかけにも反応が薄いという場合には、体温の上昇から脱水症状を起こしている可能性が高いです。

愛犬の変化にすぐに気づくためにも、普段から様子をよく観察しておきましょう。

吐いている

犬は吐きやすい動物です。大きな病気がなくとも環境の変化・ストレス・空腹などが原因で吐くことがあります。これらの原因で吐いている場合には健康に大きな問題があるわけではありません。

しかし、何回も繰り返し吐いてしまうという場合には脱水症状を引き起こしている可能性があります。また、吐くこと自体が脱水の引き金となる場合があるため注意が必要です。

犬が脱水になるとなぜ吐くのかというと、体内の電解質のバランスが崩れるためです。犬の体内の水分量が減り脱水になると、体内のナトリウムやカリウムといった電解質のバランスが崩れてしまい、消化機能が乱れるために吐き気や嘔吐が現れます。

また、繰り返し吐くこと自体が体内の水分量を減らすことになるため、嘔吐が脱水の引き金となる場合もあります。

下痢がみられる

犬は繊細で敏感な動物なので、ストレスなどの影響で下痢しやすい傾向にあります。しかし、下痢の原因が脱水の場合があります。

脱水症状でなぜ下痢になるのかというと、脱水によって腸の機能が低下するからです。

口から入った食べ物は胃や腸で消化吸収されます。消化吸収されて残った食べ物のカスは、小腸や大腸を通る間に水分を吸収され、ちょうど良い硬さの便となり排出されます。

脱水症状を起こすと腸の機能が低下して便の水分吸収が妨げられるため下痢を起こしてしまうでしょう。

また、頻繁に下痢をすることで体内の水分量が減ってしまうため、下痢が脱水の原因となることもあります。繰り返し下痢をしてしまう場合には早めに動物病院で処置してもらいましょう。

おしっこが少ない

濃縮尿も危険サイン

犬が脱水を起こすとおしっこが少なくなったり濃くなったりします。これは体から余計な水分が出ないように調節しているためです。

脱水が起こるとそれ以上体内の水分量が減ってしまわないように腎臓による水分再吸収を促し、おしっこを濃縮しておしっこの量を少なくします。

このため、脱水になった犬はおしっこの量が少なくなり、色は濃い黄色になります。

おしっこの量や色には脱水などの病気のサインが現れるので、普段からよく観察しておくと良いでしょう。

皮膚の弾力がない

犬の皮膚の弾力は水分によって保たれています。そのため犬の体内の水分量が減り脱水となると、皮膚の弾力が失われてしまうでしょう。

犬の脱水を調べる方法として皮膚をつまむ「ツルゴールテスト」という方法があります。これは犬の背中の皮膚をつまんでから離し、皮膚が戻る時間を計測することで脱水の程度を測るというものです。

正常であれば1秒程で皮膚は元に戻ります。2秒以上かかるようであれば脱水を起こしている可能性が高いので、すぐに適切な処置が必要です。

脱水症状への対処法

脱水症状の対処法

犬に脱水を疑う症状が現れたらすぐに動物病院へ連れていき処置を受けるようにします。また、それ以上脱水症状が進まないように対処することが非常に重要です。

ここでは犬の脱水症状への対処法について説明します。

水を飲ませる

犬が脱水症状を起こしたらすぐに水を飲ませて水分を補ってあげましょう。脱水を起こす原因は体内水分量の減少なので、水を飲ませて必要な水分量を補うようにします。

愛犬が自分で水を飲む元気があれば容器に水を入れて与えましょう。ぐったりとしていて自力で水を飲むことができない場合には、スポイトなどに水を入れ、少量ずつ愛犬の口に流し込むようにして与えてください。

動物用の経口補水液を飲ませる

脱水によって失われるのは水分だけではありません。ナトリウムやカリウムといった電解質も失われます。

脱水や熱中症を疑う際に水分を補給するのはもちろん大切ですが、できれば電解質も一緒に補給するとより効果的です。

脱水や熱中症が疑われ素早く水分と電解質を補給したいというときに動物用の経口補水液が役立ちます。

ただし、心臓や腎臓に疾患を持っている犬の経口補水液の摂取には注意が必要です。心臓や腎臓に疾患を持っている犬の場合、ナトリウムやカリウムを過剰に摂取することで心臓や腎臓に負担がかかる恐れがあります

そのため、心臓や腎臓に持病を持っている犬の場合には必ず獣医師に相談してから経口補水液を使用するようにしましょう。

脱水症状を予防するには?

脱水症状予防のために

犬の脱水症状を予防するには、犬がいつでも水を飲める状態にしておくことが非常に大切です。

犬が脱水症状を起こす原因は暑さや体温上昇だけではありません。病気や薬の影響で脱水を起こすこともあります。

犬が脱水を引き起こす原因は様々ですが、直接的な原因は体内の水分量の減少です。

犬の体内の水分量が脱水レベルにまで下がらないように、喉が乾いたら常に水が飲める状態にしておくことが脱水予防の基本です。

あまり積極的に水を飲まない犬の場合には、フードをドライフードからウェットフードに替えるのも脱水予防に効果的です。

ドライフードよりもウェットフードの方が水分含有量が多いので、ウェットフードを用いることで食事からも水分が摂取できるようになります。

このように、常に犬が十分な量の水分を摂取できるような状態を作ることが、脱水症状の予防に効果的です。

この他、犬が脱水を起こす原因に合わせた対処を加えれば、より効果的に脱水症状を防げます。

例えば「暑さによる体温上昇が原因であれば真夏の日中は外に出さない」「利尿剤が効きすぎていれば薬の量を減らす」などの対処ができます。

犬の脱水症状の原因に合わせた対処を行い、効果的に脱水症状を予防しましょう。

脱水症状を起こしたらすぐに病院へ

脱水症状がみられたら病院へ

脱水症状を起こした犬に水や経口補水液などの水分を与えると元気になる場合があります。元気になったからとそのまま放置してしまう場合がありますが、たとえ元気に見えたとしても脱水症状を起こした犬は必ず動物病院へ連れていきましょう

何故なら脱水症状を起こしたことで体内にダメージを受けている場合があるためです。また、心疾患・腎疾患・糖尿病などの病気が原因で脱水を起こしている場合には、詳しい検査や治療が必要となります。

犬が脱水症状を起こしたら決して自己判断はせずに、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

まとめ

犬 脱水症状 まとめ

犬の健康を維持するために必要な体内水分量は人間よりも多く70%前後とされています。この体内水分量を維持することが犬の脱水症状予防に非常に重要です。

しかし、体温上昇や基礎疾患などの病気の影響により、摂取する水分よりも排出する水分が多くなると容易に脱水症状を起こしてしまいます。

そのため、常に水分を補給できる環境を整えることと、脱水症状の原因ごとの対処が非常に重要です。

犬の脱水症状が重症化すると腎臓などの臓器にダメージを与え、回復せずに後遺症が残ってしまう場合があります。そのため、脱水症状が見られたら水分を摂取させるなどの応急処置を施すとともに、すぐに動物病院を受診することが非常に重要です。

参考文献