犬に多い泌尿器疾患とは?症状から治療法まで徹底解説

犬に多い泌尿器疾患とは?症状から治療法まで徹底解説

犬の健康を守る上で、泌尿器疾患は大きな問題です。特に慢性腎臓病、尿石症、膀胱炎は犬に多い病気であり、早期発見と適切な治療が重要となります。

これらの疾患は命を脅かす可能性もあるため、飼い主は症状を見逃さず、適切な対応を心がける必要があります。この記事では以下の点を中心に犬の泌尿器疾患について解説します。

  • 犬に多い泌尿器疾患とは
  • 犬の泌尿器疾患の症状
  • 犬の泌尿器疾患の治療方法

犬の泌尿器疾患について知るための参考になれば幸いです。

ぜひ最後までご覧ください。

犬に多い泌尿器疾患について

慢性腎臓病は命を脅かす可能性のある疾患ですか?
慢性腎臓病は、犬や猫の両側または片側の腎臓に構造的または機能的な異常が3ヶ月以上持続する病態を指し、中高齢のペットにとって命に関わる重大な疾患です。
この状態は、腎臓に対するさまざまな障害や病態(例えば腎低形成、多発性嚢胞腎、糸球体腎炎、腎結石など)が原因で発症し、腎機能の慢性的な低下を招きます。

病気の初期段階では目立った症状が現れないこともありますが、状態が進行すると、水の摂取量や尿の量が増加する一方で食欲が減少し、体重の減少が見られます。さらに進行すると尿毒症による嘔吐や元気の低下、尿量の減少、最終的には尿が全く排出されなくなり、神経系の症状が現れることもあります。
尿石症について教えてください
犬の尿石症は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の任意の部分に結石や結晶が形成される病状であり、これにより血尿や頻尿といった症状が現れることがあります。結石が尿の通路を塞ぐと、生命を脅かす状況に至ることもあります。
その発生には遺伝的要因のほか、尿路感染や飲食の内容が影響することもあります。また、特定の病気(例えば肝疾患、内分泌疾患、代謝異常など)を抱えている犬は、尿石症を発症しやすいとされています。
膀胱炎は秋や冬の寒い時期にかかりやすくなりますか?
膀胱炎は、特に寒い秋や冬の季節に犬に多く見られる疾患です。寒さによってペットの飲水量が減少し、結果として尿が濃縮され、膀胱炎のリスクを高めます。この状態が悪化すると、腎盂腎炎に進行する場合もあり、発熱や食欲不振など体調が著しく悪化することがあります。

排尿時の異常な挙動は膀胱炎の兆候の一つであり、このような症状に気づいたらすぐに動物病院で検査を受けることが重要です。また、症状の出現を待たずに、予防として定期的な尿検査を受けることが推奨されます。

犬の泌尿器疾患の症状

慢性腎臓病は無症状の場合もありますか?
はい、慢性腎臓病は初期段階では無症状の場合が多く、そのため早期の発見が難しいことがあります。
しかし、病気が進行するにつれて、ペットはより多くの水を飲むようになり、尿の量も増えますが、食欲は減少し、体重も落ちていきます。

さらに状態が悪化すると、尿毒症を引き起こし、嘔吐や元気の低下、尿量の減少などの症状が出現します。最悪の場合、尿が全く生成されなくなり、けいれんや意識喪失といった神経系の症状が現れることもあります。
尿石症は、結石ができる場所によって症状が異なりますか?
尿石症は、犬の尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石が形成される病態を指し、結石が存在する部位によってさまざまな症状が現れます。
結石の物理的な刺激が原因で、尿管や尿道に結石がある場合は、強い痛みを伴うことが多いようです。この痛みはペットが背中を丸めて腹部を緊張させ、触れようとすると抵抗する行動で表れることがあります。

さらに、結石による刺激で尿路粘膜の炎症を引き起こし、頻尿や血尿、場合によっては細菌性膀胱炎や尿道炎を合併することもあります。これらの症状に加え、発熱や食欲不振、嘔吐などの全身症状を示すこともあります。
膀胱炎の主な症状を教えてください
膀胱炎の主な症状には、頻繁にトイレに行く行為(頻尿)、排尿時の痛み(排尿痛)、血尿や濁った尿、尿に異常なにおいがする、尿が出にくい、または尿漏れなどが含まれます。痛みのために排尿時に怒責する、または大声で鳴くこともあります。

犬の泌尿器疾患の治療法

慢性腎臓病の治療法を進行度別に教えてください
ステージ1:
初期段階では明らかな症状が見られないため、治療は主に予防的な対策に集中します。定期的な尿検査を通じて、尿比重の低下や蛋白尿、腎臓の形状異常に注意し、早期の変化を捉えることが重要です。この段階では、再生医療の適用はありませんが、健康的な食生活や適切な水分摂取を促します。

ステージ2:
早期の兆候として「多飲多尿」が現れ、腎機能の低下が始まります。この段階では、まだ元気があり食欲も保持していることが多い傾向にありますが、腎機能は正常の25%まで低下しています。ここでは、再生医療が採用される場合もあり、腎機能のさらなる低下を抑制し、体調を維持するための治療が可能といわれています。

ステージ3:
腎機能の低下が進み、尿毒症の兆候が見られ始めます。食欲不振や嘔吐などの症状が現れる可能性があり、CRE(クレアチニン)やBUN(尿素窒素)の数値の上昇が確認されます。この段階でも再生医療が推奨され、慢性腎臓病の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を維持・改善することが目標となります。

ステージ4:
この最終段階では、尿毒症が顕著に進行し、重篤な症状が現れます。治療の選択肢として透析や腎移植が挙げられる場合がありますが、これらは研究段階であるため現実的ではありません。
尿石症の主な治療法は何ですか?
犬の尿石症の治療は、結石のタイプに応じて大きく変わります。診断のためには、犬の尿を動物病院に持参し、尿検査、エコー検査、またはレントゲン検査を受けることから始めます。これにより、結石の種類を特定し、治療方針を決定します。

ストルバイト結晶の場合、尿のpHを酸性にすることで結晶を溶かします。これには、特定の療法食が用いられ、尿中のアンモニウム、マグネシウム、リン酸の濃度を下げ、pHを調整します。また、膀胱炎などの炎症が原因で結晶が形成されることもあるため、抗生物質が処方されることもあります。しかし、結晶が大きく、尿道や尿管を塞いでしまっている場合は、手術による除去が必要になることもあります。

一方、シュウ酸カルシウム結石の場合、尿のpHを変えても溶解することはないため、手術による結石の除去が重要な治療方法となります。
膀胱炎の抗生物質の内服はいつまで続ける必要がありますか?
細菌性膀胱炎の治療には抗生物質が中心となりますが、治療期間とその後の管理は病状の進行に応じて慎重に行われます。
治療開始時には、薬剤感受性試験を行い、適切な抗生物質を選択します。通常、治療期間は1〜3週間程度とされ、この間に症状の改善が見られても、細菌が除去されるまで治療を継続することが重要です。

治療期間の終了後は、再度尿検査を実施し、細菌がいなくなったことを確認します。飼い主の判断で治療を早期に中断することなく、獣医師の指示に従って状態の回復を目指すことが大切です。
治療中や治療後に症状が改善しない場合は、処方された薬が適切でない可能性があり、獣医師と相談して治療方針の再検討が必要になります。

また、細菌性膀胱炎が繰り返し発生する場合は、膀胱結石、腫瘍、内臓疾患などほかの根本的な原因が関係していることも考えられるため、これらの基礎疾患に対する治療も併せて行う必要があります。

編集部まとめ

ここまで犬の泌尿器疾患について解説してきました。内容をまとめると以下のとおりです。

  • 犬に多い泌尿器疾患には慢性腎臓病、尿石症、膀胱炎があります。これらは中高齢の犬に命を脅かすリスクを持ち、遺伝や生活環境が影響することがある
  • 慢性腎臓病では初期に無症状のことが多いが、進行とともに多飲多尿、食欲減少、体重減少が見られ、尿石症は結石の位置によって痛みや頻尿、血尿が現れる。膀胱炎は頻尿、排尿痛、血尿などの症状が特徴的
  • 犬の泌尿器疾患治療は疾患の種類と進行度に応じて異なり、慢性腎臓病は進行度に応じて予防措置や再生医療、尿石症はpH調整や手術、膀胱炎は抗生物質で対応し、治療後のフォローアップが重要

犬の泌尿器疾患の症状などを知り、早期発見をして早めの治療を目指しましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

参考文献