愛犬にイボができた!犬のイボの原因や種類、治療法について解説します

犬 イボ

愛犬にイボを発見したら心配ですよね。犬のイボはさまざまな原因によって発生し、良性のものから悪性のものまでさまざまです。皮膚の腫れやしこりとして現れることがあります。
本記事では、犬のイボについて以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬のイボとは
  • イボができやすい犬種
  • 犬にイボができたときの対処法・ケア

犬のイボについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬のイボとは

犬のイボやしこりは、皮膚や皮下にできる異物や腫瘍を指します。なかには、悪性のものも存在します。見た目だけで判断するのは難しいため、注意が必要です。イボの種類にはウイルス性や老化によるものがありますが、通常、犬の健康に直接影響を与えないことが少なくないとされています。

犬のイボができる原因

犬のイボはさまざまな原因によって引き起こされます。原因には、ウイルス感染、老化、または外部環境からの影響などが挙げられます。以下で詳しい原因について解説します。

パピローマウイルス

犬のイボの主な原因の一つは「パピローマウイルス」です。

通常、健康な犬は免疫力でウイルスを排除しますが、傷口があると体内に侵入し、イボを引き起こす可能性があります。また、皮膚のターンオーバーの低下や免疫力の低下、体の循環の問題もイボの原因と考えられます。
幼犬では多発性の良性イボが見られ、パピローマウイルスによるものが少なくないとされます。イボは直径1cm未満で、白色、黄色、ピンク色、赤色をしており、数週間から数ヶ月で自然に落ちることが特徴です。発がん性はなく、ほかの犬との接触やウイルス保持犬からの感染が主な経路です。

老化

老犬におけるイボ形成の原因は主に二つあります。

  • 免疫力の低下:加齢により免疫力が低下し、細菌やウイルス感染のリスクが高まります。また、異常な細胞の排除が難しくなり、腫瘍の発生が増加します。
  • 新陳代謝の低下:老化に伴い新陳代謝が低下し、古い角質が蓄積しやすくなります。皮膚のバリア機能も低下し、イボのような腫瘍が形成される可能性が高まります。

イボができやすい犬種

イボはどの犬種にも見られますが、犬種によってに発生しやすい傾向があります。例えば、シー・ズー、ラブラドール・レトリーバー、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、キャバリアなどはイボができやすいとされています。老犬や免疫力の低い子犬はイボができやすくなる傾向にあります。老犬の場合、悪性腫瘍ができる可能性も高いため、イボやしこりを発見したら速やかに動物病院を受診しましょう。イボの種類や犬種による違いを理解し、愛犬の健康状態を定期的にチェックすることが重要です。

良性のイボ(腫瘍)の種類と特徴

犬の良性のイボ(腫瘍)には、皮内角化上皮腫や脂肪腫などさまざまな種類があります。
以下で具体的な種類や特徴について解説します。

脂肪腫

脂肪腫は、犬の皮下組織にできる脂肪のかたまりであり、しばしば黄色みを帯びており、触ると柔らかいしこりとして現れます。大部分は良性の腫瘍であり、周囲を圧迫しながら徐々に大きくなります。この脂肪腫は中高齢の犬によく見られ、メスでの発生率がオスの2倍程度です。特に、ラブラドール・レトリーバーで多く見られるといわれています。無症状といわれていますが、大きくなりすぎると排尿に支障が出始め、痛みや不快感を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

皮内角化上皮腫

皮内角化上皮腫は良性の表皮由来腫瘍で、5歳以下の若い雄犬に頻繁に見られます。特定の犬種では多発する傾向があり、ノルウェージャンエルクハウンドで見られることがあります。この腫瘍は0.5〜4cmの範囲の直径を持ち、皮膚表面には特徴的な穴が開いており、内部にはチーズのような角化物が含まれています。
症状としては、かゆみや出血が挙げられますが、健康に深刻な影響を与えることは少ないとされています。皮内角化上皮腫の原因は解明されていませんが、純血種よりも雑種で発生しやすく、ストレスの軽減や清潔な生活環境が症状の改善につながることがあります。

皮脂腺腫

皮脂腺腫は主に10歳以上の老犬に見られる良性の皮膚腫瘍で、小型犬が発症します。皮脂腺腫は皮脂腺が詰まることで形成され、カリフラワーのような見た目で、皮膚の一部が腫れや複数の小さな腫瘍ができることが特徴です。腫瘍は一般に直径0.5から3cmの範囲で、ドーム状の脱毛が見られます。
低悪性度であるものの、稀に悪性化する例もあるため、発見したときには速やかな診察と治療が推奨されます。

乳頭腫(皮膚乳頭腫)

乳頭腫(皮膚乳頭腫)は、扁平上皮から成る良性の増殖で、カリフラワー状の見た目であることが少なくない皮膚のしこりです。痛みを伴わないといわれ、多くの場合、自然に退縮して治癒しますが、稀に悪性化して扁平上皮癌に進行する可能性があります。
犬においては、乳頭腫には幼犬に見られるパピローマウイルスが原因の多発型と、老犬に見られる非ウイルス性の単発型の2つのタイプがあります。多発型は主に頭部、眼瞼、肢端、口腔に発生し、自然に消退するといわれています。一方、単発型は頭部、眼瞼、肢端、生殖器に現れ、適切な切除によって治療できます。

皮膚組織球腫

皮膚組織球腫は、3歳以下の若い犬に多く見られる良性の皮膚腫瘍で、球細胞の異常増殖によって生じます。これらの腫瘍は主に犬の顔面、頭部、足先に発生し、赤みを帯びた丸いドーム状やボタン状の形状をしています。直径は通常2cm以下で、表面は毛がなく滑らかです。
皮膚組織球腫は自然退縮する傾向があり、多くの場合、治療を必要としません。しかし、複数の腫瘍が発生した場合、ランゲルハンス細胞組織球症の可能性があります。この状態はより深刻で治療に反応しにくいことがあります。皮膚組織球腫の発症は、稀ですが、見つかった際には獣医師による検査が推奨されます。

悪性のイボ(腫瘍)の種類と特徴

犬における悪性のイボ(腫瘍)は、深刻な影響を及ぼす可能性があります。以下で具体的な種類と特徴を解説します。

扁平上皮癌

扁平上皮癌は犬の悪性皮膚腫瘍の一種で、主に口内、耳、鼻先、爪の根元などに発症します。このがんはしこりよりも潰瘍やただれとして現れ、出血や細菌感染を引き起こすことがあります。転移の速度は遅いものの、腫瘍の多発や再発が見られるため、早期発見と治療が重要です。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は悪性の皮膚がんであり、皮膚や皮下組織に生じて、悪性度がそれぞれ異なります。この腫瘍はヒスタミンやへパリンなどの物質を放出し、皮膚の赤み、胃腸の不調、出血傾向などを引き起こす可能性があります。肥満細胞腫の形状は多様で、イボのような形から脂肪の塊や皮膚炎のような見た目、大きさが変化しやすいとされています。場合によってはリンパ節や内臓にも転移することがあるため、獣医師による診察が不可欠です。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は高悪性度の腫瘍で、口腔内、眼球、まぶた、そして皮膚と粘膜の接合部や爪の根元などにも生じ、約半数が悪性であり、治療が困難な経過をたどることがあります。口腔内や爪床に生じた場合、進行が早く転移することも少なくありません。メラニン産生細胞から発症するこの腫瘍は、黒いドーム状の膨らみを示し、高齢犬に多く見られます。
悪性黒色腫は急速に成長し、腫瘍の直径が2cmを超えることも珍しくなく、潰瘍形成や組織の壊死、細菌感染を引き起こすことがあります。

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は、雌の犬が発症しやすく、悪性と良性の可能性があるため、病理組織検査が確定診断には必須です。また、悪性乳腺腫瘍は転移のリスクがあり、肺や脳への転移が命に関わることがあります。良性であっても、時間が経つにつれて大きくなり、出血や悪性への変化の可能性があります。
女性ホルモンと遺伝子変異により発症するため、適切な時期の避妊手術によって発症率を下げられます。しかし、一度発症した腫瘍に対しては、避妊手術が影響を及ぼすことはなく、治療には腫瘍の切除が必要になる場合があります。

犬にイボができたときの対処法・ケア

犬にイボができた際には、悪性の可能性もあるため速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。以下で、具体的にどのような対処やケアをしたらいいのかについて解説します。

触らない

犬にイボができた際、イボに触らないようにしましょう。人間と同様、イボは刺激によって肥大化することがあり、不用意に触れることで悪化させるリスクがあります。また、触れることでイボがほかの部位に広がる可能性も考えられます。
異変を感じたら速やかに獣医師に相談し、診断を受けることが大切です。

環境管理

犬にイボができた際、周囲の環境管理が欠かせません。生活空間の清潔保持は、イボの原因となる細菌やウイルスの拡散を防ぐための基本的な対策です。散歩からの帰宅後は、ブラッシングで外から持ち込まれた汚れを除去し、月に一度から二度のペースで犬用のシャンプーで洗浄しましょう。また、愛犬が日常使用するクッションやブランケット、おもちゃなども定期的に洗濯してください。
加えて、愛犬が外で遊んだ後にできる小さな傷に対しても、清潔な環境を維持することで感染を予防し、イボの発生や増加を防ぎます。

免疫力を高める

犬にイボができたら、免疫力を強化することが重要です。ストレス、睡眠不足、偏食、運動不足は免疫力を低下させる主な原因です。日常生活で適度な日光浴を取り入れ、ビタミンEを豊富に含む食品を与えることで免疫力がつくとされています。また、バランスの取れた食事とストレスの少ない環境を整えることで、健康維持につながるでしょう。

犬のイボの治療法

犬にイボが見つかり、その色が黒や紫、赤黒い、または大きさが1cmを超える場合は悪性の可能性が高いため、直ちに獣医師の診断を受けることが重要です。治療法は犬の状態や腫瘍の種類によって異なり、費用もそれに応じて変動します。
早期に発見された腫瘍は、広範囲に切除することで治癒の見込みがあります。悪性腫瘍が口内に発生した場合は、顎の骨を含めた切除や、レーザー治療、放射線療法、化学療法などの治療法が選択されます。

乳頭腫や組織球腫のように自然治癒するイボもあれば、二次感染のリスクの恐れもあります。口内や足にできたイボは、食事や歩行に影響を与えるため、抗ウイルス剤の使用や外科手術が検討されます。

まとめ

ここまで犬のイボについてお伝えしてきました。犬のイボの要点をまとめると以下の通りです。

  • 犬のイボやしこりは皮膚や皮下にできる異物や腫瘍のことで、良性のものが少なくないが、悪性のものも存在する。
  • シー・ズー、ラブラドール・レトリーバー、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、キャバリアなどの老犬や免疫力の低い子犬にイボができやすいとされている。
  • 犬にイボができた際には、速やかに獣医師の診断を受け、イボに触れず、清潔な環境を維持し、免疫力を強化することが大切。適切なケアと観察が健康維持につながる。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献