犬の頻尿の原因は?頻尿か判断する方法や検査方法を解説!

犬 頻尿

犬の頻尿はさまざまな健康問題のサインであり、その原因は尿路感染症、腎臓の疾患、糖尿病、ホルモン異常など多岐にわたります。頻尿かどうかを判断するには、日頃の排尿パターンに注意し、異常な排尿や夜間の排尿が見られる場合は頻尿の可能性があります。
本記事では、犬の頻尿について以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬の頻尿の症状
  • 犬の頻尿の原因
  • 頻尿になりやすい犬の特徴

犬の頻尿について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

犬の頻尿の症状

犬の頻尿は、犬が通常よりも頻繁に尿を排出する状態を示し、日常生活における排尿に異常が見られる症状です。この状態で犬は一日に多くの回数尿をし、予期しない場所での尿失禁や、排尿しようとしても尿が出ないことがあります。頻尿の特徴的な症状は、排尿回数の増加に伴う一回あたりの尿量の減少です。尿量の減少は、犬が何らかの健康問題、例えば膀胱炎や尿路結石などを抱えている可能性があることを示しています。

頻尿の原因としては、膀胱炎、膀胱結石、尿路結石、慢性腎不全、前立腺肥大、糖尿病、クッシング症候群など多岐にわたります。これらの状態は、排尿する際の痛みや血尿といったほかの症状を併発することもあります。

犬が頻尿の症状を示した場合、速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。獣医師は、適切な検査と診断をして、必要な治療を提案します。飼い主としては、犬の日常の排尿習慣を観察し、異常を早期に捉えることが大切です。犬は自身の不調を言葉で伝えられないため、飼い主の注意深い観察が犬の健康を守る鍵となります。

犬の頻尿の原因

犬の頻尿には、さまざまな原因があります。尿路感染症、腎臓疾患、糖尿病、内分泌障害などが主な原因であり、犬の排尿に影響を与えます。以下で、具体的な原因について解説します。

膀胱炎

犬に頻尿が見られる場合、膀胱炎が一つの疑わしい原因です。膀胱炎は、細菌が尿道を通じて膀胱に侵入し炎症を引き起こす病気で、血尿や排尿するときの痛み、排尿量の減少などの症状が現れることがあります。特にメス犬が膀胱炎になりやすいとされていますが、高齢犬や免疫力の低下している犬もリスクが高いとされています。

治療には抗生物質が用いられ、早期発見が重要です。膀胱炎は放置するとさらなる健康問題を引き起こす可能性があるため、症状を見逃さないよう注意が必要です。

膀胱結石

犬の膀胱結石は、尿中の化学物質が結晶化して形成され、膀胱内に結石が発生する病気です。主にシュウ酸カルシウムやストルバイト結晶が原因で発生し、頻尿、血尿、残尿感、腹痛、発熱、活力の低下などの症状が現れることがあります。特に、結石が大きくなると尿道を塞ぎ、尿道閉塞を引き起こす恐れがあるため、非常に危険です。したがって、頻尿や血尿などの異常を感じたら、迅速に獣医師の診断を受けることが重要です。

糖尿病

犬の糖尿病は、インスリンの不足により血中の糖分が適切に利用されない状態を引き起こし、結果として頻尿を含む複数の症状が現れます。特に、頻尿は糖尿病の典型的な徴候であり、体重の減少や異常な食欲の増加と共に見られます。

糖尿病のリスクは肥満傾向にある犬や運動不足の犬で高まります。血糖値の上昇が持続すると、尿中に糖が排出され、それが頻尿の原因となります。また、高血糖状態が続くと白内障などの合併症のリスクも高まります。日常的に運動を促し、健康的な体重を維持することが予防につながります。糖尿病を疑う症状が見られた場合は、早急に獣医師の診断を受けることが重要です。

尿路結石症

犬の尿路結石症は、尿路に結晶や結石が形成される状態で、頻尿、血尿、排尿するときの痛みといった症状を引き起こします。この病気は膀胱炎と同時に発生することもあり、状況によっては結石が尿路を塞ぎ、尿が全く排出できなくなることがあります。特に重篤な場合は、迅速な治療が必要です。

結石には「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」のタイプがあり、食事管理を含めた予防策が提案されることもあります。尿路結石症の治療と予防には、食餌療法が適しており、症状が現れた場合はすぐに獣医の診断を受けることが重要です。石のサイズによっては自然排出が難しい場合もあるため、獣医師による適切な治療が求められます。

前立腺肥大症

オス犬に見られる前立腺肥大症は、前立腺が異常に大きくなり、尿道を圧迫することで頻尿、血尿、排尿困難といった症状を引き起こす疾患です。特に未去勢の高齢オス犬に多く見られ、早期発見が治療の鍵となります。痛みを伴わないことが少なくないものの、便秘などの併発症を起こすこともあります。治療法には食餌療法、ホルモン治療、必要に応じて去勢手術があり、適切な管理により症状の改善が期待できます。前立腺肥大を疑う症状が見られた場合は、速やかに獣医師の診断を受けることが重要です。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、避妊していないメス犬に発症しやすい疾患で、子宮内に膿が溜まることで頻尿が現れます。この状態で生じた毒素が水分の再吸収を制御するホルモンに影響を及ぼし、尿の量を異常に増加させます。特に高齢の未避妊メス犬で見られるこれらの症状は、判別しにくいため、早期発見のためには定期的な診断が不可欠です。

細菌感染により子宮内に膿が溜まり、食欲不振、嘔吐、外陰部からの膿の排出などほかの症状も伴うことがあります。進行すると敗血症を引き起こし、生命を脅かす可能性もあるため、多尿やそのほかの症状に気づいたら速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。

慢性腎不全

慢性腎不全は、犬の腎臓機能が徐々に低下し、最終的には腎臓がその機能を果たせなくなる病気です。特に高齢犬に多く見られ、尿の濃縮能力が失われることで頻尿の症状が現れます。この病態では、水分の再吸収が不十分になり、頻繁に尿を排出するようになります。

慢性腎不全は、老化や不適切な食生活によっても引き起こされることがあり、発症すると頻尿のほか、食欲不振や被毛の質の低下などの症状が見られます。これらの症状が見られた場合は、迅速に獣医師に相談することが推奨されます。

クッシング症候群

クッシング症候群は、犬の副腎皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで発生する疾患です。このホルモンの過剰分泌は、愛犬の飲水量と尿量の増加、皮膚の黒ずみや脱毛、腹部膨張、呼吸の速さなど、多岐にわたる症状を引き起こします。特に頻尿はクッシング症候群の代表的な症状で、コルチゾールが脳の水分調節を妨げ、腎臓の機能に影響を与えるために生じます。

治療には投薬が必要で、状態によっては生涯にわたる管理が求められる場合があります。症状に気付いたら、迅速に獣医師の診察を受け、適切な治療を開始することが重要です。

犬の頻尿の判断方法

犬の頻尿を判断するには、日常の排尿パターンに注意し、排尿の回数や量、尿の色や臭いに変化がないか観察することが重要です。以下で具体的に解説します。

飲水量で判断

犬の頻尿判断において、飲水量は重要な指標の一つです。体重1kgあたり24時間で100ml以上の水を摂取している場合は多飲とみなされ、頻尿の可能性が高くなります。この基準を満たす状態が持続する場合、それは犬が何らかの健康問題を抱えているサインの可能性があります。夏季や激しい運動後に一時的に多飲を示すことはありますが、それが持続する場合は注意が必要です。

飲水量の測定方法は、一日の始めに給水器に入れた水の量を記録し、24時間後にどれだけの水が消費されたかを計算します。これには、日中に追加された水の量も含め、最終的に残った水の量を差し引くことで、正確な消費量を算出します。

ただし、飲水量の観察だけでなく、排尿の回数や性質、排尿するときの痛みや血尿の有無など、ほかの症状にも注意を払うことが重要です。これらの症状が同時に見られる場合、膀胱炎や尿路結石、腎不全など、より深刻な健康問題が潜んでいる可能性があります。

飲水量の異常に気付いた際は、獣医師に相談する必要があります。獣医師は、適切な診断と治療を提供してくれます。特に、犬は自らの不調を言葉で伝えられないため、飼い主さんが日頃から愛犬の行動や健康状態に細心の注意を払うことが、犬の健康を守る上で極めて重要になります。

尿量で判断

犬の頻尿を判断する一つの方法として、24時間にわたる尿量の測定があります。具体的には、体重1kgあたり50mlを超える尿量が観察された場合、多尿の状態と見なされます。この尿量の計測には、全ての尿を一箇所で集めることが理想ですが、それが難しいため、ペットシートの重さを利用した方法がおすすめです。使用後のペットシートの重量から、新品の重量を差し引くことで、その期間に排出された尿の量を算出できます。

尿量の増加は、排尿回数の増加に直結しますが、尿量だけでなく、排尿する際の痛みや血尿などほかの症状も同時に観察することが重要です。これらの症状が合わせて現れる場合、膀胱炎や尿路結石など、特定の病気が原因である可能性が高まります。

犬の頻尿や多尿は、さまざまな健康問題の初期徴候として現れることがあるため、これらの症状を見逃さないことが大切です。特に病気が進行すると、犬の健康状態に影響を及ぼすことがあるため、異常を感じたら速やかに獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが推奨されます。

犬の頻尿の検査方法

犬の頻尿の原因を特定するためには、獣医師による検査が必要です。どのような検査が必要なのか以下で解説します。

血液検査

血液検査では、犬の健康状態を把握し、特定の疾患の指標となる血糖値やコルチゾール値の異常がないかを調べます。血糖値の上昇は糖尿病の可能性を、異常なコルチゾール値はクッシング症候群の可能性を示唆します。また、カルシウムの変化は高カルシウム血症やほかの代謝異常を示すことがあり、これらは頻尿の背後にある根本的な原因を特定するのに役立ちます。適切な血液検査をして、結果を分析することで、獣医師は正確な診断を下し、適切な治療方針を立てられます。

尿検査

尿検査を通じて、細菌感染の有無、結晶や尿糖の存在を調べられ、膀胱炎、膀胱結石、尿路結石、糖尿病などの疾患を診断する手がかりになります。特に、腎臓病の早期発見にも尿検査は適しているとされており、慢性腎不全などの病態を初期段階で診断できます。高齢の犬では、発症しやすいため、定期的な尿検査の実施が推奨されます。尿検査により、病気の早期発見・治療に大きく貢献できるでしょう。

画像検査

画像検査は犬の頻尿の原因を特定するための重要な検査です。画像検査には、レントゲン検査、超音波検査、尿路造影検査が含まれ、これらを用いて犬の体内の様子を視覚的に捉え、前立腺肥大症、子宮蓄膿症、膀胱結石、尿路結石などの疾患を診断します。レントゲンは骨や結石の確認に、超音波は軟組織の状態を詳しく見るのに適しており、尿路造影検査は尿路の形状や障害を詳細に調べられます。これらの画像検査を通じて、病気の正確な診断と治療計画の立案が可能になります。

頻尿になりやすい犬の特徴

頻尿になりやすい犬の特徴は、糖尿病、尿路結石症、慢性腎不全、クッシング症候群など特定の疾患に関連しています。これらの病気は、高齢の犬、去勢していないメス犬に多く見られる傾向があります。例えば、糖尿病はミニチュアシュナウザーやビーグルなどに、尿路結石症はミニチュアシュナウザーやダックスフントに、慢性腎不全はシーズーやビーグルに、クッシング症候群はプードルやダックスフントに好発します。

メスはオスより尿道が短く、細菌の侵入しやすいため、膀胱炎や尿路結石になりやすいとされています。また、7歳以上のシニア犬では、健康状態の変化に特に注意が必要です。これらの病気は頻尿のほかにも多飲や体重変化などの症状を引き起こすことがあり、早期発見と適切な管理が犬の健康を守る鍵となります。

まとめ

ここまで犬の頻尿についてお伝えしてきました。犬の頻尿の要点をまとめると以下の通りです。

  • 犬の頻尿は、一日に多くの回数尿をし、予期しない場所での尿失禁や、排尿しようとしても尿が出ないことがあり、排尿回数の増加や排尿するときに大変なのが特徴である。
  • 犬の頻尿は、「膀胱炎」「膀胱結石」「糖尿病」「尿路結石症」「前立腺肥大症」「子宮蓄膿症」「慢性腎不全」「クッシング症候群」などの病気が考えられる。
  • 糖尿病はミニチュアシュナウザーやビーグル、尿路結石症はミニチュアシュナウザーやダックスフント、慢性腎不全はシーズーやビーグルに、クッシング症候群はプードルやダックスフントなどの犬種で少なくない傾向がある。

犬の頻尿は様々な原因によって引き起こされます。正確な診断と適切な治療は、愛犬の健康を守るために不可欠です。医師と相談し、適切な検査を受けましょう。最後までご覧いただきありがとうございました。

参考文献