犬の歯石に潜む危険性は?歯石の取り方や予防法まで解説します

犬 歯石

愛犬の歯石が気になっている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
本記事では、犬の歯石について以下の点を中心にご紹介します!

  • 犬の歯石とは
  • 犬の歯石取りについて
  • 犬の歯石を予防するためにできること

犬の歯石について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

犬の歯石とは

犬に歯石が付く原因を教えてください
犬が食事をした後、食べかすやバクテリアは唾液と混ざり合い、歯の表面に歯垢が形成されます。この歯垢が放置されると、犬の口腔内に常に存在するミネラル成分、なかでもカルシウムと反応し、徐々に硬化して歯石に変わります。

歯石は一度形成されると、新たな歯垢の付着を促し、歯肉炎や歯周病などの歯周疾患を引き起こす原因となります。
歯石を取らないとどのような病気にかかりやすくなりますか?
歯石を取らないと、犬は口腔内疾患だけでなく、全身にわたる健康問題に直面するリスクが高まります。

最初に現れるのは、歯肉炎です。これは歯石とその下に潜む細菌が歯茎を刺激し、赤く腫れ上がり、ときには出血を伴う状態を引き起こします。この段階ではまだ、ケアにより症状を改善できます。

しかし、放置すると歯周炎へと進行し、歯を支える組織が徐々に破壊され、最終的には歯の喪失に至ります。歯周炎は、歯肉の後退、歯周ポケットの形成、歯槽骨の吸収を特徴とします。

さらに深刻な状態としては、歯槽膿漏や歯根膿瘍があります。これらは歯やその周辺組織に痛みや膿、重度の口臭を引き起こすことがあります。

また、口腔内の炎症は、細菌が血液を介して体内を循環し、心臓病や腎臓疾患などの全身疾患を引き起こすリスクを高めることもあります。

これらの病状は、単に口腔内の問題ではなく、犬の全身健康に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期の対策と定期的なケアが必要です。
人間より犬のほうが歯石になりやすいですか?
人間の場合、約25日で歯垢が歯石になるのに対し、犬はその速度が約8倍速く、約3日で歯石になってしまいます。この速度の違いには、口腔内のpH値の差が関係しています。

犬の口腔内はアルカリ性であるため、歯垢が石灰化して歯石になりやすいとされています。
一方で、人間の口腔内は弱酸性であり、犬よりも歯石になる速度が遅いようです。

犬の歯石取りについて

歯石取りに全身麻酔は必要ですか?
はい、必要です。なぜなら、無麻酔での歯石除去は犬にとって大きなストレスになるからです。また、口の中の施術のため、不動化せずに行うと重大な事故に繋がる可能性もあります。

事故に繋がる要因になる以外にも、無麻酔での歯石除去では、歯の隅々まで徹底的に清掃することが難しく、表面的な歯石を除去できたとしても、歯周ポケットなどの見えにくい部分に残る歯石が、引き続き問題を起こす可能性があります。
このような部分的な除去では、細菌の繁殖を防げず、結果として歯周病の予防にはなりません。

さらに、歯石を取り除く過程で歯に傷がつくことがあり、これが新たな歯石の付着を促進してしまう恐れがあります。

しかし全身麻酔下であれば、犬が動かないため、歯周ポケットなどの見えにくい部分も含め、歯石を徹底的に除去できます。以上の理由から、無麻酔での歯石除去は行うべきでは無いと考えます。
どのくらいの頻度で歯石取りをしたほうがいいですか?
理想的には、半年から1年の間に1度の頻度で歯石のチェックと除去を行うことが望ましいとされています。
歯石は再び付着するため、定期的なケアが必要です。

また、犬によって歯石が付着するスピードは異なるため、個々の状態に合わせて対応することが望ましいでしょう。

獣医師は歯肉の状態や汚れの付き具合を確認し、それを基に今後のケアのペースを決定します。
予定よりも大幅に遅れてしまうと、歯周病の悪化などのリスクが高まり、一度改善した歯肉の状態も再び悪化する可能性があるため、自己判断でケアを遅らせることなく、獣医師の指示に従い、愛犬の口腔衛生を守りましょう。
歯石取りにかかる費用を教えてください
歯石取りは、全身麻酔が必要な場合もあれば、軽度の場合は局所麻酔で済むこともあります。
また、処置には血液検査や超音波を用いたスケーリング、ポリッシング、歯周ポケットの洗浄など、複数のステップが含まれ、費用はさまざまな要素によって変動します。

全身麻酔を伴う歯石取りは、約3〜7万円程度の費用がかかるとされています。さらに、術前の健康診断や麻酔、施術自体の費用を含めると、約10万円程度になる場合もあります。

ただし、これらの費用はあくまで目安であり、実際には愛犬の口腔内の状態や選択する動物病院によって異なります。正確な費用を把握するには、事前にかかりつけの動物病院に相談する必要があります。
歯石取りは自宅でできますか?
歯石取りは専門の知識と技術を要するため、自宅で行うと歯や歯茎を傷つけるリスクも伴い、病原菌の侵入を許すことになりかねません。

また、歯石が歯周ポケットの深くに存在する場合、これを無麻酔で取り除けません。
そのため、犬の歯石を取る際には、動物病院を受診しましょう。
獣医師は犬の口腔内を適切に評価し、必要に応じて麻酔下での処置を提案してくれるでしょう。

犬の歯石を予防するためにできること

家でできる犬の歯石ケアについて教えてください
犬の歯石を予防するためには定期的な歯磨きが大切です。
しかし、幼少期から歯ブラシに慣れていない犬は、歯磨きを嫌がることが多いようです。

そんなときは、犬が口内に触れられることに慣れるよう、指を使って軽く歯をこすることから始めましょう。これに慣れたら、ガーゼや指サック歯ブラシを使って歯垢を取り除きます。犬がこれらに抵抗しなくなったら、犬用歯ブラシを使用してみましょう。

歯磨きによって、歯石形成の初期段階である歯垢を除去し、歯と歯茎の健康を保ち、また、歯磨きを苦手とする犬には、歯磨きガムなどを与えてみることをおすすめします。

ただし、歯磨きガムなどは歯磨きの代替とはならないため、日常的なケアの一環として取り入れましょう。
以下で、歯磨きの慣れさせ方や歯磨き代用のアイテムについても詳しく解説します。
歯磨きを嫌がるときはどうすればいいですか?
愛犬が歯ブラシを嫌がる場合でも、徐々に慣れさせていくことが大切です。
歯ブラシを嫌がる理由として、歯や歯茎の痛みが考えられます。成犬になってから歯磨きを始める場合、歯肉炎や歯周炎など口内の問題が既に存在している可能性があります。

そのため、歯磨き習慣を始める前に、一度動物病院で口腔内の健康状態をチェックしてもらうことが重要です。

歯ブラシへの慣れさせ方としては、最初は口元を軽くマッサージして、口の中に手が入ることに慣れさせます。次に、ガーゼや指サックブラシを使って歯や歯茎を優しくこすることから始め、徐々に実際の歯ブラシへと移行していくと良いでしょう。

この過程で、犬に歯磨きに対してポジティブなイメージを与えることが重要です。
例えば、歯磨き後にはおやつを与えるなどして、歯磨きの時間を楽しみに変えていくのです。

愛犬の歯を守るためには、日々のケアが重要です。
歯磨きを嫌がる場合でも、根気よく、愛犬が快適に感じる方法でケアを続けることが、健康維持につながります。
歯磨き以外で歯垢を付きにくくするためにはどうしたらいいですか?
歯磨き以外で犬の歯垢を付きにくくするためには、日々の食事や生活習慣を工夫することがおすすめです。

まず、犬の口の中を定期的にチェックし、歯石が付きやすいとされる上顎の第4前臼歯や犬歯、歯の裏側などを重点的に観察しましょう。これにより、早期に問題を発見しやすくなります。

次に、デンタルガムや軟らかめの骨など、歯垢を削る効果が期待できるものを適度に与えるのも良いでしょう。ただし、与えるものが硬過ぎると、歯が折れるリスクもあるため、柔軟性のあるアイテムを選ぶことが大切です。

また、乳酸菌生産物質には歯周病菌の抑制効果が期待されます。そのため、乳酸菌を含む食品やサプリメントを犬の食事に取り入れることで、口腔内の健康維持につながるでしょう。

編集部まとめ

ここまで犬の歯石についてお伝えしてきました。
犬の歯石の要点をまとめると以下の通りです。

  • 歯垢が放置されると、犬の口腔内に常に存在するミネラル成分、なかでもカルシウムと反応し、徐々に硬化して歯石に変わる
  • 半年から1年の間に1度の頻度で歯石のチェックと除去を行うことが望ましい
  • 犬の歯石を予防するためには定期的な歯磨きが大切

この記事が皆さまの愛犬にとって、口腔内の健康を守ることにつながれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。