猫の呼吸困難の原因は?動物病院での処置と日常のケアを解説

猫の呼吸困難の原因は?動物病院での処置と日常のケアを解説

猫は健康な状態であれば、お口を開けずに鼻で呼吸しています。犬のようにハアハアと舌を出すわけでもなくとても静かなため、普段は呼吸のことを気にかける機会も少ないと思いますが、そんな猫に呼吸困難の症状が出ていたら、どのように対処すればよいのでしょうか。今回は猫の呼吸困難に焦点を当てて、原因と症状を深掘りしました。動物病院を受診した場合の処置や、自宅で行うべき日常的なケアのポイントもあわせてまとめるので、ぜひ参考にしてください。

猫の呼吸困難の原因と症状

猫の呼吸困難の原因と症状

一口に猫の呼吸困難といっても、その症状はすべて同じではありません。考えられる原因もさまざまであるため、正しい知識を持って、万が一のときにも適切に対処できるようにしましょう。

猫の呼吸が苦しそうな場合、どのような原因が考えられますか?
猫の呼吸が苦しそうな場合に考えられる原因の一つは、心疾患、肺疾患、気管支疾患、猫喘息(猫アレルギー性気管支炎)といった、循環器系や呼吸器系の疾患による影響です。その他には、重度の貧血を起こしていたり、腹水や胸水がたまっていたりする可能性もあるでしょう。肺や気管、気管支などの腫瘍によって、呼吸するのがつらくなっているケースも見られます。いずれにしても、原因を特定したうえで、病態に応じた治療を行うことが大切です。
猫の呼吸困難の具体的な症状を教えてください
猫の正常な呼吸回数は毎分20回から40回程度、寝ているときは15回から25回程度とされていますが、興奮しているわけでもないのに呼吸回数が多くなっていたり、肩で息をしている様子が見られたりする場合には、呼吸困難になっているかもしれません。加えて、鼻の穴を大きく開いての呼吸や、お口を開けた状態での呼吸も、異常な呼吸ととらえることができるでしょう。
呼吸困難になりやすい生活環境や年齢の傾向はありますか?
屋外によく出る猫については、高い場所からの落下やほかの猫との喧嘩で負った外傷の痛みにより、呼吸困難になるケースも見られます。また、生活してる場所が暑すぎる場合にも、暑さが原因の呼吸促迫により、呼吸困難に陥りやすくなるでしょう。心疾患などが原因の呼吸困難は、中年齢を超えた猫に多い傾向です。

動物病院での処置

普段は静かに呼吸する猫が苦しそうにしていると、飼い主としてはとても心配になりますが、動物病院を受診したら、どのような処置を受けることができるのでしょうか。具体的な情報をまとめます。

どのような症状が出たら動物病院を受診すべきですか?
呼吸困難は数時間で悪化する恐れもあるため、なるべく早期に動物病院の受診をおすすめしますが、特にあえぎ呼吸や開口呼吸が見られる場合には、緊急性が高いと判断して受診を急いでください。猫の舌が紫に変色している場合も要注意です。身体のなかの酸素が足りなくなっており、そのまま放置すると死に至る可能性も否定できません。
呼吸困難の検査方法を教えてください
呼吸困難の症状が見られる場合には、原因を特定するために、血液検査やX線検査、エコー検査などが行われます。いずれの検査を選択する場合にも、呼吸困難になっている猫は容態が急変することも考えられるので、酸素吸入などを行いつつ、慎重に検査が進められます。
どのような治療を受けることができますか?
動物病院で受けることができる呼吸困難の治療は、原因を取り除くための治療と、症状を緩和させるための治療に大別できます。例えば、腹水や胸水が原因の呼吸困難であれば穿刺により貯留液を抜き取る処置が行われます。心臓病の場合は利尿剤を投与します。原因を取り除くのが難しい場合には、少しでも呼吸を楽にして、息苦しさを和らげるための治療も同時に行うこととなります。高濃度の酸素を吸わせる酸素療法などがその一例です。

症状を緩和するためにできる日常的なケア

症状を緩和するためにできる日常的なケア

終わりに、飼い主が呼吸困難の症状を緩和するためにできる、日常的なケアのポイントをお伝えします。ぜひ実践してみて、愛猫のより健やかな生活をサポートするのに役立ててください。

呼吸器疾患の症状を緩和する生活環境の整え方を教えてください
温度や湿度は猫の呼吸状態に大きな影響を及ぼすため、適切に保たれているか、常にチェックを怠らないようにしましょう。特に部屋が乾燥しすぎると、気道感染を起こしやすくなったりすることから、気候に応じた適度な湿度を保つのがポイントです。同時に、埃やハウスダストによって呼吸困難が悪化するのを防ぐべく、こまめな清掃や換気を行ってください。その他には、食事の場所を寝床の近くにするなどの工夫を凝らし、猫が動き回らなくても済むような生活環境を整えてあげましょう。興奮することが呼吸器疾患の症状を悪化させるケースもあるので、落ち着いて過ごせる場所を用意するのも大切です。なお、猫が過ごす部屋では禁煙した方がよいでしょう。
猫の呼吸が楽になる姿勢はありますか?
呼吸の状態は一様ではないため、楽だと感じる姿勢も猫によって異なります。愛猫の様子を注視しつつ、少しでも快適に過ごせる状態を探ってあげましょう。クッションを用いてサポートすると、長時間楽な姿勢を維持しやすくなるのでおすすめです。ただし、あまりにも同じ姿勢を取り続けることは、床ずれや別の痛みの原因にもなりえます。無理のない範囲で、適宜姿勢を変えてやることも意識してください。
痰が絡まないようにするにするコツを教えてください
痰が絡んで、うまく切れなければ、猫の不快感が増すとともに、呼吸困難の症状が悪化してしまう恐れもあります。痰は水分が少なくなると粘り気が強くなり、排出しづらい状態になってしまうため、猫に十分な水を与えることを心がけましょう。水分をしっかり摂取すると、痰が軟らかくなり、スムーズな排出につながります。部屋の湿度を適切に保ち、吸い込む空気が乾燥しないように配慮することも、痰の粘り気を抑えるコツです。特に乾燥がひどくなる時期には、加湿器を活用するなどして、より快適な生活環境を整えてやることが欠かせません。
日々の健康チェックはどのように行うとよいですか?
日々の健康チェックの際には、明らかな呼吸困難の症状だけでなく、長時間咳が続いている、よだれを垂らす、首を伸ばして前肢を突っ張るような姿勢を取る、胸腔を広げようとしたり、背中を丸めたりする様子が見られるといった変化も、見逃さないようにしましょう。呼吸がつらくなっているサインかもしれません。少しでも気にかかる点があれば、症状が悪化する前に、動物病院を受診することをおすすめします。受診にあたっては、いつからどのような症状が現れているかといった点を詳細に記録しておくと、獣医師が呼吸困難の原因を見極める助けとなるでしょう。

編集部まとめ

猫の呼吸困難にはさまざまな症状があり、原因も一つではありません。それだけに、苦しそうな様子が見られたら、なるべく早く獣医師の判断を仰いで、状況に応じた適切な治療を受けることが重要です。加えて、飼い主が過ごしやすい生活環境を整えるなどの配慮を行うことも、呼吸困難の悪化を防ぎます。日頃から愛猫の様子をよく観察しておき、適宜必要なサポートを与えることで、健康な毎日を後押ししてあげてください。

【参考文献】