飼い猫が急に鼻水を垂らし始めて、驚いた経験はありませんか。しばらくは様子を見ていてよいのか、すぐに動物病院を受診すべきなのか判断が難しく、不安になったという飼い主さんも少なくないでしょう。猫が鼻水を垂らす原因は複数あり、それぞれ対処法も異なります。鼻水の状態から把握できる情報もあるため、関連の知識を持っておくと安心です。今回は猫の鼻水に関して、押さえておきたいポイントを端的にまとめました。もしものときに備える意味でも、参考にしてみてください。
猫が鼻水を垂らす原因

猫が鼻水を垂らしていると飼い主さんは、何かあったのかと不安を感じることもあるでしょう。ここでは、猫が鼻水を垂らす場合には、どのような原因があるのか、また鼻水を垂らす場合にはどのような病気が考えられるのかを解説します。
- 猫が鼻水を垂らすとき、どのような原因が考えられますか?
- 猫が鼻水を垂らす原因は一つではありません。部屋の掃除直後などに一時的な生理現象として鼻水が垂れている場合は、異物が排出されると自然に収まるため、大きな心配はないと考えてよいです。一方で猫風邪といわれるウイルス性感染症や、細菌性感染症が原因の鼻水は、そのまま放置すると重症化につながることもあります。このような場合は、早めに動物病院にて適切な治療を受けることがおすすめです。その他にも、高齢猫の場合は、腫瘍やポリープなどが原因で鼻水が垂れるケースがあります。また、人間と同じように、アレルギー性鼻炎を発症している可能性も否定できません。生活環境に起因する鼻水であれば、原因を特定して環境を整えることが、症状改善のポイントとなります。
- 鼻水の色や状態から推察できる原因を教えてください。
- 猫が垂らす鼻水の色には、いくつか種類があります。色や状態によって鼻水の原因も変わってくるため、よく確認してみましょう。まず、白濁した鼻水は、炎症の初期段階に見られることがあります。透明だった鼻水の粘度が増して白っぽくなるようであれば、上部気道感染症の初期症状である可能性が考えられるため、早めに処置して症状の悪化を防ぎましょう。粘り気があって黄色や緑色がかった鼻水は、細菌感染を示すサインかもしれません。免疫系が感染と戦っている証拠になりますが、この段階では抗生物質による治療を要する場合があるため、動物病院を受診しましょう。もし、赤みやピンク色の鼻水が出ている場合は、鼻のなかで炎症が進んでいたり、傷ができていたりする恐れがあります。長引く赤い鼻水には重い感染症や腫瘍が原因の場合も考えられるので、一度動物病院へ連れて行くことを推奨します。
猫の鼻水で動物病院を受診する際の目安
猫の鼻水は、人間と同じでしばらくすればおさまるものです。そのため基本的に病院に行く必要はありません。では、どのようなケースであれば、動物病院に行く必要が出てくるのか、ここでは解説していきます。
- 自宅で様子をみても大丈夫ですか?
- 猫も人間と同じように、ちょっとしたことで鼻水を垂らす場合があります。掃除の直後や、空気の入れ替えなどによって急に温度が下がったときに、くしゃみや鼻水が出ます。こうした鼻水はすぐに収まる一時的なもののため、動物病院へ連れていく必要はありません。ただし、様子を見ていて鼻水が長引くようであれば、動物病院を受診しましょう。
- 猫が鼻水を垂らしているときは花粉症の可能性もありますか?
- 猫もアレルギー性鼻炎を発症します。アレルギーの原因となるものはハウスダストや食べ物、ノミやダニなどさまざまですが、その一つが花粉です。猫のアレルギーに関する細胞は肺の部分に多く存在するため、アレルギー症状は呼吸器に出やすくなります。そのため、猫が鼻水を垂らしているときには、花粉症の可能性も考えられます。花粉症は季節性のアレルギーのため、特定の時期に症状が悪化する傾向が見られます。鼻水だけでなく、くしゃみや目のかゆみといった症状が出る点も、人間と変わりません。猫の場合は、どの物質に反応しているのか検査をしてもなかなか判断が難しいものですが、特定の時期に鼻水がくしゃみがみられる場合は、空気清浄機をおくなどして環境を整えてあげることもおすすめです。アレルギーかな?と感じた場合は、まずは獣医師に相談してみるとよいでしょう。
- すぐに動物病院を受診した方がよいケースを教えてください。
- サラサラの鼻水が少量出ても、食欲があって元気にしているようなら、しばらくは様子を見てもよいでしょう。一方、猫がお口を開けて苦しそうに呼吸しているようであれば、鼻炎や副鼻腔炎、鼻腔内腫瘍などがひどくなっているかもしれません。犬とは違い、猫がお口で呼吸するのはとても危険なサインです。そのような状態の場合、すぐに動物病院を受診しましょう。また、ぐったりとした様子や熱っぽさが見られる場合にも、早めの処置が必要となります。いずれにしても、飼い主さんが見て不安を覚えるような状態であれば、診察を受けて獣医師の判断を仰ぐに越したことはありません。
- 猫の鼻水に対してはどのような治療が行われますか?
- 治療法は原因によって異なります。検査の結果、猫の鼻水が感染症によるものと判明すれば、抗生剤や抗真菌薬、抗ウイルス薬などが処方されます。感染症ではなく、腫瘍や異物が原因の場合には、外科的な治療が必要となるでしょう。また、歯周病に起因する鼻水であれば、抜歯といった口腔内処置を勧められるケースもあります。
猫の鼻水対策について

ここでは、猫の鼻水対策についてお伝えします。どのような対処方法があるのか、また飼い主さんが気をつけるべきことを解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
- 自宅でできる猫の鼻水の対処法はありますか?
- 感染症やアレルギーによる鼻水を防ぐためには、清潔で快適な環境を整えることが重要です。換気や加湿に気を配りながら、猫がストレスなく落ち着いて過ごせる空間を維持しましょう。なお、垂れてしまった鼻水は、優しく拭いてあげてください。固まった鼻水は湿らせたガーゼを用意して、やわらかくしてから取り除きます。多頭飼いの場合には、ほかの猫への配慮も欠かせません。感染症が疑われる状況であれば、感染が拡大しないように、一時的な隔離を実施したうえでケアを続けましょう。
- 飼い主さんが気を付けるべきことはなんですか?
- 鼻水の原因が花粉症であるとはっきりしている場合には、できるだけ窓を開けない、飼い主さんが外出する際には花粉が付きづらい素材の服を着用するなどの対策を講じて、猫にアレルギーの原因物質を近づけることがないよう気を付けましょう。こうした行動の積み重ねによって、現在は症状が出ていない猫が将来的に花粉症になることも防ぐことができます。
編集部まとめ
猫の鼻水が長引く場合は、なるべく早めに動物病院を受診して、適切な治療を行うことが重要です。しかしながら、予防や対処という点では、自宅でできることも少なくありません。愛猫が元気で長生きできるように、日頃から猫が過ごしやすい環境づくりを心がけましょう。何か異変が起きたときに素早く察知するため、猫の様子を日々よく観察しておくこともポイントです。気になる点があれば、安易に自己判断せず、獣医師に相談してみましょう。