猫のうんちがゆるい原因とは?うんちの状態でわかることや病院に連れていくべきかのポイントも解説

猫のうんちがゆるい原因とは?うんちの状態でわかることや病院に連れていくべきかのポイントも解説

飼っている猫のうんちがゆるいときはありませんか。うんちがゆるくなるのにはさまざまな原因が考えられます。特に心配がいらないケースもあれば、すぐに動物病院を受診した方がよいケースもありますので、うんちの様子がいつもと違う場合は注意して観察しましょう。猫のうんちがゆるくなる原因をはじめ、うんちの状態でわかること、病院に連れて行くべき目安などをご紹介します。猫を飼われている方はぜひ参考になさってください。

猫のうんちがゆるい状態(軟便)と

猫のうんちがゆるいとはどのような状態をいうのでしょうか。愛猫の変化にすぐに気付けるように、まずはうんちの種類を知っておきましょう。

軟便とはうんちがどのような状態を指しますか?
うんちがゆるい状態である軟便は、やや水分量が多い状態を指します。通常、うんちは硬くコロコロとしている状態です。軟便とは、触ると簡単につぶれる程やわらかく、持ち上げたときに跡が残るような状態のうんちのことをいいます。うんちがゆるくなってしまう原因は、病気、食べ物の影響、ストレスなどさまざまですが、何らかの異常が起きている場合があります。元気そうに見えて、うんちだけがゆるい場合でも注意が必要です。
軟便の種類はどのようなものがありますか?
軟便は水分量が多く含まれる状態のうんちです。通常時のようにコロコロしておらず、やわらかいのが特徴です。通常、便には約70%の水分が含まれているといわれています。水分量が80%を超えた状態を下痢と呼び、さらに90%を超えた場合を水様便といいます。水様便は固形ではなく水っぽい、液状の便です。

血便は、血液がうんちに混じっている状態のこと。赤色以外にも、真っ黒な便が出ることもあります。また、粘液便はゼリー状の粘液がうんちに混じる状態です。血便や粘液便は内臓にダメージがあるときに出ることがあるため、注意が必要です。

猫のうんちがゆるい状態(軟便)の原因

猫のうんちがゆるい状態(軟便)の原因

うんちがゆるくなるのにはさまざま原因があります。なかには深刻な病気が潜んでいるケースもありますので、日頃から猫のうんちの様子はよくチェックしておきましょう。

猫のうんちがゆるくなる原因を教えてください
猫のうんちがゆるくなる原因としては、まずは消化不良が挙げられます。食べ過ぎてしまうことで消化不良を起こすと、特に便の終わりだけゆるい状態の末端軟便になる場合もあります。水を飲みすぎた場合や水分量が多く含まれている食べ物を多くとると、うんちの水分量が増えて軟便になる可能性があります。食べ過ぎや飲みすぎには気を付けましょう。

フードが合わないことも原因のひとつです。特にフードが変わったタイミングでは、お腹がなれずに消化不良を起こして、うんちがゆるくなることがあります。また、フードのなかに含まれるアレルゲンで食物アレルギーが出ている場合も考えられます。アレルギーが疑われる場合は、皮膚やお口回りの様子もあわせて観察して、アレルギー症状があるかをチェックしましょう。

ストレスもうんちがゆるくなる原因です。猫は敏感な生き物であるため、小さな変化にもストレスを感じることがあります。引っ越しや模様替えなどのほか、長時間の移動や、慣れない来客、騒音なども猫にとっては大きなストレスになり、軟便になる場合があります。
感染症や病気が原因のこともあるのでしょうか?
軟便症状が出る可能性があるウイルス性の感染症としては、パルボウイルスによる猫汎白血球減少症、猫コロナウイルスによる猫伝染性腹膜炎などがあります。また、細菌性の感染症としては、サルモネラ症、カンピロバクター症、クロストリジウンム症などがあり、寄生虫としては、コクシジウム、回虫、ジアルジアなどが下痢を引き起こします。

内臓疾患としては、小腸や大腸の消化器系疾患によって慢性下痢が起きやすくなります。肝炎や胆管炎といった胆道系疾患、膵外分泌不全などの膵臓疾患でも、うんちの状態に変化が起こることがあります。

猫のうんちの状態でわかること

猫のうんちの状態でわかること

猫のうんちは健康のバロメーターといえます。日頃から猫のうんちをチェックしておくことが大切です。猫のうんちのチェックポイントや病院を受診すべきかの見分け方を紹介します。気になる場合は自己判断せずに、病院で相談することをおすすめします。

猫のうんちのチェックポイントを教えてください
うんちをチェックする場合は、色、形や状態、量、臭いもあわせてチェックすることをおすすめします。

うんちチェックの際には、未消化の食べ物や異物が入っていないかを確認しましょう。未消化の食べ物が入っている場合は、消化不良を起こしている可能性があります。なお、消化不良が起きているときは、臭いもきつくなることがあります。あわせて、毛玉や猫草、異物などが入っていないかもチェックしましょう。

うんちの表面に粘膜のようなものが付いていたときは、体内臓器からの出血が疑われるため注意が必要です。粘液便は大腸に問題が起きている可能性がありますので、できるだけ早く動物病院を受診してください。
健康なうんちの色は何色ですか?
キャットフードを主食としている猫の場合、健康な状態であれば通常は黒色からこげ茶色のうんちになります。ただし、フードによってうんちの色に違いが出ることもありますので、うんちの色とフードの種類をあわせて記録や管理しておくとよいでしょう。

どす黒い色、赤色、赤黒い色、黄土色、黄色など、普段と違ううんちの色が見られた場合は、内臓疾患が起きている可能性があります。
病院に行くべきかどうかの見分け方を教えてください
うんちの色が普段と違うとき、血便や粘液便、激しい水様便が見られるときは、病院に連れて行った方がよいでしょう。また、数日以上うんちの異常が続く場合も注意が必要です。うんち以外の症状として、元気がない場合、食欲がない場合、嘔吐などの体調不良の様子が見られる場合、子猫や老猫の場合は、すぐに動物病院を受診してください。

一過性の軟便であり、ほかに何の症状もなく元気であれば自宅で様子を見てもよいでしょう。気になることが少しでもある場合は、動物病院で相談することをおすすめします。

猫のうんちがゆるい場合の治療法

猫のうんちがゆるい場合の治療法

軟便で動物病院を受診した場合には、どのような治療をするのでしょうか。一般的な治療法と、日頃から取り入れられる対処法、予防法をお伝えします。

病院ではどのような治療がなされますか?
食べ過ぎやストレスなど、うんちがゆるい原因が一時的なものの場合は、整腸剤を内服する投薬治療が行われます。脱水症状が起きている場合は、点滴をすることもあります。

食べ物が合わずにうんちがゆるくなっているときには、療法食が用いられます。食べ物のなかに含まれているアレルギーが原因である場合は、フードの切り替えを実施し、腸内細菌バランスを整えるフードを食べさせるなど、食べ物の内容によって症状を改善していきます。

誤飲や誤食の場合は、胃洗浄や吸着剤による異物除去を実施します。感染症が原因の場合は、抗生物質や駆虫薬を内服する投薬治療となります。内臓疾患が原因で軟便や下痢が起きている場合は、原因となる疾患の治療が行われます。
猫のうんちがゆるくならない対処法、予防策を教えてください
うんちがゆるくならないようにできることとしては、まずは食べ物に気を付けることです。消化不良を起こすため、人間の食べ物は与えないようにしましょう。また、猫は炭水化物も消化しにくいため、タンパク質メインの食事を与えるのがポイントです。水分の摂りすぎもうんちがゆるくなる原因になりますので、水の量の調整や、水分を多く含む食べ物の与えすぎに気を付けましょう。また、猫それぞれの年齢に合わせた内容の食事を与えることも大切です。

環境面の整備も対処法や予防策として有効です。猫がストレスを感じるものはできるだけ排除しましょう。猫は敏感なので、来客との接触をストレスに感じることもあります。猫にとってできるだけストレスのない環境を用意してあげましょう。

猫は完全室内飼育がおすすめです。外で暮らす猫と接触すると、感染症や寄生虫などに感染するリスクが上がります。また、ワクチン接種などで事前にウイルス感染を防ぐこともおすすめします。

編集部まとめ

猫のうんちがゆるくなる原因は、食べ過ぎからの消化不良、フードが合わない、ストレスなどさまざまです。なかには、重大な感染症や内臓系疾患が潜んでいるケースもあります。特に血便や粘液便が見られた場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。猫の健康状態を観察するためにも、日頃から猫のうんちの状態をよくチェックすることをおすすめします。また、猫の健康を守るためにも、食事や環境に注意しておくことも大切です。

参考文献