掃除をしても犬の毛が抜けて気になるという飼い主さんもいるのではないでしょうか。犬は時期によって抜け毛が増える場合があります。犬種によっても毛が抜ける量が異なるため、昔飼っていた犬は毛が抜けなかったのに、今飼っている犬は抜け毛が目立つというケースもあるでしょう。こちらの記事では、犬の毛が抜ける理由や対処法を解説します。毛が抜けるときに考えられる病気や受診の目安も解説していますので、愛犬の抜け毛で悩んでいる飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
犬の毛が抜ける理由

- 犬の毛は普段からよく抜けますか?
- 犬には換毛期があるため、普段から毛はよく抜けます。換毛期とは犬の毛が大量に生え変わるタイミングのことです。季節に合わせて夏毛と冬毛に生え変わるため、換毛期には大量の毛が抜けます。犬の被毛構造は犬種によって異なります。2層構造になっているダブルコートと、1層構造のシングルコートの2種類です。換毛期があるのはダブルコートの犬種です。換毛期にオーバーコートといわれる上毛が季節に応じて生え変わります。
- 抜け毛が増える時期はいつですか?
- オーバーコートが抜け変わるのは、季節の変わり目です。2層構造になっている犬種は、夏毛や冬毛に被毛をかえることで、体温調節をサポートし気温の変化に対応しています。そのため換毛期は基本的に春と秋です。春は夏に向けて冬毛が抜け、夏毛に生え変わります。これに対して、秋になると夏毛が抜け、寒い冬に対応できるように冬毛が生えてきます。そのため普段よりも春と秋には抜け毛の量が増えるため、抜け毛のケアを入念にしなくてはなりません。
- 毛が抜けやすい犬種を教えてください
- 犬の抜け毛の量は季節的なものだけではなく、犬種によるものもあります。犬は被毛構造が1層構造の犬種と、2層構造になっている種類があります。見分けるポイントとしては、毛をかき分けた際に地肌が見えるかどうか見ることで判断しやすいです。シングルコートの場合には地肌が見えやすいですが、ダブルコートの場合にはアンダーコートがあるため地肌が見えにくい傾向があります。また犬種によってシングルコートかダブルコートか分けられますが、ミックス犬の場合などには犬種による判断が難しいため地肌を見ることで確認しやすいでしょう。
犬の毛が抜けるときに考えられる病気
- 抜け毛と痒みが同時に出る場合、疑うべき病気は何ですか?
- 抜け毛だけではなく、同時にかゆみが出ている場合は、感染症や皮膚炎、アレルギーなどが考えられます。一般的に、換毛期での抜け毛にはかゆみは伴いません。脱毛を引き起こすようなかゆみがある場合、病気の可能性が高いです。細菌や真菌による感染症の場合、皮膚に炎症が起こるため強いかゆみに伴い、薄毛や脱毛が見られます。高齢になると甲状腺や副腎などの内分泌疾患が増えますが、その影響で脱毛や皮膚病などが見られることがあります。アレルギーは、ノミなどの外的要因や、食物、アトピーなどが考えられます。ノミアレルギーの場合、腰や下半身に症状が現れやすく、アトピー性皮膚炎の場合は足や顔への赤みや痒みが現れます。
- 食物アレルギーで毛が抜けることがあるのか教えてください
- 食物アレルギーによって毛が抜けるケースもあります。食物アレルギーを発症したとき、身体全体の強いかゆみや湿疹が主な症状です。さらに強い症状がでると、脱毛などを引き起こす皮膚炎になります。食物アレルギーによって、強いかゆみで身体をかいてしまって毛が抜けている場合もあるでしょう。目や口の周り、足先、脇の下や股の間、肛門周辺に症状が出やすくなります。足でかきむしっている場合や、身体に赤い湿疹が見られる場合などは、早めに動物病院へ相談してください。
- 毛が抜ける部分をよく舐めるのは、病気が考えられますか?
- 犬が自分の身体を舐めるのは、グルーミングをしている可能性が高いです。特に換毛期は、自分で身体を舐めて毛繕いしているのかもしれません。被毛に絡みついた抜け毛や、ほこり、ふけなどの汚れも、舐めて落とすことで清潔に保つ働きがあります。しかし、舐めている部分だけ毛が抜けていたり、皮膚が赤くなっていたりしたら注意が必要です。かゆみを感じていたり、病気が隠れていたりします。飼い主さんの姿が見えないことで、強い不安や恐怖から身体を舐めてしまう犬もいます。同じ部分をずっと舐め続けている場合や、舐める頻度が多くなった場合などは受診を検討しましょう。
- 犬の毛が左右対称に抜けるのは自然なことですか?
- 犬の毛が抜けるのは日常的なものですが、頭と足以外の毛が左右対称に抜けている場合は注意しましょう。副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調などのホルモンに関連した病気に感染している可能性もあります。顔周りや足先、脇の毛などが抜けている場合には、アトピーやアレルギーなどが関連しているかもしれません。アレルギー症状によって皮膚に炎症が起こり、かゆい部分を舐めたりかいたりして、症状が悪化している可能性があります。慢性化すると色素沈着で皮膚が黒ずんだり、毛が抜け落ちてしまったりするので早めの対応を心がけましょう。
犬の毛の抜け方で気になったときの受診の目安

- 正常な毛の抜け方と病気を疑う毛の抜け方の見分け方を教えてください
- 正常な毛の抜け方と病気のときの毛の抜け方にはいくつかの違いがあります。まずは毛が抜けている部分が一部であるときです。犬の毛は全体的に抜け変わるため、部分的に毛が抜けることはほとんどありません。部分的に脱毛している場合は、その部分にトラブルを抱えている可能性が高いでしょう。また、毛が抜けた部分をかいたり、舐めたりしている、赤みや黒ずみがある場合は、皮膚炎の可能性があります。地肌がくっきり見えるような毛の抜け方や、かさぶたができている場合も、すぐに病院で受診したほうがよいでしょう。
- 毛が抜けることに対して、動物病院ではどのような治療を行いますか?
- まずは何が原因で毛が抜けているのかの検査を行います。感染症や腫瘍などの疑いがある場合には、皮膚の一部を採取して検査します。ホルモンに由来している可能性がある場合は、採血をして血液検査が必要です。アレルギー性の皮膚炎であれば、飲み薬や塗り薬での治療になります。抗菌剤や薬用シャンプーを使用して治療を進めるケースもあります。ストレスが原因になっている場合には、ストレス発散の方法を考えていかなくては治療が進みません。犬とのかかわり方や生活環境などの見直しも必要です。
犬の毛が抜ける際の対処法
- ブラッシングは毎日してもよいですか?
- ブラッシングは毛が抜ける際の有効なケア方法です。特に、換毛期には定期的にブラッシングをすることで、部屋中に抜け毛が散らかる予防にも繋がります。犬のブラッシングは毎日するのが理想的です。長時間ではなく5分から10分程度でもよいので、継続して行いましょう。また子犬の頃は必要ないと思われがちですが、ブラッシングに慣れてもらうために、子犬の頃からブラッシングを始めておきましょう。通常のブラッシングにはスリッカーブラシとコームが便利です。換毛期で抜け毛が目立つ場合にはファーミネーターやラバーブラシなど、抜けた毛をキャッチしやすいタイプにかえてもよいでしょう。
- シャンプーなどを工夫すると抜け毛対策になりますか?
- シャンプーは抜けた毛を洗い流すことができ、さらに汚れも落とせるため有効な手段です。犬をシャンプーするときには、まずブラッシングをして大まかな汚れを落とし、毛の絡みをほどいておきましょう。お湯をかけて軽く汚れを落としたら、犬用のシャンプーを使って洗います。このとき、シャンプーをしっかり泡立たせてから洗うのがポイントです。しっかり洗えたら、シャンプーをきちんと流し、被毛を乾燥させてください。自宅でシャンプーをするのが難しい場合は、専門のサロンなどにお願いするのも1つの方法です。
- 飼い主さんができる対策があれば教えてください
- 毛の抜けやすい犬種の場合、服を着せるだけで抜け毛が部屋中に広がるのを予防できます。さらに冬には寒さ対策になるため、寒がりの犬にとっては服を着せるのは効果的でしょう。夏は夏用の接触冷感素材の服も販売されています。季節に合わせて服を着させておけば、体温調節にも役立つため便利です。犬を飼う環境を整えることも大切です。常に清潔に保ち、ダニなどが発生しないようにしましょう。食べ物においては、初めて食べる食材にアレルギーがないか注意深く観察してください。日頃からスキンシップをとり、犬の様子を観察しておくことで、自然な抜け毛なのかの判断もしやすいでしょう。
編集部まとめ
犬の毛が抜けるのは自然なことです。特に季節によって換毛期があるため、大量の毛が抜ける場合もあります。犬種によって毛の抜け方はさまざまなため、自分の飼っている犬がどのようなタイプなのかを把握しておきましょう。ただし、毛の抜け方が左右対称だったり、かゆみがあるようであれば、皮膚トラブルの可能性があります。かきむしってしまっていたり、毛の抜けた部分を頻繁に舐めたりしているようであれば、受診を検討したほうがよいでしょう。