犬パルボウイルスでの致死率は?症状や原因も解説

犬パルボウイルスでの致死率は?症状や原因も解説

犬を飼っていても犬パルボウイルスについて知っている方は、少ないのではないでしょうか。

犬パルボウイルスは1978年に発見された病原菌です。病原ウイルスのなかでは新しい部類と判断されているものです。

犬の感染症について知識を広げておくことは愛犬の健康状態を守ることにもつながります。

そのため、本記事ではあまり知られていない犬パルボウイルスでの致死率・症状や原因について詳しく解説します。

初めて聞くウイルスかもと感じた方は、ぜひ知識を広めるために役立ててください。

犬パルボウイルスでの致死率

犬の背中

犬パルボウイルスの致死率を教えてください。
感染症に分類されている犬パルボウイルスは、感染した犬全体のうち発病するのは20%以下であることがわかっています。致死率は発病した20%のうち1~5%以下です。
パッと数値をみた感じでは致死率が低いんだなと考えた飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。数値は低く感じますが、侮ってはいけません。なぜなら、犬パルボウイルスを発症すると症状が重症化しやすい傾向にあるからです。
さらに子犬が犬パルボウイルスを発症した場合の致死率は90%に高まるとされています。子犬でなくとも激しい症状を訴える犬では、致死率が高くなることが懸念されているのです。
数値だけで安易に判断せず、犬パルボウイルスの症状を確認した場合には速やかに動物病院へ受診することを心がけてください。
犬パルボウイルスは治療しないと致死率が上がりますか?
犬パルボウイルスは60度に熱しても約1時間は生き延びるとされています。また、アルコール・クレゾール・逆性石鹸などに対しても耐性があり、ホルマリンや次亜塩素酸ナトリウム(ブリーチ)などでようやく死滅するくらい強力なウイルスです。治療を受けなければ、高い確率で症状が重症化してしまうでしょう。
先述しているとおり、重症化してしまうと致死率が高くなります。軽度や中等度の発症であれば治療を行って3~5日で回復することが一般的です。これらのことを踏まえても、犬パルボウイルスの治療を受けることをおすすめします。

犬パルボウイルスの主な症状・原因

診察中の犬

犬パルボウイルスは症状が出やすいウイルスですか?
とても強力なウイルスではありますが、発生当時は全世界にこのウイルスが広がったため、多くの犬が獲得免疫を持つようになっています。
ほとんどの犬が犬パルボウイルスに感染したとしても、大半は症状が現れることなく自然治癒する可能性が高いです。まだ免疫力が不安定な子犬が犬パルボウイルスに感染して症状がみられることはありますが、稀なケースです。
症状が出ていなくても感染している可能性があるため、注意が必要になります。
犬パルボウイルスの主な症状を教えてください。
基本的には感染しても無症状な状態で自然治癒することが大半を占めています。しかし、発病すると感染してから2日程で、下記の症状がみられます。

  • 元気消失
  • 発熱
  • 衰弱
  • 嘔吐
  • 下痢

上記の症状が現れると、その後は食欲がなくなる傾向にあります。発熱に関しては個体差があるため、必ず現れる症状ではありません。
元気が消失して嘔吐や下痢がみられるようなら動物病院へ受診しましょう。ウイルスに感染してから約1週間で免疫ができます。その頃には、症状も落ち着いているはずです。

犬パルボウイルスに罹患する原因を教えてください。
除菌にも耐性の高い犬パルボウイルスは、ある程度の環境下であれば数ヵ月以上生存できるとされています。感染が蔓延する原因は、感染した犬の排泄物です。
犬パルボウイルスは排泄されるウイルスで排泄後も影響力を持っているため、タイヤや人間の靴などに付着してどこにでも運ばれる可能性があります。道路にも付着しているため、散歩中にお口や鼻から侵入して次の犬に感染するのです。
ただし、ウイルスの感染力は免疫力によって抑えられているため、現在では次から次へと激しく感染することは少なくなっています。
ウイルスの潜伏期間はどのくらいですか?
犬パルボウイルスは感染してから4~6日潜伏しています。もし、症状が軽症で現れて2日程で回復したとしても、1週間程は排泄物の徹底処理や愛犬の様子をみた方がよいでしょう。
また、犬パルボウイルスは人間には感染しません。しかし、人間が犬パルボウイルスに感染した犬の糞便に排泄されるウイルスに触れると、ウイルスをまき散らしてしまうことにつながります。
ウイルスの感染経路を抑えるためにも、排泄物の処理には十分注意しましょう。

犬パルボウイルスの予防法

聴診器を当てられる犬

犬パルボウイルスはワクチンで予防できますか?
生後16週齢以上になるまで2〜4週ごとに接種することが推奨されている、混合ワクチンのなかに犬パルボウイルスが組み込まれています。ここで注意しなければならないのは、混合ワクチン接種前に感染してしまうことです。
もし、母親が強い犬パルボウイルスの免疫を持っていると、子犬の体内にも抗体が遅くまで残るケースがあります。体内に抗体が残っていると、ワクチンの効果が妨害されて打っても効果が出ないこともあるのです。母親からの抗体は時間とともに消滅します。
そのため、混合ワクチンを接種したからといって油断していると、効果が出ていないため無防備な状態となってしまうでしょう。
したがって、パルボウイルスワクチンは子犬の時期に3回、その後は1年に1回の追加接種を行うことが大切だと覚えておいてください。
犬パルボウイルスでの治療期間を教えてください。
先述しているとおり、中等度の発症であれば治療を行って3~5日で回復するため、1週間程の治療期間になることが一般的です。ウイルスを消滅させる治療法はないため、治療方法は以下のとおりです。

  • 嘔吐・下痢によって失われた水分や電解質を補給する輸液療法
  • 腸内細菌の異常繁殖を防止する抗生物質療法
  • ショックに対する補助治療
  • ほかの犬の血清を注射する血清療法

上記の治療方法は、免疫力の増強効果も期待したものになります。また、輸液療法や血清療法には、失われた栄養分の補給に十分効果があることも判明しています。

罹患した際入院は必要とされますか?
重症化している場合には入院と判断される傾向にあります。症状が軽度や中等度であったとしても、どのような治療方法を行うかや愛犬の状態によっては入院と判断される可能性も否定できません。
また、入院にかかる日数も状況に応じて異なるため、獣医師の指示を仰いでください。罹患した犬以外の犬と生活している場合には、状況に応じて入院となることもあることに留意しましょう。
日頃の生活で気を付けることはありますか?
日頃の生活で特に気を付けてほしいことは、愛犬の清潔感を維持することです。例えば、散歩から家に入る前には手足をきれいに洗浄することも1つの方法になります。お口や鼻から病原ウイルスが入り込むため、愛犬の身体はなるべくきれいな状態を保ちましょう。
ほかにもワクチン接種や健康診断などは、愛犬の健康状態を維持するために必要不可欠です。愛犬だけでなく、飼い主さんの健康状態に悪影響を与えないためにもさまざまなワクチンの接種が推奨されています。
もしかすると、愛犬の健康維持が足りていないと感じる飼い主さんもいるかもしれません。そのようなときは、毎年ワクチン接種が義務付けられている狂犬病予防の際に、獣医師に相談してみてください。
後は、食事や運動量をしっかり管理すること、定期的に見直しをすることも心がけましょう。

編集部まとめ

抱き抱えられる犬

今回は、犬パルボウイルスでの致死率・症状や原因について詳しく解説していきました。

パルボウイルスは7種混合ワクチンとして接種しているため、あまり知識がなかったりまったく知らなかった飼い主さんも少なくないでしょう。

近年は獲得免疫によって発症率も収まってきていますが、免疫力が安定していない子犬は罹患すると重症化する恐れがあります。

ウイルスを消滅させる方法はないため、重症化すると取り返しのつかない状態に陥る可能性が高いことも否定できません。

日頃から衛生管理や愛犬の行動に十分注視して、違和感を覚えたら動物病院へ受診することを心がけてください。

少しでも参考になれれば幸いです。

参考文献