犬が小刻みに震えている場合に考えられる病気は?原因・対処法を解説

犬が小刻みに震えている場合に考えられる病気は?原因・対処法を解説

犬が上目遣いで震えている姿をみて「かわいい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

さまざまな犬種がいますが、その中でも小型犬や高齢の犬には、震えるという動作がよくみられるでしょう。

しかし、震えるという動作にはときに病気やケガが隠れている場合もあります。

震えている動作から、どのように病気を見分けるのか・考えられる病気・原因・対処法について詳しく解説していきましょう。

見極められるようになれば、犬の病気を早期発見し早期治療につなげられます。ぜひ、参考にしてみてください。

犬が小刻みに震えている場合に考えられる病気は?

犬震え病気

さっそくですが、犬が小刻みに震えている場合に考えられる病気はどのようなものがあるのか紹介していきましょう。

  • 低血糖
  • 脳の病気
  • てんかん
  • 腎臓など内臓の病気
  • 中毒症状

大きく分類すると、上記の5つが該当する可能性が高いです。それでは1つずつ、詳しくみていきます。

低血糖

犬は低血糖を起こしやすいことで有名です。

とくに子犬は摂取したエネルギーの約50%が生命維持に使用され、残りのエネルギーが成長に使用されるため低血糖を引き起こしやすいといわれています。

低血糖を引き起こしてしまうと、以下のような行動がみられる傾向にあります。

  • ぐったりしている
  • 食事をとらない
  • 水分をとらない
  • 排泄をしない

1歳未満の幼若犬においては、1日に3〜4回に分けて食事をさせることが重要であるといわれています。

子犬は体脂肪が少ないため、低血糖を引き起こした場合には命に関わることも否定はできません。

もちろん、成犬であっても発症するリスクがあります。加齢に伴ってさらに発症リスクが高くなっていきますので、注意が必要です。

成犬の場合でも、食事・水分補給・排泄の量が2日連続で減る場合には、低血糖の可能性を疑いましょう。

さらに、食後1~2時間以内に激しい運動をしてしまうと、低血糖を引き起こしやすくなることも留意しておいてください。

脳の病気

動物病院の増加や医療の発達が進んでいる現代でも、犬の死亡原因で最も高いとされていることは脳腫瘍、いわゆるがんによるものです。

犬が発症するがんにも、人間の治療方法と同様に放射線治療が適用されます。しかし、年々脳腫瘍の発症例が増えていることが現状です。

脳腫瘍が発生する部位でみると以下の通りになります。

  • 下垂体腫瘍
  • 髄膜腫
  • 神経膠腫

発症リスクが高い下垂体腫瘍は、多くの内分泌腺の働きを制御する内分泌中枢とも呼ばれている部位にできる病気です。

  • 食欲不振
  • 沈鬱
  • 異常行動
  • 発作
  • 盲目

上記の神経症状がみられた場合には、下垂体腫瘍を引き起こしている可能性が高いといえます。

あまり様子見はせず、速やかに動物病院へ受診することが大切です。

てんかん

てんかん

てんかんは犬でも人間でも似たような症状がみられます。24 時間以上の間隔をもって少なくとも 2 回以上のてんかん発作が生じる場合に診断されます。

  • 2~3秒ほどの短い意識消失
  • 軽度の痙攣
  • 長めの意識消失
  • 30秒~2分程度の激しい強直
  • 間代性痙攣

上記の症状が突発的に発現することが特徴として挙げられます。

さらに、てんかんは3種類に分類されています。

  • 自発性てんかん
  • 感覚誘起性てんかん(反射てんかん)
  • 実験的誘発てんかん

実験的誘発てんかんは別ものですが、感覚誘起性てんかんは感覚に刺激が加わることによって発現することが判明しています。

そのため、自然に発現する自発性てんかんとは異なり、てんかんが起きる原因がはっきりしている場合が多いと診断される病気だといえるでしょう。

また遺伝的な要素が多く、ダックスフントは発症リスクが高いともいわれています。

腎臓など内臓の病気

犬の死亡原因で上位に挙げられている病気が、慢性腎臓病です。

  • 糸球体疾患
  • 尿細管間質性腎炎
  • 腎異形成
  • 閉塞性腎症
  • アミロイドーシスおよび腎盂腎炎

慢性腎臓病は、上記の症状を原因とする慢性的な腎臓病の総称であることを指しています。

ほかにも、人間と同じく犬でも糖尿病の発症例が増加傾向にあり、遺伝性疾患としては慢性肝炎や甲状腺機能低下症も内蔵の病気として挙げられるでしょう。

中毒症状

犬には食べてはいけないものが非常に多くありますが、その中でも中毒症状を引き起こすとして有名であるものがチョコレートです。

犬の急性中毒による通報は、年間で約3万5千件も寄せられています。報告されているうちの約半数に該当するのは、0〜1歳の子犬です。

チョコレート以外にも中毒症状に気をつけておきたいものは下記の通りです。

  • 殺虫剤(ホウ酸団子などの毒餌剤)
  • 乾燥剤
  • 保冷剤
  • 化粧品
  • 植物(葉・根・球根・種・花)
  • キシリトールガム
  • タマネギ
  • ブドウ
  • 農薬

ほかにも散歩中に落ちていたタバコを食べてしまったり、道端の植物を舐めるまたはかじったりすることで、中毒症状を発症した事例もあります。

犬が震える場合に考えられる原因

考えられる原因

犬が震える場合に考えられることは病気だけではありません。さまざまな原因や可能性を知ることで、犬とのコミュニケーションをより深めていけるはずです。

では、一体どのような原因で震えることがあるのかについて紹介していきますので、ぜひ犬の気持ちを考慮できるよう知識を高めていきましょう。

寒さ

人間と同じように、犬も寒さを感じているときには震える傾向にあります。

その場合は暖かい場所に移してあげる、もしくは犬用の服を着せたり毛布で包んであげたりして震える行動が収まるのかみていきましょう。

もし、暖かくすることで震えがとまるようであれば、ただ寒さによって震える行動が起きていたことがわかります。

犬の適温は犬種によりますが、15〜25度が快適な温度といわれています。また子犬は温度や湿度の変化に弱く、体調不良を引き起こす原因です。

室内・屋外飼育に限らず、温度と湿度に十分に気をつけてください。

発熱

人間と異なり、犬は全身で汗をかくことがありません。そのため、熱が身体にこもりやすく、熱中症を引き起こしやすいです。

身体に熱がこもっている状態で震えている場合には、すぐさま冷やしてあげる必要があります。

  • 涼しい場所に連れていく
  • 首回りを冷やす
  • 水分補給させる

上記の対策をしっかりとれるように、準備しておくことを心がけてください。

不安やストレス

ストレス
不安やストレスを感じているときにも、震える行動がみられることがあります。

  • 快適な温度と湿度ではない
  • 落ち着ける環境がない
  • 必要な運動量が足りていない
  • 食事が足りていない
  • 清潔に保たれていない
  • トイレや犬のスペースがきれいに保たれていない
  • お留守番が多い
  • 不安分離が強い
  • おもちゃなどストレス発散になるものがない

上記のような環境がいくつか該当する場合には、犬に不安やストレスが溜まりやすくなっている状況であるといえるでしょう。

犬のメンタルケアや、不安とストレスを感じさせない環境を整えてあげることが大切です。

興奮している

ポジティブな場合でも、犬は震える行動をみせるときがあります。例えば、ドッグランでほかの犬と思いっきり遊べるときには、早く遊びたい気持ちから震えていることがあります。

よくみられるのは好きなごはんやお菓子が与えられる瞬間です。震えながら尻尾をブンブン振っているときには興奮状態であることがみてとれます。

興奮しているときは尻尾が大きく揺れていることがほとんどです。

ポジティブなのか、マイナスなのかは震える行動だけでなく、犬の表情や尻尾の動きも一緒に観察してみてください。

どこかに痛みがある

急に動かなくなったり、人間から隠れるような場所で震えたりしている場合には、身体に異変や痛みを感じていることを疑いましょう。

犬は人間に弱みを隠そうとする習性があります。とくに、急に動かなくなったときこそ注意が必要です。

すぐに抱き上げたりせずに腫れているところがないか、優しく触れて痛がるところがないかをチェックして、動物病院に受診するようにしましょう。

加齢による筋力の低下

加齢

加齢による筋力の低下も、震える行動につながる原因の1つです。加齢に伴って起こる場合には、徐々に動きが鈍くなったり震える行動が増えたりする傾向にあります。

散歩中に震える行動がみられるようになったり、家でもじっとしていることが多くなったりした場合には、加齢による筋力の低下が考えられるでしょう。

無理に動かそうとせず、労わってあげることが大切です。

飼い主ができる対処法は?

飼い主対処法

これまで犬が震える行動に隠れる病気の可能性や、震える行動につながる原因について紹介してきました。

では震える行動が病気なのか、何か原因があって震えているのかを見極めて、飼い主ができる対処法についてもお伝えしていきましょう。

寒さによる震えの対処法

犬が震える場合に考えられる原因のひとつとしても先述しましたが、寒さで犬が震える場合も多くあります。

そのような場合には、犬用の暖かい服を着せてあげたり毛布で包んであげたりと、寒さを凌げるようにしてあげましょう。

また、温度と湿度に気をつけてあげることが大切です。犬用の服や毛布が手元にない場合には、温かいペットボトルにタオルを巻いて犬の近くに置いても効果があります。

温かいペットボトルなどは自販機でも購入できますが、寒さを感じる季節では服や毛布をすぐに使用できる準備をしておくことがおすすめです。

筋力低下による震えの対処法

加齢に伴って筋力が低下することは、人間でも同じで不可抗力ともいえるでしょう。しかし、急激に老化が始まるわけではありません。

若い頃から筋力を鍛えることで筋力の低下を緩やかにすることが可能です。

なるべく散歩を毎日2回は行ったり、定期的にドッグランで走り回ったりすることで筋力を低下させないよう心がけましょう。

すでに幼若犬ではない場合でも、無理のない範囲でおもちゃを使って遊ぶなどの工夫をすれば、筋力の低下を抑える効果が期待できます。

さらに、筋力の低下を防ぐための食事を心がけることも大切です。

動物病院ではドッグフードのサンプルなどを準備してもらえることもありますので、相談してみることをおすすめします。

高齢の犬には震えがみられる?

高齢震え

犬は加齢に伴って筋肉が低下するスピードが著しいといえます。

その原因としては、関節に問題が生じたり目や耳の機能が低下することによって、不安感が増加し動かなくなったりするからです。

さらに、犬の体温は約50%が筋肉と腸の働きによって生み出されていることが判明しています。

そのため、運動量が低下すると筋力の低下だけでなく、免疫力と体温までもが比例して下がっていくのです。

その結果、高齢の犬になると冷えが悪化するため、震える行動がよくみられる傾向が高いといえるでしょう。

動きが鈍くなると、水分補給や排泄の頻度も少なくなります。犬の身体は60〜70%が水分でできているため、脱水症状につながる可能性が高くなるでしょう。

筋力の低下と脱水症状を防ぐためにも、適度な運動と冷えを防ぐための温度調節には十分に注意することが大切です。

震え以外に注意するべき症状は?

注意すべき症状

何度かお伝えしていますが、急に動かなくなった場合は注意すべきです。痛みや異常を感じている傾向にあります。

さらに、同じ場所でグルグル回る・壁に頭をこすりつける動作をみせる場合は、すぐに動物病院へ受診しましょう。

食事・水分補給・排泄の量が急激に減った状態で震える行動がみられた場合も、注意すべき症状であるといえるでしょう。

犬の健康状態を保つためにも、普段の行動をよく観察して、コミュニケーションをとることを大切にしてください。定期健診を受けることもおすすめです。

犬の震えで動物病院を受診する目安は?

受診目安

犬の震えで動物病院を受診する目安としては、震える行動が2日の間に何度もみられた場合です。

その際は獣医師に状況を伝えらえるよう、食事・水分補給・排泄物の状態をしっかり把握しておきましょう。

ですが、基本的には飼い主が違和感を覚えた時点で動物病院へ受診することが非常に大切です。

言葉でコミュニケーションをとることが難しいからこそ、早期発見と早期治療に務めましょう。近年では犬の相談窓口が設置されている動物健康保険や動物病院が増えてきています。

夜間ですぐに動物病院へ受診することが難しい場合には、ぜひ活用してみてください。相談だけでなく、すぐに受診できる病院を探してくれる可能性もあります。

相談窓口を登録しておいたり、異変があった場合にすぐに電話をかけられるように準備しておくことをおすすめします。

まとめ

まとめ

犬が小刻みに震えている場合に考えられる病気・原因・対処法・動物病院へ受診する目安について詳しく解説してきました。

一見するとかわいい行動のようにも思えますが、状況によっては病気やケガが隠れていることも十分にあり得ます。

まずは犬の普段の行動をしっかりと観察して、犬のSOSに気づけるように注意しましょう。

犬の感情は全身を使った震える行動以外にも、表情や尻尾を使って表現することが多くあります。

観察していれば些細なことにも気づけるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献