猫の顎の下にできる黒いブツブツは猫ニキビ?発症の原因や対処法について解説!

猫の顎の下にできる黒いブツブツは猫ニキビ?発症の原因や対処法について解説!

猫の顎の下にできる黒いブツブツ、それは猫ニキビかもしれません。人間にも見られるこの皮膚トラブルは、猫にとっても不快なもの。

本記事では、その原因とは何か、飼い主ができる適切な対処法について解説します。

  • 猫の顎の下にできる黒いブツブツとは
  • 動物病院でできる猫ニキビの治療方法
  • 猫ニキビの予防方法

猫のあごの黒いブツブツが猫ニキビかどうか判断し、適切な対策を取れるよう、ぜひ最後までお読みください。

猫の顎の下にできる黒いブツブツとは

猫の顎の下にできる黒いブツブツ、通称「猫ニキビ」は、毛穴に皮脂が詰まって生じる状態です。
猫ニキビの症状はその重症度によって軽度、中度、重度に分類され、軽度の場合、猫の顎に小さな黒い点が見られ、痛みやかゆみは伴いません。

中度の症状では、赤みや腫れ、小さな傷が顎に現れ始め、猫が顎をこすったりする行動が見られることがあります。重度の場合、大きな腫れや潰瘍が顎に形成され、感染のリスクも高まります。重度の症状では獣医師による治療が必要になることが多いです。

また、猫ニキビと似た皮膚病としては、真菌感染による猫癬(リングワーム)があります。これは丸い脱毛や赤み、炎症を引き起こす症状が特徴です。また、猫の脂漏性皮膚炎も似た症状を示し、皮膚が油っぽくなったり、フケが多くなることがあります。

猫ニキビになる原因

猫の顎には、皮脂腺が多く分布しています。皮脂は、皮膚を保護する役割がありますが、皮脂が過剰に分泌されると、毛穴に詰まりやすくなります。
また、猫の体質や生活環境などが、猫ニキビの発症に影響を与えると考えられています。以下では、猫ニキビになる原因について解説していきます。

お手入れ不足

猫ニキビの主要な原因の一つは、お手入れ不足です。
特に、猫の顎の下は自分で毛づくろいをするのが難しい場所であり、そこに汚れが蓄積されることが多いです。これが皮脂腺の詰まりや炎症を引き起こし、猫ニキビが発生します。
適切なケアとしては、飼い主が定期的にこのエリアを清潔に保ち、必要に応じて柔らかいブラシや濡れたガーゼで優しく洗浄することが望ましいです。

食器素材のアレルギー

食器素材によるアレルギーも猫ニキビの原因となります。特にプラスチック製の食器は傷がつきやすく、そこに細菌が繁殖しやすいため、猫ニキビを引き起こしやすいです。ですので、陶器やガラス製の食器への変更が望ましいです。
常に食器を清潔に保ち、頃合いをみて新しいものに交換することが重要です。

餌が合わない

猫がアレルギーや食物不耐性を持っている場合、特定の食材に反応して皮膚に炎症を引き起こすことがあります。炎症は、猫ニキビの形で顔や顎の下に現れることが多いです。飼い主は食事の内容を見直し、必要に応じて獣医師と相談してアレルギー検査や食事療法を検討することが望ましいです。

参考として、猫の餌の種類について解説します。
ドライフードは保存が利き、歯の健康にも良いですが、水分の摂取が不足しがちになるので注意が必要です。ウェットフードは水分が豊富で食べやすい一方、開封後の保存が難しいことがデメリットです。セミモイストフードは柔らかく食べやすいですが、保存料が多用されることがあります。生食は自然な食性に近いですが、衛生管理や栄養バランスの維持に気を付ける必要があります。
猫の健康状態や好みに合わせて選ぶことが大切です。

ホルモンバランスの乱れ

特に成長期やストレスが多い時期にホルモンの変動が大きくなり、皮脂の分泌が過剰になることがあります。過剰な皮脂が毛穴を詰まらせ、炎症を引き起こすことが猫ニキビにつながります。
ホルモンバランスを整えるためには、適切な栄養と定期的な運動、ストレスの管理が重要です。

猫の成長は生後1歳までの重要な時期で、この間に体の大きさや骨格、内臓などが急速に成長します。猫の成長段階は子猫期(0~6ヶ月)、成長期(6ヶ月~1歳)、そして成猫期(1歳以降)に分けられます。
子猫期には社会性を学び、成長期には急速な体重増加と性成熟が起こり、成猫期では体の成長が安定します。また、猫の年齢を人間の年齢に換算する際、生後1年で15歳、2年で24歳と計算し、その後は年に4歳を加算します。

ニキビダニ症

ニキビダニは皮膚の毛穴に寄生し、過剰な皮脂や死んだ皮膚細胞を食べることで炎症を引き起こします。ダニの活動は毛穴の詰まりを悪化させ、猫ニキビの形成につながります。

猫に影響を与える他のダニには、耳ダニ(Otodectes cynotis)やヒゼンダニ(Cheyletiella)があります。耳ダニは猫の耳内に寄生し、かゆみや耳垢の増加を引き起こします。ヒゼンダニは表皮に寄生し、フケや皮膚のかゆみ、脱毛を引き起こすことがあります。

また、猫ニキビは単に皮脂の詰まりだけでなく、感染によっても引き起こされることがあります。特に細菌や真菌が猫の顎の下の皮脂腺に繁殖することで、症状が悪化する場合があります。
これらの微生物は、皮膚の小さな傷口や毛穴から侵入し、炎症を引き起こす可能性があります。そのため、猫の顎の下や顔の清潔を保つことが非常に重要で、定期的に掃除してあげることが推奨されます。

猫ニキビの症状

猫ニキビの症状には、あごや唇の周りに黒い砂粒のようなものが付着することで、皮膚がザラザラになります。症状が進行すると、赤みや腫れが見られ、痛みがでる状態になることもあります。猫が気にして擦り付ける行動が見られることがあるので、猫が患部を気にしないような工夫をすることが重要です。

家でできる猫ニキビのケア方法

猫ニキビは、自宅でできる簡単なケアによってある程度改善できます。
既に、ブツブツとできてしまったニキビの痒みや痛みなどの症状を重症化しないためのケア方法を知りましょう。

患部をやさしく拭き取る

猫ニキビのケアとして、患部をやさしく拭き取る方法がふさわしいです。
これには、ぬるま湯を浸した清潔なコットンやガーゼを使用し、猫の顎の下やニキビができている箇所をゆっくりと優しく拭きます。患部を激しく擦ると皮膚を傷つける可能性があるため、注意深く扱うことが重要です。
これにより、皮脂や汚れを優しく除去し、猫ニキビの炎症を和らげられます。

また、猫ニキビとノミの糞は外見が似ており、どちらも猫のあごの下に黒い砂粒状のものとして見られることがあります。ノミの糞は主に猫の腰や首周りに見られ、血液成分を含むため、濡れたティッシュペーパーに乗せると赤く染まる特徴があります。
一方、猫ニキビは赤く染まらず、特に治療方法が異なるため、正確に診断する必要があります。

猫用シャンプーを使用する

あごの下に汚れが付着している場合は、猫用シャンプーを少量のお湯に混ぜて使用し、汚れを優しく洗い流すことで皮膚トラブル軽減になります。シャンプー後は、皮膚に残らないようしっかりとすすぎ、猫の毛を完全に乾かすことが重要です。
これにより、皮膚トラブルを防ぎ、猫ニキビの症状の改善を助けます。

動物病院でできる猫ニキビの治療方法

猫ニキビは、原因によって適切な治療法が異なります。動物病院では、猫の症状や体質に合わせて、ベストな治療法を提案してくれるので、家でのケアで症状が緩和されない場合、動物病院で適切な治療を受けることが大切です。
以下では、動物病院でできる猫ニキビの治療方法について詳しく解説します。

投薬

猫ニキビの治療には、消毒薬を使用して細菌や真菌の増殖を抑える方法や、抗生物質を用いる方法が含まれます。症状が重い場合は、ステロイドを使用して炎症やかゆみを抑えることもあります。

消毒

猫ニキビの消毒には、刺激の強いアルコールを使用するのは避けるべきです。
代わりに、動物用の消毒剤を用いるのが良いです。これは、アルコールが猫の皮膚に強い刺激を与えてしまい、痛みやさらなる炎症を引き起こす可能性があるためです。

また、ペット用の外用抗菌薬として販売されているヒビクス軟膏は、犬や猫の皮膚感染症治療に用いられることが多いです。抗菌成分を含むので、感染が疑われる場合や、皮膚が切れたり傷ついたりした際に、二次感染を防ぐために役立ちます。
ですが、ヒビクス軟膏を猫ニキビに使用することは推奨されていません。なぜなら、猫の皮膚は人の皮膚よりも薄く、敏感であるため、ヒビクス軟膏に含まれる成分が刺激を与え、むしろ炎症やアレルギー反応を引き起こす可能性があるからです。

エリザベスカラー

猫が患部を舐めたり噛んだりするのを物理的に防ぐために、エリザベスカラーを使用します。治療中の感染リスクを減らし、早期治癒を促進する助けとなります。しかし、多くの猫がエリザベスカラーを不快に感じ、装着にストレスを感じることもあるため、使用する際は猫の快適さを考慮しましょう。

一般的なエリザベスカラーはプラスチック製で透明または半透明、猫が周囲を見られるように設計されています。柔らかい素材で作られたものや、首回りがインフレータブルタイプ(空気を入れて膨らますタイプ)のカラーもあります。

猫ニキビの予防方法

猫の愛らしい顔にニキビが生えていたら、飼い主さんとしては心配ですよね。猫ニキビは、見た目だけでなく、痒みや痛みなどの症状を引き起こすこともあります。
しかし、猫ニキビは適切な予防策によって、ある程度防げます。
以下では、猫ニキビの予防方法について詳しく解説します。

スキンケア

毎日のスキンケアでは、猫の顎を清潔なぬるま湯で優しく拭き、皮脂や汚れを除去することが重要ですが、強く擦るのは避けてください。また、獣医師が処方する薬用シャンプーの使用もおすすめです。さらに、過度に皮脂を取り除くと乾燥が進むため、保湿クリームを用いて適度に保湿することで、新たな皮脂の過剰分泌を防げます。

生活環境

猫ニキビの予防には、食器を清潔に保つことが必要です。また、猫のストレスを軽減することも大切です。ストレスは皮脂分泌を増加させニキビを悪化させる可能性があるので、食生活においては、脂質や糖質の多い食事を控え、健康的な食事を心がけましょう。

その他

猫のグルーミングはニキビ予防にも役立ちます。毛が長すぎると毛づくろいが困難になるため、適切な長さを保つことが重要です。
グルーミングは、まず被毛の種類に合ったブラシを用いて、毛の流れに沿って優しくブラッシングします。抜け毛や毛玉を取り除き、同時に皮膚の異常や傷、パラサイトの有無をチェックします。さらに、耳の清掃も重要で、耳の中を優しく拭き取ることで清潔を保ちます。
また、グルーミング以外に、動物病院での定期的な診察により、適切なアドバイスや治療を受けられます。

まとめ

ここまで、猫ニキビ発症の原因や対処法について解説しました。要点をまとめると、以下のとおりです。

  • 猫ニキビは、毛穴に皮脂が詰まって生じる状態
  • 猫ニキビは、猫のあごや口周りによく見られ、初期段階ではゴマのような粒が目立ち、進行するとかゆみや赤み、出血や痛みを伴う
  • 動物病院でケアする場合、消毒薬を使用して細菌や真菌の増殖を抑える方法や、抗生物質を用いる方法がある

猫ニキビができやすい特定の品種は特定されていませんが、猫種によって皮脂の分泌量や皮膚の状態が異なるため、個体差が大きいです。また、猫種よりも、食事、生活習慣、口腔ケア、ストレスなどの要因が猫ニキビの発生に影響を与えやすいです。
猫ニキビ以外に、猫に見られる皮膚炎の中には、アレルギー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、そして寄生虫性皮膚病が含まれます。

アレルギー性皮膚炎は環境や食物、フリーなどのアレルゲンに反応して起こり、皮膚の赤みやかゆみ、脱毛が特徴です。
脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌や細菌の感染によって引き起こされ、皮膚が油っぽくなったり、フケが目立つことがあります。
寄生虫性皮膚病はノミやダニ、真菌などが原因で、痒みや炎症、脱毛を引き起こします。

猫ニキビは、適切なケアで予防・改善できるでしょう。猫の黒いブツブツにお悩みの方は、早めに動物病院を受診し、獣医師に相談することをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献